消費機器 第3章 制御装置と安全装置

消費機器 第3章 制御装置と安全装置 解説動画
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ガス機器の制御装置(点火・ガス量・空気量・水量・圧力・温度検出)と安全装置(立ち消え・過熱防止・空だき)を扱う章です。CO中毒・火災・爆発を防ぐ「機器側の自動安全機構」を整理します。論述頻出。

乙種甲種兼用 / 全8節 / 学習目安: 30〜60分

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📍 はじめに

ガス機器が安全に動くのは、制御と安全装置のおかげです。ユーザーが意識せずとも、立ち消え検知・過熱防止・異常遮断が動いている。この章ではそれぞれの仕組みを技術レベルで理解します。


📚 テキスト解説

各節は次の構成で進みます。

– 🎯 一言で

– 📖 解説(乙種ベース)

– 🟦 甲種プラスα(必要な節のみ)

– ⚡ 焦点ポイント

– 📝 過去問のひっかけ例


📑 この章の目次(全8節)
  1. 1-1. 点火装置の種類と特徴
  2. 1-2. 制御装置の種類(ガス量・空気量・水量・圧力)
  3. 1-3. 温度検出方式5種
  4. 2-1. ガス機器の安全装置の概要と分類
  5. 2-2. 立ち消え安全装置(熱電対式・フレームロッド式)
  6. 2-3. 過熱防止装置・空だき保護(バイメタル式・温度ヒューズ式)
  7. 2-4. 空だき安全装置と空だき防止装置
  8. 2-5. 主な安全装置の方式と作動原理一覧

1-1. 点火装置の種類と特徴

器具のほかに、ガス栓の側にも安全機構がある。 ヒューズコックは、ゴム管が外れるなどで 過大なガスが流れたときに、内部のボールが流れに押されて 通路をふさぐ機構(ヒューズ機構)である。ただしこれは大量に流れて初めて働くので、 ごく少量の漏れでは作動しない。

そこで併せて備わるのがオンオフ弁だ。 つまみが全開のときだけガスが流れ、半開では流れない構造で、 中途半端な開度で使われることを防ぐ。過去問は 「ガス量が少なくてヒューズ機構は働かないが、オンオフ弁で遮断される」という 組合せで問うてくる。ヒューズ機構とオンオフ弁は別物という 区別が急所である。

ガス漏れ警報器の取付け位置も、ガスの比重で決まる。 空気より軽い都市ガス(13A・12A)は天井から30cm以内空気より重いLPガスは床面から30cm以内。 軽いガスは上に、重いガスは下にたまる——溜まる場所に置く、と考えれば入れ替え問題に動じない。

機構・機器働き方
ヒューズ機構(ヒューズコック)過大流量でボールが通路をふさぐ。少量の漏れでは作動しない
オンオフ弁全開のときだけ流れる。半開ではガスが流れない
ガス漏れ警報器(都市ガス)天井から30cm以内(空気より軽い)
ガス漏れ警報器(LPガス)床面から30cm以内(空気より重い)

🔑 覚える

ヒューズ機構=大量に流れたとき/オンオフ弁=半開では流れない/ 警報器はたまる側から30cm以内(都市ガスは天井・LPは床)

💡 図の見方:同じ「点火をうまくやる装置」でも、瞬時点火装置は熱電対の起電力が出るまでの空白をコンデンサーの放電電流で埋めて弁を開く装置、緩点火装置は逆にガス弁が急に全開になるのを抑える装置だという役割の違いを左右で並べた図です。左の帯にある「点火つまみを押し続けなくてよい」が瞬時点火装置の急所で、「押し続ける必要がある」とする選択肢はここで切れます。ガス側と水側の2種類の制御方式は緩点火装置の話なので、左側に付け替えないこと。

重要度: 乙B / 甲C

🎯 一言で

圧電式連続スパーク式瞬時点火緩点火の4種類の点火装置

📖 解説(乙種ベース)

こんろのつまみを回すと「カチッ」と音がして火がつく。あの一瞬に何が起きているのか。点火装置とは、電気エネルギーを放電により熱エネルギーに変え、ガスに点火させる装置である。火種として必要な点火エネルギーは1mJ以上——ごくわずかだが、これを確実に届けられるかどうかで方式が4種類に分かれる。

圧電式点火装置は電源を持たない。圧電素子(チタン酸ジルコン酸鉛系磁器)に衝撃力を加えて14〜20kVの高電圧を発生させ、スパークさせる。使い捨てライターのカチッと同じ理屈だ。ただし1回のスパークで点火させなければならない——ここが弱点になる。

では、その1回を外したらどうするか。連続スパーク式点火装置は乾電池または交流電源により連続的に放電し、熱エネルギーを供給する。点火操作をしている間、何回でもスパークさせることができるため点火は確実となる。1回勝負をやめたのがこの方式である。

点火の悩みは、火がついた後にもある。熱電対の起電力が発生するまでの点火初期は、ガス弁を開いておく力が足りない。瞬時点火装置(クイック点火)はこの空白を、コンデンサーの放電電流でガス弁を強制的に励磁吸着させて埋める。点火操作と同時にガス電磁弁が励磁吸着しガス弁が開くため、点火つまみを押し続ける必要がない。

この方式はこんろや開放式瞬間湯沸器に使用される。一方、緩点火装置(スローイグニション点火)は逆に、開きすぎを抑える装置だ。先止め式湯沸器等でメインバーナー着火時、ガス弁が急に全開になると爆発的な着火となる。これを防止するためガス弁が急に開くのをやわらげ、安全にメインバーナーを着火させる装置で、制御方式にはガス側と水側の2種類がある。

覚える
点火エネルギーは1mJ以上/圧電式=14〜20kVを1回のスパークで(電源不要)/連続スパーク式=乾電池または交流電源で何回でも
キーワード
瞬時点火装置(クイック点火) — 熱電対の起電力が出るまでの点火初期を、コンデンサーの放電電流でつなぐ装置。点火つまみを押し続けなくてよい
🖼 図解
圧電式と連続スパーク式(スパークが1回か何回でもか)圧電式と連続スパーク式(スパークが1回か何回でもか)
🖼 図解
瞬時点火装置と緩点火装置―点火時のガス弁の開き方の違い瞬時点火装置と緩点火装置―点火時のガス弁の開き方の違い

⚡ 焦点ポイント

連続スパーク式は乾電池または交流電源を使用(圧電式は電源不要)。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「瞬時点火装置では点火つまみを押し続ける必要がある」→×(不要)。「圧電式は点火エネルギーが不安定なので確実性が低い」→×(1回スパークで点火)。

1-2. 制御装置の種類(ガス量・空気量・水量・圧力)

💡 図の見方:圧力制御は2つあり、ガスガバナー(器具ガバナー)はダイヤフラムの働きでバーナーへ送るガス圧力を、水ガバナーは水圧を一定に保ちます。左は配管にガスと炎、右は配管に水しか描かれていないのが見分けの目印です。「ガスガバナーは水圧を一定に保つ」という左右の入れ替えが定番のひっかけなので、どちらの管に炎がつながっているかで確かめてください。

💡 図の見方:図の見方:圧電式は圧電素子に衝撃力を加えて14〜20kVを起こす電源不要の方式で、1回のスパークで点火させなければならないことを稲妻1個で表した図です。連続スパーク式は乾電池または交流電源で連続放電し、点火操作の間は何回でもスパークできるので点火が確実になる——この差を稲妻の数で覚えましょう。

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

ガス量制御(多段式・比例式)・空気量制御・水量制御(ワックス式)・圧力制御

📖 解説(乙種ベース)

湯温を設定すれば、その温度の湯が出続ける。機器の内側では、複数の量が同時に調整されているからだ。制御の対象はガス量・空気量・水量・圧力・温度・水位の6つある。ここでは前半の4つを、何をどう変えているかで追っていく。

ガス量制御には2つの発想がある。多段式は、ガス通路を電磁弁の開閉により切り替えてガス量を制御する。比例制御式はガス量を連続的・比例的に制御し、比例電磁弁(固定コイル式・可動コイル式)を使用する。照明にたとえるなら、多段式がパチパチ切り替えるスイッチ、比例制御式がなめらかに動く調光つまみである。

比例電磁弁の中身も押さえたい。固定コイル式は、サーミスタの検出温度と設定温度の温度差の分だけ電流が流れ、弁が開く。可動コイル式は永久磁石と可動コイルの電磁石の反発力を応用する方式だ。可動コイルが動く変位をダイヤフラムを介して調整弁に連動させ、ガス量をコントロールする。

空気量制御には、空燃比(燃焼空気量とガス量の比)を制御するものと、風量を制御するものがある。風量側では、段階切替方式がファンの回転数を段階的に切替え、連続制御方式がファンの回転数を連続的に変えて風量を制御する。ガス量制御と同じ「段階か連続か」の対比が、ここでも繰り返される。

水量制御は、設定温度に対して能力オーバーにならないよう水量を制御する。急所は方式の呼び名だ。機械式(ワックス式サーモエレメント)は温度変化によるワックスの膨張・収縮を利用して水量を制御する。電気式は入水温をサーミスタで検知し、マイコンで適正水量になるよう制御する。

圧力制御は、ガス圧を一定に保つガスガバナーと水圧を一定に保つ水ガバナーに分かれる。ガスガバナー(器具ガバナー)はダイヤフラムの働きによって、バーナーへ送られるガス圧力を一定に保つ。湯沸器・ふろがま・赤外線バーナー付ストーブ等に組み込まれている。どちらが何の圧力を見ているのか——ここを入れ替えるのが定番の手口である。

🖼 図解
ガス量制御の多段式と比例制御式(段階か連続か)ガス量制御の多段式と比例制御式(段階か連続か)
🖼 図解
ガスガバナーと水ガバナー―どちらが何の圧力を一定に保つかガスガバナーと水ガバナー―どちらが何の圧力を一定に保つか
制御対象方式特徴
ガス量多段式ガス通路を電磁弁の開閉で切り替え
ガス量比例制御式比例電磁弁(固定コイル式・可動コイル式)で連続的・比例的に制御
空気量段階切替方式ファンの回転数を段階的に切替え
空気量連続制御方式ファンの回転数を連続的に変えて風量制御
水量機械式ワックス式サーモエレメントの膨張・収縮を利用
水量電気式入水温をサーミスタで検知しマイコンで制御
圧力ガスガバナー(器具ガバナー)ダイヤフラムでガス圧力を一定に保つ
圧力水ガバナー水圧を一定に保つ
キーワード
空燃比 — 燃焼空気量とガス量の比。これを制御するものと、風量そのものを制御するものが空気量制御にはある
覚える
水量制御のワックス式(サーモエレメント)は機械式/ガスガバナー=ガス圧を一定、水ガバナー=水圧を一定

⚡ 焦点ポイント

空燃比制御はガス量に応じて燃焼用ファンのダンパー開度または回転数を制御して燃焼用空気量をコントロール。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「水量制御のワックス式は電気的に制御する」→×(機械式)。「ガスガバナーは水圧を一定に保つ」→×(ガス圧を一定に保つ)。

1-3. 温度検出方式5種

💡 図の見方:図の見方:多段式はガス通路を電磁弁の開閉で切り替えるので階段状にしかガス量が変わらず、比例制御式は比例電磁弁で連続的・比例的に変えられるので直線になる、という違いをグラフの形で示した図です。比例電磁弁には固定コイル式と可動コイル式の2種類があることまで、右パネルの2つの箱で押さえましょう。

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

サーミスタ式・バイメタル式・温度ヒューズ式・熱電対式・フェライト式の原理

📖 解説(乙種ベース)

温度を測る、と言うが、センサーは温度そのものを読んでいるわけではない。温度が上がったときに「何かが変わる」現象を借りて、その変化量を温度に読み替えている。だから方式ごとに、変わるものが違う。この1対1の対応を崩さないことが、そのまま得点になる。

サーミスタ式で変わるのは電気抵抗である。金属の酸化物を2種類以上混合焼結したもので、温度変化によって電気抵抗値が極めて大幅に変化する。向きが問題で、温度が上がると電気抵抗値は下がる(負の特性)。「上がるものは上がる」と直感で答えると外す——最頻出の罠がここにある。

バイメタル式で変わるのは形だ。熱膨張率の異なる金属板をはり合わせて作られ、この変位が温度変化と比例に近いことを利用する。温度が上昇すると金属板が湾曲する。湿気を吸った木の板が片側だけ伸びて反るのと同じ理屈である。

残る3方式も「何が変わるか」で並べれば混ざらない。温度ヒューズ式は状態が変わる——温度によってヒューズが溶断する性質を利用し、溶断後は再起動に交換が必要になる。熱電対式は2種類の金属を接合させて加熱すると熱起電力が発生し、電流が流れる。フェライト式は温度上昇によって磁性が無くなる。

出題者が狙うのは、この組み合わせの入れ替えだ。「熱電対は磁性を利用」のように、装置名はそのままで原理だけをすり替えてくる。装置名と原理を別々に暗記せず、対で覚えておきたい。

覚える
サーミスタ=抵抗が下がる/バイメタル=湾曲/温度ヒューズ=溶断(要交換)/熱電対=起電力/フェライト=磁性が無くなる
キーワード
サーミスタ — 金属の酸化物を2種類以上混合焼結した感温抵抗体。温度上昇で電気抵抗値が下がる負の特性を持つ
🖼 図解
温度検出方式5種の原理(何がどう変わるか)温度検出方式5種の原理(何がどう変わるか)
方式原理挙動再使用可否
サーミスタ式金属の酸化物を2種類以上混合焼結したもの。温度変化によって電気抵抗値が極めて大幅に変化する温度が上がると電気抵抗値が下がる(負の特性)
バイメタル熱膨張率の異なる金属板をはり合わせて作られ、この変位が温度変化と比例に近いことを利用温度が上昇すると金属板が湾曲する
温度ヒューズ温度によってヒューズが溶断する性質を利用ヒューズが溶断溶断後は再起動に交換が必要
熱電対2種類の金属を接合させて加熱すると、熱起電力が発生し電流が流れる。この起電力を利用
フェライト温度上昇によって磁性が無くなる性質を利用

⚡ 焦点ポイント

サーミスタは温度上昇で抵抗値が下がる(負の特性:NTC)。バイメタルは温度上昇で湾曲(自動復帰型と手動復帰型がある)。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「サーミスタは温度が上がると電気抵抗値が上がる」→×(下がる)。「バイメタルは温度が下がると湾曲する」→×(上昇で湾曲)。「熱電対は磁性を利用する」→×(起電力を利用・フェライト式が磁性利用)。

2-1. ガス機器の安全装置の概要と分類

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

フェイルセーフ思想・安全装置の5グループ分類・各グループと対応装置

📖 解説(乙種ベース)

ガス機器の安全装置は数が多く、名前も似ている。丸暗記に走ると必ず混ざる。先に持つべきなのは「何を守るための装置か」という軸だ。この軸を5本立てておけば、初めて見る装置名でも居場所が決まる。

その前提となる思想がフェイルセーフである。踏切の遮断機が停電したとき、上がったままではなく下りたままになるように、壊れ方まで安全側へ倒しておく。人が原因を取り除くまで動かさない——不便さと引き換えに事故を防ぐ設計思想だ。

キーワード
フェイルセーフ — 機器が不安全側の条件にあるとき、安全に停止し、その不安全条件を人為的に除去しないかぎり、絶対に再起動しないこと

この思想を目的別に展開したのが、安全装置の5グループである。①ガスを漏らさない、②電気を漏らさない、③COを出さない、④過熱させない、⑤機器をこわさない。装置名を覚える前に、この5つの見出しを先に立てるのが早道になる。

グループ(目的)作動の考え方対応する装置
①ガスを漏らさない炎が消えたら自動的にガスを止める立消え安全装置
②電気を漏らさないショート等で漏電したら自動的に電気を遮断漏電安全装置
③COを出さない不完全燃焼したら自動的にガスを止める不完全燃焼防止装置・再点火防止装置
④過熱させない機体や被熱物が異常過熱したり機体が転倒したら自動的にガスを止める過熱防止装置・空だき防止装置空だき安全装置調理油過熱防止装置転倒時安全装置・残火安全装置
⑤機器をこわさない点火時安全装置(爆発点火防止装置)・過圧防止安全装置凍結予防装置冠水検知装置排気筒外れ検知装置等

普及の起点も押さえておきたい。立ち消え安全装置は1972年7月にガス事業で義務付けられたことが契機となり、機器全般に普及した。年月と法律名は、そのまま数値問題として問われる。

覚える
立ち消え安全装置は1972年7月にガス事業法で義務付け → これを契機に機器全般へ普及
🖼 図解
安全装置の5グループ分類マップ安全装置の5グループ分類マップ

⚡ 焦点ポイント

安全装置は「①ガスを漏らさない ②電気を漏らさない ③COを出さない ④過熱させない ⑤機器をこわさない」の5グループで整理する。装置名を単独で覚えず、目的とセットにするのが混同を防ぐ近道。フェイルセーフは「安全に停止し、不安全条件を人為的に除去しないかぎり再起動しない」という定義そのものが問われる。


2-2. 立ち消え安全装置熱電対式・フレームロッド式)

💡 図の見方:フレームロッド式は炎そのものに交流電圧をかけ、炎の中を流れる整流された電流で炎の有無を見る方式です。炎の中の矢印が炎から内炎へ向いていること、電源が交流(AC100V)であることの2点が急所で、「起電力は直流」「直流電源を使用する」という選択肢はここで切れます。応答が点火・消火とも3秒以内なのはフレームロッド式の値で、数秒かかる熱電対式より速いという順序も取り違えないこと。

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

熱電対式と フレームロッド式の作動原理・特徴の違い・ウルトラビジョン式

📖 解説(乙種ベース)

調理中に吹きこぼれで火が消えた。そのままガスが出続ければ、室内はガスだらけになる。立ち消え安全装置とは、使用中にガスの炎が万一消えた場合、自動的にガスを止めるものだ。電車の運転士が握り続けるハンドルと同じで、炎という合図が途切れた瞬間に止まる仕組みである。

熱電対は炎の熱を電気に変える。異なる2種類の金属を接合させて加熱すると熱起電力が発生し、直流電流が流れる(ゼーベック効果)。装置は熱電対と電磁弁部からなり、熱起電力による電流が電磁弁に流れ、吸着板は電磁石に吸着されて弁が開く。炎が熱電対を温めている間だけ弁が開いている、と押さえればよい。

キーワード
ゼーベック効果 — 異なる2種類の金属を接合して加熱すると熱起電力が発生し、直流電流が流れる現象

では、点火直後になぜつまみを押し続けるのか。点火初期は加熱温度が十分でないので、電磁弁の開弁時間は数秒かかるからだ。逆に消火・立ち消えが生じると急速に起電力が低下し、電磁弁が閉じてガス通路を遮断する(閉弁時間も数秒かかる)。電磁弁に適正な起電力を送る適切な加熱温度は約600〜700℃である。

この数秒を縮めたのが熱電対増幅式で、熱電対の起電力を増幅器で増幅し電磁弁作動までの時間を短くできる。なお熱電対式の起電力は直流である。電気の種類は、次の方式と入れ替えられる急所なので必ずセットで覚えたい。

フレームロッドは、炎の導電性と整流作用を利用した安全装置だ。交流電圧をかけると炎の中のイオンの働きにより、炎の中に電流が流れる。電流は炎から内炎に向かって流れる(整流)。この整流信号を増幅し、炎の有無を検出してガス電磁弁を作動させる。

性能の差ははっきりしている。熱電対式と比べて応答速度が速く、点火・消火時とも3秒以内に応答する。交流電源(AC100V)を必要とし、給湯器・セントラルヒーティング等に用いられ最も多く使用されている方式である。誤検知が心配になるが、炎で整流された電流はほぼ半波整流された電流であり他の電流とは異なるため、炎の誤検知はない。

第3の方式がウルトラビジョン式だ。紫外線光電管を利用して火炎を光学的に検出し、主として工業用ガス機器に用いられる。熱・電流・光——検出しているものが3方式で違う点が、整理の軸になる。

覚える
熱電対式=直流・開弁も閉弁も数秒・適切な加熱温度は約600〜700℃/フレームロッド式=交流電源AC100V・点火消火とも3秒以内
🖼 図解
立ち消え安全装置(熱電対)の作動イメージ立ち消え安全装置(熱電対)の作動イメージ
🖼 図解
フレームロッド式―炎の整流作用でガス電磁弁を作動させるフレームロッド式―炎の整流作用でガス電磁弁を作動させる

⚡ 焦点ポイント

ファンヒーターには主に熱電対式が用いられている。湯沸器・ストーブには立ち消え安全装置が組み込まれている。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「フレームロッド式の起電力は直流」→×(交流電源を使用)。「熱電対式はフレームロッド式より応答速度が速い」→×(フレームロッド式の方が速い)。「フレームロッド式は直流電源を使用する」→×(交流電源AC100V)。

2-3. 過熱防止装置・空だき保護(バイメタル式・温度ヒューズ式)

重要度: ★ 乙A / 甲C

🎯 一言で

過熱防止装置の2方式・バイメタルの自動復帰と温度ヒューズの要交換の違い

📖 解説(乙種ベース)

熱交換器や機器本体が異常に高温になった場合、ガスを停止するしかない。それを担うのが過熱防止装置で、方式は2つある。違いは「元に戻せるかどうか」——家のブレーカーは上げ直せるが、切れたヒューズは取り替えるしかない、あの差がそのまま現れる。

バイメタル式は、異常温度を感知しバイメタルの反転を利用して回路を遮断する。温度が下がると自動的に元に戻る自動復帰型と、手で戻す手動復帰型がある。どちらも部品を交換せずに使い続けられる方式だ。

温度ヒューズ式は一度きりである。炎あふれ等により温度ヒューズ取付部分の雰囲気温度が異常に高くなった場合に、ヒューズが溶断し回路を遮断する。再起動には温度ヒューズを交換する必要がある(再起動不可・修理が必要)。出題者はこの2方式の特徴を入れ替えてくるので、「反転=バイメタル、溶断=温度ヒューズ」の対を崩さないこと。

実際の機器では、この2つが重ねて使われる。ファンヒーターではエアーフィルターの詰まりや温風吹出口の障害物で機器内温度が異常過熱した場合、過熱防止装置が働いて電磁弁を閉じ停止させる。ここにはハイリミットスイッチ(バイメタルスイッチ)またはサーミスタが使われており、これらが働かない場合は温度ヒューズで機器を停止させる(二重の安全)。

キーワード
ハイリミットスイッチ — ファンヒーター等の過熱防止に使うバイメタルスイッチ。作動しても原因除去後に再度運転できる

したがって、止まった後の対応も分かれる。ハイリミットスイッチやサーミスタで停止した時は原因除去後に再度運転できるが、温度ヒューズで停止した場合は修理が必要になる。復帰の可否を問う設問は、どちらが作動したのかを読み分ければ答えが決まる。

覚える
バイメタル式=反転で遮断・自動復帰型と手動復帰型/温度ヒューズ式=溶断で遮断・交換が必要(再起動不可)
🖼 図解
過熱防止装置(バイメタル/温度ヒューズ)過熱防止装置(バイメタル/温度ヒューズ)

⚡ 焦点ポイント

バイメタル式=自動または手動復帰可。温度ヒューズ式=復帰不可(交換が必要)という違いが頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「温度ヒューズ式の過熱防止装置が作動したら原因除去後に再起動できる」→×(ヒューズ交換=修理が必要)。「バイメタル式は溶断して回路を遮断する」→×(反転・湾曲で遮断、溶断はヒューズ式)。

2-4. 空だき安全装置空だき防止装置

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

空だき安全装置事後的停止)と空だき防止装置事前的停止)の区別・検出方式

📖 解説(乙種ベース)

名前がほとんど同じで、働くタイミングだけが違う。空だき安全装置事後的停止)と空だき防止装置事前的停止)の区別は、この科目の定番だ。救急車と健康診断の関係に近い——前者は起きてから止め、後者はそもそも起こさせない。

空だき安全装置は、温水機器やふろがまが空だきした場合、損傷する前に自動的にバーナーへのガス通路を閉ざす安全装置である(空だきを検知後に停止)。検知に使うのは温度だ。バイメタル式は熱交換器に取り付けられたバイメタルが、空だきで熱交換器温度が異常上昇すると反転して接点が開き、回路が遮断されガスが止まる。この方式は熱電対式の立消え安全装置に組み込まれている。

サーミスタ式も温度で見る。熱交換器に取り付けたサーミスタが空だきの異常温度上昇を機器の制御回路に伝えて、ガス弁を閉止する。どちらも「熱くなりすぎた」という結果を見てから止めている点が共通している。

対して空だき防止装置は、温水機器やふろがまに水がない場合、バーナーのガス通路を開けず空だきにならないようにする安全装置だ(水がないと点火しない)。見ているのは温度ではなく水である。水位スイッチ(ダイヤフラム式)は、浴そうの水位によって起こる圧力変動をダイヤフラムが受けてスイッチを作動させ、立消え安全装置の電気回路をON/OFFしてガス通路を開閉する。

水の見方は、あと2通りある。水流スイッチにはダイヤフラム式(ベンチュリー部の水圧差を利用)とマグネット式(フロート式・スイングプレート式)があり、ベンチュリー部の水圧差を利用しダイヤフラムを動かしマイクロスイッチをON/OFFさせる。水量センサーは、水通路内に設けられた水量センサーにより水量を測定し、一定水量以上にならないとガス電磁弁が開かない。水位・水流・水量と見る対象は違っても、狙いはどれも「水がなければ点火させない」である。

覚える
空だき安全装置=事後(異常温度を検知して止める:バイメタル式・サーミスタ式)/空だき防止装置=事前(水がないと点火させない:水位スイッチ・水流スイッチ・水量センサー)
🖼 図解
空だき防止装置と空だき安全装置の作動タイミング空だき防止装置と空だき安全装置の作動タイミング

⚡ 焦点ポイント

空だき安全(事後的)と空だき防止(事前的)の違いは頻出。ガス瞬間湯沸器の点火・消火機構は空だきを防止するための流水検知機能の役割も果たしている。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「空だき安全装置は水がない場合にガス通路を開けない装置」→×(それは空だき防止装置)。「空だき防止装置は空だきを検知してガスを止める」→×(水がない場合に点火しない事前防止)。

2-5. 主な安全装置の方式と作動原理一覧

💡 図の見方:排気筒外れ検知装置は、給排気トップと機器本体の間に流れる微小電流が導通しているかどうかで筒の外れを見張り、異常を検知すると運転を自動停止させます。左が導通している正常時、右が接続部で電流が途切れて停止した状態です。この装置が組み込まれているのはFF式暖房機で、「BF式に組み込まれている」とする選択肢は誤りである点を、屋外から屋内へ給気し屋内から屋外へ排気する強制給排気の構図とセットで押さえてください。

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

再点火防止・転倒時・点火時・消し忘れ・冠水検知・排気筒外れ等の各安全装置

📖 解説(乙種ベース)

ここまでの節で扱った装置のほかにも、機器にはいくつもの見張り番が置かれている。野球の守備と同じで、どこを守るのかが装置ごとに決まっている。転倒、爆発点火、消し忘れ、冠水、排気筒外れ——守る場所を思い浮かべながら下の一覧を読むと、名前と原理が結びつく。

不完全燃焼を見張る側にも仕掛けがある。COセンサー方式の不完全燃焼防止装置は、排気中のCO濃度をセンサーで監視し、濃度が0.03%に達する前に燃焼を自動停止させる。ダクト接続された給湯器では、排気温度センサー・COセンサー・排気あふれセンサーが、それぞれ排気出口・機器内部・ダクト接続部を監視している。排気温度の上昇・CO濃度・排気の逆流やあふれと検知する異常は違うが、検知したら燃焼を停止する点は共通だ。

キーワード
再点火防止装置 — 不完全燃焼防止装置が連続して作動した際に、機器の再点火を防止する装置(インターロック機構)

一覧で押さえるべきは、安全装置・作動原理・組み込み機器の3点セットである。出題者はこの3つのうち1つだけを別のものに差し替えてくる。排気筒外れ検知装置を別方式の機器に付け替える、といった具合だ。表は横に読み、3つがそろって初めて正しいと確認したい。

覚える
COセンサー方式の不完全燃焼防止装置は、排気中のCO濃度が0.03%に達する前に燃焼を自動停止させる
🖼 図解
COセンサーの作動COセンサーの作動
🖼 図解
給湯器の安全センサー給湯器の安全センサー
🖼 図解
FF式暖房機の排気筒外れ検知装置と微小電流導通検知FF式暖房機の排気筒外れ検知装置と微小電流導通検知
安全装置作動原理組み込み機器
再点火防止装置不完全燃焼防止装置が連続して作動した際に機器の再点火を防止。インターロック機構開放式湯沸器・FE式給湯器
転倒時安全装置機器が転倒した際にガス回路を遮断(鋼球式傾斜スイッチ・転倒バルブ)ファンヒーター(鋼球式傾斜スイッチ)・ストーブ(転倒バルブ)
点火時安全装置(爆発点火防止装置)残留未燃ガスによる爆発点火防止のため、ファンの回転を検知してからでないと点火動作に入らない。風量スイッチ・風圧スイッチ・回転検知が方式強制燃焼型機器全般
調理油過熱防止装置サーミスタにより鍋底の温度を検知してガス回路を遮断こんろ(2008年10月法規制)
消し忘れ防止装置電気式タイマーにより連続一定時間経過するとガス電磁弁を閉じる開放式湯沸器・こんろ・ファンヒーター
冠水検知装置機器内部が冠水すると電極間の通電を検知してガス通路を遮断(電極式)、またはフロートが浮き上がってリードスイッチが作動(フロート式ふろがま
排気筒外れ検知装置本体が倒れたり衝撃を受けて排気筒が外れた場合に、給排気筒トップと機器本体に流れる微小電流の異常を検知して運転を自動的に停止。微小電流導通検知方式FF式暖房機
凍結予防装置低温作動弁(ワックスサーモ等)・ポンプ運転・電気ヒーター・バーナー燃焼の4方式
漏電安全装置回路電流の不平衡分を零相変流器で検出し電源を遮断(電流検知方式)温水機器
停電時安全装置機器が作動中に停電した場合、瞬時に作動しガス回路を遮断。再通電時機器の運転を防止

⚡ 焦点ポイント

不完全燃焼防止装置の検出方式:熱電対開放式湯沸器・ファンヒーター赤外線ストーブCF式ふろがま)・フレームロッドファンヒーターの一部)・サーミスタ(CF式ふろがま)・COセンサー(FE・FF式給湯器)。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「排気筒外れ検知装置はBF式に組み込まれている」→×(FF式暖房機)。「点火時安全装置は残留ガスが燃焼した後に点火する」→×(ファンの回転を確認してから点火)。

🔢 消費機器の重要数値・設備の整理

温度検出方式5種:

1. 熱電対式: 2種類の金属の熱起電力(立ち消え安全に多用)

2. サーミスタ式: 半導体の電気抵抗変化(精度高)

3. バイメタル式: 2金属の熱膨張差(機械的に動く)

4. 温度ヒューズ式: 一定温度で溶断(再使用不可、過熱防止)

5. フレームロッド式: 火炎の電気伝導性(立ち消え安全)

立ち消え安全装置の比較:

方式検知原理応答速度用途
熱電対熱起電力遅め(数秒〜10秒)こんろ・湯沸器
フレームロッド火炎の電気伝導速い(3秒以内)バーナー全般

主要安全装置の作動原理:

立ち消え安全装置: 火炎が消えたら速やかにガス遮断

– 過熱防止装置: 機器の温度上昇で遮断(バイメタル温度ヒューズ)

空だき安全装置: 空だきの異常温度上昇を検知して遮断(事後) / 空だき防止装置: 水がなければ点火させない(事前)

不完全燃焼防止装置: COセンサー or 排気温度で検知

– 圧力スイッチ: 異常圧力で遮断

消費機器科目では、機器の方式・設置基準・安全装置の作動原理の組み合わせで誤答が作られます。本章で出てきた数値・方式・原理を一覧で整理しておくと、選択肢の引っかけに気付きやすくなります。

🗒️ 3分で復習(章末まとめ)

🎯 全節 一言まとめ

  • 節1-1 点火装置の種類と特徴: 圧電式連続スパーク式瞬時点火緩点火の4種類の点火装置
  • 節1-2 制御装置の種類(ガス量・空気量・水量・圧力): ガス量制御(多段式・比例式)・空気量制御・水量制御(ワックス式)・圧力制御
  • 節1-3 温度検出方式5種: サーミスタ式・バイメタル式・温度ヒューズ式・熱電対式・フェライト式の原理
  • 節2-1 ガス機器の安全装置の概要と分類: フェイルセーフ思想・安全装置の5グループ分類・各グループと対応装置
  • 節2-2 立ち消え安全装置(熱電対式・フレームロッド式): 熱電対式と フレームロッド式の作動原理・特徴の違い・ウルトラビジョン式
  • 節2-3 過熱防止装置・空だき保護(バイメタル式・温度ヒューズ式): 過熱防止装置の2方式・バイメタルの自動復帰と温度ヒューズの要交換の違い
  • 節2-4 空だき安全装置と空だき防止装置: 空だき安全装置事後的停止)と空だき防止装置事前的停止)の区別・検出方式
  • 節2-5 主な安全装置の方式と作動原理一覧: 再点火防止・転倒時・点火時・消し忘れ・冠水検知・排気筒外れ等の各安全装置

⚡ 全節 焦点ポイント

  • 節1-1: 連続スパーク式は乾電池または交流電源を使用(圧電式は電源不要)。
  • 節1-2: 空燃比制御はガス量に応じて燃焼用ファンのダンパー開度または回転数を制御して燃焼用空気量をコントロール。
  • 節1-3: サーミスタは温度上昇で抵抗値が下がる(負の特性:NTC)。バイメタルは温度上昇で湾曲(自動復帰型と手動復帰型がある)。
  • 節2-1: 安全装置は「①ガスを漏らさない ②電気を漏らさない ③COを出さない ④過熱させない ⑤機器をこわさない」の5グループで整理する。フェイルセーフは「安全に停止し、不安全条件を人為的に除去しないかぎり再起動しない」という定義そのものが問われる。
  • 節2-2: ファンヒーターには主に熱電対式が用いられている。湯沸器・ストーブには立ち消え安全装置が組み込まれている。
  • 節2-3: バイメタル式=自動または手動復帰可。温度ヒューズ式=復帰不可(交換が必要)という違いが頻出。
  • 節2-4: 空だき安全(事後的)と空だき防止(事前的)の違いは頻出。ガス瞬間湯沸器の点火・消火機構は空だきを防止するための流水検知機能の役割も果たしている。
  • 節2-5: 不完全燃焼防止装置の検出方式:熱電対開放式湯沸器・ファンヒーター赤外線ストーブCF式ふろがま)・フレームロッドファンヒーターの一部)・サーミスタ(CF式ふろがま)・COセンサー(FE・FF式給湯器)。

📝 一問一答(過去問ランダム)

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