製造 第2章-2 LNGの送出・気化・配管設備とLPG設備

LNGを気化してガスとして送り出す工程と、関連する配管・LPG設備を扱います。LNGポンプの種類とキャビテーション対策、各種LNG気化器の特徴と用途、ガスホルダー、低温配管・低温弁、LPGの受入・貯蔵・気化までを整理します。

乙種・甲種兼用 / 製造第2章を分割した一部分

💡 このページの読み方
乙種受験者の方 — 通常のテキスト本文だけでも合格圏に届きます
甲種受験者の方 — 各節の 🟦 甲種プラスα ボックスもあわせてお読みください

📍 この章で学ぶこと

– LNGポンプ(キャビテーション・NPSH・サブマージド式)

– LNG気化器(オープンラック式・サブマージド式・エアフィン式・選定基準)

– 送出設備(ガスホルダー・ミキシングホルダー)

– 配管設備(LNG配管・弁類・低温弁・保冷材)

– LPG設備(受入・加圧式/低温式貯槽・LPGポンプ・LPG気化器)


5. LNGポンプ等(ポンプ種類・キャビテーション・NPSH・サブマージド式LNGポンプ)

重要度: ★ 乙A / 甲B

🎯 一言で

ポンプ分類:非容積式(うず巻・斜流・軸流)と容積式(往復・ロータリー)。キャビテーション:圧力が飽和蒸気圧以下になり気泡発生→羽根車損傷・効率低下。防止条件:有効吸込ヘッド(NPSHav)>必要有効吸込ヘッド(NPSHre)。LNGポンプ:サブマージド式(ポンプ+モーター一体・軸封部なし・モーター冷却はLNG・縦軸構造・バランス機構)。

📖 解説(乙種ベース)

ポンプ分類:非容積式(うず巻・斜流・軸流)と容積式(往復・ロータリー)。キャビテーション:圧力が飽和蒸気圧以下になり気泡発生→羽根車損傷・効率低下。防止条件:有効吸込ヘッド(NPSHav)>必要有効吸込ヘッド(NPSHre)。LNGポンプ:サブマージド式(ポンプ+モーター一体・軸封部なし・モーター冷却はLNG・縦軸構造・バランス機構)。

ポンプの種類と分類

非容積式ポンプ(ターボ式):羽根車の回転に伴う遠心力・揚力で液体に圧力を与える

・うず巻ポンプ:遠心力の働きによって送液。効率良く軽量・据付面積小・取り扱い容易。

 製造所で多く使用(LNGポンプ・LPGポンプ)

・斜流ポンプ:遠心力と羽根の揚力の両方によって送液(海水ポンプ)

・軸流ポンプ:羽根が液に与える揚力によって送液

容積式ポンプ:一定容積内にある液体の圧力を上げ送液する

・往復ポンプ:正確に容量を制御するポンプや高い圧力を発生させるポンプに適している。

 吐出量が脈動する(付臭剤ポンプ)

・ロータリーポンプ:正確に容量を制御するのに適。吐出量の脈動なし(LPGポンプ)

サージング(非容積式のみ発生)

サージングはうず巻ポンプ等の非容積式ポンプで発生し、容積式ポンプでは発生しない。

キャビテーション(空洞現象)

定義:

流体の圧力がその液温での飽和蒸気圧以下になると、液体内部から蒸発気化し細かい気泡が多数発生する。

この現象をキャビテーションという。

発生場所:ポンプでは吸込圧力が低い時、局部的に一番低圧となる羽根車入口で気泡が発生しやすい。

影響:

①騒音・振動の発生

②ポンプの効率低下・吐出量の急激な低下

③長時間運転すると気泡が押しつぶされる衝撃で金属表面が壊食(エロージョン)→羽根車損傷

防止方法:

・吸込配管をなるべく太く短くし、付属物を少なくして吸込による圧力低下を防ぐ

・ポンプ入口直前での圧力を飽和蒸気圧以上にしておく

・有効吸込ヘッド(NPSHav)が必要有効吸込ヘッド(NPSHre)より大きくなるようにする

NPSH(Net Positive Suction Head:正味吸込ヘッド)

・有効吸込ヘッド(NPSHav):設備的にみて有効に利用できるNPSH。

 ポンプと関係なく吸込側の配管やプラント系から定まる。

 ポンプ吸込口の液が有する全圧力が液温に対応する飽和蒸気圧よりどれだけ高く安全側にあるかを液柱で表した値。

・必要有効吸込ヘッド(NPSHre):ポンプ入口から羽根車入口付近まで流入してきた液は一時的に圧力降下を生じる。

 この分を考慮してキャビテーションを起こすことなくポンプを運転できる液柱を必要有効吸込ヘッドという。

キャビテーション防止条件:NPSHav > NPSHre

LNGポンプ(サブマージド式

特徴:

・用途:LNG貯槽からのLNG払出し、LNG貯槽間の移送、LNG配管冷却用のLNG系内循環

・気化器で発生するガスの圧力を得るためガス加圧送出の役割も担っている

・軸封部がないサブマージド式を採用(ガス漏れ防止)

・ポンプとモーターを一体でポンプケーシングに入れた構造

・軸受けおよびモーターの冷却はLNGで行う

・入熱やポンプ内の発熱で発生するBOGを貯槽等に戻すラインを設ける

・軸受けに過大なスラスト荷重がかからないようにするためバランス機構を設けている

・縦軸構造(スラスト荷重とポンプ推力をバランスさせるため)

・ケーブル貫通部は、LNGポンプ側からケーブル端子側へガスの漏えいのない構造

・ポンプ材料は低温靱性に優れたものを使用

LPGポンプもキャビテーションの考慮が必要(LNGポンプと同様)

⚡ 焦点ポイント

「キャビテーション防止:NPSHav > NPSHre」は最頻出数式。「キャビテーションは羽根車入口で発生しやすい」「LNG電力費は吸込配管を太く短くして防ぐ」。「サブマージド式:軸封部なし・ポンプとモーター一体・LNGで冷却・縦軸構造」の4点。「往復ポンプ:吐出量脈動あり・付臭剤ポンプ」「うず巻ポンプ:据付面積小・LNGポンプに使用」も確認。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「LPGポンプはキャビテーションの考慮が不要」→誤り(必要)。 「サージングは容積式ポンプで発生する」→誤り(非容積式のみ)。 「キャビテーションが起こると吐出量が増加する」→誤り(急激に低下する)。 「NPSHav < NPSHreでキャビテーション防止できる」→逆。NPSHav > NPSHreが正しい。
  • 【最頻出】 「LPGポンプはキャビテーションの考慮が不要」→誤り(必要)。 「サージングは容積式ポンプで発生する」→誤り(非容積式のみ)。 「キャビテーションが起こると吐出量が増加する」→誤り(急激に低下する)。 「NPSHav < NPSHreでキャビテーション防止できる」→逆。NPSHav > NPSHreが正しい。
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

6. LNG気化器(オープンラック式サブマージド式エアフィン式・用途別選定)

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

LNG気化器の3主要タイプ:①オープンラック式(海水熱源・Al合金・ベースロード用・設備費高・運転費低)②サブマージド式SMV(水中燃焼・LNG気化ガス熱源・ピークシェービング/緊急予備用・設備費低・運転費高)③エアフィン式(大気熱源・サテライト基地用・着霜着氷対策・複数台切替)。ベースロード用には運転費の安い気化器を選定。ピーク・緊急用には起動停止容易で設備費の安い気化器を選定。

📖 解説(乙種ベース)

LNG気化器の3主要タイプ:①オープンラック式(海水熱源・Al合金・ベースロード用・設備費高・運転費低)②サブマージド式SMV(水中燃焼・LNG気化ガス熱源・ピークシェービング/緊急予備用・設備費低・運転費高)③エアフィン式(大気熱源・サテライト基地用・着霜着氷対策・複数台切替)。ベースロード用には運転費の安い気化器を選定。ピーク・緊急用には起動停止容易で設備費の安い気化器を選定。

LNG気化器選定の基本原則

ベースロード用:設備費が高額であっても運転費(ランニングコスト)が低廉な気化器を選定

 → オープンラック式気化器(海水熱源)

ピークシェービング用・緊急予備用:起動・停止が容易であって運転費が高くても設備費の低廉な気化器を選定

 → サブマージド式気化器(SMV)

主要なLNG気化器の特徴

■①オープンラック式気化器(ORV:Open Rack Vaporizer)

・熱源:海水(または海水に代わる水源)

・仕組み:多数の伝熱管(フィンチューブ)を並べたパネルの外面に海水を流し、内部のLNGを気化させる

・材質:アルミニウム合金(低温ぜい性がなく成形性が良い)

・防食対策:海水と接するフィンチューブ表面にアルミ亜鉛合金の溶射(防食対策)

・特徴:国内LNG気化器の主流。1次受入基地ベースロード

・設備費:高い / 運転費:低廉

LNG膜沸騰(伝熱面のLNGが沸騰し蒸気膜が形成されて熱伝達性能が低下する状態)への配慮が必要

・飛沫同伴(熱交換が十分に行われずLNGが完全に気化されず飛沫となって出ていく現象)への配慮が必要

■②サブマージド式気化器(SMV:Submerged Combustion Vaporizer)

・熱源:LNGの気化ガスを水中燃焼させた熱(水を加熱)

・仕組み:コンクリート製水槽に水を張り、LNGを水中燃焼させた燃焼ガスで水を温め、

 水槽内のステンレス製熱交換器に通したLNGを気化させる

・用途:1次受入基地ピークシェービング用・緊急予備用

・設備費:低廉 / 運転費:高い(オープンラック式より高い)

・起動・停止が容易であることが特徴

■③エアフィン式LNG気化器(AFV:Air Fin Vaporizer)

・熱源:大気(空気)

・用途:主にLNGサテライト基地用。ベースロード

・設備費:低廉(オープンラック式の海水設備が不要)/ 運転費:低廉(自然エネルギー利用)

・着霜・着氷問題:空気中の水分がチューブ表面に着霜・着氷し、熱交換器の性能が低下。

 長時間連続運転に制約。解決策:気化器を複数台持ち、切り替えながら性能回復

・出口ガス温度問題:冬季の気化器出口ガス温度が外気温度以下になる。

 対策:気化器の後流にNG加温器を設置

・冷霧問題:気化器まわりの空気が冷却され空気中の湿分が露状となった冷気が漂い、視覚上の不都合を生じる。

 対策:敷地境界までの距離をとる・冷気を拡散するファンを設置・冷気の流れを止めるための塀を設置

・改良型:空気強制循環型エアフィン式、強制通風型・押込送風型エアフィン式気化器

・伝熱管:アルミニウム合金製フィン付チューブが多い

その他のLNG気化器

・中間熱媒体型シェルアンドチューブ式:ランニングコストが低廉→1次受入基地ベースロード

・温水直接熱交換型シェルアンドチューブ式:主にサテライト基地

・バス式LNG気化器:温水槽に伝熱管を入れて温水を熱源として気化。温水槽は開放型。主にサテライト基地

⚡ 焦点ポイント

ベースロード用→運転費重視→オープンラック式」「ピーク・緊急予備用→設備費重視・起停容易→サブマージド式」の対比は最重要。「オープンラック式:Al合金・海水熱源・防食は溶射」「エアフィン式サテライト基地・着霜対策・複数台切替」。「膜沸騰」「飛沫同伴」の定義も頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「ベースロード用には設備費の安い気化器を選定する」→誤り(運転費の安い気化器を選定)。 「ピーク・緊急予備用には設備費の高い気化器を選定する」→誤り(設備費の安い気化器)。 「エアフィン式は1次受入基地の主流」→誤り(サテライト基地用)。 「オープンラック式の伝熱管材質はステンレス鋼」→誤り(アルミニウム合金)。 「サブマージド式の運転費はオープンラック式より安い」→誤り(高い)。
  • 「合金」「海水熱源」「防食」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

7. 送出設備(ガスホルダー・ミキシングホルダー)

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

送出設備はガスホルダー(球形・円筒形)とミキシングホルダーから構成される。球形:表面積が少なく単位貯蔵ガス量あたり使用鋼材が少なく敷地面積・基礎工事費が少ない。円筒形:構造が比較的簡単でコンパクト・運搬や据付が容易・小容量用に最も経済的。ミキシングホルダー:製造ガスを混合し供給ガスの成分・熱量・燃焼性を均一化する。

📖 解説(乙種ベース)

送出設備はガスホルダー(球形・円筒形)とミキシングホルダーから構成される。球形:表面積が少なく単位貯蔵ガス量あたり使用鋼材が少なく敷地面積・基礎工事費が少ない。円筒形:構造が比較的簡単でコンパクト・運搬や据付が容易・小容量用に最も経済的。ミキシングホルダー:製造ガスを混合し供給ガスの成分・熱量・燃焼性を均一化する。

送出設備の構成

供給ガスを貯蔵するガスホルダー、製造ガスを均一に混合するミキシングホルダー等から構成される。

ガスホルダーの種類

■球形ガスホルダー

・表面積が少ないので他のガスホルダーに比べて単位貯蔵ガス量あたりの使用鋼材が少なく、

 敷地面積と基礎工事費が少ない

・大容量に適している

■円筒形ガスホルダー

・構造が比較的簡単でコンパクトであり、運搬や据付が容易

・小容量のガスホルダーとして最も経済的であるので広く使用されている

ミキシングホルダー

・製造ガスを混合し、供給ガスの成分・熱量・燃焼性を均一化させる機能を有する

⚡ 焦点ポイント

「球形:単位貯蔵ガス量あたりの使用鋼材が少ない・敷地面積・基礎工事費が少ない」 / 「円筒形:小容量・最も経済的」「ミキシングホルダー:成分・熱量・燃焼性を均一化」の3点が頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「球形ガスホルダーは大容量に不向き」→誤り(大容量に適している)。 「ミキシングホルダーは熱量のみ均一化する」→誤り(成分・熱量・燃焼性すべてを均一化)。
  • 【最頻出】 「球形ガスホルダーは大容量に不向き」→誤り(大容量に適している)。 「ミキシングホルダーは熱量のみ均一化する」→誤り(成分・熱量・燃焼性すべてを均一化)。
  • 「成分」「熱量」「燃焼性」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

8. 配管設備(LNG配管・弁類の特徴・低温弁・保冷材)

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

LNG配管の原則:溶接継手構造・低温靭性材料・配管ループ(熱収縮対応)・圧力逃がし弁・ベント/ドレン設置。ボーイング現象:大口径配管の上下温度差による弓状変形→プレクールガスで予冷。弁類:仕切弁(全開全閉・圧力損失小)・玉形弁(圧力損失大・流向注意)・バタフライ弁・ボール弁(90°操作・急速開閉)・逆止弁・減圧弁・低温弁(ロングボンネット・保冷板・ディスクホール)。

📖 解説(乙種ベース)

LNG配管の原則:溶接継手構造・低温靭性材料・配管ループ(熱収縮対応)・圧力逃がし弁・ベント/ドレン設置。ボーイング現象:大口径配管の上下温度差による弓状変形→プレクールガスで予冷。弁類:仕切弁(全開全閉・圧力損失小)・玉形弁(圧力損失大・流向注意)・バタフライ弁・ボール弁(90°操作・急速開閉)・逆止弁・減圧弁・低温弁(ロングボンネット・保冷板・ディスクホール)。

LNG配管の基本要件

①配管材料:低温靭性に優れた材料を用いる

②接合方式:原則として溶接継手構造(溶接接合)とする。ただしメンテナンスが容易に行えるよう必要に応じフランジ継手部を設ける

③熱収縮・熱膨張対応:必要に応じ配管ループ等を設ける

 (注)オーステナイト系ステンレス鋼をLNG配管に使用する場合、配管ループが必要だが、

  線膨張係数がオーステナイト系ステンレス鋼の1/10である36%ニッケル合金を適用すれば配管ループ部を無くすことができる

④液封防止:弁により液がLNG配管中に封じ込められる恐れのあるところには、液の異常圧力上昇を防ぐための措置(圧力逃がし弁設置等)を講ずる

⑤ベント・ドレン:運転開始時またはメンテナンス時に管内部の流体(液体またはガス)が容易に置換できるように、ベント・ドレンを設ける

⑥ボーイング現象対策:大口径配管に直接低温液を導入すると、配管の上下方向に温度分布が生じ、

 上下の熱収縮差によりボーイング現象(配管が弓状に持ち上がる現象)が発生するため、

 低温のガス(プレクールガス)を発生させる設備を用いてプレクールを行なう

管継手の種類と使用箇所

使用箇所 | 継手の種類

直管の接続部 | フランジ等

曲管部 | エルボ、ベント

分岐部 | ティー等

異形部 | レジューサ等

管端の閉塞部 | 閉止フランジ、キャップ、プラグ

その他 | 伸縮管継手等

ガスケット:フランジ部等に挟み込んで圧縮し隙間を塞ぐ固定用シール材

LNG配管フランジ部のガスケットは低温状態で必要な弾性を有する材料で製作

保冷材:LNG配管の上からは着氷や結露がないよう必要厚さ以上の保冷材を施工する。

LNG配管の保冷材料としては硬質ウレタンフォーム保冷材が用いられ、その上から保冷材の保護のために外装材が施工される。

弁類の種類と特徴

LNG基地で一般的に用いられる弁:仕切弁、玉形弁、バタフライ弁、ボール弁、ニードル弁、逆止弁、減圧弁、安全弁など

■仕切弁(ゲート弁):

・円盤状の弁体(ディスク)が流路に対して垂直に上下することで開閉

・全開全閉で使用(中間開度は振動摩耗を起こす)

・圧力損失:小(流体流路が配管内径と等しいため)

・開閉時のストロークが大きく、開閉時間が長い

■玉形弁(グローブ弁):

・弁体が弁座面に垂直に開閉する形状

・流れの方向が急激に変化するため、流体の圧力損失が大きい

・中間開度・全開全閉どちらも可

・流れの方向が決まっているため取付時に注意が必要

・ニードル弁(弁体針状または円錐状):細かな流量調整可

■バタフライ弁:

・円盤状の弁体が弁棒を中心に90度回転することで流体を制御

・圧力損失:小

・90度の操作で開閉可→急速開閉向き

・構造が簡単・取り付けスペース小

■ボール弁:

・弁体が穴の開いた球状で、弁体を90度回転させることで流体を制御

・全開全閉で使用

・圧力損失:小

・90度の操作で開閉可→急速開閉向き

・シートリング(弾性体)が傷に弱く、破損が急激な漏れに繋がる

■逆止弁(チャッキ弁):

・流体の流れを常に一定方向に保ち逆流を防止する機能を持つ

・スイング式やリフト式等がある

■減圧弁:

・スプリングの力や流体の圧力を利用して弁開度を変化させ、流体を減圧させる弁

・直動式(スプリングの伸縮により弁開度を調節)とパイロット式(2次側圧力を利用)

■低温弁:

・低温靭性に優れた材料で製作

・グランド部の凍結を防止するため、一般的にロングボンネットが採用され、保冷板が設けられる

・ボンネット内に液が封入される形式の弁は、一般的に圧力の異常上昇を防ぐため弁体の片側にディスクホール(弁体の小孔)を設ける

⚡ 焦点ポイント

LNG配管は原則溶接継手構造・配管ループ設置・圧力逃がし弁・ベント/ドレン」が基本4点。「低温弁:ロングボンネット・保冷板・ディスクホール(片側)」は頻出。「玉形弁は圧力損失大・仕切弁は圧力損失小・全開全閉専用」の対比も重要。「ボーイング現象:大口径配管上下温度差→弓状変形→プレクールで防止」。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「LNG配管は原則フランジ継手構造」→誤り(原則溶接継手構造)。 「仕切弁は中間開度での使用が適している」→誤り(中間開度は振動摩耗が起きる→全開全閉専用)。 「低温弁のディスクホールは弁体の両側に設ける」→誤り(片側のみ)。 「LNG配管の保冷材は発泡スチロール」→誤り(硬質ウレタンフォーム)。 「玉形弁は圧力損失が小さい」→誤り(圧力損失が大きい)。
  • 「低温」が「高温」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「原則溶接継手構造」「配管ループ設置」「圧力逃」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる

9. LPG設備(LPG受入・加圧式/低温式貯槽・LPGポンプ・LPG気化器)

重要度: 乙B / 甲B

🎯 一言で

LPG設備:受入(タンクローリー→ガス圧縮機/ポンプで貯槽移送)、貯槽(加圧式:設計圧力高・円筒形/球形・高張力鋼使用、低温式:設計圧力低・冷凍機で再液化)。加圧式は常温で加圧して液化、低温式は低温に冷却して液化貯蔵。高張力鋼はH₂S等硫黄化合物による水素ぜい性割れのリスクがあるため、LPG中にH₂S等が含まれていないことが必要。

📖 解説(乙種ベース)

LPG設備:受入(タンクローリー→ガス圧縮機/ポンプで貯槽移送)、貯槽(加圧式:設計圧力高・円筒形/球形・高張力鋼使用、低温式:設計圧力低・冷凍機で再液化)。加圧式は常温で加圧して液化、低温式は低温に冷却して液化貯蔵。高張力鋼はH₂S等硫黄化合物による水素ぜい性割れのリスクがあるため、LPG中にH₂S等が含まれていないことが必要。

LPGの利用形態

LPGは常温で加圧すると液化(加圧式貯蔵)、常温より低温に冷却すると液化貯蔵が可能(低温式貯蔵)。

前者を加圧式貯蔵法、後者を低温式貯蔵法と呼ぶ。

LPGの輸送手段:タンクローリー輸送、貨車輸送、パイプライン輸送等

LPG受入設備(タンクローリー輸送)

タンクローリーからのLPG受入方法:

①貯槽と共に設置されているガス圧縮機またはポンプによるもの(一般的)

②タンクローリーに取り付けられているガス圧縮機またはポンプによって貯槽に移送する方法

LPG貯槽

■加圧式貯槽

・特徴:設計圧力は高くとれる

・形状:内容積に対する鋼材使用が多くなることから、占有する面積が小さい円筒形貯槽と球形貯槽が多く用いられる

  (大型では建設費が高くなるので低温貯槽の方が有利)

・円筒形貯槽:比較的小容量の貯槽として最も経済的で広く使用

・球形貯槽:円筒形貯槽より大容量化が可能。肉厚を薄くするため許容応力の大きい高張力鋼が用いられる場合が多い

■低温式貯槽

LNG貯槽と同様、地上式と地下式がある

・耐圧が低い(設計圧力10kPa程度)

・貯槽内で発生した蒸気は冷凍機で再液化して貯槽に戻される

高張力鋼と注意事項

・高張力鋼:合金成分の添加、組織の制御等により一般構造用鋼材よりも強度を向上させた鋼材

・高張力鋼は水素ぜい性を起こしやすい材料

LPG中にH₂S等の硫黄化合物があると腐食等で生じた水素原子が材料内部に侵入して水素ぜい性が発生しやすくなる

・応力がかかった状態で割れが生じるので「水素ぜい性割れ」または「硫化物応力腐食割れ」という

 → 都市ガス原料用LPG球形貯槽タンクの材料として高張力鋼を使用する場合、LPG中にH₂S等の硫黄化合物が含まれていないことが求められる

LPGポンプ

LPG貯蔵設備からの送液:LPG貯槽内圧力を利用して送液する場合とLPGポンプを用いる場合がある

LPGポンプの種類:

LNG1次受入基地:遠心式サブマージドポンプ

LNG2次受入基地LNGサテライト基地等:ベーン式ポンプ、キャンドモーターポンプ(ポンプやモーターを一体構造とし軸封装置をなくしたもの)

LPG気化器

・型式:シェルアンドチューブ式、バス式等

・熱源:温水、水蒸気、電気等

⚡ 焦点ポイント

LPG加圧式貯槽に高張力鋼を使用する場合→H₂S等硫黄化合物が含まれていないことが必要」は頻出。「円筒形は小容量・最経済的」「球形は大容量・高張力鋼使用・肉厚薄い」の対比を覚える。「低温式LPG貯槽:設計圧力低・冷凍機で再液化」の特徴も確認。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「LPG加圧式貯槽に高張力鋼を使用するとH₂Sがあっても問題ない」→誤り(水素ぜい性割れが起きる)。 「低温式LPG貯槽の設計圧力は高い」→誤り(設計圧力10kPa程度と低い)。 「円筒形LPG貯槽は大容量に最適」→誤り(小容量・最経済的で小容量向き)。
  • 「低温」が「高温」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「大容量」「高張力鋼使用」「肉厚薄」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる

🔢 製造の重要数値・設備の整理

LNG貯槽の主要タイプ:

– 金属二重殻式: 内槽9%Niスチール、外槽炭素鋼、断熱

– PC式(プレストレストコンクリート): 大容量、地震に強い

– 地下式: 完全埋設、漏えい時の安全

– 真空断熱式: 小型・高性能断熱

– 常圧断熱式: 大気圧運用

BOG圧縮機3種:

– 往復式: 高圧・小容量(吐出 1.0 MPa以上)

– 遠心式: 低中圧・大容量

– スクリュー式: 中圧・中容量

気化器の用途別選定:

オープンラック式: ベースロード(海水使用)

サブマージド式: ピークロード(自燃焼)

エアフィン式: サテライト基地(空気熱)

製造科目では、設備名・型式・運転条件の数値・原料の物性値の組み合わせで誤答が作られます。本章で出てきた数値・設備名を一覧で整理しておくと、選択肢の引っかけに気付きやすくなります。

🗒️ 3分で復習(章末まとめ)

🎯 全節 一言まとめ

  • 節5 LNGポンプ等(ポンプ種類・キャビテーション・NPSH・サブマージド式LNGポンプ): ポンプ分類:非容積式(うず巻・斜流・軸流)と容積式(往復・ロータリー)。キャビテーション:圧力が飽和蒸気圧以下になり気泡発生→羽根車損傷・効率低下。防止条件:有効吸込ヘッド(NPSHav)>必要有効吸込ヘッド(NPSHre)。LNGポンプ:サブマージド式(ポンプ+モーター一体・軸封部なし・モーター冷却はLNG・縦軸構造・バランス機構)。
  • 節6 LNG気化器(オープンラック式・サブマージド式・エアフィン式・用途別選定): LNG気化器の3主要タイプ:①オープンラック式(海水熱源・Al合金・ベースロード用・設備費高・運転費低)②サブマージド式SMV(水中燃焼・LNG気化ガス熱源・ピークシェービング/緊急予備用・設備費低・運転費高)③エアフィン式(大気熱源・サテライト基地用・着霜着氷対策・複数台切替)。ベースロード用には運転費の安い気化器を選定。ピーク・緊急用には起動停止容易で設備費の安い気化器を選定。
  • 節7 送出設備(ガスホルダー・ミキシングホルダー): 送出設備はガスホルダー(球形・円筒形)とミキシングホルダーから構成される。球形:表面積が少なく単位貯蔵ガス量あたり使用鋼材が少なく敷地面積・基礎工事費が少ない。円筒形:構造が比較的簡単でコンパクト・運搬や据付が容易・小容量用に最も経済的。ミキシングホルダー:製造ガスを混合し供給ガスの成分・熱量・燃焼性を均一化する。
  • 節8 配管設備(LNG配管・弁類の特徴・低温弁・保冷材): LNG配管の原則:溶接継手構造・低温靭性材料・配管ループ(熱収縮対応)・圧力逃がし弁・ベント/ドレン設置。ボーイング現象:大口径配管の上下温度差による弓状変形→プレクールガスで予冷。弁類:仕切弁(全開全閉・圧力損失小)・玉形弁(圧力損失大・流向注意)・バタフライ弁・ボール弁(90°操作・急速開閉)・逆止弁・減圧弁・低温弁(ロングボンネット・保冷板・ディスクホール)。
  • 節9 LPG設備(LPG受入・加圧式/低温式貯槽・LPGポンプ・LPG気化器): LPG設備:受入(タンクローリー→ガス圧縮機/ポンプで貯槽移送)、貯槽(加圧式:設計圧力高・円筒形/球形・高張力鋼使用、低温式:設計圧力低・冷凍機で再液化)。加圧式は常温で加圧して液化、低温式は低温に冷却して液化貯蔵。高張力鋼はH₂S等硫黄化合物による水素ぜい性割れのリスクがあるため、LPG中にH₂S等が含まれていないことが必要。

⚡ 全節 焦点ポイント

  • 節5: 「キャビテーション防止:NPSHav > NPSHre」は最頻出数式。「キャビテーションは羽根車入口で発生しやすい」「LNG電力費は吸込配管を太く短くして防ぐ」。「サブマージド式:軸封部なし・ポンプとモーター一体・LNGで冷却・縦軸構造」の4点。「往復ポンプ:吐出量脈動あり・付臭剤ポンプ」「うず巻ポンプ:据付面積小・LNGポンプに使用」も確認。
  • 節6: 「ベースロード用→運転費重視→オープンラック式」「ピーク・緊急予備用→設備費重視・起停容易→サブマージド式」の対比は最重要。「オープンラック式:Al合金・海水熱源・防食は溶射」「エアフィン式サテライト基地・着霜対策・複数台切替」。「膜沸騰」「飛沫同伴」の定義も頻出。
  • 節7: 「球形:単位貯蔵ガス量あたりの使用鋼材が少ない・敷地面積・基礎工事費が少ない」 / 「円筒形:小容量・最も経済的」「ミキシングホルダー:成分・熱量・燃焼性を均一化」の3点が頻出。
  • 節8: 「LNG配管は原則溶接継手構造・配管ループ設置・圧力逃がし弁・ベント/ドレン」が基本4点。「低温弁:ロングボンネット・保冷板・ディスクホール(片側)」は頻出。「玉形弁は圧力損失大・仕切弁は圧力損失小・全開全閉専用」の対比も重要。「ボーイング現象:大口径配管上下温度差→弓状変形→プレクールで防止」。
  • 節9: 「LPG加圧式貯槽に高張力鋼を使用する場合→H₂S等硫黄化合物が含まれていないことが必要」は頻出。「円筒形は小容量・最経済的」「球形は大容量・高張力鋼使用・肉厚薄い」の対比を覚える。「低温式LPG貯槽:設計圧力低・冷凍機で再液化」の特徴も確認。

📝 関連過去問

この章の知識が問われる過去問題リスト(全21問)。

ℹ️ 乙種・甲種は別の試験です。同じ問番号(例: 基問10)であっても、乙種と甲種では出題される問題内容は異なります。各年度・種別ごとの本文は 乙種過去問 / 甲種過去問 ページから確認してください。

乙種(11問)

令和7年: 製問2

令和6年: 製問2

令和5年: 製問2

令和4年: 製問2

令和3年: 製問2

令和2年: 製問2

令和元年: 製問2

平成30年: 製問2

平成29年: 製問2 / 製問7

平成28年: 製問2

甲種(10問)

令和7年: 製問2

令和6年: 製問2

令和5年: 製問2

令和4年: 製問2

令和3年: 製問2

令和2年: 製問2

令和元年: 製問2

平成30年: 製問2

平成29年: 製問2 / 製問7