製造 第2章-1 LNGの受入・貯蔵・BOG処理設備

製造 第2章-1 LNGの受入・貯蔵・BOG処理設備 解説動画
▶ この章の解説動画(クリックで再生)

都市ガス製造の入口工程である、LNGの受入から貯蔵、BOG(ボイルオフガス)処理までを扱います。受入基地の構成、アンローディングアーム、緊急遮断システム、各種LNG貯槽の構造、BOG発生メカニズムと処理方法を整理します。

乙種・甲種兼用 / 製造第2章を分割した一部分

💡 このページの読み方
乙種受験者の方 — 通常のテキスト本文だけでも合格圏に届きます
甲種受験者の方 — 各節の 🟦 甲種プラスα ボックスもあわせてお読みください

📍 この章で学ぶこと

– 都市ガス製造プロセスの全体像(LNG気化・LPGエアー混合・購入ガス)

– LNG受入設備(アンローディングアーム・ESDS・ERS・リターンガスブロワ)

– LNG貯槽の構造比較(金属二重殻式・PC式・地下式・真空断熱式・常圧断熱式)

– BOG処理設備(BOG圧縮機3種類・BOG再液化装置)


📑 この章の目次(全4節)
  1. 1. 製造プロセス概要(LNG気化・LPGエアー混合・購入ガス)
  2. 2. LNG受入設備(アンローディングアーム・ESDS・ERS・リターンガスブロワ)
  3. 3. LNG貯槽(各種タンク構造比較:金属二重殻式・PC式・地下式・真空断熱式・常圧
  4. 4. BOG処理設備(BOG圧縮機3種類比較・BOG再液化装置)

1. 製造プロセス概要(LNG気化・LPGエアー混合・購入ガス)

重要度: 乙C / 🟦 甲B

🎯 一言で

都市ガス製造の基本プロセスはLNG気化プロセス・LPG/エアー混合プロセス・購入ガスプロセスの3種類。LNG受入基地は1次(タンカー受入)・2次(内航船受入)・サテライト(ローリー受入)の3段階構成。1次受入基地LNGを気化して都市ガスを製造する中核拠点。

📖 解説(乙種ベース)

ガス会社が都市ガスをつくる方法は、原料を何にするかで決まる。海の近くでLNGを受けるのか、内陸でLPGを使うのか、パイプラインで天然ガスを買うのか。この3択が、そのまま製造プロセスの3種類になる。

製造プロセスの種類

主役は①LNG気化プロセスだ。LNG受入基地でLNGを受け入れ、LNG貯槽に貯蔵し、LNG気化器で気化して都市ガスを製造する。そのうえで必要に応じて熱量調整LPG添加等)を行い、付臭・計量して供給する。順序に注意したい。付臭は気化より後——液体のうちに匂いは付けない。

LPG・エアー混合プロセスは、プロパン等のLPGを気化し、空気(エアー)と混合して都市ガスとする方式である。LNG基地は港がなければ成り立たないため、海岸部から離れた製造所や小規模製造にはこちらが用いられる。

③購入ガスプロセスは、天然ガス産地の近くに立地する製造所で、パイプラインで輸送された天然ガスを受け入れる方式だ。自前で液化も気化もしない、いわば仕入れ型である。

LNG受入基地の種類と特徴

🖼 図解
LNGから都市ガスへLNGから都市ガスへ
基地種別受入方法規模主な設備
1次受入基地LNGタンカー大規模アンローディングアーム・大型LNG貯槽・LNG気化器・BOG処理設備
2次受入基地内航船LNG運搬船)中規模LNG気化器・BOG処理設備
サテライト基地LNGローリー小規模加圧蒸発器・エアフィン式気化器(ポンプ不要・リターンガスブロワ不要)

サテライト基地の特徴(1次・2次基地との違い)

上の表の3段階は、宅配便の集配網に似ている。大型ターミナルに当たるのが1次受入基地、中継所が2次受入基地、街なかの営業所がサテライト基地だ。規模が小さくなるほど設備は削られていくのだが、何が削られるのかがそのまま試験の焦点になる。

まず受入方法。LNGローリーから加圧蒸発器でLNGを受け入れる。1次・2次基地のLNGポンプによる圧入と異なり、蒸発圧力を利用するためポンプが要らない。押し込むのではなく、自身の蒸発圧力で送り出させるわけだ。

リターンガスブロワも不要になる。1次・2次基地ではタンカー貯槽内圧を保つために必要な設備だが、ローリー受入ではその相手がいない。「サテライト基地にもリターンガスブロワが必要」と書かれていたら誤りである。

貯槽と気化器も専用のものになる。貯槽は真空断熱式円筒形(工場組立のため輸送制約あり・大型化不可)または常圧断熱式円筒形(現地組立・大型化可能)。気化器はエアフィン式気化器(大気熱源・運転費低廉)を主に使用する。

覚える
サテライト基地LNGローリー受入・加圧蒸発器・LNGポンプ不要・リターンガスブロワ不要

🟦 甲種プラスα

甲種では「製造プロセス概要(LNG気化・LPGエアー混合・購入ガス)」の本文の概念をより深く理解した上で、論述問題への応用が問われます。本文の数値・設備名・原理をしっかり押さえてください。

⚡ 焦点ポイント

サテライト基地LNGローリーで受入・加圧蒸発器使用・ポンプ不要・リターンガスブロワ不要」は頻出。1次・2次・サテライトの違い(受入方法・設備構成)を対比して覚える。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 サテライト基地は「ポンプ不要・リターンガスブロワ不要」が正解。「ポンプが必要」や「リターンガスブロワが必要」とする誤り選択肢に注意。
  • 「受入」「加圧蒸発器使用」「ポンプ不要」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)

2. LNG受入設備(アンローディングアームESDSERS・リターンガスブロワ)

💡 図の見方:緊急遮断は必ずESD-1で流れを止めてから、ESD-2でアームを切り離すという順序を、左から右の3コマで示した図です。中央のコマでアームがまだつながっている点が要で、流れたまま切り離せばそこからLNGが噴き出してしまいます。試験ではこの2段階を逆にした選択肢が最頻出なので、「止めてから外す」を矢印の向きごと覚えてください。

重要度: ★ 乙B / 🟦 甲A

🎯 一言で

LNG受入設備の主要機器:アンローディングアーム(スイベルジョイント・オーステナイト系SUS)、ESDS緊急遮断システム:ESD-1→ESD-2の2段階)、ERS緊急離脱装置:カプラー分離)、リターンガスブロワ(タンカー貯槽内圧維持・サージングなし要件)。サテライト基地はリターンガスブロワ不要。

📖 解説(乙種ベース)

船が着岸してからLNGが貯槽に収まるまで、岸壁には4つの機器が並ぶ。LNGタンカーからLNGを受け入れるための設備であり、主要機器はアンローディングアーム緊急遮断システムESDS)、緊急離脱装置ERS)、リターンガスブロワである。つなぐ・止める・切り離す・圧を保つ、と役割で並べると混同しない。

アンローディングアーム(Unloading Arm)

「つなぐ」を担当するのがアンローディングアームで、LNGタンカーと岸壁配管をつなぐ可動式配管設備だ。可動式でなければならない理由は、船が波で絶えず動くからである。そこで接続部には、アームの動きに対応できる「スイベルジョイント(回転継手)」を使用する。

材質はオーステナイト系ステンレス鋼。低温での靭性確保・耐食性のためで、低温で粘り強く、かつ錆びにくい材料でなければ務まらない。なおアームにはLNG用とリターンガス用の2種類がある。

キーワード
スイベルジョイント(回転継手) — アームの動きに対応するため接続部に使う継手。アンローディングアームの材質はオーステナイト系ステンレス鋼

緊急遮断システムESDS:Emergency Shutdown System)

LNG受入中に異常が発生した場合に、LNGの流れを遮断して被害の拡大を防ぐシステムがESDSである。ここで大事なのは順番だ。台所で鍋に火が付いたとき、まず火を止め、それから鍋を動かす。逆をやれば、燃えている鍋を持ち歩くことになる。

だから遮断は2段階で進む。①ESD-1(第1段階)でLNG荷役ポンプの停止と荷役弁の閉止を行い、流れを止める。②ESD-2(第2段階)はESD-1の後、ERS(緊急離脱装置)を動作させ、アンローディングアームをLNG船から切り離す。流れたままアームを外せば、そこからLNGが噴き出す——出題者はこの順番をひっくり返してくる。

覚える
ESD-1=荷役ポンプ停止+荷役弁閉止(流れを止める)→ ESD-2=ERSでアーム切り離し。必ずESD-1が先

緊急離脱装置ERS:Emergency Release System)

ERSは、LNGタンカーが予期せず離桟した場合等にアンローディングアームを緊急に切り離す装置だ。「タンカーを安全に離桟させるための装置」ではなく、予期せぬ離桟に備える安全装置——この違いが問われる。

構造としてはカプラー(連結器)で接続されており、緊急時にカプラー部分で切り離しを行う。切り離し時には両側の弁が自動的に閉止される構造になっており、LNGの漏えいを最小限にする。切れた瞬間に両側とも蓋が閉まる、と押さえておけばよい。

リターンガスブロワ(Return Gas Blower)

荷揚げが進むと、タンカーの貯槽は中身が減っていく。減れば内圧が下がる。この低下を防ぐのがリターンガスブロワで、LNGタンカーがLNGを荷揚げする際、タンカー貯槽内のガス圧が低下するのを防ぐため、基地のBOGボイルオフガス)をタンカー貯槽に送り込んで内圧を一定に保つ送風機である。「タンカーを空にするための設備」でも「内圧の上昇を防ぐ設備」でもない。守っているのは、圧力の下がりすぎだ。

このブロワには要件がある。サージング(流量振動)が起こらないことだ。回転式スクリュー型はサージングなし、往復式もサージングなし。遠心式はサージングありなので、この用途では不利になる。

なおサテライト基地では、LNGローリーからの受入のためリターンガスブロワは不要である。

LNGタンカーの接続前準備:プレクール(事前冷却)

つなぐ前にも一手間が要る。大口径配管を直接極低温LNGで冷却すると、配管上下の温度差によりボーイング現象が発生するからだ。上が温いまま下だけ縮めば、管は弓なりに反る。

このため低温ガス(プレクールガス)を送気してアンローディングアームや配管を予め冷却(プレクール)してから、接続・荷揚げを行う。いきなり冷やさず段階を踏む——クールダウンとまったく同じ思想である。

🟦 甲種プラスα

甲種では「LNG受入設備(アンローディングアームESDSERS・リターンガスブロワ)」の本文の概念をより深く理解した上で、論述問題への応用が問われます。本文の数値・設備名・原理をしっかり押さえてください。

🖼 図解
アンローディングアームアンローディングアーム
🖼 図解
リターンガスブロワリターンガスブロワ
🖼 図解
緊急遮断システムの2段階 ESD-1からESD-2へ進む順序緊急遮断システムの2段階 ESD-1からESD-2へ進む順序

⚡ 焦点ポイント

ESDS:ESD-1→ESD-2の2段階」の順番と内容(1:荷役停止+弁閉止 / 2:アーム切り離し)は頻出。「リターンガスブロワのサージングなし要件」「サテライト基地はリターンガスブロワ不要」をセットで覚える。「アンローディングアームの材質はオーステナイト系SUS・スイベルジョイント使用」も確認。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 ESDの順番を逆(ESD-2が先)にする誤り選択肢に注意。 「リターンガスブロワはタンカー貯槽の内圧を保つ」→「タンカーを空にするため」ではない。 「サテライト基地はリターンガスブロワが必要」→誤り(不要)。 ERSは「タンカーが安全に離桟するための装置」ではなく「予期せぬ離桟に対応する安全装置」。

3. LNG貯槽(各種タンク構造比較:金属二重殻式・PC式・地下式・真空断熱式・常圧断熱式)

重要度: ★ 乙B / 🟦 甲A

🎯 一言で

LNG貯槽は5種類:①金属二重殻式平底円筒形(内槽9%Ni鋼/Al合金・外槽炭素鋼・内外槽間=断熱材+窒素・防液堤あり)②PC式平底円筒形(防液堤をPCで一体化・ポンプ貯槽内)③地下式メンブレン型(防液堤なし・SUSメンブレン・コルゲーション加工)④真空断熱式円筒形(サテライト・内外槽間=断熱材+真空・工場組立→輸送制約・容量制限)⑤常圧断熱式円筒形(サテライト・内外槽間=断熱材+窒素・現地組立→大型化可能)

📖 解説(乙種ベース)

LNG貯槽は5種類あるが、覚える対象は種類名ではない。内槽に何を使うか、内外槽の間に何を詰めるか、防液堤は要るか、ポンプはどこに置くか——この4つの軸で各方式が違うだけだ。軸で捉えれば、組合せを入れ替えた選択肢も見抜ける。

LNG貯槽の種類と構造比較

■①金属二重殻式平底円筒形(Metal Double Containment Tank)

標準型がこれである。内槽には9%ニッケル鋼またはアルミニウム合金を使う。低温靭性を確保するためだ。一方の外槽は炭素鋼でよい。極低温に直接さらされるのは内槽だけなので、材料を使い分けられる。

内外槽間には断熱材(パーライト等)と窒素ガスを封入する。断熱材は熱を止めるためだが、窒素の役目は別だ。酸素を不在にして可燃物の爆発を防ぐためであり、「空気を封入する」と書かれていたら誤りになる。この窒素ガスの圧力を調整するのがブリージングタンクである。

外側には防液堤(セカンダリーコンテインメント)を設ける。内槽から漏えいしたLNGを堰き止める外部堤で、植木鉢の下に敷く受け皿と同じ役回りだ。そしてポンプは貯槽外に設置する——この1点が、次に見るPC式との分かれ目になる。

キーワード
ブリージングタンク — 内外槽間に封入した窒素ガスの圧力を調整するタンク

■②PC式(プレストレストコンクリート式)平底円筒形

金属二重殻式の弱点は、防液堤を別に建てるぶん敷地を食うことだった。そこでプレストレストコンクリート(PC)製外槽が防液堤を一体化した構造にしたのがPC式である。防液堤がPC外槽と一体のため、金属二重殻式に比べて設置面積が小さい。

内槽は金属二重殻式と同じく9%ニッケル鋼またはアルミニウム合金を使う。違いはポンプの位置で、PC式ではポンプを貯槽内に設置する。

■③地下式(メンブレン式コンクリート貯槽)

敷地をさらに詰めていくと、最後は地面の下へ潜ることになる。地下式は地下に構築したコンクリート製の躯体内に設置する方式で、内面はステンレス薄板メンブレンで覆う。

ここで疑問が出る。薄い金属板が極低温で縮んだら、裂けないのか。答えがコルゲーション加工で、断熱材に密着して熱収縮を吸収する波型が付けてある。そして地下式のため、防液堤は不要である。

特徴は、地震や津波に強いこと。都市部など設置面積が限られる場所に適する。

キーワード
コルゲーション加工 — メンブレンに施す波型。断熱材に密着して熱収縮を吸収する

■④真空断熱式円筒形(サテライト基地用)

ここから2つはサテライト基地用の貯槽である。真空断熱式は内槽にステンレス鋼(SUS)を使い、内外槽間を断熱材+真空とする。真空は熱を伝える媒体そのものを取り去るので、高い断熱性能が得られる。

ところが性能と引き換えに制約が付く。真空層をつくるには工場で一体組立をする必要があり、完成品を運ぶ以上、輸送制約があり大型化不可(容量に制限)となる。「真空断熱式は大型化できる」は、この因果を無視した誤りである。

■⑤常圧断熱式円筒形(サテライト基地用)

では大きくしたいときはどうするか。内外槽間を断熱材+窒素にすればよい。真空断熱式に比べ断熱性能は若干劣るが、現地組立ができるため輸送制約なし・大型化可能になる。断熱性能を少し譲って容量を取った方式だ、と対比のまま覚えておきたい。

構造比較まとめ

🖼 図解
金属二重殻式LNG貯槽金属二重殻式LNG貯槽
🖼 図解
ブリージングタンクブリージングタンク
🖼 図解
地中式貯槽とポンプバレル地中式貯槽とポンプバレル
🖼 図解
メンブレン式貯槽の断面メンブレン式貯槽の断面
種類内槽材料内外槽間防液堤ポンプ位置特徴
金属二重殻式9%Ni鋼/Al合金断熱材+窒素別途設置槽外標準的大型タンク
PC式9%Ni鋼/Al合金断熱材+窒素PC外槽一体槽内設置面積小
地下式メンブレンSUSメンブレン断熱材(硬質ウレタンフォーム)不要槽内都市部・耐震性高
真空断熱SUS断熱材+真空不要不要(加圧払出)サテライト・容量制限
常圧断熱SUS断熱材+窒素不要不要(加圧払出)サテライト・大型化可

🟦 甲種プラスα

甲種では「LNG貯槽(各種タンク構造比較:金属二重殻式・PC式・地下式・真空断熱式・常圧断熱式)」の本文の概念をより深く理解した上で、論述問題への応用が問われます。本文の数値・設備名・原理をしっかり押さえてください。

⚡ 焦点ポイント

「金属二重殻式:内外槽間は断熱材+窒素・外側に防液堤」「地下式:防液堤不要・SUSメンブレン・コルゲーション加工」「真空断熱式:工場組立・輸送制約・容量制限」「常圧断熱式:現地組立・大型化可能」の4点が頻出。PC式の「防液堤とPC外槽が一体」も確認。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「真空断熱式は大型化できる」→誤り(工場組立のため輸送制約があり容量制限がある)。 「地下式には防液堤が必要」→誤り(地下式は防液堤不要)。 「金属二重殻式のポンプは槽内」→誤り(槽外)。PC式・地下式・サテライト用は槽内。 「内外槽間の窒素」は酸素を排除して爆発を防ぐ目的(真空断熱式は断熱材+真空で窒素でない)。
  • 「工場組立」「輸送制約」「容量制限」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)

4. BOG処理設備(BOG圧縮機3種類比較・BOG再液化装置)

💡 図の見方:同じ「再液化」でも、BOGとLNGを直接混ぜるか、熱交換器越しに冷やすだけかで濃縮対策への効き方が正反対になることを示した図です。直接混合はBOGがそのまま貯槽の液に加わるので濃縮対策になりませんが、間接熱交換は冷熱だけを使うので有効です。試験では「直接混合方式は濃縮対策に有効」という誤りが定番なので、上段に熱交換器が無いことを手がかりにしてください。

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

BOGボイルオフガス)は貯槽内の入熱で発生し、貯槽内圧上昇を防ぐためBOG圧縮機で処理する。圧縮機3種類:往復式(レシプロ:サージングなし・スナッバタンク必要・効率高・振動大)、遠心式(ターボ型:サージングあり・低圧大容量・動力費大・振動小)、回転式スクリュー型(サージングなし・容量連続調整可・BOG0℃以上加熱後圧縮)。BOG再液化装置:直接混合方式(電力削減効果あり・LNG濃縮対策に無効)と間接熱交換方式(濃縮対策有効)。

📖 解説(乙種ベース)

BOG(Boil Off Gas)とは、LNG貯槽内で外部からの入熱により一部のLNGが蒸発して発生するガスである。断熱をどれだけ厚くしても入熱をゼロにはできない以上、BOGは必ず出る。密閉容器にドライアイスを入れて放置すれば内圧が上がっていくのと同じで、放置は選択肢にならない。

発生量はLNG貯槽の基数とLNG受入配管の長さに依存する。熱が入ってくる経路が増えれば蒸発も増える、という素直な関係だ。

では発生したBOGをどうするか。そのままにすると貯槽内圧が上昇するため、BOG圧縮機を使用して昇圧し、都市ガス系統に組み込む。捨てるのではなく、送り出すガスに合流させるわけだ。もう一つ、再液化して貯槽に戻す道もあり、こちらは節の後半で扱う。

BOG圧縮機3種類の特徴比較

■往復式(レシプロ式)圧縮機

ピストンの往復運動によりガスを圧縮する、いちばん素朴な方式だ。押し切るので効率は高く(吐出圧力が異常低下時以外)、そのぶん動力費は小さい。ガス流量は送出圧力の変化があってもあまり変わらないという長所もある。ただし吐出管を絞ると圧力が上昇するため、安全装置が必要になる。

押し引きを繰り返す方式ゆえの短所も分かりやすい。振動は大きく、設備費も大きい。そしてピストン往復による脈動を抑えるため、クッション用タンクであるスナッバタンクが必要になる。スナッバタンクが要るのは3方式のうち往復式だけだ。容量調整は段階的で、アンローダー弁・クリアランス弁を使用する。サージングは発生しない。低温仕様は有り、駆動は回転数の低い極数の多い同期電動機と直結または減速装置を使用する。

■遠心式(ターボ型)圧縮機

羽根車(インペラ)の回転によりガスに遠心力を与えて圧縮する方式で、低圧・大容量用に使用される。回る一方なので振動は小さく、設備費は中程度。容量調整も弁操作で比較的容易で、スナッバタンクは不要だ。低温仕様は有る。

弱点は効率である。定格点以外の部分負荷では効率が低く、動力費は大きくなる。さらにこの方式だけサージングが発生する。吐出口を絞りすぎるとサージングが起こる可能性があるためだ。特性としてはガス比重にほぼ比例して圧力が上昇し、所要動力は吸入ガス質量流量に比例する。駆動は誘導電動機と直結または増速装置を使用する。

■回転式スクリュー型圧縮機

M/F(メス・オス)ロータの噛み合いによりガスを圧縮する方式。ガス流量は送出圧力が変化しても広範囲にわたりほぼ一定で、容量調整はスライド弁操作により連続調整可——往復式・遠心式より優れるのがここだ。サージングは発生せず、スナッバタンクも不要。振動は小さく、設備費は中である。

ただしこの方式だけ、圧縮の前に一手間が入る。BOGは低温のため、熱交換器により0℃以上に加熱してから圧縮するのだ。つまり低温仕様ではない。効率はターンダウン50%以上の場合に高いが、BOGの加温器が必要なため動力費は中程度にとどまる。加温という余計な仕事を挟むぶん、効率の良さが目減りすると考えればつながる。駆動は誘導電動機と直結使用、場合によっては増速装置を使用する。

キーワード
スナッバタンク — ピストン往復による脈動を抑制するためのクッション用タンク。必要なのは往復式のみ

3種類比較まとめ

🖼 図解
BOG発生と処理の流れBOG発生と処理の流れ
🖼 図解
BOG再液化の2方式 直接混合方式と間接熱交換方式の違いBOG再液化の2方式 直接混合方式と間接熱交換方式の違い
項目往復式遠心式回転式スクリュー型
サージングなしありなし
容量調整段階的比較的容易連続調整可
スナッバタンク必要不要不要
効率高い低い高い(TD50%以上)
動力費
振動
低温仕様無(0℃以上に加熱)

BOG再液化装置

もう一つの処理ルートが再液化である。BOGを再びLNGに液化してタンクに戻す装置で、直接混合方式と間接熱交換方式がある。同じ「再液化」でも濃縮への効き方が正反対になる点が、この節の急所だ。

①直接混合方式は、昇圧したBOGLNGと直接混合して再液化する方式である。電力削減効果はある。ところがLNG貯槽内のLNGの濃縮対策には有効でない。BOGがそのまま混合されるためだ。

②間接熱交換方式は、昇圧したBOGLNGの冷熱により熱交換器で再液化させる方式だ。こうして再液化したBOGを貯槽に戻す方式は、濃縮対策に有効となる。

覚える
直接混合方式=電力削減効果あり・濃縮対策に有効でない/間接熱交換方式=濃縮対策に有効

⚡ 焦点ポイント

最頻出:「往復式はサージングなし・スナッバタンク必要」「遠心式はサージングあり・低圧大容量」「回転式スクリュー型はサージングなし・連続調整可・BOG0℃以上に加熱」。 / 「BOG再液化直接混合方式は電力削減効果あるが濃縮対策に無効」も頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 ■「往復式はサージングが発生する」→誤り(サージングなし)。 ■「遠心式のスナッバタンクが必要」→誤り(不要)。スナッバタンクは往復式のみ。 ■「回転式スクリュー型は低温仕様あり」→誤り(低温仕様なし・BOGを0℃以上に加熱して使用)。 ■「BOG再液化直接混合方式は濃縮対策に有効」→誤り(有効でない)。

🗒️ 3分で復習(章末まとめ)

🎯 全節 一言まとめ

  • 節1 製造プロセス概要(LNG気化・LPGエアー混合・購入ガス): 都市ガス製造の基本プロセスはLNG気化プロセス・LPG/エアー混合プロセス・購入ガスプロセスの3種類。LNG受入基地は1次(タンカー受入)・2次(内航船受入)・サテライト(ローリー受入)の3段階構成。1次受入基地LNGを気化して都市ガスを製造する中核拠点。
  • 節2 LNG受入設備(アンローディングアーム・ESDS・ERS・リターンガスブロワ): LNG受入設備の主要機器:アンローディングアーム(スイベルジョイント・オーステナイト系SUS)、ESDS緊急遮断システム:ESD-1→ESD-2の2段階)、ERS緊急離脱装置:カプラー分離)、リターンガスブロワ(タンカー貯槽内圧維持・サージングなし要件)。サテライト基地はリターンガスブロワ不要。
  • 節3 LNG貯槽(各種タンク構造比較:金属二重殻式・PC式・地下式・真空断熱式・常圧断熱式): LNG貯槽は5種類:①金属二重殻式平底円筒形(内槽9%Ni鋼/Al合金・外槽炭素鋼・内外槽間=断熱材+窒素・防液堤あり)②PC式平底円筒形(防液堤をPCで一体化・ポンプ貯槽内)③地下式メンブレン型(防液堤なし・SUSメンブレン・コルゲーション加工)④真空断熱式円筒形(サテライト・内外槽間=断熱材+真空・工場組立→輸送制約・容量制限)⑤常圧断熱式円筒形(サテライト・内外槽間=断熱材+窒素・現地組立→大型化可能)
  • 節4 BOG処理設備(BOG圧縮機3種類比較・BOG再液化装置): BOGボイルオフガス)は貯槽内の入熱で発生し、貯槽内圧上昇を防ぐためBOG圧縮機で処理する。圧縮機3種類:往復式(レシプロ:サージングなし・スナッバタンク必要・効率高・振動大)、遠心式(ターボ型:サージングあり・低圧大容量・動力費大・振動小)、回転式スクリュー型(サージングなし・容量連続調整可・BOG0℃以上加熱後圧縮)。BOG再液化装置:直接混合方式(電力削減効果あり・LNG濃縮対策に無効)と間接熱交換方式(濃縮対策有効)。

⚡ 全節 焦点ポイント

  • 節1: 「サテライト基地LNGローリーで受入・加圧蒸発器使用・ポンプ不要・リターンガスブロワ不要」は頻出。1次・2次・サテライトの違い(受入方法・設備構成)を対比して覚える。
  • 節2: 「ESDS:ESD-1→ESD-2の2段階」の順番と内容(1:荷役停止+弁閉止 / 2:アーム切り離し)は頻出。「リターンガスブロワのサージングなし要件」「サテライト基地はリターンガスブロワ不要」をセットで覚える。「アンローディングアームの材質はオーステナイト系SUS・スイベルジョイント使用」も確認。
  • 節3: 「金属二重殻式:内外槽間は断熱材+窒素・外側に防液堤」「地下式:防液堤不要・SUSメンブレン・コルゲーション加工」「真空断熱式:工場組立・輸送制約・容量制限」「常圧断熱式:現地組立・大型化可能」の4点が頻出。PC式の「防液堤とPC外槽が一体」も確認。
  • 節4: 最頻出:「往復式はサージングなし・スナッバタンク必要」「遠心式はサージングあり・低圧大容量」「回転式スクリュー型はサージングなし・連続調整可・BOG0℃以上に加熱」。 / 「BOG再液化直接混合方式は電力削減効果あるが濃縮対策に無効」も頻出。

📝 一問一答(過去問ランダム)

記述が正しいか誤りかを判定。答え・理由・出典が出ます。

次の記述は 正しい? 誤り?0 / 0

いま、学習で困っていることを教えてください

当サイトは過去問9年分・教材42章を無料で公開しています。 これを続けていくために、次に何を作るべきかを知りたいです。2分・8問です。

※お名前やメールアドレスは必須ではありません。

📚 この章の過去問をランダムに解く 読んだら即演習。過去問から最大10問(解説・誤答記録つき)
乙種で解く ▶ 甲種で解く ▶