テキスト
ガスの熱量・燃焼性
- ガス事業者は、供給するガスの熱量や燃焼性を、供給約款に定めた範囲(ガスグループ)に収まるよう、適正に管理する必要がある。
熱量
- 熱量
ガスが燃えたとき発生する熱の量 - 燃料を燃焼すると、水蒸気が発生する。
- そのとき、下記2種類の熱が発生する。
燃焼性
- 燃焼性を表す指標は下記の2つ
※空気を混合すると低下する
※空気を混合しても変わらない
- 供給約款で定めたガスの熱量に合わせるため、製造したガスを空気などで希釈する。その際に、空気を混合すると低下するウォッベ指数を管理すること。
熱量を調整する方法
ガス―ガス熱量調整方法
- ガスの状態で混合させる方式。
- 事前に気化させる熱源や設備が必要
- ランニングコストが高い
例)
液-ガス熱量調整方法
- ガスに対して液体の状態で混合させる方式。
- 事前に気化させる熱源や設備が不要
- ランニングコストが低い
例)
液―液熱量調整方法
- 液体状態のまま混合させる方式。
- 事前に気化させる熱源や設備が不要
- ランニングコストが低い
- 低い温度(‐160℃)のLNGにLPGを混合するため、LPG内の成分が凍結しないよう対策が必要
例)
ガスクロマトグラフ
- ガスの成分を分析する手法。
- 固定相に移動相(=キャリアガス)を流して、
- 各相の間における各成分の溶解性、吸着性の差によって、成分物質を分離し、測定する方法。
- 吸着性が強い成分ほど、移動速度が遅くなる。
- 移動相(=キャリアガス)には、 純度が高いヘリウム、窒素、アルゴン等が用いられる。
検出器の種類
熱伝導度検出器(TCD)
※覚え方「熱=サーモ(thermo)のT」
- 無機化合物と有機化合物のいずれも検出することができる。
水素炎イオン検出器(FID)
※覚え方「イオンのI」
- 有機化合物を高感度に検出することができる。
炎光光度検出器(FPD)
- 硫黄化合物やリン化合物を検出することができる。
動画コンテンツ
ミニテスト
第1問
第2問
第3問
第4問
第5問
第6問
過去問題
第1問
ガスの成分分析及び発熱量・比重の測定に関する次の記述のうち、いずれも誤っているものの組合せはどれか。
(イ)総発熱量は、生成した水の凝縮潜熱を真発熱量から差し引いて求める。
(ロ)ガスクロマトグラフとは、固定相に移動相と呼ばれるキャリアガスを流して、固定相と移動相との間における試料各成分の溶解性、吸着性の差によって成分物質を分離し、測定する装置である。
(ハ)ガス比重とは、同一温度及び同一圧力における等しい体積のガスと湿り空気の質量の比と定義される。
(二)ガスクロマトグラフの水素炎イオン化検出器(FID)は、有機化合物にしか感度を示さないが、非常に高感度である。
(ホ)ガス比重の測定には、ガスクロマトグラフ法によって得られた成分組成から計算によって求める方法、ブンゼン-シリング法又は比重瓶法によって測定する方法がある。
(4)ロ、ホ(5)イ、二
第2問
都市ガスの熱量調整と燃焼性管理に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)液-ガス熱量調整方式は、LNGをLPGで熱量調整する場合、LNGを気化させた天然ガス(NG)中にLPGをスプレーして直接LPGを混合気化させる方式である。
(2)液-液熱量調整方式は、LNGをLPGで熱量調整する場合、-160°CのLNGにLPGを混合するため、LNG以外の成分の凍結による閉そく対策等が必要となる。
(3)高発熱量のガスを空気で希釈すると燃焼速度(MCP)は低下するが、ウォッベ指数は変化しない。
(4)ガス-ガス熱量調整方式は、LNGをLPGで熱量調整する場合、LPGを気化させるための設備及び熱源が必要で、ランニングコストが高い。
(5)空気により低圧の供給ガスを希釈する場合、供給ガスが燃焼範囲に入らないよう空気の混合量を管理する。
第3問
ガスの成分分析に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
(イ)ガスクロマトグラフでは、試料ガス中の各成分は固定相に対する溶解性や吸着性に左右されず、移動相での移動速度は一定である。
(ロ)ガスクロマトグラフの熱伝導度検出器(TCD)は、無機化合物、有機化合物のいずれも検出することができる。
(ハ)ガスクロマトグラフのキャリアガスには、純度が体積分率99.99%以上のヘリウム、酸素、アルゴン等を用いる。
(二)水素炎イオン化検出器(FID)は、水素炎中においてカラムで分離された有機化合物成分が燃焼するときに電極間に流れる電流を検出する。
(ホ)ガスクロマトグラフでは、クロマトグラムのそれぞれのピークの面積を、同一条件下で得られる混合標準ガス又は純ガスのピーク面積と比較し、各成分を定量する。
(4)ロ、ホ(5)ハ、ホ
第4問
都市ガスの燃焼性管理及び熱量調整に関する次の記述のうち、誤っているものの組合せはどれか。
(イ)ガスグループは、燃焼速度(MCP)とウォッベ指数(WI)のそれぞれの最高値、最低値の組合わせによって分類される。
(ロ)高発熱量ガスを空気で希釈すると、ウォッベ指数(WI)は増加する。
(ハ)低発熱量のガスをLPGで増熱する場合、混合ガスの熱量と燃焼性及び露点を管理する必要がある。
(二)ガスーガス熱量調整方式は、LNG及びLPGをそれぞれ気化させて混合する方式である。
(ホ)液-ガス熱量調整方式は、LPGを気化させるための熱源として、天然ガスの潜熱を利用している。
(4)ハ、二(5)ハ、ホ
第5問
ガスの成分分析及び発熱量・比重の測定に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)ガスクロマトグラフとは、固定相に移動相と呼ばれるキャリアガスを流して、固定相と移動相との間における試料各成分の溶解性、吸着性の差によって成分物質を分離し、測定する装置である。
(2)ガスクロマトグラフの熱伝導度検出器(TCD)には、ホイートストンブリッジを構成する4個のフィラメントが、熱容量の大きい金属ブロック内の流路系に組み込まれている。
(3)ガスクロマトグラフの水素炎イオン化検出器(FID)は、有機化合物のほとんどを高感度に検出する。
(4)総発熱量は、燃焼排ガス中の水蒸気の凝縮潜熱を真発熱量から差し引いて求める。
(5)試料ガスの比重は、ガスクロマトグラフ法によって得られた成分組成と、それぞれの成分の比重を用いて、計算によって求めることができる。
第6問
都市ガスの熱量調整と燃焼性の管理に関する次の記述について、[ ]の中の(イ)~(二)にあてはまる語句の組合せとして正しいものは(1)~(5)のどれか。
- ガス事業者は【(イ)】に定めたガスの流量及び燃焼性を適正に管理する必要がある
- 燃焼性を表す指標には、ウォッベ指数と【(ロ)】があり、この指標は、ガス組成により【(ハ)】。なお、ウォッベ指数は次式で現れる
(1)(イ)供給約款(ロ)燃焼速度(ハ)変動する(二)総発熱量
(2)(イ)保安規定(ロ)燃焼速度(ハ)変動しない(二)真発熱量
(3)(イ)供給約款(ロ)燃焼圧力(ハ)変動する(二)真発熱量
(4)(イ)保安規定(ロ)燃焼圧力(ハ)変動しない(二)真発熱量
(5)(イ)保安規定(ロ)燃焼速度(ハ)変動する(二)総発熱量