テキスト
家庭用ガス機器
勉強方法について
- 法令の「ガス用品」、「特定ガス用品」、「特監法」に関する部分も併せて出題されるので復習しておくと◎
- 家庭用の機器は一度はみたことのあるものが多いと思うので、写真を検索等してイメージすると覚えやすい。
コンロ
コンロの安全機能
調理油過熱防止機能
- 天ぷら油の発火による火災を防止するため
- 鍋底の温度が一定以上(油が発火する前の温度)になるとガスを止める
立ち消え安全装置
- ガスの漏えいを防止するため
- 使用中にガスの炎が消えた場合、自動的にガスを止める
消し忘れ消火機能
- 一定時間を過ぎると自動的に消火する
早切れ防止機能
- 利便性のため、調理油過熱防止機能による早切れを防止する
- 鍋底の温度が約250℃になると弱火で自動で温度調節する
鍋なし検知機能
- 鍋底温度センサーの上に鍋がない場合、ガスを出さない(点火されない)
Siセンサーコンロ
- 安全機能を搭載したコンロ
- 標準搭載機能と付加搭載機能がある
標準搭載機能 付加搭載機能 調理油過熱防止装置 鍋なし検知機能 立ち消え安全装置 焦げ付き消火機能 消し忘れ消火機能 油温度調節機能 早切れ防止機能 自動炊飯機能 - 沸騰自動消火機能 など
グリル
コンロ内蔵グリル
- 片面焼きと両面焼きがある
- 過熱防止センサーがある場合はグリル皿に水を張る必要がない
- 専用の容器を用いることでオーブン料理ができる機種がある
- マイコンにより火力、焼き時間が設定され、焼き上がると自動消火する
- グリドル
直火で過熱したプレートにより、主として伝導熱で調理する機器
グリルの安全機能
過熱防止機能
- グリル庫内が異常に加熱された場合に自動消火する
炎あふれ防止機能
- 排気口から炎があふれないように遮炎装置をつける
ファンヒーター
- ブンゼン燃焼方式
- ガスを燃焼させ温風を強制対流させる開放燃焼式の暖房機器
不完全燃焼防止装置
- 立消え安全装置と兼用。熱電対を使用。
転倒時安全装置
- 転倒したり強い衝撃が加わったとき、ガスを遮断する。
過熱防止装置
- フィルター等の詰まりにより過熱状態になると、フィルターサインを点滅する。さらに過熱レベルが高くなると燃焼を停止する。
消し忘れタイマー
- 8時間で自動消火する。
赤外線ストーブ
- 燃焼用空気がすべて一次空気として供給される全一次空気式の燃焼方式
金網ストーブ
- 経年劣化や外力によって金網が変形すると、不完全燃焼が生じる可能性がある
FF暖房機
- 温風を強制対流させる密閉燃焼式暖房機
- 燃焼熱で熱交換器を通して室内空気を暖め、室内に排ガスを出さない方式であり、燃焼用ファンと室内空気の対流用ファンを備えている
瞬間湯沸器
元止め式
- 湯沸器の流入側の開閉により着火、消火
- 他の水栓に給湯できない
- 能力は小さい
先止め式
- 湯沸器の出湯側の開閉により着火、消火
- 複数の給湯配管ができる
- 能力が大きい
号数
- 給湯能力を示し、毎分1ℓの水を25℃上昇させる能力が「1号」という
潜熱回収型給湯器(エコジョーズ)
従来の熱交換器のほかに、もう一つの熱交換器を組み込み、排気の潜熱を有効に回収するもの
※潜熱:燃焼ガス中の水蒸気が持っている気化熱
- 熱効率:95%
- 排気温度:40~50℃(従来のものは200℃)
- 潜熱回収熱交換器の材料は、耐食性に優れたチタンやステンレス等
凝縮水(ドレン)処理
- 潜熱を回収する際にpH3程度の強酸の凝縮水(ドレン)が発生する
→中和器(炭酸カルシウム等)で水質をpH5~9(下水道法を満たす水質)に改善して器外に排出
温水機器(給湯器・ふろがま)の安全機能・制御
再点火防止インターロック機能
- 不完全燃焼防止装置が複数回連続して作動したときに、通常の操作による再点火ができなくなる機能。復旧には作業員による作業が必要。
タイムスタンプ機能
- 使用回数が10万回を超える使用をお知らせする機能
自己診断機能
- 燃焼状態の悪化による給排気通路の閉そく状況を検知し、閉そくレベルに応じた安全動作を行う機能
異常検知の基準
- 火炎温度の上昇
- 給気ファンの風量の低下
Q機能
- 一旦給湯を停止した後に再び出湯する際の冷水サンドイッチ現象を解消
- 高温水と給水側からのバイパスをミキシングすることにより再出湯時の湯温変化を小さくする機能
FF(フィードフォワード制御)、FB(フィードバック制御)
- リモコン等で設定した温度と実際のお湯の温度にずれがないか検知し、必要に応じてガス量を制御する機能。
- 検知する方法は以下の2つ。
FF制御
- 水量センサーからの流量、入水サーミスターからの水温で検知
(→機器内の水量、温度から出湯温度を演算)
FB制御
-
- 出湯サーミスターの出湯温度情報を検知
(→出たお湯の温度を検知)
- 出湯サーミスターの出湯温度情報を検知
実際にはFF制御とFB制御を組み合わせた制御が一般的
給湯暖房熱源機
- 温水による給湯と暖房を行う機器
- 熱交換器の数を「缶」、温水の回路の数を「水」で表す
種類 | 熱交換器 | 温水の回路 |
1缶2水 | 1つ | 給湯 暖房 |
1缶3水 | 1つ | 給湯 ふろ 暖房 |
2缶2水 | 2つ(給湯用と暖房用) | 給湯 暖房 |
2缶3水 | 2つ(給湯用と暖房用) +ふろ熱交換器(温水との熱交換による追いだき機能) |
給湯 ふろ 暖房 |
シスターン(膨張タンク)
- 暖房温水循環回路にある温度上昇による循環水の膨張を吸収するタンク
温水循環ポンプ
- モーターによってインペラーを回転させその遠心力によって水を吐出させる
- マグネット型が多く使用されるが、近年はキャンドロータ型が多く採用
2温度コントロール
- 暖房用バーナーは1つで2つのサーミスターを用いた制御回路により高温(約80℃)と低温(約40℃、(約60℃))の温水を供給すること
衣類乾燥機
- ガスの燃焼排気と加熱空気を衣類に接触させ乾燥させる
- 乾燥の際に衣類から出た水分を含む湿り空気を排出するために、排湿筒が取り付けられる
- 衣類に付着した油分が乾燥による熱で酸化し発熱することにより、自然発火するおそれがあるため、油分の付着した衣類の乾燥は禁止
- 安全装置:過熱防止装置、回転ドラムベルト切れ安全装置、ファンドラムベルト切れ安全装置、ドアスイッチ、冷却運転機能
家庭用コージェネレーション
- 燃料電池やガスエンジンを通してガスから発電し、その際に出た熱で給湯や暖房を行う機器
燃料電池式(商品名:エネファーム)
燃料電池式 | 固体高分子形(PEFC) | 固体酸化物形(SOFC) |
作動温度 | 約80℃ | 約700℃ |
起動停止 | 容易 | 頻繁には困難 |
電解質 | 陽イオン交換膜 | セラミックス |
効率 | 95% | 87% |
CO変成器 CO除去器 |
あり | なし |
燃料電池
セル:イオンだけを通す電解質を燃料極と空気極で挟んだ構造のもの
セルスタック:セルを積み重ねたもの
- セルスタックにて発生する電力は直流のため、この電力を交流に変換するインバーターが必要
- 付臭剤中の硫黄分を除去する装置(脱硫装置)を改質器の前に搭載
燃料電池の運転制御
- その家庭におけるエネルギー需要の過去のデータをもとにエネルギー使用量を予測し、最も省エネルギーになるような運転時間帯を決定する
ガスエンジン式(商品名:エコウィル)
- エンジンの回転で発電機を動かし交流電力を発生させる
- 商用電力に合わせるためコンバーターで直流に変換後、インバーターで交流に変換される
業務用ガス機器
特徴
- 粉や油の多い厨房環境では、ガス機器の目詰まりや換気設備の機能低下に繋がる可能性が高い(家庭用機器より劣化が早い)
- 換気設備の不使用や換気設備の故障・不具合による事故が多い
- CO警報器(又は業務用換気警報器)の設置が有効
低輻射熱機器
- 厨房内の温度上昇の原因となる輻射熱の発生や排気熱の拡散を抑える
- 機器内部を二重構造とし、表面内側に自然に空気を取り込むことによって機器の表面温度を下げる
- 食材や油などの焦げ付きをなくし、火傷の心配も少ない
温水機器
- 業務用厨房室内給湯器は、建築基準法に基づき、専用の排気筒で排気を屋外に排出するか、一定の条件を満たしてダクトに直結する必要がある
排気フード受け型給湯器
- 排気フードに排気筒がついている
- 排気温度センサー、COセンサー(※)がある
※CO濃度が0.03%に達する前に燃焼停止
排気ダクト接続型給湯器
- 排気温度センサー、COセンサー、排気あふれセンサーがある
- 潜熱回収型給湯器が主流
マルチ温水器
- 複数の瞬間湯沸器で構成され給湯量に応じて台数制御を行う
- 1台故障しても最低限の能力低下で運転できる
- 運転のための資格者は不要
貯蔵湯沸器・貯湯湯沸器
貯蔵湯沸器 | 貯湯湯沸器 |
貯槽内の水を設定温度まで加熱する | |
貯湯部は大気に開放 | 貯湯槽は密閉 |
常圧以上(大気圧以上)の圧力はかからない | 貯湯部に水頭10m以下の圧力 伝熱面積が4㎥以下 |
蒸気ボイラー
水管ボイラー | 貫流ボイラー | 炉筒煙管ボイラー | |
保有水量 | 少ない | 少ない | 多い |
小型化 | ○ | ○ | △ |
立ち上がり | 早い | 早い | 遅い |
負荷追従性 | 比較的良い | 悪い | 良い |
厨房機器
フライヤー
- 大量の天ぷら、フライなどの揚げ物を調理する時に使用
- 鍋底加熱式と浸管式の2種類がある
- 油の過熱による火災防止のためほとんどの機器に過熱防止装置あり
- パルス燃焼式・・・浸管式の一種であり、従来の浸管式に比べ熱交換器部分の熱伝達率が高い(約3~5倍)ので、昇温時問を短縮できる
炊飯器
自動炊飯器
- マイコンを搭載したものはかため、やわらかめ等の炊飯プロセスを設定できるものがある
立体式炊飯器
- オーブン式の庫内に炊飯鍋を入れて炊き上げる一度に大量の炊飯ができ、低輻射熱機器がある
ゆでめん器
- ダウンドラフト式の構造にすると熱効率が高くなり、排気温度も低くなる
※ダウンドラフト式:ゆで釜を加熱した排ガスがそばつゆ等の貯湯槽も加熱してから排気筒から排出される仕組み