
LNGを気化してガスとして送り出す工程と、関連する配管・LPG設備を扱います。LNGポンプの種類とキャビテーション対策、各種LNG気化器の特徴と用途、ガスホルダー、低温配管・低温弁、LPGの受入・貯蔵・気化までを整理します。
乙種・甲種兼用 / 製造第2章を分割した一部分
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📑 この章の目次(全5節)
5. LNGポンプ等(ポンプ種類・キャビテーション・NPSH・サブマージド式LNGポンプ)
💡 図の見方:モーターごとLNGに沈めてしまえば回転軸が外へ出ないので漏れようがない、という発想を断面で示した図です。軸受けとモーターの冷却をLNGが担うこと、スラスト荷重をバランスさせるため縦軸構造にすること、発生したBOGを貯槽へ戻すラインを持つことが同時に読み取れます。試験では「軸封部を設けてガス漏れを防ぐ」といった逆の記述が出るので、軸がケーシングを貫通していない点を手がかりにしてください。
重要度: ★ 乙A / 甲B
🎯 一言で
ポンプ分類:非容積式(うず巻・斜流・軸流)と容積式(往復・ロータリー)。キャビテーション:圧力が飽和蒸気圧以下になり気泡発生→羽根車損傷・効率低下。防止条件:有効吸込ヘッド(NPSHav)>必要有効吸込ヘッド(NPSHre)。LNGポンプ:サブマージド式(ポンプ+モーター一体・軸封部なし・モーター冷却はLNG・縦軸構造・バランス機構)。
📖 解説(乙種ベース)
ポンプが急にうるさくなり、送れる量がみるみる落ちる。分解してみると、羽根車の表面が虫食いのように削れている。犯人はキャビテーションだ。沸点の低いLNGを扱う製造所では、この現象がポンプ最大の敵になる。まずポンプの顔ぶれを整理し、そのうえで正体に迫ろう。
ポンプは2系統に分かれる。羽根車を回して液に圧力を与えるのが非容積式(ターボ式)、一定容積内の液を押し出すのが容積式である。選び分けの軸は「効率よく大量に送るか、量を正確に決めて送るか」だ。
キャビテーションのイメージ
サブマージド式LNGポンプ 軸封部を無くす縦軸構造| 分類 | 種類 | 送液の原理・特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 非容積式(ターボ式) 羽根車の回転に伴う遠心力・揚力で液体に圧力を与える | うず巻ポンプ | 遠心力の働きによって送液。効率良く軽量・据付面積小・取り扱い容易 | 製造所で多く使用(LNGポンプ・LPGポンプ) |
| 非容積式(ターボ式) | 斜流ポンプ | 遠心力と羽根の揚力の両方によって送液 | 海水ポンプ |
| 非容積式(ターボ式) | 軸流ポンプ | 羽根が液に与える揚力によって送液 | ― |
| 容積式 一定容積内にある液体の圧力を上げ送液する | 往復ポンプ | 正確に容量を制御するポンプや高い圧力を発生させるポンプに適している。吐出量が脈動する | 付臭剤ポンプ |
| 容積式 | ロータリーポンプ | 正確に容量を制御するのに適。吐出量の脈動なし | LPGポンプ |
この分類はそのまま出題の急所になる。サージングはうず巻ポンプ等の非容積式ポンプで発生し、容積式ポンプでは発生しない。「サージングは容積式ポンプで発生する」という選択肢は、分類を覚えているかだけを試している。
では本題に入ろう。液が沸くのは温めたときだけではない。圧力を下げても沸く——そしてポンプの中では、まさにそれが起きている。
どこで起きるのか。ポンプでは吸込圧力が低い時、局部的に一番低圧となる羽根車入口で気泡が発生しやすい。入口で生まれた気泡は、下流の圧力が戻る場所へ運ばれて一気に押しつぶされる。その瞬間の衝撃は、微小なハンマーが金属面を無数に叩くようなものだ。
結果は3段構えで現れる。まず①騒音・振動の発生。続いて②ポンプの効率低下・吐出量の急激な低下。そして③長時間運転すると気泡が押しつぶされる衝撃で金属表面が壊食(エロージョン)し、羽根車損傷に至る。「キャビテーションが起こると吐出量が増加する」は向きが逆で、正しくは急激に低下する。
対策の道筋は一つ、入口側の圧力を下げないことに尽きる。吸込配管をなるべく太く短くし、付属物を少なくして吸込による圧力低下を防ぐ。ポンプ入口直前での圧力を飽和蒸気圧以上にしておく。そのうえで、有効吸込ヘッド(NPSHav)が必要有効吸込ヘッド(NPSHre)より大きくなるようにする。
この2つのヘッドがNPSH(Net Positive Suction Head:正味吸込ヘッド)である。有効吸込ヘッド(NPSHav)は設備的にみて有効に利用できるNPSHで、ポンプと関係なく吸込側の配管やプラント系から定まる。ポンプ吸込口の液が有する全圧力が液温に対応する飽和蒸気圧よりどれだけ高く安全側にあるかを、液柱で表した値だ。
もう一方はポンプ側の事情による。ポンプ入口から羽根車入口付近まで流入してきた液は一時的に圧力降下を生じる。この分を考慮してキャビテーションを起こすことなくポンプを運転できる液柱を必要有効吸込ヘッド(NPSHre)という。設備が差し出せる余裕が、ポンプの要求する余裕を上回っていればよい——不等号の向きはこの理屈から決まる。
ここまでを踏まえてLNGポンプを見よう。用途はLNG貯槽からのLNG払出し、LNG貯槽間の移送、LNG配管冷却用のLNG系内循環である。さらに気化器で発生するガスの圧力を得るため、ガス加圧送出の役割も担っている。
構造上の要は「漏れる隙間を作らない」ことだ。軸封部がないサブマージド式を採用してガス漏れを防ぎ、ポンプとモーターを一体でポンプケーシングに入れた構造とする。モーターごと液に沈めてしまえば、回転軸が外へ出ないので漏れようがない。軸受けおよびモーターの冷却はLNGで行う。
残りは運転を成り立たせるための配慮である。入熱やポンプ内の発熱で発生するBOGを貯槽等に戻すラインを設ける。軸受けに過大なスラスト荷重がかからないようにするためバランス機構を設け、スラスト荷重とポンプ推力をバランスさせるために縦軸構造とする。ケーブル貫通部はLNGポンプ側からケーブル端子側へガスの漏えいのない構造とし、ポンプ材料は低温靱性に優れたものを使用する。
⚡ 焦点ポイント
「キャビテーション防止:NPSHav > NPSHre」は最頻出数式。「キャビテーションは羽根車入口で発生しやすい」「キャビテーションは吸込配管を太く短くして防ぐ」。「サブマージド式:軸封部なし・ポンプとモーター一体・LNGで冷却・縦軸構造」の4点。「往復ポンプ:吐出量脈動あり・付臭剤ポンプ」「うず巻ポンプ:据付面積小・LNGポンプに使用」も確認。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「LPGポンプはキャビテーションの考慮が不要」→誤り(必要)。 「サージングは容積式ポンプで発生する」→誤り(非容積式のみ)。 「キャビテーションが起こると吐出量が増加する」→誤り(急激に低下する)。 「NPSHav < NPSHreでキャビテーション防止できる」→逆。NPSHav > NPSHreが正しい。
6. LNG気化器(オープンラック式・サブマージド式・エアフィン式・用途別選定)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
LNG気化器の3主要タイプ:①オープンラック式(海水熱源・Al合金・ベースロード用・設備費高・運転費低)②サブマージド式SMV(水中燃焼・LNG気化ガス熱源・ピークシェービング/緊急予備用・設備費低・運転費高)③エアフィン式(大気熱源・サテライト基地用・着霜着氷対策・複数台切替)。ベースロード用には運転費の安い気化器を選定。ピーク・緊急用には起動停止容易で設備費の安い気化器を選定。
📖 解説(乙種ベース)
気化器は「どれが一番優秀か」で選ぶ設備ではない。年間を通じて休みなく動かす気化器と、寒い日のピークや非常時だけ立ち上げる気化器とでは、求められる性質がまるで違うからだ。毎日使う炊飯器は電気代の安さで選び、来客のときだけ出すカセットコンロは本体の安さと手軽さで選ぶ——気化器の選定も同じ理屈で決まる。
まず定常運転側。ベースロード用には、設備費が高額であっても運転費(ランニングコスト)が低廉な気化器を選定する。稼働時間が長いほど運転費の差が積み上がるからだ。該当するのが海水を熱源とするオープンラック式気化器(海水熱源)である。
では、たまにしか動かさない側はどうか。ピークシェービング用・緊急予備用には、起動・停止が容易であって運転費が高くても設備費の低廉な気化器を選定する。動かす時間が短ければ運転費は響かず、むしろ素早く立ち上がることが価値になる。該当するのがサブマージド式気化器(SMV)だ。
整理するとLNG気化器の3主要タイプは、①オープンラック式(海水熱源・Al合金・ベースロード用・設備費高・運転費低)、②サブマージド式SMV(水中燃焼・LNG気化ガス熱源・ピークシェービング/緊急予備用・設備費低・運転費高)、③エアフィン式(大気熱源・サテライト基地用・着霜着氷対策・複数台切替)となる。方式名と熱源の対応を海水・燃焼ガス・大気で取り違えると、以降の判断がすべて崩れる。それぞれの中身を次の表で確かめよう。
主要なLNG気化器の特徴
LNG気化器の代表2方式(オープンラック/サブマージド)| 型式 | 熱源 | 主用途 | 設備費 | 運転費 | 特記事項 |
|---|---|---|---|---|---|
| ①オープンラック式気化器(ORV:Open Rack Vaporizer) | 海水(または海水に代わる水源)。多数の伝熱管(フィンチューブ)を並べたパネルの外面に海水を流し、内部のLNGを気化させる | 国内LNG気化器の主流。1次受入基地のベースロード用 | 高い | 低廉 | 材質はアルミニウム合金(低温ぜい性がなく成形性が良い)。海水と接するフィンチューブ表面にアルミ亜鉛合金の溶射(防食対策)。LNG膜沸騰(伝熱面のLNGが沸騰し蒸気膜が形成されて熱伝達性能が低下する状態)・飛沫同伴(熱交換が十分に行われずLNGが完全に気化されず飛沫となって出ていく現象)への配慮が必要 |
| ②サブマージド式気化器(SMV:Submerged Combustion Vaporizer) | LNGの気化ガスを水中燃焼させた熱(水を加熱)。コンクリート製水槽に水を張り、LNGを水中燃焼させた燃焼ガスで水を温め、水槽内のステンレス製熱交換器に通したLNGを気化させる | 1次受入基地のピークシェービング用・緊急予備用 | 低廉 | 高い(オープンラック式より高い) | 起動・停止が容易であることが特徴 |
| ③エアフィン式LNG気化器(AFV:Air Fin Vaporizer) | 大気(空気) | 主にLNGサテライト基地用。ベースロード用 | 低廉(オープンラック式の海水設備が不要) | 低廉(自然エネルギー利用) | 着霜・着氷問題:空気中の水分がチューブ表面に着霜・着氷し熱交換器の性能が低下→長時間連続運転に制約。解決策は気化器を複数台持ち、切り替えながら性能回復。出口ガス温度問題:冬季の気化器出口ガス温度が外気温度以下になる→気化器の後流にNG加温器を設置。冷霧問題:気化器まわりの空気が冷却され空気中の湿分が露状となった冷気が漂い、視覚上の不都合→敷地境界までの距離をとる・冷気を拡散するファンを設置・冷気の流れを止めるための塀を設置。改良型:空気強制循環型エアフィン式、強制通風型・押込送風型エアフィン式気化器。伝熱管はアルミニウム合金製フィン付チューブが多い |
その他のLNG気化器
3主要タイプ以外にも、熱の受け取り方を変えた気化器がある。中間熱媒体型シェルアンドチューブ式はランニングコストが低廉で、1次受入基地のベースロード用に据えられる。一方、温水直接熱交換型シェルアンドチューブ式は主にサテライト基地用である。
バス式LNG気化器は、温水槽に伝熱管を入れて温水を熱源として気化させる方式で、温水槽は開放型。こちらも主にサテライト基地用だ。運転費が安ければ基地の主力、手軽さが要れば小規模基地——ここでも物差しは変わらない。
⚡ 焦点ポイント
「ベースロード用→運転費重視→オープンラック式」「ピーク・緊急予備用→設備費重視・起停容易→サブマージド式」の対比は最重要。「オープンラック式:Al合金・海水熱源・防食は溶射」「エアフィン式:サテライト基地・着霜対策・複数台切替」。「膜沸騰」「飛沫同伴」の定義も頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「ベースロード用には設備費の安い気化器を選定する」→誤り(運転費の安い気化器を選定)。 「ピーク・緊急予備用には設備費の高い気化器を選定する」→誤り(設備費の安い気化器)。 「エアフィン式は1次受入基地の主流」→誤り(サテライト基地用)。 「オープンラック式の伝熱管材質はステンレス鋼」→誤り(アルミニウム合金)。 「サブマージド式の運転費はオープンラック式より安い」→誤り(高い)。
- 「合金」「海水熱源」「防食」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
7. 送出設備(ガスホルダー・ミキシングホルダー)
重要度: 乙C / 甲C
🎯 一言で
送出設備はガスホルダー(球形・円筒形)とミキシングホルダーから構成される。球形:表面積が少なく単位貯蔵ガス量あたり使用鋼材が少なく敷地面積・基礎工事費が少ない。円筒形:構造が比較的簡単でコンパクト・運搬や据付が容易・小容量用に最も経済的。ミキシングホルダー:製造ガスを混合し供給ガスの成分・熱量・燃焼性を均一化する。
📖 解説(乙種ベース)
ガスの需要は朝夕に跳ね上がり、深夜には落ち込む。製造量を需要に合わせて刻々と上下させるのは現実的でないから、いったんためておく器が要る。それがガスホルダーだ。送出設備は供給ガスを貯蔵するガスホルダー、製造ガスを均一に混合するミキシングホルダー等から構成される。
ガスホルダーの形は球形と円筒形の2つ。どちらが優れているかではなく、容量によって答えが変わる。同じ量のあんこを包むなら、丸いまんじゅうの方が皮が少なくて済む——球が有利な理由はここに尽きる。
球形ガスホルダーは表面積が少ないので他のガスホルダーに比べて単位貯蔵ガス量あたりの使用鋼材が少なく、敷地面積と基礎工事費が少ない。鋼材も土地も節約できるため、大容量に適している。「球形は大容量に不向き」とする選択肢は、この長所をそのまま裏返した誤りだ。
では容量が小さいときはどうか。ここで円筒形が効いてくる。構造が比較的簡単でコンパクトであり、運搬や据付が容易。小容量のガスホルダーとして最も経済的であるので広く使用されている。出題者は「円筒形は表面積が少なく鋼材量が少ない」と球形の長所をすり替えてくるので、有利さの中身を取り違えないこと。
ガスホルダー2形式の使い分けとミキシングホルダーの役割⚡ 焦点ポイント
「球形:単位貯蔵ガス量あたりの使用鋼材が少ない・敷地面積・基礎工事費が少ない」 / 「円筒形:小容量・最も経済的」「ミキシングホルダー:成分・熱量・燃焼性を均一化」の3点が頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「球形ガスホルダーは大容量に不向き」→誤り(大容量に適している)。 「ミキシングホルダーは熱量のみ均一化する」→誤り(成分・熱量・燃焼性すべてを均一化)。
- 「成分」「熱量」「燃焼性」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
8. 配管設備(LNG配管・弁類の特徴・低温弁・保冷材)
💡 図の見方:弁棒を長く伸ばして操作部を冷気から遠ざけるのがロングボンネット、その根元を守るのが保冷板、ボンネット内に閉じ込められた液の圧力上昇を逃がすのがディスクホール、という3つの工夫を1枚の断面にまとめた図です。ディスクホールが弁体の片側だけにあることに注目してください。両側に開ければ流れを止められなくなるため、「両側に設ける」とする選択肢は誤りです。
💡 図の見方:図の見方:球形は表面積が少なく鋼材・敷地・基礎工事費が少ないので大容量向き、円筒形は構造が簡単で小容量に最も経済的、という使い分けを図形の大きさで対比した図です。右端のミキシングホルダーは製造ガスを混合して成分・熱量・燃焼性の3つすべてを均一化する設備なので、「熱量だけ」と限定した選択肢は誤りだと箱の中の3語で確かめましょう。
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
LNG配管の原則:溶接継手構造・低温靭性材料・配管ループ(熱収縮対応)・圧力逃がし弁・ベント/ドレン設置。ボーイング現象:大口径配管の上下温度差による弓状変形→プレクールガスで予冷。弁類:仕切弁(全開全閉・圧力損失小)・玉形弁(圧力損失大・流向注意)・バタフライ弁・ボール弁(90°操作・急速開閉)・逆止弁・減圧弁・低温弁(ロングボンネット・保冷板・ディスクホール)。
📖 解説(乙種ベース)
LNG配管は、常温の配管と同じ感覚で設計すると必ず壊れる。冷えれば縮み、縮めば引っ張られ、隙間があれば漏れる。だから設計の要件は「縮みを逃がす」「隙間を作らない」「閉じ込めない」の3方向に集約される。順に見ていこう。
まず材料と接合。①配管材料は低温靭性に優れた材料を用いる。②接合方式は原則として溶接継手構造(溶接接合)とする。ただしメンテナンスが容易に行えるよう、必要に応じフランジ継手部を設ける。「必ず溶接継手構造とし、フランジ部を設けてはならない」と言い切る選択肢は、この但し書きを消したものだ。
次に縮みへの備え。③熱収縮・熱膨張対応として、必要に応じ配管ループ等を設ける。ここには材料側の逃げ道もある。オーステナイト系ステンレス鋼をLNG配管に使用する場合は配管ループが必要だが、線膨張係数がオーステナイト系ステンレス鋼の1/10である36%ニッケル合金を適用すれば、配管ループ部を無くすことができる。
そして閉じ込めないこと。④弁により液がLNG配管中に封じ込められる恐れのあるところには、液の異常圧力上昇を防ぐための措置(圧力逃がし弁設置等)を講ずる。低温の液は少し温まるだけで激しく体積を増やすため、逃がし場所がなければ配管そのものが圧力容器になってしまう。⑤運転開始時またはメンテナンス時に管内部の流体(液体またはガス)が容易に置換できるように、ベント・ドレンを設ける。
⑥最後がボーイング現象対策である。大口径配管に直接低温液を導入すると、配管の上下方向に温度分布が生じる。片面だけ日に当たった木の板が反り返るのと同じで、上下の熱収縮差により配管が持ち上がってしまう。そこで低温のガス(プレクールガス)を発生させる設備を用いてプレクールを行なう。いきなり液を通さず、先に全体を冷やしてならしておくわけだ。
管継手の種類と使用箇所
ボーイング現象(上下温度差で配管が弓状に変形)
低温弁の3つの工夫 ロングボンネット・保冷板・ディスクホール| 使用箇所 | 継手の種類 |
|---|---|
| 直管の接続部 | フランジ等 |
| 曲管部 | エルボ、ベント |
| 分岐部 | ティー等 |
| 異形部 | レジューサ等 |
| 管端の閉塞部 | 閉止フランジ、キャップ、プラグ |
| その他 | 伸縮管継手等 |
継手を締めれば隙間がゼロになるわけではない。そこを埋めるのがガスケットで、フランジ部等に挟み込んで圧縮し隙間を塞ぐ固定用シール材である。LNG配管フランジ部のガスケットは、低温状態で必要な弾性を有する材料で製作する。常温でよく効くゴムでも、冷えて硬くなれば密封の役に立たないからだ。
配管の外側にも対策が要る。LNG配管の上からは着氷や結露がないよう、必要厚さ以上の保冷材を施工する。LNG配管の保冷材料としては硬質ウレタンフォーム保冷材が用いられ、その上から保冷材の保護のために外装材が施工される。
弁類の種類と特徴
ここからは弁だ。LNG基地で一般的に用いられる弁は、仕切弁、玉形弁、バタフライ弁、ボール弁、ニードル弁、逆止弁、減圧弁、安全弁など。見分けの軸は「圧力損失が大きいか小さいか」と「中間開度で使えるか」の2つで、この2軸さえ握れば選択肢の正誤はほぼ判定できる。
| 弁の種類 | 構造・動作 | 圧力損失 | 使い方・注意点 |
|---|---|---|---|
| 仕切弁(ゲート弁) | 円盤状の弁体(ディスク)が流路に対して垂直に上下することで開閉 | 小(流体流路が配管内径と等しいため) | 全開全閉で使用(中間開度は振動摩耗を起こす)。開閉時のストロークが大きく、開閉時間が長い |
| 玉形弁(グローブ弁) | 弁体が弁座面に垂直に開閉する形状 | 大(流れの方向が急激に変化するため) | 中間開度・全開全閉どちらも可。流れの方向が決まっているため取付時に注意が必要。ニードル弁(弁体針状または円錐状)は細かな流量調整可 |
| バタフライ弁 | 円盤状の弁体が弁棒を中心に90度回転することで流体を制御 | 小 | 90度の操作で開閉可→急速開閉向き。構造が簡単・取り付けスペース小 |
| ボール弁 | 弁体が穴の開いた球状で、弁体を90°(90度)回転させることで流体を制御 | 小 | 全開全閉で使用。90度の操作で開閉可→急速開閉向き。シートリング(弾性体)が傷に弱く、破損が急激な漏れに繋がる |
| 逆止弁(チャッキ弁) | スイング式やリフト式等がある | ― | 流体の流れを常に一定方向に保ち逆流を防止する機能を持つ |
| 減圧弁 | スプリングの力や流体の圧力を利用して弁開度を変化させ、流体を減圧させる弁 | ― | 直動式(スプリングの伸縮により弁開度を調節)とパイロット式(2次側圧力を利用) |
低温弁だけは別枠で覚えたい。まず低温靭性に優れた材料で製作する。そのうえでグランド部の凍結を防止するため、一般的にロングボンネットが採用され、保冷板が設けられる。弁棒を長く伸ばして操作部を冷気から遠ざける、という発想である。
もう一つが液封への備えだ。ボンネット内に液が封入される形式の弁は、一般的に圧力の異常上昇を防ぐため、弁体の片側にディスクホール(弁体の小孔)を設ける。両側に開ければ流れを止められなくなるため、あくまで片側——ここを「両側」にすり替えるのが定番の手口である。
⚡ 焦点ポイント
「LNG配管は原則溶接継手構造・配管ループ設置・圧力逃がし弁・ベント/ドレン」が基本4点。「低温弁:ロングボンネット・保冷板・ディスクホール(片側)」は頻出。「玉形弁は圧力損失大・仕切弁は圧力損失小・全開全閉専用」の対比も重要。「ボーイング現象:大口径配管上下温度差→弓状変形→プレクールで防止」。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「LNG配管は原則フランジ継手構造」→誤り(原則溶接継手構造)。 「仕切弁は中間開度での使用が適している」→誤り(中間開度は振動摩耗が起きる→全開全閉専用)。 「低温弁のディスクホールは弁体の両側に設ける」→誤り(片側のみ)。 「LNG配管の保冷材は発泡スチロール」→誤り(硬質ウレタンフォーム)。 「玉形弁は圧力損失が小さい」→誤り(圧力損失が大きい)。
- 「原則溶接継手構造」「配管ループ設置」「圧力逃」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
9. LPG設備(LPG受入・加圧式/低温式貯槽・LPGポンプ・LPG気化器)
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
LPG設備:受入(タンクローリー→ガス圧縮機/ポンプで貯槽移送)、貯槽(加圧式:設計圧力高・円筒形/球形・高張力鋼使用、低温式:設計圧力低・冷凍機で再液化)。加圧式は常温で加圧して液化、低温式は低温に冷却して液化貯蔵。高張力鋼はH₂S等硫黄化合物による水素ぜい性割れのリスクがあるため、LPG中にH₂S等が含まれていないことが必要。
📖 解説(乙種ベース)
LPGを液体のままためるには、2つの道がある。LPGは常温で加圧すると液化し(加圧式貯蔵)、常温より低温に冷却しても液化貯蔵が可能である(低温式貯蔵)。前者を加圧式貯蔵法、後者を低温式貯蔵法と呼ぶ。押さえ込むか、冷やして落ち着かせるか——この分かれ道が、貯槽の設計圧力から材料選びまでを決めていく。
受け入れの経路も押さえておこう。LPGの輸送手段にはタンクローリー輸送、貨車輸送、パイプライン輸送等がある。タンクローリーからのLPG受入方法は2通りで、①貯槽と共に設置されているガス圧縮機またはポンプによるもの(一般的)、②タンクローリーに取り付けられているガス圧縮機またはポンプによって貯槽に移送する方法である。
貯槽の性格は、加圧式と低温式で正反対になる。圧力で液化を保つ加圧式は設計圧力を高くとる必要があり、冷却で液化を保つ低温式は圧力に頼らないぶん耐圧が低くて済む。
LPG貯槽2方式の対比(加圧式と低温式)| 項目 | 加圧式貯槽 | 低温式貯槽 |
|---|---|---|
| 液化の考え方 | 常温で加圧して液化 | 常温より低温に冷却して液化貯蔵 |
| 設計圧力 | 高くとれる | 耐圧が低い(設計圧力10kPa程度) |
| 形状・設置 | 内容積に対する鋼材使用が多くなることから、占有する面積が小さい円筒形貯槽と球形貯槽が多く用いられる | LNG貯槽と同様、地上式と地下式がある |
| 容量による使い分け | 円筒形貯槽は比較的小容量の貯槽として最も経済的で広く使用。球形貯槽は円筒形貯槽より大容量化が可能で、肉厚を薄くするため許容応力の大きい高張力鋼が用いられる場合が多い | 加圧式は大型では建設費が高くなるので、低温貯槽の方が有利 |
| 蒸発ガスの扱い | ― | 貯槽内で発生した蒸気は冷凍機で再液化して貯槽に戻される |
ここで球形貯槽に使う高張力鋼が、思わぬ弱点を抱えている。
強ければ安全、とはいかない。強く引き絞ったロープほど、わずかな傷から一気に切れる。高張力鋼も同じで、水素ぜい性を起こしやすい材料である。LPG中にH₂S等の硫黄化合物があると、腐食等で生じた水素原子が材料内部に侵入して水素ぜい性が発生しやすくなる。
そして応力がかかった状態で割れが生じるので、これを「水素ぜい性割れ」または「硫化物応力腐食割れ」という。したがって、都市ガス原料用LPG球形貯槽タンクの材料として高張力鋼を使用する場合、LPG中にH₂S等の硫黄化合物が含まれていないことが求められる。
送り出す側の設備も見ておく。LPG貯蔵設備からの送液には、LPG貯槽内圧力を利用して送液する場合とLPGポンプを用いる場合がある。ポンプの型式は基地の規模で変わり、LNG1次受入基地では遠心式サブマージドポンプ、LNG2次受入基地やLNGサテライト基地等ではベーン式ポンプやキャンドモーターポンプ(ポンプやモーターを一体構造とし軸封装置をなくしたもの)が用いられる。
最後にLPG気化器である。型式はシェルアンドチューブ式、バス式等。熱源は温水、水蒸気、電気等を用いる。海水や大気を熱源とするLNG気化器とは顔ぶれが違う点に注意したい。
⚡ 焦点ポイント
「LPG加圧式貯槽に高張力鋼を使用する場合→H₂S等硫黄化合物が含まれていないことが必要」は頻出。「円筒形は小容量・最経済的」「球形は大容量・高張力鋼使用・肉厚薄い」の対比を覚える。「低温式LPG貯槽:設計圧力低・冷凍機で再液化」の特徴も確認。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「LPG加圧式貯槽に高張力鋼を使用するとH₂Sがあっても問題ない」→誤り(水素ぜい性割れが起きる)。 「低温式LPG貯槽の設計圧力は高い」→誤り(設計圧力10kPa程度と低い)。 「円筒形LPG貯槽は大容量に最適」→誤り(小容量・最経済的で小容量向き)。
- 「大容量」「高張力鋼使用」「肉厚薄」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
🔢 製造の重要数値・設備の整理
LNG貯槽の主要タイプ:
– 金属二重殻式: 内槽9%Niスチール、外槽炭素鋼、断熱材
– PC式(プレストレストコンクリート): 大容量、地震に強い
– 地下式: 完全埋設、漏えい時の安全
– 真空断熱式: 小型・高性能断熱
– 常圧断熱式: 大気圧運用
BOG圧縮機3種:
– 往復式: 高圧・小容量(吐出 1.0 MPa以上)
– 遠心式: 低中圧・大容量
– スクリュー式: 中圧・中容量
気化器の用途別選定:
– オープンラック式: ベースロード(海水使用)
– サブマージド式: ピークロード(自燃焼)
– エアフィン式: サテライト基地(空気熱)
製造科目では、設備名・型式・運転条件の数値・原料の物性値の組み合わせで誤答が作られます。本章で出てきた数値・設備名を一覧で整理しておくと、選択肢の引っかけに気付きやすくなります。
🗒️ 3分で復習(章末まとめ)
🎯 全節 一言まとめ
- 節5 LNGポンプ等(ポンプ種類・キャビテーション・NPSH・サブマージド式LNGポンプ): ポンプ分類:非容積式(うず巻・斜流・軸流)と容積式(往復・ロータリー)。キャビテーション:圧力が飽和蒸気圧以下になり気泡発生→羽根車損傷・効率低下。防止条件:有効吸込ヘッド(NPSHav)>必要有効吸込ヘッド(NPSHre)。LNGポンプ:サブマージド式(ポンプ+モーター一体・軸封部なし・モーター冷却はLNG・縦軸構造・バランス機構)。
- 節6 LNG気化器(オープンラック式・サブマージド式・エアフィン式・用途別選定): LNG気化器の3主要タイプ:①オープンラック式(海水熱源・Al合金・ベースロード用・設備費高・運転費低)②サブマージド式SMV(水中燃焼・LNG気化ガス熱源・ピークシェービング/緊急予備用・設備費低・運転費高)③エアフィン式(大気熱源・サテライト基地用・着霜着氷対策・複数台切替)。ベースロード用には運転費の安い気化器を選定。ピーク・緊急用には起動停止容易で設備費の安い気化器を選定。
- 節7 送出設備(ガスホルダー・ミキシングホルダー): 送出設備はガスホルダー(球形・円筒形)とミキシングホルダーから構成される。球形:表面積が少なく単位貯蔵ガス量あたり使用鋼材が少なく敷地面積・基礎工事費が少ない。円筒形:構造が比較的簡単でコンパクト・運搬や据付が容易・小容量用に最も経済的。ミキシングホルダー:製造ガスを混合し供給ガスの成分・熱量・燃焼性を均一化する。
- 節8 配管設備(LNG配管・弁類の特徴・低温弁・保冷材): LNG配管の原則:溶接継手構造・低温靭性材料・配管ループ(熱収縮対応)・圧力逃がし弁・ベント/ドレン設置。ボーイング現象:大口径配管の上下温度差による弓状変形→プレクールガスで予冷。弁類:仕切弁(全開全閉・圧力損失小)・玉形弁(圧力損失大・流向注意)・バタフライ弁・ボール弁(90°操作・急速開閉)・逆止弁・減圧弁・低温弁(ロングボンネット・保冷板・ディスクホール)。
- 節9 LPG設備(LPG受入・加圧式/低温式貯槽・LPGポンプ・LPG気化器): LPG設備:受入(タンクローリー→ガス圧縮機/ポンプで貯槽移送)、貯槽(加圧式:設計圧力高・円筒形/球形・高張力鋼使用、低温式:設計圧力低・冷凍機で再液化)。加圧式は常温で加圧して液化、低温式は低温に冷却して液化貯蔵。高張力鋼はH₂S等硫黄化合物による水素ぜい性割れのリスクがあるため、LPG中にH₂S等が含まれていないことが必要。
⚡ 全節 焦点ポイント
- 節5: 「キャビテーション防止:NPSHav > NPSHre」は最頻出数式。「キャビテーションは羽根車入口で発生しやすい」「キャビテーションは吸込配管を太く短くして防ぐ」。「サブマージド式:軸封部なし・ポンプとモーター一体・LNGで冷却・縦軸構造」の4点。「往復ポンプ:吐出量脈動あり・付臭剤ポンプ」「うず巻ポンプ:据付面積小・LNGポンプに使用」も確認。
- 節6: 「ベースロード用→運転費重視→オープンラック式」「ピーク・緊急予備用→設備費重視・起停容易→サブマージド式」の対比は最重要。「オープンラック式:Al合金・海水熱源・防食は溶射」「エアフィン式:サテライト基地・着霜対策・複数台切替」。「膜沸騰」「飛沫同伴」の定義も頻出。
- 節7: 「球形:単位貯蔵ガス量あたりの使用鋼材が少ない・敷地面積・基礎工事費が少ない」 / 「円筒形:小容量・最も経済的」「ミキシングホルダー:成分・熱量・燃焼性を均一化」の3点が頻出。
- 節8: 「LNG配管は原則溶接継手構造・配管ループ設置・圧力逃がし弁・ベント/ドレン」が基本4点。「低温弁:ロングボンネット・保冷板・ディスクホール(片側)」は頻出。「玉形弁は圧力損失大・仕切弁は圧力損失小・全開全閉専用」の対比も重要。「ボーイング現象:大口径配管上下温度差→弓状変形→プレクールで防止」。
- 節9: 「LPG加圧式貯槽に高張力鋼を使用する場合→H₂S等硫黄化合物が含まれていないことが必要」は頻出。「円筒形は小容量・最経済的」「球形は大容量・高張力鋼使用・肉厚薄い」の対比を覚える。「低温式LPG貯槽:設計圧力低・冷凍機で再液化」の特徴も確認。
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