鋼管溶接の概要、被覆アーク溶接、マグ・溶接施工、溶接管理、溶接欠陥、非破壊試験(RT・UT・MT・PT)、安全衛生までを扱います。乙種・甲種ともに重要度A。
乙種・甲種兼用 / 全8節 / 学習目安: 30〜60分
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📍 はじめに
溶接は鋼管導管の信頼性を決める技術です。一見地味ですが、欠陥があると数十年後の漏えい事故につながります。この章では溶接方法・欠陥・検査を論述レベルで整理します。
📍 この章で学ぶこと(3ブロック・全8節)
各節の重要度を 乙種 / 甲種 で並べて表示します。
🟦 = 甲種で重要度が乙種より上がる節 / ★ = 重要度A節
ブロック1: 溶接の基礎
| 節 | タイトル | 乙 | 甲 |
|---|---|---|---|
| 1 | 溶接の概要 | ★A | ★A |
| 2-1 | 溶接方法(被覆アーク溶接) | ★A | ★A |
| 2-2 | 溶接方法(マグ溶接・溶接施工) | ★A | ★A |
ブロック2: 管理と欠陥
| 節 | タイトル | 乙 | 甲 |
|---|---|---|---|
| 3 | 溶接管理 | C | 🟦 B |
| 4 | 溶接欠陥 | ★A | ★A |
ブロック3: 試験と安全
| 節 | タイトル | 乙 | 甲 |
|---|---|---|---|
| 5-1 | 非破壊試験(放射線透過試験 RT) | ★A | ★A |
| 5-2 | 非破壊試験(UT・MT・PT)の比較 | B | B |
| 6 | 溶接の安全衛生 | C | C |
📚 テキスト解説
各節は次の構成で進みます。
– 🎯 一言で
– 📖 解説(乙種ベース)
– 🟦 甲種プラスα(必要な節のみ)
– ⚡ 焦点ポイント
– 📝 過去問のひっかけ例
1. 溶接の概要
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
溶接の分類(融接・圧接・ろう接)・溶接部名称(溶接金属・溶着金属・熱影響部)・開先形状(V形・U形)
📖 解説(乙種ベース)
溶接の分類(融接・圧接・ろう接)・溶接部名称(溶接金属・溶着金属・熱影響部)・開先形状(V形・U形)
溶接方法の3分類
①融接:母材の一部を溶かし合わせて一体にする方法。アーク溶接・レーザービーム溶接・エレクトロニクスガス溶接等。ガス導管の接合に主に使用。
②圧接:接合部に機械的圧力を加えながら加熱する方法。抵抗溶接・鍛接がこれに相当。
③ろう接:母材を溶かさず、母材より融点の低い金属(ろう)を溶かし込んで接合。ろう付け・ハンダ付け等。
溶接部の名称(アーク溶接の場合)
・溶接金属:溶接中に溶融凝固した金属(溶加材と母材が溶け合ったもの)
= 溶着金属(溶加材が溶着した部分)+母材の融合した部分
・溶着金属:溶加材が母材に溶着した金属(一般に溶接金属と同義で使われる)
・熱影響部(HAZ):溶接の熱で金属組織や機械的性質が変化を受けた、溶融していない母材の部分
溶接継手の種類
突合せ溶接・重ね継手溶接(すみ肉溶接・スポット溶接)等
開先(グルーブ)
・導管の突合せ溶接部の開先形状はV形・U形が多用される
・良好な溶接品質のため:適正な開先形状・寸法と平滑・清浄な開先
・開先準備:グラインダーを用いて水分・油分・付着物を除去
⚡ 焦点ポイント
「熱影響部は溶融していない母材の部分」「抵抗溶接は圧接に分類」「導管突合せ溶接の開先はV形・U形」が頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 溶接金属と溶着金属を混同しない。溶着金属は溶加材が溶着した金属で厳密には溶接金属とは同一でない。
- 「熱影響部は溶融していない母材の部分」「抵抗溶接は圧接に分類」「導管突合せ溶接の開先はV形・U形」が頻出
- その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
2-1. 溶接方法(被覆アーク溶接)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
被覆アーク溶接の仕組み・被覆剤の効用5点・溶接棒管理(乾燥・吸湿防止)
📖 解説(乙種ベース)
被覆アーク溶接の仕組み・被覆剤の効用5点・溶接棒管理(乾燥・吸湿防止)
被覆アーク溶接の仕組み
心線に被覆剤(フラックス)を塗った溶接棒を電極とし、母材との間にアーク(放電現象)を発生させ、その熱で溶接棒と母材を溶かして溶接。
被覆剤(フラックス)の主な効用
①アークを安定にし、溶接作業を容易にする
②中性または還元性雰囲気をつくり、溶接金属を大気から保護する
③溶接金属の凝固・冷却の速度を緩やかにする
④上向きその他種々の位置の溶接を容易にする
⑤合金元素を添加したり、脱酸・製錬する
特徴
・溶接設備が安価。幅広い素材・構造物に適用可能
・溶接姿勢の制限なく施工できる
・品質に個人差がでるため品質管理が重要
・被覆剤によりスラグが発生する
溶接棒の管理(重要)
被覆アーク溶接棒を大気中に放置すると、被覆剤が水分を吸収してブローホール発生・スパッタ増加・溶接割れ等の欠陥原因となる。
→ 溶接棒は十分に乾燥したものを現場で用いる。乾燥後は容器に入れる等して吸湿しないようにする。
⚡ 焦点ポイント
被覆剤の効用5点(特に「大気から保護」「凝固冷却を緩やかに」)、「溶接棒は乾燥・吸湿防止」「スラグが発生する」は頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「被覆剤の主な効用は凝固冷却を緩やかにして溶着金属の強度を高めること」は誤り。強度を高めるというより凝固速度を緩やかにすることが目的。
- 類似した用語・設備・概念が入れ替えられる(例: 同じカテゴリ内の別装置名・別物質名に置換)
- 条文番号・期日・閾値となる数値が近い別の値に書き換えられる
- 単位換算(℃↔K、kPa↔Pa、ゲージ圧↔絶対圧 等)が要求される問題で換算漏れ
- 増加/減少、高い/低い、〜以上/〜以下など方向や大小関係が逆転される
- 計算式の係数(1/2、1/3、π/4等)を別の値に置換、または指数を取り違えた選択肢
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる/数値・用語が類似のものに差し替えられる
2-2. 溶接方法(マグ溶接・溶接施工)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
MAG溶接(大中口径・スラグなし・速い)とTIG溶接(100mm以下内管・スラグなし・溶け込み浅い・遅い)の比較
📖 解説(乙種ベース)
MAG溶接(大中口径・スラグなし・速い)とTIG溶接(100mm以下内管・スラグなし・溶け込み浅い・遅い)の比較
マグ溶接(MAG:Metal Active Gas Welding)
溶加材を電極とし、母材との間にアークを発生させ、シールドガスで覆い溶接。
・シールドガスが炭酸ガス混合の不活性ガス→MAG溶接
・シールドガスが不活性ガス(アルゴン等)のみ→MIG溶接
主な特徴:
・ワイヤ自体が電極となり溶融するため溶け込みが深い
・ワイヤがアーク熱と抵抗加熱を受けるため溶接速度が速い
・スパッタが発生しやすく、ビード外観は溶接施工より劣る
→ 主に大中口径の導管溶接に使用
溶接施工(TIG:Tungsten Inert Gas Welding)
非消耗のタングステン電極と母材の間にアークを発生させ、不活性ガス(アルゴン・ヘリウム)で覆う。現在100mm以下の内管溶接に使用。
主な特徴:
・不活性ガスでアーク及び溶融池を完全シールド→酸素等の不純物が混入せず高品質な溶接
・溶接ワイヤに被覆剤(フラックス)を含まない→スラグが発生しない
・電極と母材間でアークを発生させ、母材上の溶融池にワイヤを供給→溶け込みが浅い
・母材上の溶融池の熱のみでワイヤを溶融→ワイヤの供給量が制限され溶接速度が遅い
アーク溶接機
交流・直流アーク溶接機がある。現場では商用電源が困難なためエンジンを動力源とした直流アーク溶接機が多用される。
⚡ 焦点ポイント
「溶接施工→スラグなし・溶け込み浅い・速度遅い・100mm以下内管」「マグ→大中口径・溶け込み深い・速い・スパッタ多い」「ミグ→不活性ガスのみ」が頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「ミグ(MIG)溶接はシールドガスに不活性ガスのみを使用する」が正しい。炭酸ガスを混合するのはマグ(MAG)。
- 類似した用語・設備・概念が入れ替えられる(例: 同じカテゴリ内の別装置名・別物質名に置換)
- 条文番号・期日・閾値となる数値が近い別の値に書き換えられる
- 単位換算(℃↔K、kPa↔Pa、ゲージ圧↔絶対圧 等)が要求される問題で換算漏れ
- 増加/減少、高い/低い、〜以上/〜以下など方向や大小関係が逆転される
- 計算式の係数(1/2、1/3、π/4等)を別の値に置換、または指数を取り違えた選択肢
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる/数値・用語が類似のものに差し替えられる
3. 溶接管理
重要度: 乙C / 🟦 甲B
🎯 一言で
0.3MPa以上かつ内径150mm以上の本支管等→溶接施工法・溶接士技能の確認義務(技省令16条)
📖 解説(乙種ベース)
0.3MPa以上かつ内径150mm以上の本支管等→溶接施工法・溶接士技能の確認義務(技省令16条)
適用範囲(技省令16条)
最高使用圧力0.3MPa以上、かつ内径150mm以上の中A(0.3MPa以上)導管等の溶接部については、溶接施工法と溶接士の技能が適切であることを確認しなければならない。
溶接施工法の確認
・試験材を用いた機械試験等の結果が規定に適合していることを確認
・溶接施工法は溶接事業所または工場毎に確認を受けなければならない
溶接士技能の確認
・手溶接:技能確認試験で十分な技能を有すると確認された者または所定の資格を有する者
・自動溶接機:作業経験等によってその技能が十分であると認められた者
溶接資機材の管理
・溶接棒はJIS等の規格品を用い、十分乾燥したものを使用。定められた乾燥回数を超えないようにする
・溶接機・ケーブルは最大使用量に対し十分な容量のものを用いる
溶接作業中の注意事項
・アークスタートは開先内又はアークスタート板等を用い、母材では行わない(母材でアークを飛ばすことをアークストライクという)
・溶接完了後はスラグやスパッタを完全に除去する
🟦 甲種プラスα
甲種では「溶接管理」の本文の概念をより深く理解した上で、論述問題への応用が問われます。本文の数値・原理をしっかり押さえてください。
⚡ 焦点ポイント
「0.3MPa以上かつ内径150mm以上の本支管→溶接施工法と溶接士技能の確認義務」「溶接棒は乾燥回数超えない」「アークストライク禁止」が頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 確認義務の条件は「0.3MPa以上」「かつ内径150mm以上」の両方を満たす場合。片方だけでは不可。
- 「以上」が「未満」に書き換えられる(方向の逆転)
- 「超」が「以下」に書き換えられる(方向の逆転)
- 「義務」が「努力義務」に書き換えられる(方向の逆転)
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる/数値・用語が類似のものに差し替えられる
4. 溶接欠陥
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
欠陥3分類(寸法上・構造上・性質上)と各欠陥の定義・原因(IP・LF・BH・P・SI・割れ・UC・オーバーラップ・クレータ・TI)
📖 解説(乙種ベース)
欠陥3分類(寸法上・構造上・性質上)と各欠陥の定義・原因(IP・LF・BH・P・SI・割れ・UC・オーバーラップ・クレータ・TI)
溶接欠陥の3分類
①寸法上の欠陥:寸法不良(余盛り過不足・すみ肉脚長・のど厚寸法不良)、形状不良(ビート形状不良・オーバーラップ・クレータ)
②構造上の欠陥(内部欠陥が多い)
③性質上の欠陥:機械的性質・化学的性質を満足しない場合
主な構造上の欠陥と定義・原因
・溶込み不良(IP):開先の一部がそのまま残った状態。原因:開先不良・過小電流・運棒速度不良・目違い過大
・融合不良(LF):溶接金属と母材または溶接金属どうしが溶着していない状態。原因:過小電流・運棒速度遅い・スラグ清掃不良・下層の形状不良
・ブローホール(BH):溶接金属内に残留したガスのため空洞が生じた状態。原因:溶接棒の吸湿・過大電流・アーク長が長い・継手の不純物・風雨
・パイプ(P):ブローホールと同じだが細長く尾を引いている状態
・スラグ巻込み(SI):スラグが溶接金属に残留したもの。原因:開先不良・スラグ清掃不良・過小電流
・割れ(C):縦割れ・横割れ。原因:継手拘束大・溶接部の急冷・溶接棒の吸湿・開先不良
・アンダーカット(UC):表面における溶接金属と母材の境界の凹み。原因:溶接棒選択不良・過大電流・運棒速度不良・運棒保持角度不良
・オーバーラップ:溶接金属の止端が母材と融合せず重なりあった状態。原因:過小電流・運棒速度不良等
・クレータ:ビードが終端まで行き渡らず、くぼんだ状態。原因:運棒方法不良
・タングステン巻込み(TI):溶接施工でタングステン電極の一部が溶接金属内に混入したもの。原因:過大電流
⚡ 焦点ポイント
各欠陥の「定義と原因」が頻出。特にブローホール(吸湿・アーク長)、融合不良(過小電流・スラグ清掃不良)、アンダーカット(過大電流)の原因を整理する。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 溶込み不良(IP)と融合不良(LF)の定義混同に注意。溶込み不良は「開先の一部が残った」で融合不良は「溶接金属と母材が溶着していない」。
- 各欠陥の「定義と原因」が頻出
- 特にブローホール(吸湿・アーク長)、融合不良(過小電流・スラグ清掃不良)、アンダーカット(過大電流)の原因を整理する
- その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
5-1. 非破壊試験(放射線透過試験 RT)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
RT:内部検査・フィルム露光・欠陥部は濃度濃くなる・撮影法4種・きずの種別第1〜4種
📖 解説(乙種ベース)
RT:内部検査・フィルム露光・欠陥部は濃度濃くなる・撮影法4種・きずの種別第1〜4種
非破壊試験の種類と用途
・放射線透過試験(RT):主に内部検査
・超音波探傷試験(UT):主に内部検査
・磁粉探傷試験(MT):表面検査及び内部(表面から数ミリ以内のみ)検査
・浸透探傷試験(PT):表面検査
放射線透過試験(RT)の検出原理
X線・γ線等の放射線は強い透過力を持つ。
欠陥部は健全部より厚さが薄くなるため散乱線量が少なくなり、健全部より強い放射線が透過する。
→ 放射線フィルムで露光すると欠陥部は健全部より濃度が濃くなる。
撮影法の種類
①内部線源撮影法(一重壁単影像法):放射線源が管の内部・フィルムは管の外側。主として大口径管に使用
②内部フィルム撮影法(一重壁単影像法):放射線源が外部・フィルムを管の内側に取り付けて全周を分割して撮影
③二重壁片面撮影法(二重壁単影像法):管内部に放射線源またはフィルムを入れられない場合。主に小口径管に使用
④二重壁両面撮影法(二重壁複影像法):管壁を二重に透過して撮影。比較的小口径の場合に使用
RT の特徴
・きずの形状がフィルムに投影された像として確認できる(直観性あり)
・フィルムで客観的に保存できる(信頼性高い)
・フィルム現像のため試験結果確認に時間がかかる
・放射線障害への配慮が必要
・内部欠陥を判定できるが、内部欠陥までの距離測定が困難
・薄い平面状の欠陥は方向によっては検知できない。厚みのある欠陥の検出に適している
きずの種別(JIS Z 3104)
第1種:丸いブローホール及びこれに類するきず
第2種:細長いスラグ巻込み・パイプ・溶け込み不良・融合不良及びこれに類するきず
第3種:割れ及びこれに類するきず
第4種:タングステン巻込み
⚡ 焦点ポイント
「欠陥部→フィルム濃度が濃くなる」「内部線源→大口径管・二重壁片面→小口径管」「薄い平面状欠陥は方向によっては検知不可」「内部欠陥の距離測定困難」が頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「内部欠陥は判定できるが欠陥までの距離測定は困難」という点が引っ掛けで出題。また「アンダーカットや融合不良は表面欠陥なのでRTで検出できる」も頻出。
- 類似した用語・設備・概念が入れ替えられる(例: 同じカテゴリ内の別装置名・別物質名に置換)
- 条文番号・期日・閾値となる数値が近い別の値に書き換えられる
- 単位換算(℃↔K、kPa↔Pa、ゲージ圧↔絶対圧 等)が要求される問題で換算漏れ
- 増加/減少、高い/低い、〜以上/〜以下など方向や大小関係が逆転される
- 計算式の係数(1/2、1/3、π/4等)を別の値に置換、または指数を取り違えた選択肢
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる/数値・用語が類似のものに差し替えられる
5-2. 非破壊試験(UT・MT・PT)の比較
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
UT:内部・割れ検出・距離測定可 / MT:強磁性体のみ・数mm以内の内部可・高さ測定困難 / PT:表面開口のみ・非金属も可
📖 解説(乙種ベース)
UT:内部・割れ検出・距離測定可 / MT:強磁性体のみ・数mm以内の内部可・高さ測定困難 / PT:表面開口のみ・非金属も可
超音波探傷試験(UT)
検出原理:超音波(0.5〜1.5MHz)を被試験体内部に伝播させ、内部のきずまたは不均一層からの反射により存在・位置・大きさを検知。溶接部の内部検査に使用。
試験方法:主にパルス反射法(垂直探傷法・射角探傷法)。鋼への超音波伝播には接触媒質(水・油・グリセリン等)が必要。
特徴:
・割れのような平面状のきずの検出に適している
・検査物の片側だけから検査できる
・きずまでの距離やきずの高さが測定できる
・内部検査に用いることができる
・放射線透過試験のようにきずの形状が映像として見えないため客観的記録に課題(自動探傷法では確保)
磁粉探傷試験(MT)
検出原理:強磁性体(鋼・ニッケル等)を磁化すると表面付近のきずに漏えい磁束が生じ、微細な鉄粉(磁粉)を近づけると磁粉模様を形成。
磁粉模様の幅はきずの数倍〜数十倍になるため容易にきずの存在を知ることができる。
特徴:
・強磁性体のみに使用可能(鋼管等)
・放射線透過試験・超音波試験より簡便
・表面から数mm以上の内部欠陥は検知できない
・きずの高さの測定が困難
・検査装置・費用が比較的安い
浸透探傷試験(PT)
検出原理:被検体表面を清掃後、蛍光性または染色性浸透液を塗りきず部に浸透させ、余分な液を洗い去った後、現像液を用いてきず部に浸透していた液を吸い上げて欠陥を検出。
特徴:
・金属・非金属あらゆる材料の表面欠陥を調べることができる
・特別な装置不要で費用が比較的安い
・表面に開口した欠陥でないと使えない(閉じたきずは検出不可)
・複雑な形状の試験体でも一回の装置で探傷できる
⚡ 焦点ポイント
「MT→強磁性体のみ・数mm以上内部欠陥検知不可」「UT→片側から検査可・距離測定可・割れ検出得意」「PT→表面開口のみ・非金属も可」が頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 磁粉探傷試験は「表面及び表面付近の欠陥は検出できるが、欠陥までの距離測定や内部欠陥は検出できない」という複合的記述が引っ掛けで出題される。
- 類似した用語・設備・概念が入れ替えられる(例: 同じカテゴリ内の別装置名・別物質名に置換)
- 条文番号・期日・閾値となる数値が近い別の値に書き換えられる
- 単位換算(℃↔K、kPa↔Pa、ゲージ圧↔絶対圧 等)が要求される問題で換算漏れ
- 増加/減少、高い/低い、〜以上/〜以下など方向や大小関係が逆転される
- 計算式の係数(1/2、1/3、π/4等)を別の値に置換、または指数を取り違えた選択肢
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる/数値・用語が類似のものに差し替えられる
6. 溶接の安全衛生
重要度: 乙C / 甲C
🎯 一言で
溶接作業の5大災害:電撃・アーク・ガス/ヒューム・火災爆発・放射線による災害と防止措置
📖 解説(乙種ベース)
溶接作業の5大災害:電撃・アーク・ガス/ヒューム・火災爆発・放射線による災害と防止措置
電撃災害
アーク溶接の電圧は家庭電灯線よりむしろ低電圧だが、汗等で手足がぬれている場合等は等価抵抗が小さく非常に危険。
防止措置:溶接機周辺の導電部を完全に絶縁被覆、溶接物のアース接続を完全にする、安全靴・革手袋・衣服等着用、自動電撃防止装置の使用
アーク災害
アーク光から強烈な紫外線・可視線・赤外線が発生。直接当たると眼を痛めたり、火傷を起こす。
防止措置:正しい遮光保護具・遮光板の使用、溶接用保護面で顔面保護、身体を露出しない
ガス及びヒュームによる災害
有害ガスは被覆剤・塗料・油等の燃焼、ヒュームは被覆剤中の金属の溶解等で発生。
ヒュームとは:高温で蒸発した金属や被覆剤(フラックス)が大気中で冷却されて発生する微細な鉱物性の粉じん。
障害:呼吸によって肺に吸いこまれ、ガスによる中毒・じん肺を起こす。
防止措置:換気。換気だけで不十分な場合は防じんマスク・エアラインマスク等の使用
火災及び爆発
高温のスパッタが飛散するため火災等の危険。
防止措置:溶接中は引火性物質を近くに置かない。それらの物質の近くに導線を通すことも避ける。
放射線による災害
放射線使用場所はできるだけ遮へいし、関係者以外の立入りを禁止。
放射線取扱者は常に線量計を携行し許容量以下かどうかを確認し、定期的に血液検査を行う。
⚡ 焦点ポイント
「ヒュームの定義(高温蒸発した金属・被覆剤が冷却された微細な鉱物性粉じん)」が頻出。放射線取扱者は線量計携行・血液検査が義務。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 電撃災害はアーク溶接の電圧が「低電圧」であっても危険である点が引っ掛けで出題される。
- 「高温」が「低温」に書き換えられる(方向の逆転)
- 「義務」が「努力義務」に書き換えられる(方向の逆転)
- 義務主体・命令主体が他の事業者・行政庁と入れ替えられる
- その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる
🔢 供給の重要数値・設備の整理
主要な溶接方法:
– 被覆アーク溶接(SMAW): 汎用、現場向き、フラックス被覆
– マグ溶接(GMAW・MAG): CO2シールドガス使用
– 溶接施工(GTAW・TIG): 高品質、薄板、不活性ガス(Ar)
– サブマージドアーク溶接(SAW): 自動化、厚板、フラックス散布
主要な溶接欠陥:
– 割れ: クレータ割れ、低温割れ、高温割れ
– ブローホール: ガス巻き込み
– スラグ巻き込み: フラックス残留
– 融合不良: 金属の溶融不足
– アンダーカット: 母材表面の溝
– オーバーラップ: 余盛りの過剰
非破壊試験(NDT):
| 試験 | 検出可能 | 用途 |
|---|---|---|
| RT(放射線) | 内部欠陥 | 厚板・突合せ溶接 |
| UT(超音波) | 内部欠陥 | 厚板・大型溶接 |
| MT(磁粉) | 表面・浅部 | 強磁性体表面 |
| PT(浸透) | 表面 | 全材料の表面欠陥 |
供給科目では、設備名・型式・運転条件の数値・配管材料の組み合わせで誤答が作られます。本章で出てきた数値・設備名・工法を一覧で整理しておくと、選択肢の引っかけに気付きやすくなります。
🗒️ 3分で復習(章末まとめ)
🎯 全節 一言まとめ
- 節1 溶接の概要: 溶接の分類(融接・圧接・ろう接)・溶接部名称(溶接金属・溶着金属・熱影響部)・開先形状(V形・U形)
- 節2-1 溶接方法(被覆アーク溶接): 被覆アーク溶接の仕組み・被覆剤の効用5点・溶接棒管理(乾燥・吸湿防止)
- 節2-2 溶接方法(マグ溶接・溶接施工): MAG溶接(大中口径・スラグなし・速い)とTIG溶接(100mm以下内管・スラグなし・溶け込み浅い・遅い)の比較
- 節3 溶接管理: 0.3MPa以上かつ内径150mm以上の本支管等→溶接施工法・溶接士技能の確認義務(技省令16条)
- 節4 溶接欠陥: 欠陥3分類(寸法上・構造上・性質上)と各欠陥の定義・原因(IP・LF・BH・P・SI・割れ・UC・オーバーラップ・クレータ・TI)
- 節5-1 非破壊試験(放射線透過試験 RT): RT:内部検査・フィルム露光・欠陥部は濃度濃くなる・撮影法4種・きずの種別第1〜4種
- 節5-2 非破壊試験(UT・MT・PT)の比較: UT:内部・割れ検出・距離測定可 / MT:強磁性体のみ・数mm以内の内部可・高さ測定困難 / PT:表面開口のみ・非金属も可
- 節6 溶接の安全衛生: 溶接作業の5大災害:電撃・アーク・ガス/ヒューム・火災爆発・放射線による災害と防止措置
⚡ 全節 焦点ポイント
- 節1: 「熱影響部は溶融していない母材の部分」「抵抗溶接は圧接に分類」「導管突合せ溶接の開先はV形・U形」が頻出。
- 節2-1: 被覆剤の効用5点(特に「大気から保護」「凝固冷却を緩やかに」)、「溶接棒は乾燥・吸湿防止」「スラグが発生する」は頻出。
- 節2-2: 「溶接施工→スラグなし・溶け込み浅い・速度遅い・100mm以下内管」「マグ→大中口径・溶け込み深い・速い・スパッタ多い」「ミグ→不活性ガスのみ」が頻出。
- 節3: 「0.3MPa以上かつ内径150mm以上の本支管→溶接施工法と溶接士技能の確認義務」「溶接棒は乾燥回数超えない」「アークストライク禁止」が頻出。
- 節4: 各欠陥の「定義と原因」が頻出。特にブローホール(吸湿・アーク長)、融合不良(過小電流・スラグ清掃不良)、アンダーカット(過大電流)の原因を整理する。
- 節5-1: 「欠陥部→フィルム濃度が濃くなる」「内部線源→大口径管・二重壁片面→小口径管」「薄い平面状欠陥は方向によっては検知不可」「内部欠陥の距離測定困難」が頻出。
- 節5-2: 「MT→強磁性体のみ・数mm以上内部欠陥検知不可」「UT→片側から検査可・距離測定可・割れ検出得意」「PT→表面開口のみ・非金属も可」が頻出。
- 節6: 「ヒュームの定義(高温蒸発した金属・被覆剤が冷却された微細な鉱物性粉じん)」が頻出。放射線取扱者は線量計携行・血液検査が義務。
📝 関連過去問
この章の知識が問われる過去問題リスト(全21問)。
ℹ️ 乙種・甲種は別の試験です。同じ問番号(例: 基問10)であっても、乙種と甲種では出題される問題内容は異なります。各年度・種別ごとの本文は 乙種過去問 / 甲種過去問 ページから確認してください。
乙種(11問)
– 令和7年: 供問16
– 令和6年: 供問16
– 令和5年: 供問16
– 令和4年: 供問16
– 令和3年: 供問16
– 令和2年: 供問16
– 令和元年: 供問16
– 平成30年: 供問16
– 平成29年: 供問15 / 供問16
– 平成28年: 供問16
甲種(10問)
– 令和7年: 供問16
– 令和6年: 供問16
– 令和5年: 供問16
– 令和4年: 供問16
– 令和3年: 供問16
– 令和2年: 供問16
– 令和元年: 供問16
– 平成30年: 供問16
– 平成29年: 供問15 / 供問16
