基礎理論 第7章 材料

ガス工業設備の材料を扱います。応力とひずみの基本、応力ひずみ線図と許容応力、薄肉円筒の強度、炭素鋼の特性と不純物、特殊鋼の添加元素、温度帯別の材料選定、疲労破壊・クリープ・応力腐食割れ・低温脆性、高分子材料までを順番に学びます。基礎理論の最終章です。

乙種甲種兼用 / 全17節 / 学習目安: 60〜90分

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📍 はじめに

ガスタンク・配管・バルブはどんな材料でできているのか。なぜLNGタンクには低温に強い材料が必要で、高圧配管には強度の高い鋼が必要なのか。この章では、材料の性質と試験に出る数値・現象を整理します。


📍 この章で学ぶこと(5ブロック・全17節)

各節の重要度を 乙種 / 甲種 で並べて表示します。

🟦 = 甲種で重要度が乙種より上がる節 / ★ = 重要度A節

ブロック1: 応力とひずみの基本

タイトル
1応力の定義と3種類(引張・圧縮・せん断)σ = P/A★A★A
2ひずみの定義(縦ひずみ・横ひずみ・せん断ひずみ)ε = λ/l★A★A
3応力ひずみ線図の特徴点(A比例限度〜F破断点)とフックの法則★A★A
4許容応力と安全率(安全率 = 基準強さ ÷ 許容応力)★A★A

ブロック2: 強度と炭素鋼

タイトル
5薄肉円筒の強度(円周応力 σt = PD/2t、軸応力 σz = PD/4tC🟦 B
6炭素鋼の基本特性(炭素量と引張強さ・伸びの関係)BB
7炭素鋼の不純物(リンPと硫黄Sが鋼に与える悪影響)BB
8特殊鋼と添加元素の効果(Ni・Mn・Cr・Mo・W)BC
9高温装置用材料(炭素鋼の使用限界450℃・特殊鋼の必要性)CC

ブロック3: 低温・高圧用材料

タイトル
10低温装置用材料(LNG・液体窒素対応材料と温度帯別選択)B🟦 ★A
11高圧装置用材料と腐食環境(応力腐食割れ対策材料)CC

ブロック4: 各種破壊現象

タイトル
12疲労破壊と耐久限度(繰り返し応力による破壊)BC
13クリープ損傷(高温長時間の応力でひずみが時間とともに増大)B🟦 ★A
14応力腐食割れ(オーステナイト系ステンレス鋼の最大の欠点)★AC
15低温脆性(体心立方→脆性あり)と水素脆性・遅れ割れC🟦 B

ブロック5: 高分子材料

タイトル
16高分子材料の種類と特徴(熱可塑性熱硬化性・エラストマー・ゴム)C🟦 ★A
17高分子材料の特性(強度・クリープ特性・熱酸化・光劣化・環境応力割れ)B🟦 ★A

📚 テキスト解説

各節は次の構成で進みます。

– 🎯 一言で

– 📖 解説(乙種ベース)

– 🟦 甲種プラスα(必要な節のみ)

– ⚡ 焦点ポイント

– 📝 過去問のひっかけ例


1. 応力の定義と3種類(引張・圧縮・せん断)σ = P/A

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

応力σ = P/A(力÷断面積)。引張応力・圧縮応力・せん断応力の3種類。単位はMPa(= N/mm²)。

📖 解説(乙種ベース)

応力σ = P/A(力÷断面積)。引張応力・圧縮応力・せん断応力の3種類。単位はMPa(= N/mm²)。

材料に外力が加わると、材料内部に「内力」が発生する。この内力の強さを断面積で割ったものが応力。

応力の定義

応力 σ = 力 P ÷ 原断面積 A

σ:応力 [MPa = N/mm²]

P:材料に加えた力 [N]

A:力に垂直な断面の面積(原断面積)[mm²]

3種類の応力

①引張応力:材料を引っ張ることで生じる応力。棒が伸びる方向。

②圧縮応力:材料を押しつぶすことで生じる応力。棒が縮む方向。

③せん断応力:材料を切るように力が加わることで生じる応力。断面がずれる方向。

比例関係

引張応力は力に比例し、断面積に反比例する。

→ 力が2倍 → σ が2倍、面積が2倍 → σ が1/2

単位の注意

MPa = N/mm² = 10⁶ Pa。圧力と同じ次元。

kN と mm² を組み合わせると自動的に GPa になるので注意。

⚡ 焦点ポイント

乙種では「σ = P/A を使って引張応力・せん断応力・断面積を計算する」問題が頻出。 / 「引張応力は力に比例し断面積に反比例する」は正文として覚える。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【頻出】 「断面積が大きいほど応力が大きい」は誤り。断面積が大きいほど応力は小さくなる(反比例)。
  • 乙種では「σ = P/A を使って引張応力・せん断応力・断面積を計算する」問題が頻出
  • 「引張応力は力に比例し断面積に反比例する」は正文として覚える
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

2. ひずみの定義(縦ひずみ・横ひずみ・せん断ひずみ)ε = λ/l

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

ひずみ ε = 変形量λ ÷ 元の長さl。無次元(単位なし)。伸縮方向が縦ひずみ、直角方向が横ひずみ。

📖 解説(乙種ベース)

ひずみ ε = 変形量λ ÷ 元の長さl。無次元(単位なし)。伸縮方向が縦ひずみ、直角方向が横ひずみ。

材料が応力によって変形したとき、その変形の度合いを表すのがひずみ。

ひずみの定義

ひずみ ε = 変形量(伸び・縮み)λ ÷ 元の長さ l

ε:ひずみ(無次元、単位なし)

λ:変形量 [m または mm]

l:元の長さ [m または mm]

ひずみは無次元なので、長さの単位をそろえれば同じ単位同士で割れる。

3種類のひずみ

①縦ひずみ(軸ひずみ):力の方向(伸縮方向)に生じるひずみ

②横ひずみ:縦ひずみに対して直角方向に生じるひずみ(引張ると横は縮む)

③せん断ひずみ:せん断応力によって生じるひずみ

重要な特徴

材料を引っ張ると、伸びる方向(縦)にひずみが生じるだけでなく、

それと直角な方向にも逆向きのひずみ(横ひずみ)が生じる。

つまり引張ると横は縮み、圧縮すると横は膨らむ。

⚡ 焦点ポイント

「ひずみは無次元(単位なし)」は選択肢でよく問われる。 / 「ひずみは伸縮方向だけでなく直角方向にも生じる」も正文として頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「ひずみの単位は mm」は誤り。ひずみは無次元(単位なし)。
  • 「ひずみは無次元(単位なし)」は選択肢でよく問われる
  • 「ひずみは伸縮方向だけでなく直角方向にも生じる」も正文として頻出
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

3. 応力ひずみ線図の特徴点(A比例限度〜F破断点)とフックの法則

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

A:比例限度フックの法則σ=Eε)、B:弾性限界、C/D:上/下降伏点、E:最大荷重点(引張強さ)、F:破断点。銅・高張力鋼は降伏点が明確に現れず0.2%耐力を使う。

📖 解説(乙種ベース)

A:比例限度フックの法則σ=Eε)、B:弾性限界、C/D:上/下降伏点、E:最大荷重点(引張強さ)、F:破断点。銅・高張力鋼は降伏点が明確に現れず0.2%耐力を使う。

軟鋼(低炭素鋼)の引張試験で得られる応力ひずみ線図の各特徴点を整理する。

A:比例限度

この点までフックの法則が成立する。

フックの法則:σ = E × ε(応力はひずみに比例する)

E:縦弾性係数(ヤング率)[MPa]

B:弾性限界

この点まで応力を加えてもひずみはゼロに戻る(弾性変形の上限)。

弾性変形:外力を除くと元の形に戻る変形

C:上降伏点、D:下降伏点

強度設計に使う「降伏点」は下降伏点(D)を指す。

降伏点を超えると、外力を取り去っても元の形に戻らない(塑性変形)。

塑性変形:外力を除いても残る永久変形

E:最大荷重点

この点の応力を「破壊強さ」「引張強さ」という。

最大荷重重点の応力は破断点の応力より大きい。

F:破断点

材料が切断される点。応力は最大荷重点より小さい。

銅・高張力鋼の特徴

応力ひずみ線図が弾性限界以上でなめらかな曲線となり、降伏点が明確に認められない。

このため「0.2%耐力」を使う:0.2%の永久ひずみを生じる応力 = 0.2%耐力

⚡ 焦点ポイント

軟鋼のA〜F各点の名称と意味を確実に把握すること(特にD:降伏点、E:引張強さ)。 / 「降伏点を超えると塑性変形が生じる」「銅では降伏点が明確に認められない」は頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「最大荷重点で破断する」は誤り。破断はFであり、EよりFの応力は小さい(首なれ現象)。
  • 「超」が「以下」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

4. 許容応力と安全率(安全率 = 基準強さ ÷ 許容応力)

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

許容応力 = 基準強さ(破損限度)÷ 安全率。安全率は大きいほど余裕がある設計。使用状況で基準強さが変わる。

📖 解説(乙種ベース)

許容応力 = 基準強さ(破損限度)÷ 安全率。安全率は大きいほど余裕がある設計。使用状況で基準強さが変わる。

構造物の強度設計では、各部材に働く応力が許容応力を超えないように設計しなければならない。

許容応力の定義

許容応力 = 材料の基準強さ(破損限度)÷ 安全率

安全率の定義

安全率(安全係数)= 材料の基準強さ ÷ 許容応力

安全率が大きいほど、設計に余裕がある(より安全)。

ガス事業法では安全率として 3.5 や 4.0 が使われる。

基準強さ(破損限度)の選び方

使用状況によって「明確な材料の強さを示す点」が変わる:

①延性材料が常温で静荷重を受けるとき → 降伏点 または 耐力0.2%耐力

②脆性材料が常温で静荷重を受けるとき → 破壊強さ

③材料が高温で静荷重を受けるとき → クリープ限度 または クリープ破壊応力

④材料が繰返し応力を受けるとき → 疲労限度(疲れ限度)

計算例

降伏点 280 MPa、安全率 4.0 の場合

許容応力 = 280 / 4.0 = 70 MPa

🟦 甲種プラスα

甲種では計算問題として出題

⚡ 焦点ポイント

「許容応力 = 基準強さ / 安全率」の式を覚え、3つの量のうちどれかを求められるようにする。 / 「延性材料では降伏点が基準強さ」「高温ではクリープ限度」「繰返しでは疲労限度」の対応を整理。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「安全率は小さいほど安全」は誤り。安全率は大きいほど安全余裕がある(許容応力が小さくなる)。
  • 「高温」が「低温」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

5. 薄肉円筒の強度(円周応力 σt = PD/2t、軸応力 σz = PD/4t

重要度: 乙C / 🟦 甲B

🎯 一言で

薄肉円筒の内圧Pによる応力:円周応力(フープ応力)σt = PD/2t、軸応力 σz = PD/4t。円周応力は軸応力の2倍。

📖 解説(乙種ベース)

薄肉円筒の内圧Pによる応力:円周応力(フープ応力)σt = PD/2t、軸応力 σz = PD/4t。円周応力は軸応力の2倍。

ガス工作物では容器・配管など円筒構造が多い。内圧を受けた薄肉円筒の応力計算。

発生する応力の種類

①円周応力 σt(フープ応力):円筒の円周方向(胴を割ろうとする方向)に発生

②軸応力 σz:円筒の軸方向(端面を引き裂こうとする方向)に発生

③半径応力 σr:半径方向(薄肉では無視できる)

公式

円周応力:σt = P × D / (2t)

軸応力: σz = P × D / (4t) = σt / 2

P:内圧(外部との圧力差)[MPa]

D:円筒の内径 [mm]

t:円筒壁の肉厚 [mm]

重要な関係

薄肉円筒では円周応力が軸応力の2倍となる。

→ 破損はまず円周方向(縦に割れる)から起こりやすい

比例関係

円周応力・軸応力ともに内圧P・内径Dに比例し、肉厚tに反比例する。

🟦 甲種プラスα

「円周応力は軸応力の2倍」は乙種甲種ともに頻出の正文

甲種では σt と σz の式を直接書かせる問題が出る

⚡ 焦点ポイント

「円周応力は軸応力の2倍」は乙種甲種ともに頻出の正文。 / 甲種では σt と σz の式を直接書かせる問題が出る。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • σt と σz を逆に覚えないこと。大きい方(2倍)が円周方向(フープ)σt。
  • 「直接」が「間接」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

6. 炭素鋼の基本特性(炭素量と引張強さ・伸びの関係)

重要度: 乙B / 甲B

🎯 一言で

炭素鋼は鉄+炭素の合金。炭素量↑→引張強さ・硬度↑、伸び・絞り↓。C≦0.30%:低炭素鋼、0.30〜0.45%:中炭素鋼、0.45%以上:高炭素鋼。

📖 解説(乙種ベース)

炭素鋼は鉄+炭素の合金。炭素量↑→引張強さ・硬度↑、伸び・絞り↓。C≦0.30%:低炭素鋼、0.30〜0.45%:中炭素鋼、0.45%以上:高炭素鋼。

炭素鋼は鉄(Fe)に主な合金元素として炭素(C)だけを含む鋼で、構造材として最も広範に使用される。

炭素量による分類

低炭素鋼(軟鋼):C ≦ 0.30%

→ 圧延鋼材・配管材・鋼鋳物。容器・配管・貯槽・熱交換器に多用

中炭素鋼:0.30〜0.45%

→ 機械部品・構造材

高炭素鋼:C ≧ 0.45%

→ 工具・ばねなど

炭素量が増えると

引張強さ・硬度:増加する

伸び・絞り:小さくなる

(=強くなるが脆くなる)

代表的な機械的性質

炭素鋼の一般的な引張強さ:約390〜980 N/mm²

一般的な伸び:約30%4%(炭素量が多いほど伸びは小さい)

490 MPa の壁

引張強さが 490 MPa 未満の炭素鋼が一般的に広く使われる。

490 MPa 以上は高張力鋼と呼ばれ、少量の合金元素を添加して強化した鋼。

⚡ 焦点ポイント

「炭素量が増えると引張強さ・硬度が増し、伸び・絞りが小さくなる」は頻出の正文。 / 低炭素鋼の炭素量「0.30%以下」という数値も覚えておく(高炭素鋼は0.45%以上)。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「炭素量が増えると伸びも増える」は誤り。炭素量↑で伸び↓(逆)。
  • 「以上」が「未満」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「以下」が「超」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる/数値・用語が類似のものに差し替えられる

7. 炭素鋼の不純物(リンPと硫黄Sが鋼に与える悪影響)

重要度: 乙B / 甲B

🎯 一言で

リン(P):硬さ・引張強さ↑、伸び↓、延性→脆性の遷移温度を大きく上げる(低温脆性悪化)。硫黄(S):結晶粒界を弱め、熱間加工中に割れやすくし機械的強度↓。

📖 解説(乙種ベース)

リン(P):硬さ・引張強さ↑、伸び↓、延性→脆性の遷移温度を大きく上げる(低温脆性悪化)。硫黄(S):結晶粒界を弱め、熱間加工中に割れやすくし機械的強度↓。

炭素鋼には不純物としてリン(P)・硫黄(S)・銅(Cu)・ヒ素(As)・スズ(Sn)などが含まれる。

これらは鋼の性質に悪影響を与えるため、できるだけ少ない方が望ましい。

リン(P)の影響

良い面:硬さ・引張強さを増す

悪い面:

・伸びを減らす(靭性低下)

・延性→脆性の遷移温度(低温脆性が起こる温度)を著しく高める

→ 低温で使う材料にとって特に問題

・鋼塊中に偏析(成分が偏る現象)を起こさせやすい

硫黄(S)の影響

・結晶粒界を弱くする

・熱間加工(高温での加工)中に割れを発生させやすい(赤熱脆性)

・機械的強度を低下させる

・鋼中では硫化物の形で含まれている

鉄の結晶構造(参考)

純鉄は910℃で結晶構造が変わる変態点がある。

910℃以下:体心立方構造(α鉄)

910℃以上:面心立方構造(γ鉄、オーステナイト)

炭素を固溶したα鉄をフェライト、γ鉄をオーステナイトという。

🟦 甲種プラスα

「リンは伸びを減らし、遷移温度を上昇させる(低温脆性を悪化)」は甲種頻出

フェライト=α鉄にCを固溶」「オーステナイト=γ鉄にCを固溶」も甲種で出る

⚡ 焦点ポイント

「リンは伸びを減らし、遷移温度を上昇させる(低温脆性を悪化)」は甲種頻出。 / 「硫黄は結晶粒界を弱くし、熱間加工中に割れを起こしやすい」も正文として頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「リンは引張強さを下げる」は誤り。引張強さは増やす(ただし伸びが減る)。
  • 「上昇」が「下降」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「低温」が「高温」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる

8. 特殊鋼と添加元素の効果(Ni・Mn・Cr・Mo・W)

重要度: 乙B / 甲C

🎯 一言で

Ni・Mn→オーステナイト生成元素(耐低温性・靭性向上)。Cr・Mo・W→フェライト生成元素(耐食・耐熱・高温クリープ強さ向上)。

📖 解説(乙種ベース)

Ni・Mn→オーステナイト生成元素(耐低温性・靭性向上)。Cr・Mo・W→フェライト生成元素(耐食・耐熱・高温クリープ強さ向上)。

炭素鋼にニッケル(Ni)・クロム(Cr)・マンガン(Mn)などを加えた鋼を特殊鋼という。

オーステナイト生成元素:Ni(ニッケル)・Mn(マンガン)

・オーステナイト組織を安定させる

・焼入れ性を大きくする

・強さと靭性を高める

・衝撃値の遷移温度を下げる → 耐低温性が向上する

(Niを添加すると低温脆性が起こりにくくなる)

フェライト生成元素:Cr(クロム)・Mo(モリブデン)・W(タングステン)

フェライト組織を安定させ、フェライトに固溶して硬く強くする

各元素の固有の効果:

Cr(クロム):

・鉄より酸化しやすい(酸化膜が緻密で保護膜になる)

・大気中・高温での耐酸化性・耐熱性を高める

・5〜6%以上含有で水素脆性が起こりにくい

Mo(モリブデン):

・高温クリープ強さを高める効果が大きい

・焼入れ性を著しく改善し、焼戻し脆さを防止する

W(タングステン):

・炭化物(WC, W₂C)となり鋼を極めて硬くする

・Moとほぼ同様の性質

用途による分類

特殊鋼は用途によって耐熱鋼・耐食鋼・耐摩耗鋼・高張力鋼・低温用鋼などに分けられる。

⚡ 焦点ポイント

「オーステナイト→Ni・Mn、フェライト→Cr・Mo・W」の分類を確実に覚える。 / 「Ni添加で耐低温性が増す」「Cr添加で耐酸化性・耐熱性が向上」「Mo添加で高温クリープ強さ向上」も頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「Niはフェライト生成元素」は誤り。NiはオーステナイトをCr・Mo・Wがフェライトを生成。
  • 「高温」が「低温」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

9. 高温装置用材料(炭素鋼の使用限界450℃・特殊鋼の必要性)

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

炭素鋼の使用限界は約450℃。それ以上では黒鉛化現象で強度が著しく低下するため、Mo鋼・Cr-Mo鋼・ステンレス鋼などの特殊鋼を使用。

📖 解説(乙種ベース)

炭素鋼の使用限界は約450℃。それ以上では黒鉛化現象で強度が著しく低下するため、Mo鋼・Cr-Mo鋼・ステンレス鋼などの特殊鋼を使用。

ガス工業での「高温」とは350℃を超える温度域を指す。

炭素鋼の高温での限界

炭素鋼は450℃程度までが使用限界。

450℃以上では黒鉛化現象が起こり、強度が著しく低下する。

(黒鉛化:鉄中の炭素が炭化物から遊離した黒鉛になる現象)

高温装置材料に要求される性質

①化学的性質:耐酸化性・耐食性(高温雰囲気ガスに対して)

②機械的性質:高温強度(引張強さ・クリープ強さ)と靭性

③物理的性質:線膨張率・密度が小さく、熱伝導率が大きいこと

④製造性:溶解・鋳造・加工・溶接が容易

主な高温装置用材料

Mo鋼、Cr-Mo鋼、Ni-Cr-Mo鋼、ステンレス鋼、Ni合金、Co合金

耐熱鋼の種類(代表例)

オーステナイト系:

SUS304(18Cr-8Ni):850℃まで繰り返し加熱に耐える

SUS310S(25Cr-20Ni):1050℃まで耐える(炉材・排ガス浄化装置用)

SUS316(16Cr-12Ni-2Mo):SUS304より耐食性が高い

フェライト系:

SUS430(18Cr):850℃までの耐酸化用部品

🟦 甲種プラスα

甲種ではSUS310Sが耐熱鋼として用いられることも問われる

⚡ 焦点ポイント

「炭素鋼の使用限界は450℃」「450℃以上では黒鉛化現象で強度低下」は頻出の正文。 / 「高温装置にはクリープ強さが大きいことが要求される」も正文。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「炭素鋼は高温でも使用できる」は誤り。450℃を超えると強度が著しく低下する。
  • 「以上」が「未満」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「大きい」が「小さい」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「高温」が「低温」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる/数値・用語が類似のものに差し替えられる

10. 低温装置用材料(LNG・液体窒素対応材料と温度帯別選択)

重要度: ★ 乙B / 🟦 甲A

🎯 一言で

普通炭素鋼はLNG貯槽に不適。9%Ni鋼は液体窒素(-196℃)に使えるが3.5%Ni鋼は不可。オーステナイト系ステンレス・アルミニウムは低温材料に適する。

📖 解説(乙種ベース)

普通炭素鋼はLNG貯槽に不適。9%Ni鋼は液体窒素(-196℃)に使えるが3.5%Ni鋼は不可。オーステナイト系ステンレス・アルミニウムは低温材料に適する。

氷点下で使用する低温用材料に必要な性質:

①低温において脆性破壊を起こさない(低温脆性がない)

②低温において十分な強度を持つ

③溶接性・加工性が良い

④内容物に対して耐食性がある

普通炭素鋼は使えない

普通の炭素鋼板は液化天然ガスLNG)貯槽の内壁材料として使用できない。

(低温脆性が起こり、急激に脆くなるため)

温度帯別の推奨材料

-101℃まで:

炭素鋼(SiやAlのキルド鋼)・低合金鋼(NiやCr、Mn添加)

-101℃-196℃

9%Ni鋼(特別な熱処理を施したもの)

3.5%Ni鋼は液体窒素(-196℃)には使用できない

-196℃以下:

面心立方晶のオーステナイト系ステンレス鋼(SUS304など)

銅および銅系合金

アルミニウムおよびAl系合金

LNG・液体窒素貯槽の材料

LNG気化器・LNGタンク:9%ニッケル鋼、アルミニウム合金、オーステナイト系ステンレス鋼

液体窒素(-196℃):オーステナイト系ステンレス、Al合金など

フェライト鋼は低温不適

フェライト鋼は低温脆性を起こすため、低温材料としては不適当。

🟦 甲種プラスα

甲種では気体の沸点と材料の組み合わせが出る(i-ブタン/プロパン→炭素鋼Alキルド)

⚡ 焦点ポイント

「普通炭素鋼はLNG貯槽に使えない」「3.5%Ni鋼は液体窒素に使えない」は非常に頻出。 / 「オーステナイト系ステンレス鋼・アルミニウムは低温材料に適する」も正文。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「9%Ni鋼はどんな低温でも使える」は誤り。-196℃以下にはオーステナイト系が必要。
  • 「低温」が「高温」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「液体」が「気体」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる

11. 高圧装置用材料と腐食環境(応力腐食割れ対策材料)

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

高圧装置では低温高圧→脆性破壊に注意。常温高圧→高張力鋼(板厚削減)。応力腐食割れ対策→高純度フェライト系または二相ステンレス鋼。

📖 解説(乙種ベース)

高圧装置では低温高圧→脆性破壊に注意。常温高圧→高張力鋼(板厚削減)。応力腐食割れ対策→高純度フェライト系または二相ステンレス鋼。

高圧装置材料の選定では、温度・圧力・腐食環境を総合的に考慮する必要がある。

低温高圧材料(液化ガス設備など)

脆性破壊が起きると装置全体の破壊から人命への危険が生じる。

鋼材の脆性破壊は低温になるほど起こりやすいため、

衝撃試験などで材料の靭性を確認する必要がある。

常温高圧材料

炭素鋼または経済性を考慮して高張力鋼を使用する。

高張力鋼を使用すると軟鋼に比べて板厚を減らせる(軽量化・コスト削減)。

腐食性雰囲気での材料選定

腐食性雰囲気ガス:硫化水素・塩化水素・炭酸ガス・アンモニア・水素など

液体:各種の酸・アルカリ類

材料選定は温度・圧力・濃度・流速・使用期間などを考慮して決定。

応力腐食割れ対策

高圧装置材料で応力腐食割れが問題になる場合:

→ 高純度フェライト系ステンレス鋼または二相ステンレス鋼(フェライト・オーステナイト系)を使用。

⚡ 焦点ポイント

「高張力鋼を使うと板厚を減らせる」「応力腐食割れ対策→高純度フェライト系または二相ステンレス」は正文。 / 「ステンレス鋼または二相ステンレス鋼が使用されることがある」も正文として頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「高圧設備には必ずオーステナイト系ステンレス鋼を使う」は誤り。腐食環境によってはフェライト系の方が適切。
  • 「高張力鋼を使うと板厚を減らせる」「応力腐食割れ対策→高純度フェライト系または二相ステンレス」は正文
  • 「ステンレス鋼または二相ステンレス鋼が使用されることがある」も正文として頻出
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

12. 疲労破壊と耐久限度(繰り返し応力による破壊)

重要度: 乙B / 甲C

🎯 一言で

繰り返し応力による破壊を疲労破壊という。静的破壊応力より低い応力でも破壊が起こる。鉄鋼材料ではある応力振幅以下(耐久限度)なら無限回の繰り返しに耐える。

📖 解説(乙種ベース)

繰り返し応力による破壊を疲労破壊という。静的破壊応力より低い応力でも破壊が起こる。鉄鋼材料ではある応力振幅以下(耐久限度)なら無限回の繰り返しに耐える。

材料に繰り返し荷重(応力の変動)を加え続けると、静的な破壊応力よりはるかに小さな応力で破壊する。

この現象を疲労破壊という。

疲労破壊のメカニズム

繰り返し応力によって材料内部に微小な亀裂が発生・伝播し、

最終的に破断に至る。

疲労破壊の特徴

①繰り返し応力の大きさが静的破壊応力以下、降伏点より小さい応力でも破壊する

②延性材料でも、目に見えるような塑性変形なしに突然破壊する

③応力振幅(変動の幅)が大きいほど、破壊までの繰り返し数が少ない

疲労限度(耐久限度)

鉄鋼材料では、ある応力振幅以下であれば無限の繰り返し数でも破断しない。

この限界応力振幅を「耐久限度(疲労限度)」という。

設計では繰返し荷重を受ける部材の基準強さとして疲労限度を使う。

応力振幅とは

繰り返し荷重による最大応力と最小応力の差の半分。

応力振幅が小さいほど寿命が長くなる。

⚡ 焦点ポイント

「繰り返し応力による破壊現象を疲労破壊という」は正文。 / 「静的破壊応力よりはるかに小さい応力で破壊することがある」も正文。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「延性材料は疲労破壊しない」は誤り。延性材料でも塑性変形なく突然疲労破壊することがある。
  • 「小さい」が「大きい」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

13. クリープ損傷(高温長時間の応力でひずみが時間とともに増大)

重要度: ★ 乙B / 🟦 甲A

🎯 一言で

クリープ:高温で長時間一定応力をかけるとひずみが時間とともに増大し引張強さより小さい応力で破壊。応力大・温度高いほど顕著。クリープ限度以下では停止。

📖 解説(乙種ベース)

クリープ:高温で長時間一定応力をかけるとひずみが時間とともに増大し引張強さより小さい応力で破壊。応力大・温度高いほど顕著。クリープ限度以下では停止。

金属材料を高温において長時間一定の応力を加えておくと、

ひずみが時間とともに増加し、引張強さよりはるかに小さな応力で破壊する。

この現象を クリープ という。

クリープの特徴

①応力が大きいほど、温度が高いほど顕著に現れる

②室温設計では問題にならないが、高温設備では必ず考慮が必要

③引張強さより小さい応力でも長時間で破壊に至る

クリープ曲線の3期

第1期(初期クリープ):ひずみ速度が減少していく段階

第2期(定常クリープ):ひずみ速度がほぼ一定の段階(設計上最も重要)

第3期(加速クリープ):ひずみ速度が急増して破断に至る段階

クリープ限度

高温においても、ある応力以下ではある時間後にクリープが停止するようになる。

この限界の応力を「クリープ限度」という。

実用的には「10,000時間1%のひずみを生じる応力」などで定義される。

Mo添加の効果

炭素鋼にモリブデン(Mo)を添加すると、高温クリープ強さを高める効果が大きい。

🟦 甲種プラスα

甲種では「クリープ損傷(高温長時間の応力でひずみが時間とともに増大)」の本文の概念をより深く理解した上で、応用問題への対応が問われます。本文の数式・概念をしっかり押さえてください。

⚡ 焦点ポイント

「高温で長時間一定応力を加えるとひずみが増大する現象をクリープという」は頻出正文。 / 「クリープは応力が大きいほど、温度が高いほど顕著」も正文。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「クリープは高温でしか起こらない」は誤り。高分子材料は常温でもクリープが生じる。
  • 「高い」が「低い」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「大きい」が「小さい」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「高温」が「低温」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる

14. 応力腐食割れ(オーステナイト系ステンレス鋼の最大の欠点)

重要度: ★ 乙A / 甲C

🎯 一言で

引張応力+腐食環境で局部亀裂が発生・破断する現象。圧縮応力では起こらない。オーステナイト系ステンレス鋼が塩化物含む溶液で起こりやすい。

📖 解説(乙種ベース)

引張応力+腐食環境で局部亀裂が発生・破断する現象。圧縮応力では起こらない。オーステナイト系ステンレス鋼が塩化物含む溶液で起こりやすい。

内部に引張応力があるオーステナイト系ステンレス鋼を、

塩化物を含む溶液中やアルカリ溶液中で使用すると、

全面腐食が起こらなくても局部的に亀裂が発生し、腐食強さ以下の応力で破断する。

この現象を「応力腐食割れ」という。

応力腐食割れの4つの特徴

①引張応力によって起こるが、圧縮応力では起こらない

②応力が高いほど割れやすい

③割れを生じない限界応力は存在しない

④割れは応力に対して直角方向に、枝分かれしながら成長する

発生しやすい条件

・溶液の塩素イオン濃度が約50ppmを超える場合

・沸点近くの高温

・熱交換器や凝縮器では極めて短時間で割れることがある

オーステナイト系の最大の欠点

工業用水など応力腐食割れを起こす環境は多く存在するため、

オーステナイト系ステンレス鋼の使用上最も大きな欠点とされている。

対策

高純度フェライト系ステンレス鋼または二相ステンレス鋼(フェライト・オーステナイト系)を使用する。

⚡ 焦点ポイント

「引張応力では起こるが、圧縮応力では起こらない」は最頻出の正文。 / 「オーステナイト系ステンレス鋼は応力腐食割れを起こすことがある」も正文。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「圧縮応力でも応力腐食割れが起こる」は誤り。引張応力に限定される。
  • 「引張応力では起こるが、圧縮応力では起こらない」は最頻出の正文
  • 「オーステナイト系ステンレス鋼は応力腐食割れを起こすことがある」も正文
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

15. 低温脆性(体心立方→脆性あり)と水素脆性・遅れ割れ

重要度: 乙C / 🟦 甲B

🎯 一言で

低温脆性:温度↓→遷移温度以下で急に脆くなる。体心立方晶(フェライト鋼)は脆性あり、面心立方晶(オーステナイト系・Al・Cu)は脆性なし。

📖 解説(乙種ベース)

低温脆性:温度↓→遷移温度以下で急に脆くなる。体心立方晶(フェライト鋼)は脆性あり、面心立方晶(オーステナイト系・Al・Cu)は脆性なし。

低温脆性とは

金属材料は温度が下がると引張強さ・硬度は増すが、靭性(じんせい)が低下し、

ある温度以下で急に脆くなり小さな衝撃でも破壊される。この現象を低温脆性という。

脆くなる温度の境界を「遷移温度」という。

低温脆性が起こる材料(体心立方晶)

フェライト鋼(炭素鋼・低合金鋼)

六方晶(Zn・Mg)、斜方晶(Sb)の金属

低温脆性が起こらない材料(面心立方晶)

オーステナイト系ステンレス鋼

Al・Cu・Ni・Ag・Pb などの面心立方晶金属

遅れ割れ(水素脆性による割れ)

溶接部近傍に生じる割れのうち、溶接後・室温に冷却された後、

長期間経過してから生じる割れを遅れ割れ(水素脆性)という。

過飽和になった水素が応力の高い部分に拡散集積し、割れに至る。

遅れ割れが起こりやすい条件:組織が硬い・水素量が多い・拘束応力が多い

水素脆性(高温・高圧

水素が高温・高圧で鋼中の炭素と反応してメタンを生成し、鋼材を脆くする現象。

Fe₃C + 2H₂ → CH₄ + 3Fe

クロムを5〜6%以上含有するクロム鋼・ステンレス鋼では起こりにくい。

🟦 甲種プラスα

甲種では「低温脆性(体心立方→脆性あり)と水素脆性・遅れ割れ」の本文の概念をより深く理解した上で、応用問題への対応が問われます。本文の数式・概念をしっかり押さえてください。

⚡ 焦点ポイント

フェライト鋼(体心立方晶)は低温脆性を起こす」 / 「オーステナイト系ステンレス・Al・Cuなど(面心立方晶)は低温脆性が認められない」は頻出正文。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「金属は低温になると強度が下がる」は誤り。引張強さは低温で増加する(靭性は低下する)。
  • 「低温」が「高温」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

16. 高分子材料の種類と特徴(熱可塑性熱硬化性・エラストマー・ゴム)

重要度: ★ 乙C / 🟦 甲A

🎯 一言で

高分子材料:プラスチック(熱可塑性熱硬化性)+エラストマー(ゴム)。金属より軽く耐食性高い。熱可塑性は加熱→軟化→冷却→固化。熱硬化性は成形一回限り。

📖 解説(乙種ベース)

高分子材料:プラスチック(熱可塑性熱硬化性)+エラストマー(ゴム)。金属より軽く耐食性高い。熱可塑性は加熱→軟化→冷却→固化。熱硬化性は成形一回限り。

高分子材料の分類

プラスチック:

熱可塑性樹脂:PE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PPS

熱硬化性樹脂:EP(エポキシ樹脂)、PUR(ポリウレタン)、PF(フェノール樹脂)

エラストマー(ゴム):NBR(ニトリルゴム)、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)

高分子材料の共通特徴

金属に比べて:軽い(比重0.9〜2.0)・熱伝導率が小さい・酸への耐食性が優れている

金属に比べて:耐熱性が低い・強度が低い(引張強さは金属より1桁低い)

熱可塑性樹脂の特徴

ガラス転移温度または融点まで加熱すると軟化し、冷えると固化する(繰り返し成形可能)。

ガラス転移温度:非晶質部分の分子鎖が回転・振動を始める温度。超えると剛性・粘度が低下。

→ ポリエチレンは都市ガス導管材料として使用(耐腐食性・軽量)

熱硬化性樹脂の特徴

硬化剤・架橋剤で分子が三次元的に結合した樹脂。加熱でさらに三次元化が進む。

反応は不可逆的で、成形は原則一回しか行えない(再成形不可)。

エポキシ樹脂:配管・容器・ポンプなどの内面コーティング・ライニング材料として多用。

ゴム(エラストマー)の特徴

NBR(ニトリルゴム):永久変形・耐摩耗・耐油性に優れるが耐候性は低い

EPDM:耐候性・対溶剤性・耐無機薬品性に優れ、温水シール材として使用

🟦 甲種プラスα

熱可塑性樹脂はガラス転移温度以上で軟化する」「熱硬化性樹脂の成形は一回限り」は甲種頻出

⚡ 焦点ポイント

熱可塑性樹脂はガラス転移温度以上で軟化する」「熱硬化性樹脂の成形は一回限り」は甲種頻出。 / 「高分子材料は金属より熱伝導率が小さい・酸への耐食性が高い」は正文。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「熱可塑性樹脂は成形が一回限り」は誤り。一回限りなのは熱硬化性樹脂。熱可塑性は繰り返し成形できる。
  • 「以上」が「未満」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「高い」が「低い」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「小さい」が「大きい」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる

17. 高分子材料の特性(強度・クリープ特性・熱酸化・光劣化・環境応力割れ)

重要度: ★ 乙B / 🟦 甲A

🎯 一言で

高分子材料の引張強さは金属より小さく(20〜100MPa)。常温でもクリープが生じる。劣化機構:熱酸化劣化・光劣化・環境応力割れ。

📖 解説(乙種ベース)

高分子材料の引張強さは金属より小さく(20〜100MPa)。常温でもクリープが生じる。劣化機構:熱酸化劣化・光劣化・環境応力割れ。

高分子材料の機械的特性

引張強さ:20〜100 MPa(金属材料より約1桁低い)

比重:0.9〜2.0(金属の1/8〜1/4程度)

伸び:非常に大きい(合成ゴムなど200〜700%以上)

弾性率(ヤング率):金属より低い

高分子材料のクリープ特性

高分子材料は常温でもクリープが生じる点が金属と大きく異なる。

クリープ破壊:一定応力がかかった状態で時間が経つと亀裂が発生して破壊。

温度が高いほど顕著。

クリープ破壊までの時間は、応力が小さいと長くなる。

応力緩和

一定のひずみ下で応力が時間とともに低下する現象(クリープの逆)。

ボルト締め付けなどで問題になる。

高分子材料の劣化機構

①熱酸化劣化:

高温・長時間使用で熱と酸素によって分子鎖が切断される。

→ 色相変化・表面に微細な亀裂・破断伸び(衝撃強度)の低下

②光劣化:

紫外線によって化学結合エネルギー以上のエネルギーを吸収し、

分子鎖が切断・分解する現象。

→ 熱酸化劣化と同様の外観変化(色相変化・微細な亀裂・破断伸び低下)

③環境応力割れ:

応力と環境要因(化学物質)の相互作用で亀裂が発生する現象。

溶剤・油・界面活性剤などが原因になる。

事前予測が困難で、個々のケースで事前に確認が必要。

🟦 甲種プラスα

「高分子材料のクリープは常温でも生じる」は甲種頻出の正文(金属との違い)

⚡ 焦点ポイント

「高分子材料のクリープは常温でも生じる」は甲種頻出の正文(金属との違い)。 / 「クリープ破壊までの時間は応力が小さいと長くなる」も正文。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「高分子材料は金属より引張強さが高い」は誤り。高分子材料の引張強さは金属より約1桁低い。
  • 「小さい」が「大きい」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

🔢 計算問題のための準備

主要式:

– 応力 σ = P/A(力÷断面積、単位 Pa or N/mm²)

– ひずみ ε = λ/L(変形量÷元の長さ、無次元)

フックの法則 σ = Eε(比例範囲、Eはヤング率)

– 薄肉円筒の円周応力 σt = PD/2t、軸応力 σz = PD/4t

– 安全率 = 基準強さ ÷ 許容応力(常に1以上)

主要金属のヤング率(GPa): 鋼=200、アルミ=70、銅=120、チタン=110

炭素鋼の使用温度範囲: 約−10℃450℃(これを超えると特殊鋼が必要)

計算問題で失点する最大の原因は単位ミス。代入前に「絶対圧か?」「絶対温度か?」「単位は揃っているか?」を必ず確認。

🗒️ 3分で復習(章末まとめ)

🎯 全節 一言まとめ

  • 節1 応力の定義と3種類(引張・圧縮・せん断)σ = P/A: 応力σ = P/A(力÷断面積)。引張応力・圧縮応力・せん断応力の3種類。単位はMPa(= N/mm²)。
  • 節2 ひずみの定義(縦ひずみ・横ひずみ・せん断ひずみ)ε = λ/l: ひずみ ε = 変形量λ ÷ 元の長さl。無次元(単位なし)。伸縮方向が縦ひずみ、直角方向が横ひずみ。
  • 節3 応力ひずみ線図の特徴点(A比例限度〜F破断点)とフックの法則: A:比例限度フックの法則σ=Eε)、B:弾性限界、C/D:上/下降伏点、E:最大荷重点(引張強さ)、F:破断点。銅・高張力鋼は降伏点が明確に現れず0.2%耐力を使う。
  • 節4 許容応力と安全率(安全率 = 基準強さ ÷ 許容応力): 許容応力 = 基準強さ(破損限度)÷ 安全率。安全率は大きいほど余裕がある設計。使用状況で基準強さが変わる。
  • 節5 薄肉円筒の強度(円周応力 σt = PD/2t、軸応力 σz = PD/4t): 薄肉円筒の内圧Pによる応力:円周応力(フープ応力)σt = PD/2t、軸応力 σz = PD/4t。円周応力は軸応力の2倍。
  • 節6 炭素鋼の基本特性(炭素量と引張強さ・伸びの関係): 炭素鋼は鉄+炭素の合金。炭素量↑→引張強さ・硬度↑、伸び・絞り↓。C≦0.30%:低炭素鋼、0.30〜0.45%:中炭素鋼、0.45%以上:高炭素鋼。
  • 節7 炭素鋼の不純物(リンPと硫黄Sが鋼に与える悪影響): リン(P):硬さ・引張強さ↑、伸び↓、延性→脆性の遷移温度を大きく上げる(低温脆性悪化)。硫黄(S):結晶粒界を弱め、熱間加工中に割れやすくし機械的強度↓。
  • 節8 特殊鋼と添加元素の効果(Ni・Mn・Cr・Mo・W): Ni・Mn→オーステナイト生成元素(耐低温性・靭性向上)。Cr・Mo・W→フェライト生成元素(耐食・耐熱・高温クリープ強さ向上)。
  • 節9 高温装置用材料(炭素鋼の使用限界450℃・特殊鋼の必要性): 炭素鋼の使用限界は約450℃。それ以上では黒鉛化現象で強度が著しく低下するため、Mo鋼・Cr-Mo鋼・ステンレス鋼などの特殊鋼を使用。
  • 節10 低温装置用材料(LNG・液体窒素対応材料と温度帯別選択): 普通炭素鋼はLNG貯槽に不適。9%Ni鋼は液体窒素(-196℃)に使えるが3.5%Ni鋼は不可。オーステナイト系ステンレス・アルミニウムは低温材料に適する。
  • 節11 高圧装置用材料と腐食環境(応力腐食割れ対策材料): 高圧装置では低温高圧→脆性破壊に注意。常温高圧→高張力鋼(板厚削減)。応力腐食割れ対策→高純度フェライト系または二相ステンレス鋼。
  • 節12 疲労破壊と耐久限度(繰り返し応力による破壊): 繰り返し応力による破壊を疲労破壊という。静的破壊応力より低い応力でも破壊が起こる。鉄鋼材料ではある応力振幅以下(耐久限度)なら無限回の繰り返しに耐える。
  • 節13 クリープ損傷(高温長時間の応力でひずみが時間とともに増大): クリープ:高温で長時間一定応力をかけるとひずみが時間とともに増大し引張強さより小さい応力で破壊。応力大・温度高いほど顕著。クリープ限度以下では停止。
  • 節14 応力腐食割れ(オーステナイト系ステンレス鋼の最大の欠点): 引張応力+腐食環境で局部亀裂が発生・破断する現象。圧縮応力では起こらない。オーステナイト系ステンレス鋼が塩化物含む溶液で起こりやすい。
  • 節15 低温脆性(体心立方→脆性あり)と水素脆性・遅れ割れ: 低温脆性:温度↓→遷移温度以下で急に脆くなる。体心立方晶(フェライト鋼)は脆性あり、面心立方晶(オーステナイト系・Al・Cu)は脆性なし。
  • 節16 高分子材料の種類と特徴(熱可塑性・熱硬化性・エラストマー・ゴム): 高分子材料:プラスチック(熱可塑性熱硬化性)+エラストマー(ゴム)。金属より軽く耐食性高い。熱可塑性は加熱→軟化→冷却→固化。熱硬化性は成形一回限り。
  • 節17 高分子材料の特性(強度・クリープ特性・熱酸化・光劣化・環境応力割れ): 高分子材料の引張強さは金属より小さく(20〜100MPa)。常温でもクリープが生じる。劣化機構:熱酸化劣化・光劣化・環境応力割れ。

⚡ 全節 焦点ポイント

  • 節1: 乙種では「σ = P/A を使って引張応力・せん断応力・断面積を計算する」問題が頻出。 / 「引張応力は力に比例し断面積に反比例する」は正文として覚える。
  • 節2: 「ひずみは無次元(単位なし)」は選択肢でよく問われる。 / 「ひずみは伸縮方向だけでなく直角方向にも生じる」も正文として頻出。
  • 節3: 軟鋼のA〜F各点の名称と意味を確実に把握すること(特にD:降伏点、E:引張強さ)。 / 「降伏点を超えると塑性変形が生じる」「銅では降伏点が明確に認められない」は頻出。
  • 節4: 「許容応力 = 基準強さ / 安全率」の式を覚え、3つの量のうちどれかを求められるようにする。 / 「延性材料では降伏点が基準強さ」「高温ではクリープ限度」「繰返しでは疲労限度」の対応を整理。
  • 節5: 「円周応力は軸応力の2倍」は乙種甲種ともに頻出の正文。 / 甲種では σt と σz の式を直接書かせる問題が出る。
  • 節6: 「炭素量が増えると引張強さ・硬度が増し、伸び・絞りが小さくなる」は頻出の正文。 / 低炭素鋼の炭素量「0.30%以下」という数値も覚えておく(高炭素鋼は0.45%以上)。
  • 節7: 「リンは伸びを減らし、遷移温度を上昇させる(低温脆性を悪化)」は甲種頻出。 / 「硫黄は結晶粒界を弱くし、熱間加工中に割れを起こしやすい」も正文として頻出。
  • 節8: 「オーステナイト→Ni・Mn、フェライト→Cr・Mo・W」の分類を確実に覚える。 / 「Ni添加で耐低温性が増す」「Cr添加で耐酸化性・耐熱性が向上」「Mo添加で高温クリープ強さ向上」も頻出。
  • 節9: 「炭素鋼の使用限界は450℃」「450℃以上では黒鉛化現象で強度低下」は頻出の正文。 / 「高温装置にはクリープ強さが大きいことが要求される」も正文。
  • 節10: 「普通炭素鋼はLNG貯槽に使えない」「3.5%Ni鋼は液体窒素に使えない」は非常に頻出。 / 「オーステナイト系ステンレス鋼・アルミニウムは低温材料に適する」も正文。
  • 節11: 「高張力鋼を使うと板厚を減らせる」「応力腐食割れ対策→高純度フェライト系または二相ステンレス」は正文。 / 「ステンレス鋼または二相ステンレス鋼が使用されることがある」も正文として頻出。
  • 節12: 「繰り返し応力による破壊現象を疲労破壊という」は正文。 / 「静的破壊応力よりはるかに小さい応力で破壊することがある」も正文。
  • 節13: 「高温で長時間一定応力を加えるとひずみが増大する現象をクリープという」は頻出正文。 / 「クリープは応力が大きいほど、温度が高いほど顕著」も正文。
  • 節14: 「引張応力では起こるが、圧縮応力では起こらない」は最頻出の正文。 / 「オーステナイト系ステンレス鋼は応力腐食割れを起こすことがある」も正文。
  • 節15: 「フェライト鋼(体心立方晶)は低温脆性を起こす」 / 「オーステナイト系ステンレス・Al・Cuなど(面心立方晶)は低温脆性が認められない」は頻出正文。
  • 節16: 「熱可塑性樹脂はガラス転移温度以上で軟化する」「熱硬化性樹脂の成形は一回限り」は甲種頻出。 / 「高分子材料は金属より熱伝導率が小さい・酸への耐食性が高い」は正文。
  • 節17: 「高分子材料のクリープは常温でも生じる」は甲種頻出の正文(金属との違い)。 / 「クリープ破壊までの時間は応力が小さいと長くなる」も正文。

📝 関連過去問

この章の知識が問われる過去問題リスト(全14問)。

ℹ️ 乙種・甲種は別の試験です。同じ問番号(例: 基問10)であっても、乙種と甲種では出題される問題内容は異なります。各年度・種別ごとの本文は 乙種過去問 / 甲種過去問 ページから確認してください。

乙種(8問)

令和7年: 基問14 / 基問15

令和6年: 基問14 / 基問15

令和5年: 基問14 / 基問15

平成27年: 基問14 / 基問15

甲種(6問)

令和7年: 基問14 / 基問15

令和6年: 基問14 / 基問15

令和5年: 基問14 / 基問15