製造 第8章 製造計画と運転管理

製造 第8章 製造計画と運転管理 解説動画
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製造計画(原料受入・BOG処理・基地形態)、定期修理計画・稼働調整方式、日常運転管理(巡視点検・供給ガス品質管理)までを扱います。LNG基地の運用面の集大成。

乙種甲種兼用 / 全3節 / 学習目安: 30〜60分

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📍 はじめに

LNG基地は止められない施設です。年間を通して原料を受け入れ、製品を送り出し、定期修理を計画的に行い、日々の品質管理を継続しなければなりません。この章では基地運用のリズムを整理します。


📚 テキスト解説

各節は次の構成で進みます。

– 🎯 一言で

– 📖 解説(乙種ベース)

– 🟦 甲種プラスα(必要な節のみ)

– ⚡ 焦点ポイント

– 📝 過去問のひっかけ例


8-1a. ガス製造計画・原料受け払い計画(LNG受入・BOG処理・基地形態)

💡 図の見方:LNGを受け入れるという一つの作業が、貯槽の層状化・電力デマンド・送出ガスの品質という3方向へ同時に波及することを、原因から結果への向きで整理した図です。受入時は大量のBOGが発生してBOG圧縮機の負荷が上がるため電力デマンドの管理が要り、そのBOGを送出ガスに混ぜれば熱量調整用LPGの混量にも影響します。受入計画は量を合わせるだけの作業ではない、という点がそのまま出題の狙い目です。

重要度: ★ 乙B / 🟦 甲A

🎯 一言で

ガス製造・稼働計画の策定方針、LNG受入計画での層状化・BOG処理・電力デマンド管理の留意点、基地形態ごとの特徴を理解する。

📖 解説(乙種ベース)

製造所は毎日同じ量を作っているわけではない。真冬の朝と真夏の昼では需要がまるで違い、その波に合わせて設備を動かす計画が要る。ガス製造・稼働計画の策定は全ての操業管理の基本となる作業だ。この節では計画の考え方に加え、LNG受入計画での層状化・BOG処理・電力デマンド管理の留意点、基地形態ごとの特徴を押さえる。

計画は勘では立てない。過去のガス需要実績・今後の需要パターン(年間/月間/日間)を基に、ホルダー計画等を加味して策定する。求められるのは量を合わせることだけではない。安定供給を前提として、効率的な設備運用によるコストダウン・環境負荷の低減・省エネを考慮し、最適に策定する。

次に原料の受け入れだ。ここで厄介なのは、LNGはその産地により性状が異なるという点である。性状の違う液を無造作に入れれば、受入時のLNG貯槽内の「層状化」を招く。だから、どの貯槽へ受け入れるかを慎重に決める。

複数の貯槽がある基地では、①受入LNGの性状(産地・温度・密度等)、②受入貯槽内LNGの性状、③LNG貯槽の在庫量、④受入・払出のバランスを考慮して受入貯槽を決定する。受入方法も同じ発想で、受入貯槽内LNGと受入LNGとの密度差・液レベル・受入速度を考慮して決定する。

受け入れ中にもう一つ起きるのがBOGの大量発生である。LNG受入時には大量のBOGが発生するため、処理方法・処理量を考慮した受入計画の策定が必要になる。そしてBOG処理時にはBOG圧縮機の負荷が上がる。ここから話は電気代へ飛ぶ。

キーワード
デマンド — 最大需要電力量。超えると電力会社に違約金が発生するため、BOG処理時は電力デマンドの管理が必要になる

出口側にも影響が及ぶ。BOGを送出ガスに混入する場合は、熱量調整設備用LPGの混量増加等、送出ガスの品質管理にも留意しなければならない。受入という一つの作業が、貯槽・電力・製品品質の3方向へ波及する。この広がりこそ出題の狙い目だ。

貯槽に入れたLNGは、静かに眠っているわけではない。LNGは貯蔵中に外部からの入熱で、メタンを主成分とするBOGが常に発生している。では、蒸発した分だけ中身が薄くなるのか。ここが直感への裏切りだ。

みりんを煮詰めると、先に飛ぶ成分があるぶん、残った液は濃くなる。貯槽でも同じことが起きる。先に気体になって抜けるのは沸点の低いメタン側で、重い成分は液に残る。その結果、貯槽内LNGは濃縮(熱量上昇)が進んでいく。

覚える
貯蔵中のBOG発生で貯槽内LNGの熱量は上昇する(濃縮)。「BOGが出ると熱量が下がる」は誤り

しかも濃縮度合いは貯槽レベルによって異なる。だから在庫の状態ごとに、進行状況を加味した上での熱量管理が重要になる。加えて、配管冷却用LNGを貯槽へ戻す場合も貯槽内LNG熱量が変化する点を見落とせない。

ここまではLNGを自前で受け入れる基地を前提にしてきた。だが基地の形態が変われば、悩みどころも変わる。

🖼 図解
LNG受入の影響が及ぶ3方向(貯槽・電力・送出ガス品質)LNG受入の影響が及ぶ3方向(貯槽・電力・送出ガス品質)
基地形態特徴と留意点
LNG受入基地事前に綿密な受入計画を作成する/船舶トラブルや気象海象の影響を考慮した在庫確保が重要
LNGサテライト基地BOG処理量・処理方法が限定されることが多い/受入LNGの熱量が出荷元LNG熱量に依存し、貯槽保有量も少ないため貯槽内濃縮の管理が重要/LNGローリー運行は気象条件・交通事情による不測事態に対応できるよう、在庫確保・出荷元の複数化等の対策
LPG・エアー混合ガスプロセスLNGと比較して原料調達は比較的容易だが、市況の影響(需給)による価格変動リスクに注意
購入ガスプロセスガス製造が購入元に全面的に依存する/緊急時に備え、ガスの備蓄を確保しておく

並べてみると、悩みの中心が形態ごとにずれている。受入基地は船、サテライト基地BOGと濃縮、LPG・エアー混合は価格、購入ガスは依存度。サテライト基地を「BOG処理量が多い」と書き換えるのが定番の手口である。

🟦 甲種プラスα

甲種では「ガス製造計画・原料受け払い計画(LNG受入・BOG処理・基地形態)」の本文の概念をより深く理解した上で、論述問題への応用が問われます。本文の数値・設備名・原理をしっかり押さえてください。

🖼 図解
貯槽内LNGの濃縮メカニズム(BOG発生で熱量上昇)貯槽内LNGの濃縮メカニズム(BOG発生で熱量上昇)

⚡ 焦点ポイント

LNG受入時にBOG大量発生→電力デマンド管理が必要」は頻出 / 「貯槽内LNGは濃縮(熱量上昇)が進む」のメカニズム(BOG発生→メタン残留)を理解

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 ・「BOGが発生すると貯槽内LNGの熱量は下がる」は誤り。重質分が残留して熱量は上昇 ・「LNG受入時のBOGはそのまま送出できる」は誤り。熱量管理・LPG混量調整が必要 ・サテライト基地の「BOG処理量が多い」は誤り。処理量・方法が限定されている ・「LPGエアー混合は価格変動リスクがない」は誤り。市況の影響による価格変動リスクあり

8-1b. 定期修理計画・稼働調整方式(流量制御・圧力制御)

重要度: ★ 乙A / 甲B

🎯 一言で

定期修理計画策定の留意点(検査期限・ピーク時製造能力確保)と、個別設備の稼働調整方式(流量制御方式・圧力制御方式)の特徴と違いを理解する。

📖 解説(乙種ベース)

設備は止めなければ直せない。しかし止めれば、その分だけガスを作る力が落ちる。定期修理計画とは、この二律背反を年間のカレンダー上で解く作業だ。この節では計画策定の留意点(検査期限・ピーク時製造能力確保)と、個別設備の稼働調整方式(流量制御方式・圧力制御方式)の特徴と違いを押さえる。

留意点の一つ目は検査期限の遵守である。期限は動かせないため、定期修理計画の検討時には検査期限を遵守して立案する。しかも実施項目により所要日数が長短あるため、当該年度の所要日数を勘案して計画を組む必要がある。

二つ目が必要製造能力の確保だ。ガス製造計画・製造設備稼働計画をもとにして、ピーク時における最大必要能力を確保した定期修理計画を策定する。ピークの時期に主力を止めていた、では話にならない。

ここで見落としやすいのが脇役の設備である。熱量調整設備・付臭設備・ガス発生設備の熱源となる設備などは、ガス製造能力に影響を与えるためだ。したがってガス発生設備などとタイミングをあわせるなどの工夫が重要になる。単体では止められても、系として見ると止められない——この視点が問われる。

個別設備の稼働調整には2つの方式がある。自動車のクルーズコントロールを思い浮かべてほしい。アクセルの踏み込み量を固定する走り方と、速度を一定に保って坂道では自動で踏み込む走り方——制御の思想がまるで違う。

①流量制御方式は前者にあたる。設備から流出する流量を一定に保つ制御方式で、設備負荷を一定に保つことができる。裏を返せば出力が動かないということであり、急激な需要変動には追従できない可能性がある。

②圧力制御方式は後者だ。設備から流出する圧力を一定に保つ制御方式で、需要変動に応じて供給量を自動的に調整できるため安定供給が図れる。ただし供給量が動く以上、設備負荷が頻繁に変動する。安定するのは供給であって、設備ではない。

覚える
流量制御=流量一定・設備負荷一定・急激な需要変動に追従できない可能性/圧力制御=圧力一定・自動調整で安定供給・設備負荷が頻繁に変動

出題者はこの2つの特徴を丸ごと入れ替えてくる。「流量制御は急激な需要変動にも自動的に調整でき安定供給が図れる」と書かれていれば、それは圧力制御の説明だ。

視点を基地全体へ上げると、調整のしかたも変わってきた。個別設備調整は従来、現場における調整操作が主流だったが、コンピュータ導入により少人数で確実な運転操作が可能になっている。さらに同一基地内で複数設備を保有する場合、中央制御室にて遠隔で一括管理するケースが多い。大規模基地では、操業状況に応じて自動的に設備の起動・停止を実施できるコンピュータを導入している。

🖼 図解
稼働調整2方式(圧力制御/流量制御)稼働調整2方式(圧力制御/流量制御)

⚡ 焦点ポイント

「流量制御方式=負荷一定・急変動に追従できない」は最頻出の対比問題 / 「圧力制御方式=安定供給・設備負荷が頻繁に変動」もセットで暗記

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 ・「流量制御方式は急変動に追従できる」は誤り。追従できない可能性がある ・「圧力制御方式は設備負荷が一定」は誤り。負荷が頻繁に変動する ・定期修理計画の目的は「修理すること」だけでなく「製造能力を確保すること」が重要 ・「小規模基地では中央制御室が不要」とは書かれていない(運用の問題)

8-1c. 日常の運転管理・巡視点検・供給ガス品質管理

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

運転管理基準の構成、製造設備の24時間運転体制、巡視・点検の方法、供給ガス品質管理の測定項目と頻度(熱量・燃焼性・臭気・特殊成分・圧力)を理解する。

📖 解説(乙種ベース)

ガスの製造は、需要のある限り止まらない。だから「誰が、何を、どんな手順で見るか」をあらかじめ文書で決めておく。それが保安規程に基づく運転管理基準だ。構成は①管理体制 ②教育 ③巡視・点検 ④運転操作 ⑤緊急時の措置 ⑥運転に関する記録の6本柱で、この節ではその中身と、製造設備の24時間運転体制、巡視・点検の方法、供給ガス品質管理の測定項目と頻度(熱量・燃焼性・臭気・特殊成分・圧力)まで押さえる。

まず管理体制から。製造所には運転員(設備の運転管理)と保全員(設備の保全)等が配置される。動かす人と直す人を分けておくということだ。あわせて、設備異常時の連絡体制・対応組織について定めておく。

体制が厚くなるのには理由がある。都市ガスの製造は需要の変動に対応して設備稼働を調整するため、24時間連続の運転体制をとることが多いからだ。夜中も誰かが計器を見ている。それが前提の職場である。

さらに防災要員も要る。万がいの災害(火災・停電・地震・事故発生時)に備えて配置を確保しておくもので、防災要員数は消防法・コンビナート法等の関連法規を踏まえて適切な要員数を確保する。

点検の拠り所も文書だ。維持管理基準・維持管理要領等を作成し、それに従って製造設備の管理を行う。名前は似ているが、守備範囲が違う。

キーワード
維持管理基準保安規程に関する事項のうち維持管理に関する①管理体制②教育③点検・検査④修理・清掃⑤維持管理に関する記録。維持管理要領は、点検・検査及び修理・清掃に関する事項を詳細に規定したもの

実際の点検はきわめて泥臭い。現場にて目視等の五感により、運転状況・外面からの損傷状況等を点検する。計器の数値だけでなく、音やにおい、手に伝わる振動で異常に気づく世界だ。

では異常が出たらどうするか。緊急時は、非常体制の確立・防災措置・連絡通報等についてあらかじめ定められた緊急時の運転管理基準に従って処置する。要は、警報や異常が発生した場合は初期段階で適切な処置を打ち、設備の緊急停止や事故に至らないようにするということだ。それでも製造停止に至った場合は、ガス事業法上、報告義務が発生する場合がある。

そして記録が残る。運転に関する記録として、維持・点検の記録、技術基準に適合しない事項の発見・改善記録等を保安規程で定め、一定期間保存する。

最後が得点源の供給ガス品質管理だ。頻度は項目ごとにばらばらだが、でたらめではない。毎日乗る体重計と、年に一度の人間ドックのように、変わりやすさに応じて間隔が決まっている。熱量と燃焼性は日々動くから毎日、圧力は一瞬の異常も見逃せないから常時、という具合だ。

測定項目頻度根拠
熱量毎日1回以上法18条、規17条
燃焼性毎日1回以上法18条、規17条
臭気(付臭)毎月1回以上技省令22条
特殊成分(不純物)毎週1回以上法23条、規22条
圧力常時法18条、規17条

混同の的は臭気と特殊成分である。臭気が毎月、特殊成分が毎週——月と週を入れ替えた選択肢が繰り返し出ている。

⚡ 焦点ポイント

品質管理の測定頻度は数値ごと暗記が必須: /  熱量・燃焼性=毎日、特殊成分=毎週、臭気=毎月、圧力=常時

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 ・「臭気は毎日測定」は誤り。毎月1回以上 ・「特殊成分は毎月測定」は誤り。毎週1回以上 ・「圧力は毎日測定」は誤り。常時(連続)監視 ・「熱量は毎週測定」は誤り。毎日1回以上 ・維持管理基準と維持管理要領は別物。基準は保安規程に基づき要領は詳細規定

🔢 製造の重要数値・設備の整理

LNG基地形態:

– 単一基地: 1拠点完結

– 複数基地連携: 相互融通

サテライト基地: ローリー等で受入→エアフィン式気化器等で気化(BOG処理量・方法が限定)

製造計画の要素:

– 原料受入計画: 月別・季節別需要予測

BOG処理計画: 自然蒸発分の見積

– 定期修理計画: 設備ごとの周期(1年3年5年)

稼働調整方式:

– 流量制御: 製品送出量を需要に合わせる

– 圧力制御: 出口圧を一定に保つ

– 温度制御: 気化温度の適正化

日常運転管理:

– 巡視点検: 1日複数回(目視・聴覚・触覚)

– 計器確認: 定時記録

– 品質管理: 熱量・付臭・水分のサンプリング

製造科目では、設備名・型式・運転条件の数値・原料の物性値の組み合わせで誤答が作られます。本章で出てきた数値・設備名を一覧で整理しておくと、選択肢の引っかけに気付きやすくなります。

🗒️ 3分で復習(章末まとめ)

🎯 全節 一言まとめ

🖼 図解
供給ガス品質管理の測定頻度(常時・毎日・毎週・毎月)供給ガス品質管理の測定頻度(常時・毎日・毎週・毎月)

💡 図の見方:図の見方:圧力は常時、熱量と燃焼性は毎日1回以上、特殊成分(不純物)は毎週1回以上、臭気(付臭)は毎月1回以上という測定頻度を、頻度の高い順に左から並べた図です。試験では特殊成分(週)と臭気(月)を入れ替えた選択肢が繰り返し出るので、特殊成分が臭気より左=より頻繁、と軸上の位置で覚えましょう。

  • 節8-1a ガス製造計画・原料受け払い計画(LNG受入・BOG処理・基地形態): ガス製造・稼働計画の策定方針、LNG受入計画での層状化・BOG処理・電力デマンド管理の留意点、基地形態ごとの特徴を理解する。
  • 節8-1b 定期修理計画・稼働調整方式(流量制御・圧力制御): 定期修理計画策定の留意点(検査期限・ピーク時製造能力確保)と、個別設備の稼働調整方式(流量制御方式・圧力制御方式)の特徴と違いを理解する。
  • 節8-1c 日常の運転管理・巡視点検・供給ガス品質管理: 運転管理基準の構成、製造設備の24時間運転体制、巡視・点検の方法、供給ガス品質管理の測定項目と頻度(熱量・燃焼性・臭気・特殊成分・圧力)を理解する。

⚡ 全節 焦点ポイント

  • 節8-1a: 「LNG受入時にBOG大量発生→電力デマンド管理が必要」は頻出 / 「貯槽内LNGは濃縮(熱量上昇)が進む」のメカニズム(BOG発生→メタン残留)を理解
  • 節8-1b: 「流量制御方式=負荷一定・急変動に追従できない」は最頻出の対比問題 / 「圧力制御方式=安定供給・設備負荷が頻繁に変動」もセットで暗記
  • 節8-1c: 品質管理の測定頻度は数値ごと暗記が必須: /  熱量・燃焼性=毎日、特殊成分=毎週、臭気=毎月、圧力=常時

📝 一問一答(過去問ランダム)

記述が正しいか誤りかを判定。答え・理由・出典が出ます。

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