都市ガスの熱量(発熱量)・燃焼性(ウォッベ指数・MCP)の管理を扱う章です。ガスの相互互換性を保つための増熱・希釈、3つの熱量調整方式、熱量・比重・特殊成分の測定方法までを学びます。
乙種・甲種兼用 / 全3節 / 学習目安: 30〜60分
💡 このページの読み方
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– 甲種受験者の方 — 各節の 🟦 甲種プラスα ボックスもあわせてお読みください
📍 はじめに
13Aガスはどの会社のどの地域でも同じ性能で燃えなければ、需要家のガス機器が安全に動きません。それを保証するのが熱量・燃焼性の規格管理です。この章では、その指標と調整方法を整理します。
📍 この章で学ぶこと(1ブロック・全3節)
各節の重要度を 乙種 / 甲種 で並べて表示します。
🟦 = 甲種で重要度が乙種より上がる節 / ★ = 重要度A節
ブロック1: 熱量管理と燃焼性
| 節 | タイトル | 乙 | 甲 |
|---|---|---|---|
| 4-1 | 熱量と燃焼性(ウォッベ指数・MCP) | ★A | ★A |
| 4-2 | ガスの熱量調整(増熱・希釈・3方式) | ★A | ★A |
| 4-3 | 熱量・比重の測定と特殊成分分析 | ★A | ★A |
📚 テキスト解説
各節は次の構成で進みます。
– 🎯 一言で
– 📖 解説(乙種ベース)
– 🟦 甲種プラスα(必要な節のみ)
– ⚡ 焦点ポイント
– 📝 過去問のひっかけ例
4-1. 熱量と燃焼性(ウォッベ指数・MCP)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
ガスの熱量(総発熱量・真発熱量)とウォッベ指数WI、燃焼速度MCPの定義と計算方法を理解する。
📖 解説(乙種ベース)
ガスの熱量(総発熱量・真発熱量)とウォッベ指数WI、燃焼速度MCPの定義と計算方法を理解する。
総発熱量と真発熱量
・総発熱量(高発熱量):燃焼後の水蒸気の蒸発潜熱を含む発熱量
・真発熱量(低発熱量):水蒸気の蒸発潜熱を含まない発熱量
真発熱量 = 総発熱量 − 水蒸気の蒸発潜熱
ウォッベ指数(WI)
WI = H / √s
H:ガスの総発熱量(MJ/m³)
s:ガスの比重(空気=1)
・WIが同じであれば、器具の燃焼特性(火力)はほぼ同等
・ガス種切替・熱量調整の適否判断に使用
・日本では13A(都市ガス標準):WI = 52.7±4.2 MJ/m³
燃焼速度(MCP:Maximum Combustion Potential)
・ガスクロマトグラフ法による成分組成から算定
・各成分ガスの燃焼速度係数の加重平均で計算
・MCP値が大きいほど燃焼速度が速い(逆火・黄炎のリスク評価に使用)
・WI–MCP図(燃焼性図):ガスの燃焼特性が適正範囲内かを確認
⚡ 焦点ポイント
「真発熱量 = 総発熱量 − 蒸発潜熱」の式は確実に暗記 / WI計算式(H/√s)はほぼ毎年出題。√の中が比重である点に注意
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 ・「√sはガスの密度」と混同しやすいが、sは比重(空気=1の無次元値) ・総発熱量と真発熱量の大小関係:総発熱量 > 真発熱量(潜熱分だけ大きい) ・MCPとWIを混同しないこと。MCPは燃焼速度、WIは熱量・比重の合成指標
- 【最頻出】 ・「√sはガスの密度」と混同しやすいが、sは比重(空気=1の無次元値) ・総発熱量と真発熱量の大小関係:総発熱量 > 真発熱量(潜熱分だけ大きい) ・MCPとWIを混同しないこと。MCPは燃焼速度、WIは熱量・比重の合成指標
- 類似した用語・設備・概念が入れ替えられる(例: 同じカテゴリ内の別装置名・別物質名に置換)
- 条文番号・期日・閾値となる数値が近い別の値に書き換えられる
- 増加/減少、高い/低い、〜以上/〜以下など方向や大小関係が逆転される
- 「ただし書き」「除外規定」を見落とし、原則のみで判断させる
- 計算式の係数(1/2、1/3、π/4等)を別の値に置換、または指数を取り違えた選択肢
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる/数値・用語が類似のものに差し替えられる
4-2. ガスの熱量調整(増熱・希釈・3方式)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
LNG主体ガスへのLPG増熱・空気希釈の方法と、熱量調整3方式(ガス-ガス・液-ガス・液-液)の特徴を理解する。
📖 解説(乙種ベース)
LNG主体ガスへのLPG増熱・空気希釈の方法と、熱量調整3方式(ガス-ガス・液-ガス・液-液)の特徴を理解する。
増熱(LPG混合)
・目的:熱量不足時にLPGを混合して熱量(WI)を上げる
・WI–MCP図で燃焼性が適正範囲内に入るか確認
・露点管理:LPGの炭化水素成分が液化する温度(露点)以下にならないよう管理
希釈(空気混合)
・目的:熱量過剰時に空気を混合してWIを下げる
・MCPはほとんど変化しない(空気はMCPに影響しない)
・酸素濃度管理:高圧供給時は4%未満に維持
熱量調整方式の比較(甲A乙B)
①ガス-ガス方式
・LNGとLPGをそれぞれ気化させて混合
・高温熱源が必要、ランニングコスト高
・調整範囲が広い
②液-ガス方式
・LNG(液体)の顕熱を利用してLPG(液体)を気化・混合
・LPG専用気化器が不要→設備コスト低
・LPG気化にLNGの予熱を使う→LNG温度上昇が必要またはLPG混合量に上限あり
・ランニングコスト低
③液-液方式
・LNGとLPGを液体のまま混合した後、まとめて気化
・ランニングコストが最も低い
・LPG中の不純物(重質分)が低温で凍結するリスクあり→凍結対策が必要
🟦 甲種プラスα
・甲種では3方式の詳細比較まで必須
⚡ 焦点ポイント
3方式の特徴比較は表形式で整理すると記憶しやすい / 「液-ガス方式でLPG専用気化器が不要」は頻出ポイント
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 ・増熱→WI上昇、希釈→WI低下。混乱しないよう整理 ・液-ガス方式は「LPGが気体」ではなく「LPGを液体から気化させる」方式 ・液-液方式の欠点は「低コスト」ではなく「凍結リスク」であることに注意 ・甲種では3方式の詳細比較まで必須。乙種は方式名程度でよい
- 【最頻出】 ・増熱→WI上昇、希釈→WI低下。混乱しないよう整理 ・液-ガス方式は「LPGが気体」ではなく「LPGを液体から気化させる」方式 ・液-液方式の欠点は「低コスト」ではなく「凍結リスク」であることに注意 ・甲種では3方式の詳細比較まで必須。乙種は方式名程度でよい
- 類似した用語・設備・概念が入れ替えられる(例: 同じカテゴリ内の別装置名・別物質名に置換)
- 条文番号・期日・閾値となる数値が近い別の値に書き換えられる
- 増加/減少、高い/低い、〜以上/〜以下など方向や大小関係が逆転される
- 「ただし書き」「除外規定」を見落とし、原則のみで判断させる
- 計算式の係数(1/2、1/3、π/4等)を別の値に置換、または指数を取り違えた選択肢
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる/数値・用語が類似のものに差し替えられる
4-3. 熱量・比重の測定と特殊成分分析
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
ガスクロマトグラフ法の原理・構成・検出器3種の特徴、比重測定方法、硫黄・H₂S・NH₃などの特殊成分分析を理解する。
📖 解説(乙種ベース)
ガスクロマトグラフ法の原理・構成・検出器3種の特徴、比重測定方法、硫黄・H₂S・NH₃などの特殊成分分析を理解する。
ガスクロマトグラフ(GC)法
・原理:固定相(充填剤)と移動相(キャリアガス)の相互作用で成分を分離
・キャリアガス:He・N₂・Arなど純度99.99%以上が必要
・構成:注入口 → 分離管(カラム) → 検出器 → 記録計
検出器3種の比較
①TCD(熱伝導度型検出器)
・原理:試料とキャリアガスの熱伝導度の差を検出
・対象:有機化合物・無機化合物(ほぼ全物質)
・感度:低い(汎用型)
②FID(水素炎イオン化型検出器)
・原理:水素炎中でイオン化したときの電流を検出
・対象:有機化合物のみ(炭化水素に高感度)
・感度:高い
③FPD(炎光光度型検出器)
・原理:炎中で特定元素が発する光を検出
・対象:硫黄化合物・リン化合物(付臭剤の分析に使用)
・感度:高い
比重の測定方法
①ガスクロ法:成分組成から計算で算出
②ブンゼン-シリング法:流出速度比を利用
③比重瓶法:試料ガスと乾燥空気を比重瓶に充填し秤量して比重を算出
特殊成分分析(甲B乙C)
・分析対象:硫黄全量・硫化水素(H₂S)・アンモニア(NH₃)
・JIS規格に基づく方法で実施
・分析免除:天然ガス・プロパン・ブタン等を主成分とするガス、または専用導管で大口需要家に直接供給するガス
⚡ 焦点ポイント
検出器3種はそれぞれの検出原理・対象物質・感度の組合せを表で暗記 / FPD=付臭剤分析用というキーワードで覚える
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 ・TCDは「感度が低い」が「汎用性は高い」という二面性を混同しないこと ・FIDは「無機化合物は検出できない」点が引っ掛けになりやすい ・比重測定の3方法はガスクロ法以外の名称(ブンゼン-シリング・比重瓶)が難しい ・特殊成分分析は甲Bだが乙種はCランク(深追い不要)
- 【最頻出】 ・TCDは「感度が低い」が「汎用性は高い」という二面性を混同しないこと ・FIDは「無機化合物は検出できない」点が引っ掛けになりやすい ・比重測定の3方法はガスクロ法以外の名称(ブンゼン-シリング・比重瓶)が難しい ・特殊成分分析は甲Bだが乙種はCランク(深追い不要)
- 類似した用語・設備・概念が入れ替えられる(例: 同じカテゴリ内の別装置名・別物質名に置換)
- 条文番号・期日・閾値となる数値が近い別の値に書き換えられる
- 増加/減少、高い/低い、〜以上/〜以下など方向や大小関係が逆転される
- 「ただし書き」「除外規定」を見落とし、原則のみで判断させる
- 計算式の係数(1/2、1/3、π/4等)を別の値に置換、または指数を取り違えた選択肢
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる/数値・用語が類似のものに差し替えられる
🔢 製造の重要数値・設備の整理
熱量・燃焼性の主要指標:
| 指標 | 定義 | 用途 |
|---|---|---|
| HHV(高位発熱量) | 水を液体として計算 | 規格・販売 |
| LHV(低位発熱量) | 水を気体として計算 | 設備設計 |
| ウォッベ指数 (WI) | HHV / √比重 | ガスの互換性判定 |
| MCP(燃焼速度指数) | – | 燃焼状態の安定性 |
13Aガスの規格値(例):
– 発熱量: 45 MJ/m³(標準状態)
– MCP: 約52
– 比重: 0.6前後
3つの熱量調整方式(LPG混合時の相状態で分類):
1. ガス-ガス方式: 気化したNGに気化したLPGを混合
2. 液-ガス方式: 気化したNGに液のLPGを噴霧・混合
3. 液-液方式: LNGとLPGを液のまま混合してから気化
※発熱量を上げる「増熱」(LPG混合)・下げる「希釈」(空気混合)は調整の方向
製造科目では、設備名・型式・運転条件の数値・原料の物性値の組み合わせで誤答が作られます。本章で出てきた数値・設備名を一覧で整理しておくと、選択肢の引っかけに気付きやすくなります。
🗒️ 3分で復習(章末まとめ)
🎯 全節 一言まとめ
- 節4-1 熱量と燃焼性(ウォッベ指数・MCP): ガスの熱量(総発熱量・真発熱量)とウォッベ指数WI、燃焼速度MCPの定義と計算方法を理解する。
- 節4-2 ガスの熱量調整(増熱・希釈・3方式): LNG主体ガスへのLPG増熱・空気希釈の方法と、熱量調整3方式(ガス-ガス・液-ガス・液-液)の特徴を理解する。
- 節4-3 熱量・比重の測定と特殊成分分析: ガスクロマトグラフ法の原理・構成・検出器3種の特徴、比重測定方法、硫黄・H₂S・NH₃などの特殊成分分析を理解する。
⚡ 全節 焦点ポイント
- 節4-1: 「真発熱量 = 総発熱量 − 蒸発潜熱」の式は確実に暗記 / WI計算式(H/√s)はほぼ毎年出題。√の中が比重である点に注意
- 節4-2: 3方式の特徴比較は表形式で整理すると記憶しやすい / 「液-ガス方式でLPG専用気化器が不要」は頻出ポイント
- 節4-3: 検出器3種はそれぞれの検出原理・対象物質・感度の組合せを表で暗記 / FPD=付臭剤分析用というキーワードで覚える
📝 関連過去問
この章の知識が問われる過去問題リスト(全30問)。
ℹ️ 乙種・甲種は別の試験です。同じ問番号(例: 基問10)であっても、乙種と甲種では出題される問題内容は異なります。各年度・種別ごとの本文は 乙種過去問 / 甲種過去問 ページから確認してください。
乙種(15問)
– 令和7年: 製問4
– 令和6年: 製問4
– 令和5年: 製問4
– 令和4年: 製問4 / 製問5
– 令和3年: 製問4 / 製問5
– 令和2年: 製問4 / 製問5
– 令和元年: 製問4 / 製問5
– 平成30年: 製問3 / 製問4
– 平成29年: 製問4
– 平成28年: 製問4
甲種(13問)
– 令和7年: 製問4
– 令和6年: 製問4
– 令和5年: 製問4
– 令和4年: 製問5
– 令和3年: 製問4 / 製問5
– 令和2年: 製問4 / 製問5
– 令和元年: 製問4 / 製問5
– 平成30年: 製問3 / 製問4
– 平成29年: 製問4
