ガス技術
製造
(ガ)問1
都市ガスの原料に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
(イ) LNG は大気圧下で約 – 160 °C の沸点を有する液体であるため、取扱う機器には低温靭性に優れた材料を使用する必要がある。
(ロ) バイオガスは再生可能エネルギーとして注目されているが、有害成分の除去や季節、時間による発生量の変動を考慮しておく必要がある。
(ハ) LNG 液化基地において天然ガスを液化する基本的な原理は、低圧下にある流体を高圧にして得られる温度低下を利用したものである。
(ニ) LNG の漏えい、流出に伴って発生した白い霧は、可燃性混合気を含まないので、着火、爆発等の危険域の目安とならない。
(ホ) 大気圧下でプロパンは約 – 40 °C、ブタンは約0°Cの沸点を有する液体であり、外部か らの入熱により一部が気化するため、貯蔵時の圧力上昇や計測器への影響等、十分注意を 要する。
(4)ハ、ニ (5)ニ、ホ
(ガ)問2
都市ガスの製造設備に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) エアフィン式気化器は、まわりの空気が冷却され空気中の湿分が霧状となることがあるため、敷地境界までの距離を十分とるか、冷気を拡散するためのファンを設ける等の対策が必要になる。
(2) オーステナイト系ステンレス鋼をLNG 配管に使用する場合は、極低温によって生じる熱収縮を吸収するため、必要に応じ配管ループ等を設ける。
(3) LPG は、常温で加圧することで容易に液化貯蔵が可能であり、一般的に加圧式の貯槽としては、円筒形貯槽と球形貯槽が用いられる。
(4) LNG ローリーから貯槽へのLNG の受入作業には、基地側に設けられた加圧蒸発器を用いる場合と、LNG ローリー側に設けられた加圧蒸発器を用いる場合がある。
(5) 真空断熱式円筒形 LNG 貯槽は、PC(プレストレストコンクリート)式平底円筒形 LNG貯槽とほぼ同じ構造であり、LNG 貯槽と防液堤を一体化した貯槽である。
(ガ)問3
ガスの成分分析に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
(イ)ガスクロマトグラフでは、試料ガス中の各成分は固定相に対する溶解性や吸着性に左右されず、移動相での移動速度は一定である。
(ロ)ガスクロマトグラフの熱伝導度検出器(TCD)は、無機化合物、有機化合物のいずれも検出することができる。
(ハ)ガスクロマトグラフのキャリアガスには、純度が体積分率 99.99%以上のヘリウム、酸素、アルゴン等を用いる。
(二)水素炎イオン化検出器(FID)は、水素炎中においてカラムで分離された有機化合物成分が燃焼するときに電極間に流れる電流を検出する。
(ホ)ガスクロマトグラフでは、クロマトグラムのそれぞれのピークの面積を、同一条件下で得られる混合標準ガス又は純ガスのピーク面積と比較し、各成分を定量する。
(4)ロ、ホ (5)ハ、ホ
(ガ)問4
都市ガスの付臭に関する次の記述のうち、誤っているものどれか。
(1) 臭気濃度とは、試料ガスを無臭の空気で徐々に希釈していった場合に、感知できる最大の希釈倍数をいう。
(2) テトラヒドロチオフェン(THT)測定機法は、THT のヨウ素錯体が紫外光に対し特有の吸収を示すことを利用したものである。
(3) メルカプタン化合物は、化学的に安定しているが、ターシャリーブチルメルカプタン(TBM)は若干反応性がある。
(4) 付臭剤を取扱う設備は、密閉した付臭室内に設置することが望ましい。
(5) 検知管法は、検知剤が充てんされた検知管に一定量の試験ガスを通し、検知剤の変色長さから付臭剤成分濃度を求める方法である。
(ガ)問5
電気設備に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 電気機器のケースなどと大地間を電気抵抗の小さい電線で電気的に接続することを「接地をする」という。
(2) 絶縁抵抗の上昇や絶縁物の損傷は、短絡や地絡事故につながり、更には感電や火災などの原因になる。
(3) 液化ガスを通ずる貯槽、配管等は、静電気除去のために確実な方法で接地をする。貯槽管理や受入・払出作業を行う者の人体の静電気除去も必要である。
(4) 防爆電気機器及び配線方法の選定は、危険場所の種類、対象とする可燃性ガスの爆発等級及び発火度等の危険特性、点検及び保守の難易度等を考慮して決定する。
(5) 耐圧防爆構造とは、可燃性のガスなどが容器の内部に侵入して爆発を生じた場合に、その容器が爆発圧力に耐え、かつ、爆発による火炎が外部の可燃性ガス等に点火しないようにしたものである。
(ガ)問6
設備保全に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
(イ)時間計画保全(TBM) は、年に1回など定期的に行う定期保全と予定の累積運転時間に達したときに行う経時保全がある。
(ロ)保全予防(MP)は、温度や振動値など、故障を予知できるデータがある値に達したら保全を行うものである。
(ハ)事後保全(BM)は、故障が起こったら保全を行うもので、故障しても影響の少ない設備などに適用する。
(二)状態監視保全(CBM)は、設備の信頼性、保全性、経済性、操作性、安全性等の向上を目的として、設備の材質や形状を改良する保全方式である。
(ホ)リスクベース保全(RBM)は、高経年化した設備等の各部位に対する保全の重要度、緊急度を、損傷事例や寿命評価理論を基に評価し、(リスク) = (発生した場合の影響度) ×(発生確率)で表して優先度をつける保全方式である。
(4)ロ、ホ(5)ハ、ホ
(ガ)問7
製造設備の操業に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 個別設備の稼動調整方式の1つである流量制御方式は、設備の負荷を一定に保つことができ、急激な需要変動に常に追従できる制御方式である。
(2) ガス製造能力に関係する設備の定期修理計画立案に当たっては、ガス生産計画や工場設備の稼動計画をもとにして、ピーク時における最大必要能力を確保する必要がある。
(3) LNG サテライト基地での原料受払い計画は、ボイルオフガス (BOG)処理量や処理方法が限定されていることが多いため、特に注意が必要である。
(4) 製造設備を安全かつ円滑に運転するため、あらかじめ運転管理基準、運転作業要領等を作成し、それに従って教育・訓練を実施する。
(5) 製造設備を正常に維持するため、維持管理基準等を作成し、それに従って製造設備の管理を行う。
(ガ)問8
停電対策に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) ボイルオフガス(BOG)圧縮機の停止時間が長くなるとLNG 貯槽の内部圧力が上昇するので、内部圧力監視を強化し、必要に応じて放散処理設備による降圧の準備等を行う。
(2) 停電復旧後にガス送出を再開するときは、熱量が規定の範囲になるよう、十分な注意が必要である。
(3) 保安電力は、買電(保安電力として措置されたものに限る。)、自家発電、蓄電池のいずれかを確保する。
(4) 保安用計装圧縮空気は、空気溜めによる供給、保安電力又は予備の動力を使用する計装空気圧縮機による供給、窒素源による供給のいずれかを確保する。
(5) 停電によりガス工作物の機能が失われず、そのままガス送出を継続するために、保安電力、保安用計装圧縮空気等を有する必要がある。
(ガ)問9
環境対策に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1) 電気エネルギーの管理では、電力用進相コンデンサーや同期電動機を用いて力率を1に近づけることにより省エネルギー効果を上げることができる。
(2) 熱利用設備のボイラー等は、保温の実施、蒸気漏れの防止、蒸気トラップの整備等の適切な維持管理が熱エネルギー管理上重要である。
(3) 燃焼時に過剰空気率が上昇すると、排ガス顕熱による熱損失が増加し、燃料原単位が増加する。従って、過剰空気率の低減が省エネルギーにつながる。
(4) メタンは地球環境に優しいので、ガスの製造工程における大気放散ガスを環境負荷低減の目的で削減する必要はない。
(5) 化学的酸素要求量(COD)とは、水中の有機物を酸化剤で分解する際に消費される酸化剤の量を酸素量に換算したものである。