基礎 part3 化学反応

テキスト

化学反応

  • 化学反応―化学物質が別の化学物質へと変化すること
  • 分子・原子の衝突や光の吸収によって起こる
  • 酸化反応
    物質が電子を失う反応
    物質が酸素と化合する反応
    物質から水素を取り去る反応
  • 還元反応
    物質が電子を受け取る反応
    物質が酸素を奪われる反応
    物質が水素と化合する反応

燃焼反応

  • 燃焼反応
    可燃物質と酸素の反応のうち、発熱や発光を伴う反応

反応熱

  • 反応熱
    化学反応に伴って出入りする熱
  • 反応に伴う熱は、反応の初めと終わりの条件のみで決まり、途中の経路には無関係。(ヘスの法則
  • 定圧での反応熱=エンタルピーの変化
  • 定容での反応熱=内部エネルギーの変化
  • 化合物1モルが完全燃焼するときの熱を燃焼熱という

化学平衡

  • 反応の平衡時には、順方向の反応速度と逆方向の反応速度が等しい
  • 平衡時に反応物と生成物の構成比が見かけ上変化しない

ル・シャトリエの原理

  • ル・シャトリエの原理-平行移動の法則
  • 平衡状態にある反応にある変化を与えると、その変化を打ち消す方向に反応が進む
    温度を上げると、熱を吸収する方向
    圧力を上げると、体積が減少する方向
    ある物質の濃度を増やすと、その物質が減少する方向
  • 触媒は平衡移動には無関係

反応速度

  • 反応速度
    特定物質の濃度が変化する速度
  • 温度の上昇により、反応速度も増大
  • 温度一定のもとでは、
    一次反応の反応速度は反応物質の濃度に比例する
    反応速度定数は、その反応に固有の定数
  • アレニウスの式に基づけば、反応速度定数と絶対温度の逆数は直線関係にある
    活性化エネルギーを求めることができる

半減期

  • 半減期
    反応物質の濃度が半分になるのに要する時間
  • 一次反応の半減期は初濃度に無関係

触媒

  • 触媒
    微量で、反応に必要な活性化エネルギーを減少させ、反応を促進させる物質。
  • 自発的に起こらない方向の反応を起こすことはできない
  • 触媒は平衡状態を変えることはない
  • 均一触媒反応:触媒と反応物質が同じ相にある反応。
    不均一触媒反応:触媒と反応物質が異なる相にある反応

電気化学反応

  • 電気化学反応
    電子を放出する反応と、電子を受けとる反応を別の場所で行わせ、電子の授受によって全体の反応を行う化学反応
    アノード:電子を放出する反応
    カソード:電子を受けとる反応
  • 物質の持つ自由エネルギーを直接電気として取り出せる。
  • 外部から電気を与えることにより、逆方向の反応を起こすことができる
    水の電気分解は、水素の燃焼反応の逆反応

電池

  • 電池の構成
    電解質、アノード、カソードで構成される。
  • 電解質
    溶液中に溶解したとき、陽イオン、陰イオンに解離する化学物質。
  • 一次電池―放電はできるが充電はできない電池
    マンガン乾電池、アルカリ乾電池、ニッケル乾電池など
  • 二次電池―充電により繰り返し使用できる電池
  • 燃料電池―水素と酸素の電気化学的な反応により、継続的に発電できる電池

燃料電池

  • 燃料電池は、一般的な電池と同様、電解質、アノード、カソードで構成される
  • 固体高分子燃料電池、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、個体酸化物形燃料電池等の種類がある

電極電位

  • 電極電位
    電極電解質溶液との間の電位差
    (Cu)の標準電極電位は、亜鉛(Zn)より高い
  • 標準電極電位が高い金属は、イオン化傾向が小さい
  • 二種類の金属の内、標準電極電位が高い金属が、電池ではプラス側の電極となる
  • 燃料電池の理論起電力は熱力学的に求められる
  • 燃料電池の電池効率低下の要因
    濃度分極
    電極と電解質界面付近の燃料不足による電圧低下
    オーム損失
    電池の内部抵抗による電圧低下で、電流に比例する

動画コンテンツ

ミニテスト

第1問

等温定圧下における化学反応は、自由エネルギーが極大となる点で平衡状態になる
不正解、等温定圧下における化学反応は、自由エネルギーが極大となる点で平衡状態になる→自由エネルギーが極小
等温定圧下における化学反応は、自由エネルギーが極小で平衡状態になる
正しい

第2問

速度定数は、反応温度に依存しない
不正解、速度定数は、反応温度に依存しない。反応速度は一般に、温度の上昇によって増大し、その影響は速度定数にあらわれる
反応速度は一般に、温度の上昇によって増大し、その影響は速度定数にあらわれる
正しい

第3問

燃料電池はアノードとカソード、電解質で構成される
正しい
燃料電池はアノードとカソードのみで構成される
不正解、燃料電池はアノードとカソードのみで構成される→燃料電池はアノードとカソード、電解質で構成される

第4問

標準電極電位が高い金属ほど、イオン化傾向は小さい
正しい
標準電極電位が高い金属ほど、イオン化傾向は大きい
不正解、イオン化傾向は大きい→イオン化傾向は大きい

第5問

物質から水素を取り去る反応は、還元反応である
不正解、水素を取り去る→酸素を取り去る
物質から酸素を取り去る反応は、還元反応である
正しい

第6問

金属の腐食は、電気化学現象とは異なる
不正解、電気化学現象とは異なる→電気化学現象である
金属の腐食は、電気化学現象である
正しい

第7問

燃料電池は二次電池に該当する
不正解、二次電池に該当する→該当しない
燃料電池は二次電池に該当しない
正しい

第8問

燃料電池の内部抵抗に起因する電圧低下は、通常オーム損失と呼ばれ、電流に比例する
正しい
燃料電池の内部抵抗に起因する電圧低下は、電流に反比例する
不正解、電流に反比例する→通常オーム損失と呼ばれ、電流に比例する

過去問題

第1問

化学反応と化学平衡に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか

化学平衡とは、可逆反応において、順方向と逆方向の反応速度が等しくなった状態をいう
正しい
等温定圧下における化学反応は、自由エネルギーが極大となる点で平衡状態になる
正解!自由エネルギーが極大となる点で平衡状態になる→極小となる点
ある反応の標準自由エネルギー変化がわかれば、平衡組成を計算により求めることができる
正しい
発熱反応が平衡状態にあるとき、反応温度を下げると、反応はさらに進行して、新たな平衡状態に達する
正しい
触媒は、反応速度を変えることができるが、平衡状態を変えることはない
正しい

第2問

化学反応に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか

一次反応の反応速度は、反応物質の濃度に比例する
正しい
一次反応の半減期は、反応のどの時点から測っても同じである
正しい
速度定数は、反応温度に依存しない
正解!速度定数は、反応温度に依存しない→反応速度は一般に、温度の上昇によって増大し、その影響は速度定数にあらわれる
アレニウスの式に基づいて、活性化エネルギーを求めることができる
正しい
触媒は、平衡定数に影響を与えない
正しい

第3問

燃料電池に関する記述のうち、誤っているものはどれか

水素と酸素を電気化学的に反応させて発電ができる
正しい
アノードとカソードのみで構成される
不正解、アノードとカソードのみで構成される→アノードとカソード、電解質で構成される
二次電池には該当しない
正しい
固体高分子形、りん酸形、個体酸化物形等の種類がある
正しい
理論起電力は熱力学的に求めることができる
正しい

第4問

電気化学反応の電極電位に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか

電極電位とは、電極と電解質溶液との間の電位差のことである
正しい
電極電位は、水素電極の標準電極電位を0Vとした相対値として表すことが多い
正しい
標準電極電位が高い金属ほど、イオン化傾向は大きい
不正解、標準電極電位が高い金属ほど、イオン化傾向は大きい→イオン化傾向は小さい
銅(Cu)標準電極電位は亜鉛(Zn)より高い
正しい
2種の金属で標準電極電位が高いほうが、電池でプラス側の電極となる
正しい

第5問

化学反応に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか

物質が酸素と化合する反応は、酸化反応である
正しい
物質から水素を取り去る反応は、還元反応である
不正解、物質から水素を取り去る反応は、還元反応である→酸素を取り去る
燃料反応では、可燃物質と酸素が反応し、発熱が起こる
正しい
一定温度条件で、化学反応に伴い発生する、もしくは吸収される熱のことを反応熱という
正しい
化学反応は、分子・原子の衝突や光の吸収によって起こる
正しい

第6問

電気化学反応に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか

燃料電池は、電気化学反応により継続的に電気を取り出すことができる発電装置である
正しい
金属の腐食現象は、電気化学現象とは異なる
不正解、金属の腐食現象は、電気化学現象とは異なる→電気化学現象である
電気化学反応では、物質の持つ自由エネルギーを直接電気として取り出すことができる
正しい
電気化学反応は、化学反応を電子の授受を介して行わせるものである
正しい
水の電気分解は、水素の燃焼反応の逆反応である
正しい

第7問

燃料電池に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか

水素と酸素を電気化学的に反応させて断続的に発電できる
正しい
電解質、アノード、カソードで構成される
正しい
二次電池に該当する
不正解、二次電池に該当する→該当しない
固体高分子形、りん酸形、溶融炭酸塩形、個体酸化物形等の種類がある
正しい
理論起電力は熱力学的に求めることができる
正しい

第8問

電池に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか

燃料電池の濃度分極とは、電極と電解質との界面付近への燃料等の供給不足による電圧低下のことである
正しい
燃料電池の内部抵抗に起因する電圧低下は、電流に反比例する
不正解、燃料電池の内部抵抗に起因する電圧低下は、電流に反比例する→通常オーム損失と呼ばれ、電流に比例する
直流電力の放電のみができ、充電ができない電池を一次電池という
正しい
一次電池には、マンガン乾電池、アルカリ乾電池、ニッケル乾電池などがある
正しい
充電を行うことにより繰り返し使用することができる
正しい

テキスト(計算問題)

標準反応熱

標準反応熱=反応熱の右辺(生成系)の標準生成熱の和ー反応式の左辺(反応熱)の標準生成熱の和
※単体ガス(H2、O2など)の標準生成熱=
メタン(CH4)の場合

※標準反応熱→CH4:-75kJ/mol  HO:-285kJ/mol  CO2:-390kJ/mol  H2:0kJ/mol

化学反応式 CH4 + 2O2 → CO2 + 2HO
      左辺(反応系)  右辺(生成系)

標準反応熱={(1×-390)+(2×-285)} - {(1×-75)+(2×0)}
       右辺(生成系)の標準生成熱の和    -  左辺(反応系)の標準生成熱の和

=(-960)-(-75)

-885

ル・シャトリエの原理

  • 平衡状態にある反応にある変化を与えると、その変化を打ち消す方向に反応が進む
  • 温度を上げると、熱を吸収する方向
  • 圧力を上げると、体積が減少する方向
  • ある物質の濃度を増やすと、その物体が減少する方向
温度の変化
  • 発熱反応なのか、吸熱反応なのかを確認

 CO + H2O ⇄ CO2 + H2  発熱反応

CH4 + H2O ⇄ CO + 3H2  吸熱反応
※ガス主で出てくる化学反応で吸熱反応は基本的にこれのみ。これ以外は発熱反応だと思っていよい

  • 発熱反応の場合、温度を上げると左方向へ、
    吸熱反応の場合、温度を上げると右方向へ反応が進む
圧力の変化

反応式の物質のモル数を確認(1は省略されている)

CH4 + H2O ⇄ CO + 3H2
モル数 1    1   1    3
左辺のモル数2、右辺のモル数4
圧力を上げると左方向(モル数を下げる方向)反応が進む

水蒸気量の変化

反応式中のH2Oを確認

CO + H2O ⇄ CO2 + H2
水蒸気比率を上げるとH2Oの分圧が減る方向(左)へ反応が進む

半減期
  • 半減期
    反応物質の濃度が半分になるのに要する時間
  • 半減期を3回繰り返すと1/8(1/2×1/2×1/2)4回繰り返すと1/16(1/2×1/2× 1/2×1/2)になる
    ではなく、累乗

過去問題(計算問題)

第1問

次の標準反応熱(kJ/mol)はいくらか

CO(g)+1/2O(g)→CO(g)

ただし、各成分の標準生成熱は以下のとおりであり、(g)は気体状態を示す

CO(g):-110.5kJ/mol
CO(g):-393.5kJ/mol
O(g):0kJ/mol

解答
標準反応熱=反応熱の右辺(生成系)の標準生成熱の和ー反応式の左辺(反応熱)の標準生成熱の和より

標準反応熱=-395.5-(-110.5+0.5×0)
=-395.5+110.5
283kJ/mol

第2問

次の化学反応式における平衡に関する記述として、誤ているものはどれか。ただし、Q(>0)は反応熱である

CH4+H2O=CO+3H2+Q

(1)右方向へは吸熱反応である

(2)圧力を上げると左方向への反応が進みやすくなる

(3)温度を下げると左方向へ反応が進みやすくなる

(4)水蒸気(H2O)を増加させると左方向への反応が進みやすくなる

(5)この反応において、触媒は化学平衡状態に影響を与えない

解答
正解→(4)

(1)右方向へは吸熱反応である
右方向は吸熱反応
(2)圧力を上げると左方向への反応が進みやすくなる
 右のモル数は(1+1=2)、左のモル数は(1+3=4)、圧力が上がると体積を小さくする方向へ反応が進みやすくなるため左方向へ進みやすくなる
(3)温度を下げると左方向へ反応が進みやすくなる
温度を下げると発熱する(温度を上げようとする)方向へ反応が進みやすくなるため、左方向へ進みやすくなる
(4)水蒸気(H2O)を増加させると左方向への反応が進みやすくなる
水蒸気を増加させると、H2Oの分圧を減らす方向へ反応が進みやすくなるため右方向へ反応が進みやすくなる
(5)この反応において、触媒は化学平衡状態に影響を与えない
 触媒は化学平衡状態に影響を与えない

第3問

一次反応において、反応物質の濃度が初期濃度の50%になるまでに10分を要した。反応の開始から初期濃度の12.5%になるまでに要する時間(分)はいくらか

解答
初期濃度の12.5%→初期濃度の1/8

半減期(10分)ごとに1/2になるため、
10分後1/2、20分後1/4(1/2×1/2)、30分後1/8(1/2×1/2×1/2)

よって30分

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