テキスト
付臭剤
ガス事業法による規定
- 臭気濃度の測定は月1回行い、ガスの空気中の混合容積比率が1000分の1で臭気が確認できること(ガス中の付臭剤濃度から換算式を用いて臭気濃度を求める場合の管理値は2000倍以上)。
備えるべき性質
- 土壌透過性が高いこと
- 導管を腐食しない
- 人間に対し害がなく、毒性がないこと
- 水に溶けにくいこと
- 完全に燃焼し燃焼後は無害無臭であること
付臭剤の物性
ターシャリーブチルメルカプタン(TBM) | テトラヒドロチオフェン(THT) | ジメチルサルファイド(DMS) | |
硫黄含有量 | 35.5 | 36.4 | 51.6 他と比べて大 |
閾値(μg/㎥) | 1.1 他と比べて極小 |
16.5 | 16 |
特徴 |
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- 閾値(いきち)
臭いのついているガスを徐々に希釈してゆくと、ある濃度以下になると臭いを感じなくなる。この時の温度を閾値という
付臭設備
液体注入方式
- 付臭剤を液状のまま直接ガス中に注入。
ポンプ注入方式
- ポンプ等によって、付臭剤を直接ガス中に注入する方式。
- 比較的規模の大きい付臭設備には、最適な注入方式。
滴下注入方式
- 重力によって付臭剤をガス流中に滴下する方式や加圧源として都市ガス又は窒素ガスを利用し滴下する方式がある。
- 流量変動の少ない小規模の付臭設備に多く用いられる
蒸発方式
- 蒸発した付臭剤をガス流に混合する方式
- 設備費が安く、動力が不要
バイパス蒸発式
- 導管にバイパスを設けてバイパス管を通過するガスに付臭剤を蒸発させて飽和させる方法
- 蒸発した付臭剤の混合比率を一定に保つことが困難なため、単一成分の付臭剤に適している
液付臭方式
- 原料LPGの液中に直接付臭剤を注入する
付臭方式 | 蒸発式 | 滴下注入方式 | ポンプ注入方式 |
適正な処理能力 | 小 | 小~中 | 中~大 |
混合付臭剤使用の適否 | 不適 | 適 | 適 |
建設費 | 小 | 中 | 大 |
接地面積 | 中 | 中 | 大 |
付臭室
- 付臭剤貯蔵タンク、受入設備、注入装置等の設備は密閉した付臭室内に設置し、付臭室内はやや負圧にする
臭気濃度測定
パネル法
- 試験ガスを次の3種の希釈法のいずれかによって、あらかじめ適正に選定された臭気の判定者(パネル)4名以上により、においの有無を判定し、ガスの臭気濃度を求める方法
- パネル法による臭気濃度の管理値は、1000倍以上とする
オドロメーター法
- 一定流量の無臭空気流に試験ガスを希釈混合する装置(オドロメーター)で作製した試料気体をパネルが嗅いでガス臭気有無を判定し、その希釈倍数から感知希釈倍数を求める
注射器法
- 試験ガスを採取用注射器にとり、希釈用注射器に移して作成した試料気体をパネルが嗅いでガスの臭気の有無を判定し、その希釈倍数により感知希釈倍数を求める
におい袋法
- 無臭の空気を3リットル入れたにおい袋に試験ガスを注射器で添加して作製した試料気体をパネルが嗅いでガスのにおいの有無を判定し、その希釈倍数により感知希釈倍数を求める
付臭剤濃度測定による臭気濃度の算出方法
- THT、TBM、DMS等の有機硫黄化合物を含む付臭剤を添加したガスに適用
- 付臭剤濃度測定による臭気濃度の管理値は2000倍以上とする
FPD付ガスクロマトグラフ法
- 炎光光度検出器(FPD)を設置したガスクロマトグラフを用いる
- THT、TBM、DMS等の測定に用いる
検知管法
- 検知剤が充填された検知管に一定量の試験ガスを通し、検知剤の変色長さから付臭剤成分濃度を求める方法である
- THT、TBMの測定に用いる(DMSは測定不可)
動画コンテンツ
ミニテスト
第1問
第2問
第3問
第4問
第5問
第6問
過去問題
第1問
都市ガスの付臭に関する次の記述のうち、いずれも誤っているものの組み合わせはどれか
(イ)付臭剤は、人間に対して害がなく、毒性もないことや、土壌透過性が高いことなどが要求される
(ロ)付臭方式の中で、ポンプ注入方式と蒸発方式は、比較的小規模な設備に適している
(ハ)蒸発方式による付臭剤注入量の確認方法には、蒸発器にバイパスするバイパスラインガス量からの計量や付臭剤タンクの液位測定等がある
(二)臭気濃度の管理値は、パネル法では1000倍以上、付臭剤濃度測定法では2000倍以上である
(ホ)検知管法で測定できる付臭剤成分は、テトラヒドロチオフェン(THT)、ターシャリーブチルメルカプタン(TBM)、ジメチルサルファイド(DMS)である
(4)ロ、ホ(5)ハ、二
第2問
都市ガスの付臭に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか
(1)炎光光度検出器(FPD)付ガスクロマトグラフ法で検出される付臭剤成分は、テトラヒドロチオフェン(THT)、ターシャリーブチルメルカプタン(TBM)、ジメチルサルファイド(DMS)等の有機硫黄化合物である
(2)パネル法は、あらかじめ適正に選定された臭気の判定者(パネル)4名以上により、においの有無を判定し、ガスの臭気濃度を求める方法である
(3)滴下注入方式の注入量の調整は、ニードル弁等によって行うが、手動式の場合はその精度は低いため、流量変動の少ない小規模の付臭設備に用いられる
(4)蒸発式付臭設備のバイパス蒸発方式では、蒸発した付臭剤の混合比率を一定に保つことができるので、一般に混合付臭剤が使用される
(5)TBMの特徴は、認知閾値が低く、においのインパクトが強いことがあげられる
第3問
都市ガスの付臭に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか
(1)臭気濃度とは、資料ガスを無臭の空気で徐々に希釈していった場合に、感知できる最大の希釈倍数をいう
(2)テトラヒドロチオフェン(THT)測定機法は、THTの要素錯体が紫外光に対し特有の吸収を示すことを利用したものである
(3)メルカプタン化合物は、化学的に安定しているが、ターシャリーブチルメルカプタン(TBM)は若干反応性がある
(4)付臭剤を取り扱う設備は、密閉した付臭室内に設置することが望ましい
(5)検知管法は、検知剤が充填された検知管に一定量の試験ガスを通し、検知剤の変色長さから付臭剤成分濃度を求める方式である
第4問
次の表は、都市ガスの代表的な付臭剤の特徴をまとめたものである。(イ)と(ロ)に当てはまる語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか
付臭剤 | 【(イ)】 | 【(ロ)】 |
分子量 | 90 | 62 |
硫黄含有量(質量%) | 35.5 | 51.6 |
閾値※(μg/㎥) | 1.1 | 16 |
水に対する溶解度(質量%、20℃) | 0.096 | 2.1 |
検知管での測定 | 可 | 不可 |
特徴 | 臭いのインパクトが強い | 比較的土壌透過性が高い |
※「閾値」とは、臭いのついているガスを徐々に希釈し、においを感じなくなるときの濃度をいう
(1)(イ)TBM(ロ)THT
(2)(イ)THT(ロ)TBM
(3)(イ)DMS(ロ)TBM
(4)(イ)TBM(ロ)DMS
(5)(イ)THT(ロ)DMS
第5問
次表は、都市ガスの付臭方式の特徴をまとめたものである次表の(イ)~(ハ)に当てはまる語句の組み合わせとして最も適切なものどれか
付臭方式 | 【(イ)】 | 【(ロ)】 | 【(ハ)】 |
適正な処理能力 | 小 | 小~中 | 中~大 |
混合付臭剤使用の適否 | 不適 | 適 | 適 |
建設費 | 小 | 中 | 大 |
接地面積 | 中 | 中 | 大 |
(1)(イ)蒸発式(ロ)滴下注入方式(ハ)ポンプ注入方式
(2)(イ)滴下注入方式(ロ)蒸発式(ハ)ポンプ注入方式
(3)(イ)蒸発式(ロ)ポンプ注入方式(ハ)滴下注入方式
(4)(イ)ポンプ注入方式(ロ)滴下注入方式(ハ)蒸発方式
(5)(イ)滴下注入方式(ロ)ポンプ注入方式(ハ)蒸発式
第6問
都市ガスの付臭に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか(複数回答)
(イ)付臭剤は、導管を腐食しないこと、土壌透過性が低いことなどの要件を備えていることが必要である
(ロ)臭気濃度測定のパネル法には、オドロメーター法、注射器法、におい袋法がある
(ハ)ダイヤフラムポンプ等によって付臭剤を直接ガス中に注入する「ポンプ注入方式」は、比較的規模の小さい腐食設備に適した注入方式である
(二)付臭剤を取り扱う設備は、密閉した付臭室内に設置することが望ましい
(ホ)臭気濃度とは、試料ガスを無臭の空気で徐々に希釈し、感知できる最大の希釈倍数をいう
(4)ロ、ホ(5)二、ホ