供給 第5章 腐食・防食

導管の腐食メカニズム(電池作用・マクロセル・ミクロセル腐食)、防食の種類(塗覆装・電気防食・絶縁)、電気防食法4種類(流電陽極・外部電源・選択排流・強制排流)、防食設計、防食管理までを扱います。

乙種甲種兼用 / 全6節 / 学習目安: 30〜60分

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📍 はじめに

埋設鋼管は何十年も地中で使われるため、放置すれば必ず腐食します。電気防食はその腐食を電気的に止める技術。この章では、腐食原理から防食設計までを論述レベルで整理します。


📍 この章で学ぶこと(3ブロック・全6節)

各節の重要度を 乙種 / 甲種 で並べて表示します。

🟦 = 甲種で重要度が乙種より上がる節 / ★ = 重要度A節

ブロック1: 腐食の原理と分類

タイトル
1腐食の原理(アノードカソード・電池作用・自然電位・マクロセル・ミクロセル)★AB
2導管の腐食分類(電食自然腐食:マクロセル・ミクロセル腐食・大気腐食)★A★A

ブロック2: 防食の種類と電気防食法

タイトル
3-1防食の種類(塗覆装・電気防食・絶縁等)と防食電位・過防食★AC
3-2電気防食法4種類比較(流電陽極法外部電源法選択排流法強制排流法B🟦 ★A

ブロック3: 防食管理

タイトル
4防食設計(腐食原因調査・各種電位測定・設計フロー・仮通電試験)B🟦 ★A
5防食管理と供内管の防食(塗覆装絶縁継手設置・電気防食・点検時期)BB

📚 テキスト解説

各節は次の構成で進みます。

– 🎯 一言で

– 📖 解説(乙種ベース)

– 🟦 甲種プラスα(必要な節のみ)

– ⚡ 焦点ポイント

– 📝 過去問のひっかけ例


1. 腐食の原理(アノードカソード・電池作用・自然電位・マクロセル・ミクロセル)

重要度: ★ 乙A / 甲B

🎯 一言で

腐食は電気化学反応で起きる。アノード(電流流出・腐食)・カソード(電流流入・保護)の概念、自然電位(上位=貴=腐食しにくい)、マクロセル腐食ミクロセル腐食の違いを理解する。

📖 解説(乙種ベース)

腐食は電気化学反応で起きる。アノード(電流流出・腐食)・カソード(電流流入・保護)の概念、自然電位(上位=貴=腐食しにくい)、マクロセル腐食ミクロセル腐食の違いを理解する。

腐食の原理

■ 腐食とは

金属が化学的または電気化学的反応によって表面から消耗する現象。

腐食反応は単純な電池の作用と同様に理解できる。

■ 電池作用による腐食

電池において:

アノード(陽極):電解質(溶液・土壌)に電流を流出する電極→腐食が進む

カソード(陰極):電解質から電流を受け入れる電極→保護される

異種金属を接続して電解質中に置くと電流が流れ、アノードとなる金属が腐食する。

例:亜鉛(Zn)と炭素(C)を電解質中で接続→亜鉛がアノード→亜鉛が腐食

■ 自然電位(Natural Potential)

自然電位は金属の腐食しにくさを表す。

上位(プラス側=貴)ほど腐食しにくく、下位(マイナス側=卑)ほど腐食しやすい。

海水中の自然電位(飽和硫酸銅電極基準):

白金(Pt) +250mV ← 貴(腐食しにくい)

銀(Ag) -140mV

銅(Cu) -250mV

鉛(Pb) -580mV

鉄(Fe) -580〜-730mV

Al -860mV

亜鉛(Zn) -1150mV

Mg -1680mV ← 卑(腐食しやすい)

鉄より貴:銅、銀 → 鉄がアノード

鉄より卑:亜鉛、Mg → 鉄がカソード(亜鉛、Mgが犠牲に腐食)

マクロセル腐食

アノード部カソード部が明確に区分→アノード部が集中的に腐食

例:コンクリート/土壌腐食、通気差腐食、異種金属接触腐食

ミクロセル腐食

金属表面に微視的アノードカソードが多数形成→全体的にほぼ均一に腐食

例:バクテリア腐食、一般土壌腐食、酸性土壌腐食

⚡ 焦点ポイント

アノード=腐食側」「カソード=保護側」「自然電位が低い(卑)ほど腐食しやすい」の3点は必須。「鉄より卑なMg・亜鉛は犠牲陽極として使える」という発展知識も重要。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 電流はアノードから電解質に『流出』する(アノードが腐食)。電流の向きとイオンの動きを混同しないこと。マクロセル腐食は腐食が一点に集中(孔食リスク大)、ミクロセルは分散。
  • 「低い」が「高い」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

2. 導管の腐食分類(電食自然腐食:マクロセル・ミクロセル腐食・大気腐食)

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

埋設導管の腐食は電食自然腐食(マクロセル・ミクロセル)に大別される。電食(レール漏れ電流・ジャンピング)・マクロセル3種・ミクロセル3種の原因と特徴を整理する。

📖 解説(乙種ベース)

埋設導管の腐食は電食自然腐食(マクロセル・ミクロセル)に大別される。電食(レール漏れ電流・ジャンピング)・マクロセル3種・ミクロセル3種の原因と特徴を整理する。

導管の腐食分類

■ 全体構造

埋設部(土壌中)

電食:電気設備からの直流電流による腐食

├ レール漏れ電流による電食(帰流型・押出型)

└ 他防食施設からの干渉による電食(ジャンピング腐食)

自然腐食(迷走電流によらない)

マクロセル腐食アノードカソード部が明確)

├ 通気差マクロセル腐食

├ コンクリート/土壌マクロセル腐食

└ 異種金属接触によるマクロセル腐食

ミクロセル腐食アノードカソード部が不明確・均一腐食)

├ バクテリア腐食(鉄細菌等)

├ 通常の土壌腐食

└ 特殊土壌腐食(酸性土壌等)

露出部(大気中)→ 大気腐食

電食の詳細

①レール漏れ電流による電食

・電気鉄道のレールを流れる電流が地中に流出し埋設導管に流入

・流出部分でアノード反応→激しい腐食

・帰流型(電流が管を通って変電所に戻る)と押出型がある

②ジャンピング腐食(他防食施設からの干渉)

・電気防食施設(外部電源装置)が近接する非防食導管に干渉

絶縁継手を飛び越えて電流が流入・流出する腐食

マクロセル腐食の種類

①通気差マクロセル腐食

・通気性の異なる土壌(粘土層・多湿土壌など)にまたがって埋設

・通気性の悪い部分がアノード→腐食

②コンクリート/土壌マクロセル腐食

・コンクリート中(アルカリ性→自然電位が高い=貴)と土壌中の鉄の電位差でマクロセル形成

・土壌部分(-500〜-700mV)がアノード→腐食

・鉄筋との電気的接触でカソード面積が大きくなり腐食が促進

③異種金属接触

・黄銅バルブ+鋼管鋼管アノード→腐食

鋳鉄管+鋼管鋼管アノード→腐食(鋳鉄管鋼管より貴)

■ 大気腐食

・露出配管で結露・雨水に炭酸ガス・亜硫酸ガス等が溶け込み電解質として作用

⚡ 焦点ポイント

電食vs自然腐食」「マクロセルvs ミクロセル」「通気差腐食のアノードは通気性の悪い部分」「コンクリート中の鉄はカソード」「鋼管鋳鉄管鋼管アノード」が毎年頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「コンクリート中の鉄=カソード(腐食されない)、土壌中の鉄=アノード(腐食する)」。コンクリートがアルカリ性のため電位が高い(貴)。黄銅・鋳鉄管は鋼管より貴→鋼管がアノード(腐食)。
  • 「電食vs自然腐食」「マクロセルvs ミクロセル」「通気差腐食のアノードは通気性の悪い部分」「コンクリート中の鉄はカソード」「鋼管と鋳鉄管→鋼管がアノード」が毎年頻出
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

3-1. 防食の種類(塗覆装・電気防食・絶縁等)と防食電位・過防食

重要度: ★ 乙A / 甲C

🎯 一言で

防食は「塗覆装」「電気防食」「その他(絶縁・メッキ・耐食材料・ポリエチレンスリーブ)」の3大分類。防食電位の基準値(-850mV以下)と過防食条件(-2000mV以下)を覚える。

📖 解説(乙種ベース)

防食は「塗覆装」「電気防食」「その他(絶縁・メッキ・耐食材料・ポリエチレンスリーブ)」の3大分類。防食電位の基準値(-850mV以下)と過防食条件(-2000mV以下)を覚える。

防食の種類と分類

■ 防食の3大分類

塗覆装導管表面を覆い、電解質(土壌・水)との接触を遮断

②電気防食:アノード反応の進行を阻止(導管カソードにする)

③その他:絶縁・メッキ・耐食性材料・ポリエチレンスリーブ

塗覆装の種類

工場塗覆装:ポリエチレン・塩化ビニール等のプラスチック被覆(埋設鋼管

エポキシ系・アクリル系樹脂塗料(埋設鋳鉄管

現場塗覆装

①熱収縮性ポリエチレンチューブ:溶接箇所等に使用

②防食ゴムシート:補強用ゴムシート+防食用ブチルゴム系接着剤

③防食シート:凹凸激しい部分・複雑形状の異形継手類に使用

④ペトロラタム系防食テープ:柔軟性に富み様々な形状に使用

⑤防食テープ:耐久性・防食性に富む

露出管の塗覆装:耐候性に優れた塗装・屋外防食テープ等

■ その他の防食法

・絶縁による防食:管路絶縁・コンクリート構造物との絶縁

電食マクロセル腐食に効果的、ミクロセル腐食は防止できない

絶縁継手の種類:絶縁ねじ継手・絶縁フランジ

・メッキによる防食:亜鉛メッキ鋼管(白ガス管)→現在は露出部のみ

・耐食性材料:ポリエチレン管フレキ管・ステンレスボルト等

・ポリエチレンスリーブ:施工時に鋳鉄管に被せ、土壌との直接接触を遮断

■ 電気防食の基本

導管カソードにすることでアノード反応(腐食)を防止

防食電位:防食が達成されたときの電位

鉄の防食電位 = 通常 -850mV以下(飽和硫酸銅電極基準)

設計上は安全を見て -1,000mV程度が望ましい

(鉄の自然電位は-500〜-700mV)

■ 過防食

・電位を下げすぎると→水素ガス発生→鋼組織への拡散・塗覆装の剥離

・埋設鋼管の場合、電位が-2,000mV(飽和硫酸銅電極基準)以下になると過防食

・過防食は他埋設物への干渉も引き起こしやすい

🟦 甲種プラスα

甲種で電気防食の原理(カソードにする)の説明問題が出る

⚡ 焦点ポイント

防食電位 = -850mV以下」「過防食 = -2,000mV以下」の数値は確実に暗記する。絶縁による防食は「ミクロセル腐食は防止できない」も重要。甲種で電気防食の原理(カソードにする)の説明問題が出る。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 防食電位「-850mV以下」は、より負の値(例:-1000mV)も含む。「以下」なので -850mVちょうどはOK。過防食は「-2,000mV以下(より負の値)」。絶縁防食はミクロセルには効果なし。
  • 類似した用語・設備・概念が入れ替えられる(例: 同じカテゴリ内の別装置名・別物質名に置換)
  • 増加/減少、高い/低い、〜以上/〜以下など方向や大小関係が逆転される
  • 条文番号・期日・閾値となる数値が近い別の値に書き換えられる
  • 計算式の係数(1/2、1/3、π/4等)を別の値に置換、または指数を取り違えた選択肢
  • 単位換算(℃↔K、kPa↔Pa、ゲージ圧↔絶対圧 等)が要求される問題で換算漏れ
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる/数値・用語が類似のものに差し替えられる

3-2. 電気防食法4種類比較(流電陽極法外部電源法選択排流法強制排流法

重要度: ★ 乙B / 🟦 甲A

🎯 一言で

電気防食の4種(流電陽極法外部電源法選択排流法強制排流法)の原理・長所・短所を比較表形式で整理する。乙種最頻出テーマ。

📖 解説(乙種ベース)

電気防食の4種(流電陽極法外部電源法選択排流法強制排流法)の原理・長所・短所を比較表形式で整理する。乙種最頻出テーマ。

電気防食法4種類の比較

■ ① 流電陽極法(犠牲陽極法)

・原理:導管より自然電位が卑な金属(犠牲陽極材:Mg等)を接続→Mgがアノードとなり腐食→導管カソード(保護)

・犠牲陽極材料:マグネシウム(Mg)が広く使用(鉄との電位差大)

・長所:

– 比較的簡便・安価

– 他の埋設金属体に悪影響を及ぼさない

– 過防食のおそれがない

・短所:

– 電圧が小さい→塗覆装の抵抗が小さい場合は適さない

塗覆装抵抗が小さいと防食電流過多→Mg損耗が激しい

– 定期的な補充が必要

■ ② 外部電源法

・原理:直流電源装置から電極(土中)に強制的に電圧を加え、電極から土壌を経て導管へ防食電流を流入

土中に電極設置→直流電源のプラスを電極に、マイナスを管に接続

・長所:

– 電圧を自由に設定可(ただし60V以下)

塗覆装の抵抗が低い場合・大規模導管の防食も可能

– 常時防食が可能

– 直流電気鉄道レールからの漏れ電流の影響の大きい管路を完全に防食できる

・短所:

– 高価

– 電圧が大きいため他の金属構造物への干渉・過防食を考慮する必要がある

■ ③ 選択排流法

・原理:導管と電気鉄道のレールを接続し、導管に流入した漏れ電流をレールに帰還させる

整流器を組み込み電流の逆流を防止

・長所:

– 安価

– 電気鉄道近傍の電食対策では効果が大きい

– 構造が簡便で保守・点検が容易

・短所:

– レールの電位変化により防食効果が常時得られない場合がある

– 電流制御が難しく他の金属構造物への干渉・過防食に注意

– 電車が走行していない場合は防食効果なし→他の防食法との併用が必要

■ ④ 強制排流法

・原理:導管と電気鉄道のレールを接続する回路に直流電源装置を入れ、強制的にレールへ排流

外部電源法選択排流法を組み合わせた方法

・長所:

外部電源法に比べて安価

導管を常時防食状態にできる

・短所:

– 電圧が大きいため他の金属構造物への干渉・過防食に注意

– レールに近接する部分が過防食になりやすい

– 電気鉄道への影響を考慮する必要がある

🟦 甲種プラスα

甲種では「電気防食法4種類比較(流電陽極法外部電源法選択排流法強制排流法)」の本文の概念をより深く理解した上で、論述問題への応用が問われます。本文の数値・原理をしっかり押さえてください。

⚡ 焦点ポイント

4種の電気防食法の「長所・短所」の比較が乙種最頻出。「流電陽極法=Mg犠牲・過防食なし・低電圧」「外部電源法=高価・電圧自由・大規模対応」の対比を正確に覚える。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「流電陽極法は過防食のおそれがない」→正しい(電圧が小さいため)。「外部電源法は電圧を自由に設定できるので塗覆装の抵抗が小さい場合に適する」→正しい。選択排流法は「整流器」(×変圧器)を組み込む。
  • 類似した用語・設備・概念が入れ替えられる(例: 同じカテゴリ内の別装置名・別物質名に置換)
  • 増加/減少、高い/低い、〜以上/〜以下など方向や大小関係が逆転される
  • 条文番号・期日・閾値となる数値が近い別の値に書き換えられる
  • 計算式の係数(1/2、1/3、π/4等)を別の値に置換、または指数を取り違えた選択肢
  • 単位換算(℃↔K、kPa↔Pa、ゲージ圧↔絶対圧 等)が要求される問題で換算漏れ
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる/数値・用語が類似のものに差し替えられる

4. 防食設計(腐食原因調査・各種電位測定・設計フロー・仮通電試験)

重要度: ★ 乙B / 🟦 甲A

🎯 一言で

防食設計の基本フロー(調査→データ分析→防食方式選定→施工→効果確認)と腐食原因調査の測定項目(管対地電位地表面電位勾配・Redox電位等)を整理する。

📖 解説(乙種ベース)

防食設計の基本フロー(調査→データ分析→防食方式選定→施工→効果確認)と腐食原因調査の測定項目(管対地電位地表面電位勾配・Redox電位等)を整理する。

防食設計の基本フロー

対象経路 → 調査 → 調査データ分析

(防食レベル・防食範囲・各種防食方式の得失・コストを考慮)

→ 防食方式の選定(流電陽極法 or 外部電源法 or 選択排流法 or 強制排流法

→ 通電試験/排流試験/強制排流試験

→ 防食設計 → 防食施工 → 効果・影響調査 → 電気防食管理

■ 腐食原因の調査

調査の対象:主として短期間で孔食を生じるような速度の速い腐食(電食マクロセル腐食等)

(注)腐食原因を調べないまま防食処置すると腐食をさらに進める結果になる場合がある

■ 管路及び周辺調査

①腐食状態の調査:腐食の形状・被覆状況の調査で腐食原因を推定

②管路調査:防食状況・コンクリート貫通部等(マクロセルのカソード部)を調査

③周辺調査:直流電気鉄道・他の電気防食設備(外部電源等)の有無を調査

■ 土壌等の環境調査

①土壌pH:酸性ほど腐食しやすい。pH4以下→水素発生型腐食の可能性

②土壌比抵抗:低いほど電流が流れやすく腐食しやすい。Cl⁻・SO₄²⁻含有率が比抵抗を低下させる

③含水率:高いほど腐食性物質の溶解・比抵抗低下・通気性不良→腐食速度を速める

④酸化還元(Redox)電位:硫酸塩還元菌の活動促進環境か否かを判定

■ 電位の測定

管対地電位(P/S):土壌・コンクリート等に置いた照合電極に対する導管の電位(土壌と導管の電位差)

照合電極:通常は飽和硫酸銅電極を使用

鉄の自然電位:-500〜-700mV(地中の管の自然電位:-500〜-700mV)

2点間で大きな電位差があれば→マクロセルが形成されており電位の低い方で腐食の可能性

地表面電位勾配(S/S):地表面の2点間の電位差

迷走電流の流出入を調査する(電流の流出入方向がわかる)

③レール電位:レール対地電位(R/S)・レール対管電位(R/P)を測定

→レールから土壌への迷走電流の影響と選択排流法等の防食効果を推定

④接地抵抗:ガス管・電極等の埋設金属体と土壌との電気抵抗

防食設計時の調査や防食効果が得られない場合の原因調査に使用

⑤電流測定:マクロセル腐食の程度・電流流出地点の推定

■ 仮通電試験

防食設計は仮通電試験を行い、その結果に基づいて設計するのが一般的。

仮極(地中・水中)に電源プラス極を接続し、対象物にマイナス極を接続し通電。

電流の大きさ・対地電位の変化から塗覆装の程度・電気防食可能か・必要電流量・防食効果を調査。

各種防食装置設置時の試験:

外部電源法:通電試験・排流試験

強制排流法装置:強制排流試験

🟦 甲種プラスα

管対地電位(P/S)の照合電極=飽和硫酸銅電極」「地表面電位勾配(S/S)=迷走電流の流出入調査」「Redox電位=硫酸塩還元菌判定」の3点が甲種頻出

⚡ 焦点ポイント

管対地電位(P/S)の照合電極=飽和硫酸銅電極」「地表面電位勾配(S/S)=迷走電流の流出入調査」「Redox電位=硫酸塩還元菌判定」の3点が甲種頻出。防食設計フローの順序も重要。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「腐食原因を調べないまま防食処置すると腐食をさらに進める場合がある」は正しい(重要)。地表面電位勾配は「電位差」であり「電位そのもの」ではない。P/Sは管の電位、S/Sは地表の電位差。
  • 「管対地電位(P/S)の照合電極=飽和硫酸銅電極」「地表面電位勾配(S/S)=迷走電流の流出入調査」「Redox電位=硫酸塩還元菌判定」の3点が甲種頻出
  • 防食設計フローの順序も重要
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

5. 防食管理と供内管の防食(塗覆装絶縁継手設置・電気防食・点検時期)

重要度: 乙B / 甲B

🎯 一言で

防食設備の定期点検(点検時期=防食状況の最も悪い時期:湿潤期・電気鉄道運行時)と供内管の防食措置(露出部・埋設部別の塗覆装絶縁継手設置位置)を整理する。

📖 解説(乙種ベース)

防食設備の定期点検(点検時期=防食状況の最も悪い時期:湿潤期・電気鉄道運行時)と供内管の防食措置(露出部・埋設部別の塗覆装絶縁継手設置位置)を整理する。

防食管理

■ 管理資料の整備

防食管理に必要な資料:路線状況・防食設備等の台帳・図面類・電鉄・土壌環境等の情報

■ 定期点検

防食設備の機能が維持されているかを定期的に確認(路線の電位を測定)

・落雷・大雨時、電気鉄道の事故発生時には臨時点検を実施

■ 点検時期(重要)

点検は防食の最も悪い時期・時間帯をとらえて行う:

・時期:雨季等の土壌の湿潤期が望ましい(年1回の場合は夏季に)

・時間帯:電気鉄道の運行時(迷走電流の影響が最大になる時間帯)

■ 工事上の留意点

・電気防食を行っている導管を切断する場合:電気火花が発生するおそれ

→防食設備の電源を切るか、電線で接続(ボンド)してから切断

供内管の防食

供内管は露出部と埋設部に分けて防食措置を講じる

塗覆装による措置

塗覆装が必要な箇所:金属表面が水・土壌・コンクリートと接触する部分

②さや管及び塗覆装:下水等の暗きょ内に設置される箇所

③さび止め・亜鉛メッキ・塗覆装:上記以外の配管

■ 露出部の防食

内管の露出部(床下部・腐食性雰囲気内の露出部を除く)の自然腐食対策:

亜鉛メッキ鋼管を用いるか、錆止め塗装を施す

・亜鉛メッキ鋼管塗覆装を施した鋼管を使用

(注)ポリエチレン管は露出部に使用できない(→埋設部に限る)

■ 埋設部の防食

ポリエチレン管(腐食のおそれがない)を用いるか、

管が直接土壌と接触しないよう塗覆装等を施した鋼管を使用

(注)亜鉛メッキ鋼管は埋設部には使用しない

■ 絶縁による措置

・建物に引き込まれた配管はコンクリートに接触する機会が多い→マクロセル腐食のリスク大

屋内配管に流入した電流が埋設部の配管に流れないよう:

一般に埋設配管部近くの架空配管部に絶縁継手を設置

絶縁継手の種類:絶縁ねじ継手・絶縁フランジ

■ 電気防食による措置

・防食効果を高めるため、埋設配管に流電陽極法による電気防食を併用する場合がある

⚡ 焦点ポイント

「点検は湿潤期・電気鉄道の運行時に行う」「供内管の露出部=亜鉛メッキか錆止め塗装、ポリエチレン管は露出部不可」「絶縁継手の設置位置=埋設配管部近くの架空配管部」が頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 ポリエチレン管は『埋設部限定』で露出部には使用できない。亜鉛メッキ鋼管は『露出部』に使用し、『埋設部』には用いない。この露出・埋設の使い分けが引っ掛けポイント。電気防食を行っている導管の切断には電気火花の発生に注意。
  • 「点検は湿潤期・電気鉄道の運行時に行う」「供内管の露出部=亜鉛メッキか錆止め塗装、ポリエチレン管は露出部不可」「絶縁継手の設置位置=埋設配管部近くの架空配管部」が頻出
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

🔢 供給の重要数値・設備の整理

腐食の電池モデル:

アノード: 金属が溶け出す側(腐食側)

カソード: 電子を受け取る側(健全側)

– 電解質: 土壌・水分

腐食の分類:

マクロセル腐食: 異種金属・コンクリート/土壌界面など、広範囲の電位差

ミクロセル腐食: 同一金属内の微細な電位差

電食: 直流電流による強制的な腐食

電気防食の4方法:

方法原理用途
流電陽極法卑な金属(Mg・Zn)を犠牲陽極に短距離・小規模
外部電源法直流電源で防食電流注入大規模・長距離
選択排流法電気鉄道の漏えい電流を排出鉄道近接
強制排流法電源強制で電流方向制御鉄道近接(高度)

防食電位:

– 鋼の防食電位: -0.85V(対飽和硫酸銅電極)以下

– 過防食(過剰電流): 水素脆化・塗覆装剥離のリスク

供給科目では、設備名・型式・運転条件の数値・配管材料の組み合わせで誤答が作られます。本章で出てきた数値・設備名・工法を一覧で整理しておくと、選択肢の引っかけに気付きやすくなります。

🗒️ 3分で復習(章末まとめ)

🎯 全節 一言まとめ

  • 節1 腐食の原理(アノード・カソード・電池作用・自然電位・マクロセル・ミクロセル): 腐食は電気化学反応で起きる。アノード(電流流出・腐食)・カソード(電流流入・保護)の概念、自然電位(上位=貴=腐食しにくい)、マクロセル腐食ミクロセル腐食の違いを理解する。
  • 節2 導管の腐食分類(電食・自然腐食:マクロセル・ミクロセル腐食・大気腐食): 埋設導管の腐食は電食自然腐食(マクロセル・ミクロセル)に大別される。電食(レール漏れ電流・ジャンピング)・マクロセル3種・ミクロセル3種の原因と特徴を整理する。
  • 節3-1 防食の種類(塗覆装・電気防食・絶縁等)と防食電位・過防食: 防食は「塗覆装」「電気防食」「その他(絶縁・メッキ・耐食材料・ポリエチレンスリーブ)」の3大分類。防食電位の基準値(-850mV以下)と過防食条件(-2000mV以下)を覚える。
  • 節3-2 電気防食法4種類比較(流電陽極法・外部電源法・選択排流法・強制排流法): 電気防食の4種(流電陽極法外部電源法選択排流法強制排流法)の原理・長所・短所を比較表形式で整理する。乙種最頻出テーマ。
  • 節4 防食設計(腐食原因調査・各種電位測定・設計フロー・仮通電試験): 防食設計の基本フロー(調査→データ分析→防食方式選定→施工→効果確認)と腐食原因調査の測定項目(管対地電位地表面電位勾配・Redox電位等)を整理する。
  • 節5 防食管理と供内管の防食(塗覆装・絶縁継手設置・電気防食・点検時期): 防食設備の定期点検(点検時期=防食状況の最も悪い時期:湿潤期・電気鉄道運行時)と供内管の防食措置(露出部・埋設部別の塗覆装絶縁継手設置位置)を整理する。

⚡ 全節 焦点ポイント

  • 節1: 「アノード=腐食側」「カソード=保護側」「自然電位が低い(卑)ほど腐食しやすい」の3点は必須。「鉄より卑なMg・亜鉛は犠牲陽極として使える」という発展知識も重要。
  • 節2: 「電食vs自然腐食」「マクロセルvs ミクロセル」「通気差腐食のアノードは通気性の悪い部分」「コンクリート中の鉄はカソード」「鋼管鋳鉄管鋼管アノード」が毎年頻出。
  • 節3-1: 「防食電位 = -850mV以下」「過防食 = -2,000mV以下」の数値は確実に暗記する。絶縁による防食は「ミクロセル腐食は防止できない」も重要。甲種で電気防食の原理(カソードにする)の説明問題が出る。
  • 節3-2: 4種の電気防食法の「長所・短所」の比較が乙種最頻出。「流電陽極法=Mg犠牲・過防食なし・低電圧」「外部電源法=高価・電圧自由・大規模対応」の対比を正確に覚える。
  • 節4: 「管対地電位(P/S)の照合電極=飽和硫酸銅電極」「地表面電位勾配(S/S)=迷走電流の流出入調査」「Redox電位=硫酸塩還元菌判定」の3点が甲種頻出。防食設計フローの順序も重要。
  • 節5: 「点検は湿潤期・電気鉄道の運行時に行う」「供内管の露出部=亜鉛メッキか錆止め塗装、ポリエチレン管は露出部不可」「絶縁継手の設置位置=埋設配管部近くの架空配管部」が頻出。

📝 関連過去問

この章の知識が問われる過去問題リスト(全21問)。

ℹ️ 乙種・甲種は別の試験です。同じ問番号(例: 基問10)であっても、乙種と甲種では出題される問題内容は異なります。各年度・種別ごとの本文は 乙種過去問 / 甲種過去問 ページから確認してください。

乙種(10問)

令和7年: 供問14

令和6年: 供問14

令和5年: 供問14

令和4年: 供問14

令和3年: 供問14

令和2年: 供問14

令和元年: 供問14

平成30年: 供問14

平成29年: 供問14

平成28年: 供問14

甲種(9問)

令和7年: 供問14

令和6年: 供問14

令和5年: 供問14

令和4年: 供問14

令和3年: 供問14

令和2年: 供問14

令和元年: 供問14

平成30年: 供問14

平成29年: 供問14

共通(2問)

令和4年: 供問1

平成27年: 供問1