テキスト
製造所における基準
運転管理基準
保安規程に基づき、管理体制、教育、巡視・点検、運転操作、緊急時の措置(※)等を定めたもの。
- 製造所ごとの設備構成や管理体制の特徴を踏まえた内容
- 設備の変更や増設に応じたものにする
※緊急時の措置・・・非常体制の確立、防災措置、連絡通報等
維持管理基準
製造設備を正常に維持するため、設備の管理に関して定めたもの。
- 保安規程を満たす製造設備に係る巡視・点検周期やその方法
- 操業実態に合わせた設備の運転状態を表す監視項目や点検内容
- 設備の異常時は速やかに機能復旧
- 復旧に時間を要する場合は、稼働調整などを行う
稼働調整方式
ガスの需要変動に対応するため設備の稼働を調整する方法
圧力制御方式 | 流量制御方式 |
ガスの圧力を一定に保つ方式 | ガスの流量を一定に保つ方式 |
設備負荷は頻繁に変動 | 設備負荷は一定 |
需要変動に応じて自動的に供給量を調整 | 急激な需要変動に追従できない場合あり |
LNGサテライト基地の稼働計画上の注意
LNG熱量
- 出荷元のLNG熱量に依存するため、熱量管理においては基地の貯槽内濃縮の管理に留意する。
原料受払い計画
- ボイルオフガス(BOG)処理量や処理方法が限定されていることが多いため、特に注意が必要。
LNGローリーの不測の事態への対応
- LNGローリー運行時における気象条件や交通事情による不測の事態に対応できるように、在庫確保、出荷元の複数化等の対策を事前に講じておくことが望ましい。
保全の種類
状態監視保全(CBM)
- 温度や振動値など、故障を予知できるデータがある値に達したら保全を行う方式。
時間計画保全(TBM)
- 年に1回など定期的に行う定期保全と予定の累積運転時間に達したときに行う経時保全がある。
事後保全(BM)
- 故障が起こったら保全を行う方式。故障しても影響の少ない設備などに適用する。
リスクベース保全(RBM)
- 高経年化した設備等の各部位に対する保全の重要度、緊急度を、損傷事例や寿命評価理論を基に評価し、(リスク)=(発生した場合の影響度)×(発生確率)で表して優先度をつける保全方式。
改良保全(CM)
- 設備の信頼性、保全性、経済性、操作性、安全性等の向上を目的として、設備の材質や形状を改良する保全方式。
保全予防(MP)
- 新設備の建設段階にさかのぼり、信頼性、保全性、経済性、操作性、安全性等を考慮した設計を行い、保全費用と劣化損失を最小化しようとする保全方式。
腐食
設備を管理するうえで腐食等による劣化に注意する必要がある。
異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)
- 電位差のある金属が接触している箇所に、水や海水がかかることで、電池が構成され、異種金属間で電子がやりとりされることで発生する腐食のこと。
すきま腐食
- ステンレス鋼等、不動態皮膜を持つ金属が非金属物質と面を接していたり、異物が付着している状況において、接触面や異物との間にできるすきま部分が腐食する現象。
腐食疲労
- 繰返し応力発生下にある金属に腐食作用が働いて、疲労限度以下の応力条件にもかかわらず、亀裂が生じる現象
応力腐食割れ
- 引張応力下にある金属に腐食作用が働いて、破断応力以下であるにもかかわらず割れが生じる現象。
非破壊試験
- 設備の溶接欠陥や疲労割れを検査する非破壊試験は6種類ある。
※〇×は検査の可否を表す。
放射線透過試験(RT)
- 材料に放射線を透過し内部の状態を撮影像としてフィルムに記録する方法。欠陥の形状をフィルム上に投影された像として見ることができるので、わかりやすくて直観性がある。
〇内部欠陥
超音波探傷試験(UT)
- 材料の表面や内部に超音波を伝播させ反射した超音波の強さ等から欠陥の形状や大きさを検出する方法。片側からの検査も可能。
〇割れのような平面欠陥 〇内部の欠陥 〇厚みのあるもの
磁粉探傷試験(MT)
- 磁石に吸引される物質に鉄粉をまぶし、磁粉模様を作り、表面および表層部の欠陥を検出する方法。表面から数mmまでの欠陥の検出が可能な実用的な検査方法である。
×オーステナイト系ステンレス鋼 ×銅合金 ×軽合金
渦流探傷試験(ET)
- 金属などの導体に交流を流したコイルを接近させ、欠陥があるとコイルに誘起される電圧、電流が変化する原理を利用した方法。
×深い場所にある欠陥
浸透探傷試験(PT)
- けい光性又は染色性浸透液を塗布し、欠陥部に浸透させ、これを現像液で変色させることにより欠陥を検出する方法。
〇表面欠陥 〇表面に開口した欠陥
動画コンテンツ
ミニテスト
第1問
第2問
第3問
第4問
第5問
第6問
第7問
愛8問
第9問
第10問
第11問
第12問
第13問
過去問題
第1問
製造設備の操業に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)個別設備の稼働調整方式の1つである流量制御方式は、設備の負荷を一定に保つことができ、急激な需要変動に常に追従できる制御方式である。
(2)ガス製造能力に関係する設備の定期修理計画立案に当たっては、ガス生産計画や工場設備の稼働計画をもとにして、ピーク時における最大必要能力を確保する必要がある。
(3)LNGサテライト基地での原料受払い計画は、ボイルオフガス(BOG)処理量や処理方法が限定されていることが多いため、特に注意が必要である。
(4)製造設備を安全かつ円滑に運転するため、あらかじめ運転管理基準、運転作業要領等を作成し、それに従って教育・訓練を実施する。
(5)製造設備を正常に維持するため、維持管理基準等を作成し、それに従って製造設備の管理を行う。
第2問
製造設備の保全に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)ストレーナーを使って流体中の不純物を分離している場合には、その上流圧力の低下によって詰まり程度を知ることができる。
(2)回転機の軸受部に発生する振動の原因としては、電動機との芯出し不良や軸受の摩耗によるギャップの増加等が考えられる。
(3)配管に生じる振動が回転機に起因するものか流体の流れによるものかは、回転機の配管のそれぞれの振動数を測定することによりある程度判定することができる。
(4)ポンプ軸封部のメカニカルシールの漏れは、多くの場合シートリングの摩耗の偏りによるものである。
(5)冷却水を通ずる熱交換器の管壁にスケールが付着すると冷却能力の低下がおこるため、水洗い、ジェット洗浄、化学洗浄等により掃除を行う。
第3問
製造設備の保全に関する次の記述のうち、誤っているものの組み合わせはどれか
(イ)状態監視保全とは、新設備の建設段階にさかのぼり、信頼性、保全性、経済性、操作性、安全性等を考慮した設計を行い、保全費用と劣化損失を最小化しようとする保全方式である。
(ロ)事後保全とは、故障が起こった後、保全を行うもので、故障しても影響の少ない設備や代替設備がある場合に適用する。
(ハ)すきま腐食とは、ステンレス鋼等不動態皮膜を持つ金属が非金属物質と面を接していたり、異物が付着している場合に、接触面や異物との間にできるすきま部分に局部腐食が発生する現象をいう。
(二)異種金属接触腐食とは、電位の異なる2種の金属をイオン電導性のある腐食環境中で接触させた場合に、電位が貴な方の金属の腐食が促進される現象をいう。
(ホ)腐食疲労とは、繰返し応力発生下にある金属に腐食作用が働いて、疲労限度以下の応力条件にもかかわらず、亀裂が生じる現象をいう。
(4)ハ、ホ(5)二、ホ
第4問
設備の腐食及び疲労に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)炭素鋼が銅やステンレス鋼と海水中で接触すると、炭素鋼の腐食が促進する。このような現象を異種金属接触腐食という。
(2)ステンレス鋼等、不動態皮膜を持つ金属が非金属物質と面を接していたり、異物が付着している状況において、接触面や異物との間にできるすきま部分が腐食する現象をすきま腐食という。
(3)引張応力下にある金属に腐食作用が働いて、破断応力以下であるにもかかわらず割れが生じる現象を応力腐食割れという。
(4)部材に形状的な不連続や切り欠きが存在して応力集中が高くなるほど疲労強度は低下する。
(5)部材の疲労強度は、浸炭、焼入れ、圧延等の材料表面処理により低下する。
第5問
都市ガス製造設備の巡視・点検に関する次の記述について、[ ]の中の(イ)~(ホ)にあてはまる語句の組合せとして最も適切なものはどれか。
製造設備は、これらの設備を正常に維持するため、[(イ)]等を作成し、それに従って製造設備の管理を行う。製造設備に係る巡視・点検周期やその方法は、[(ロ)]に定める内容を満足するほか、設備の運転状態を表す監視項目や点検内容も考慮し、製造所の[(ハ)]に合わせ決定する。設備に異常を発見した場合は応急処置を施すとともに、速やかに[(二)]に努めなければならない。万が一、復旧に時間を要する場合は、製造設備の[(ホ)]などを行って、ガスの供給に影響を及ぼさないようにする。
(1)(イ) 維持管理基準(ロ)保安規程(ハ)操業実態(二)機能回復(ホ)稼働調整
(2)(イ) 維持管理基準(ロ)保安規程(ハ)修理履歴(二)運転停止(ホ)復旧措置
(3)(イ) 維持管理基準(ロ)技術規程(ハ)修理履歴(二)機能回復(ホ)復旧措置
(4)(イ) 運転管理基準(ロ)保安規程(ハ)修理履歴(二)運転停止(ホ)稼働調整
(5)(イ) 運転管理基準(ロ)技術規程(ハ)操業実態(二)機能回復(ホ)復旧措置
第6問
製造設備の保安に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)LNGサテライト基地におけるLNG熱量は、出荷元のLNG熱量に依存するため、熱量管理においては基地の貯槽内濃縮には留意しなくてもよい。
(2)LNGローリー運行時における気象条件や交通事情による不測の事態に対応できるように、LNGサテライト基地では在庫確保、出荷元の複数化等の対策を事前に講じておくことが望ましい。
(3)LNGポンプの運転管理項目として、吸入圧力、吐出圧力、吐出流量、振動等があげられる。
(4)緊急時には、非常体制の確立、防災措置、連絡通報等についてあらかじめ定められた緊急時の運転管理基準等に従って処置する。
(5)個別設備の稼働調整方式のひとつである圧力制御方式は、需要変動に応じて供給量を自動的に調整することができる。
第7問
設備保全に関する次の記述のうち、誤っているものの組み合わせはどれか
(イ)時間計画保全(TBM)は、年に1回など定期的に行う定期保全と予定の累積運転時間に達したときに行う経時保全がある。
(ロ)保全予防(MP)は、温度や振動値など、故障を予知できるデータがある値に達したら保全を行うものである。
(ハ)事後保全(BM)は、故障が起こったら保全を行うもので、故障しても影響の少ない設備などに適用する。
(二)状態監視保全(CBM)は、設備の信頼性、保全性、経済性、操作性、安全性等の向上を目的として、設備の材質や形状を改良する保全方式である。
(ホ)リスクベース保全(RBM)は、高経年化した設備等の各部位に対する保全の重要度、緊急度を、損傷事例や寿命評価理論を基に評価し、(リスク)=(発生した場合の影響度)×(発生確率)で表して優先度をつける保全方式である。
(4)ロ、ホ(5)ハ、ホ
第8問
製造設備の操業に関する次の記述について、[ ]の中の(イ)~(二)にあてはまる語句の組合せとして最も適切なものはどれか。
製造設備を安全かつ円滑に運転するため、[(イ)]に基づき作成した運転管理基準等に従って適切な管理を行う必要があるが、この運転管理基準は、[(ロ)]、教育、巡視・点検、[(ハ)]、緊急時の措置等を定めている。また、運転管理基準等については、製造所ごとに設備構成や[(ロ)]が異なることから、それぞれの特徴を十分踏まえた内容とし、設備の[(二)]に対応したものにする必要がある。
(1)(イ) 維持管理基準(ロ)稼働計画(ハ)運転操作(二)定期修理計画
(2)(イ) 保安規程(ロ)管理体制(ハ)修理・清掃(二)変更や増設
(3)(イ) 保安規程(ロ)稼働計画(ハ)修理・清掃(二)定期修理計画
(4)(イ) 保安規程(ロ)管理体制(ハ)運転操作(二)変更や増設
(5)(イ) 維持管理基準(ロ)管理体制(ハ)修理・清掃(二)定期修理計画
第9問
設備の溶接欠陥や疲労割れを検査する非破壊試験に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)放射線透過試験(RT)は、欠陥の形状をフィルム上に投影された像として見ることができるので、わかりやすくて直観性がある。
(2)超音波探傷試験(UT)は、割れのような平面欠陥の検出に適している。
(3)磁粉探傷試験(MT)は、表面から数mm以上の深い内部の欠陥の検出が可能な実用的な検査方法である。
(4)渦流探傷試験(ET)は、金属などの導体に交流を流したコイルを接近させ、欠陥があるとコイルに誘起される電圧、電流が変化する原理を利用している。
(5)浸透探傷試験(PT)は、けい光性又は染色性浸透液を塗布し、欠陥部に浸透させ、これを現像液で変色させることにより欠陥を検出する。