ガス機器の熱交換・保温設計の根幹である伝熱を扱います。伝熱の3形態(熱伝導・対流・放射)、フーリエの法則、熱伝達率、熱通過率、熱交換器の温度効率と対数平均温度差、ステファン・ボルツマンの放射、熱交換器の分類までを順番に学びます。
乙種・甲種兼用 / 全17節 / 学習目安: 60〜90分
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📍 はじめに
お湯が冷めるまでの過程には3つの伝熱形態が組み合わさっています。容器を通して空気に逃げる「熱伝導」、対流で空気が混ざる「対流熱伝達」、表面から赤外線として出ていく「放射」。この章ではそれぞれを定量的に扱い、熱交換器の設計に応用します。
📍 この章で学ぶこと(5ブロック・全17節)
各節の重要度を 乙種 / 甲種 で並べて表示します。
🟦 = 甲種で重要度が乙種より上がる節 / ★ = 重要度A節
ブロック1: 伝熱の3形態と熱伝導
| 節 | タイトル | 乙 | 甲 |
|---|---|---|---|
| 1 | 伝熱の3形態:熱伝導・対流熱伝達・熱放射 | C | 🟦 B |
| 2 | フーリエの法則と平板熱伝導の計算式 | ★A | C |
| 3 | 平板熱伝導の比例・反比例関係(覚え方) | ★A | C |
| 4 | 主な物質の熱伝導率(金属・非金属の大小傾向) | ★A | C |
| 5 | 多層平板の熱伝導:定常熱流束と接触面温度の計算 | C | 🟦 B |
| 6 | 円筒壁の熱伝導(ln式) | C | C |
ブロック2: 対流熱伝達
| 節 | タイトル | 乙 | 甲 |
|---|---|---|---|
| 7 | 対流熱伝達の形態(自然対流・強制対流・沸騰・凝縮) | C | 🟦 ★A |
| 8 | 対流熱伝達の熱流束式 q = h(T₁-T₃) | C | 🟦 ★A |
| 9 | 熱伝達率の大小関係(気体→液体→相変化の順) | C | 🟦 ★A |
ブロック3: 熱通過と熱交換
| 節 | タイトル | 乙 | 甲 |
|---|---|---|---|
| 10 | 熱通過率(総括伝熱係数)1/U = 1/hh + L/λ + 1/hc | B | 🟦 ★A |
| 11 | 熱交換量の計算 Q = UA(T₁-T₄) と熱流束 q = U(T₁-T₄) | B | 🟦 ★A |
| 12 | 温度効率の定義と計算(熱交換器の性能指標) | B | 🟦 ★A |
| 13 | 対数平均温度差 ΔTm(向流型熱交換器の熱交換量計算) | C | 🟦 ★A |
ブロック4: 熱放射
| 節 | タイトル | 乙 | 甲 |
|---|---|---|---|
| 14 | ステファン・ボルツマンの法則と黒体の全放射能 | ★A | ★A |
| 15 | 二面間の熱放射と吸収率・反射率・キルヒホッフの法則 | ★A | ★A |
ブロック5: 伝熱装置の分類
| 節 | タイトル | 乙 | 甲 |
|---|---|---|---|
| 16 | 伝熱装置の用途による分類(加熱器・蒸発器・凝縮器など10種類) | C | 🟦 B |
| 17 | 熱交換器の構造・流れ方向による分類(管形・板形・並流・向流・直交流) | C | 🟦 B |
📚 テキスト解説
各節は次の構成で進みます。
– 🎯 一言で
– 📖 解説(乙種ベース)
– 🟦 甲種プラスα(必要な節のみ)
– ⚡ 焦点ポイント
– 📝 過去問のひっかけ例
1. 伝熱の3形態:熱伝導・対流熱伝達・熱放射
重要度: 乙C / 🟦 甲B
🎯 一言で
熱の移動には熱伝導・対流熱伝達・熱放射の3形態がある。固体内→熱伝導、固体と流体間→対流熱伝達、離れた物体間→熱放射。
📖 解説(乙種ベース)
熱の移動には熱伝導・対流熱伝達・熱放射の3形態がある。固体内→熱伝導、固体と流体間→対流熱伝達、離れた物体間→熱放射。
熱エネルギーは高温側から低温側へ自然に移動する。その経路(形態)は3種類。
熱伝導
物質を構成する粒子の相互作用によって、高温側から低温側へ熱が伝わる現象。
固体の内部だけでなく、気体や液体などの流体中でも起こる。
対流熱伝達
固体表面と、それに接する流体との間で熱が移動する現象。
流体が流れることで、熱伝導より大量の熱を運ぶことができる。
実用上もっとも重要な伝熱形態(固体壁と流体間の設計に必須)。
熱放射(ふく射)
物体表面から電磁波として熱エネルギーが空間を伝わり、他の物体に熱を与える現象。
物質を介さないので、真空中でも伝熱が可能(太陽熱が届くのはこれ)。
熱通過とは?
金属壁などを通じて、高温側流体→(対流熱伝達)→壁→(熱伝導)→壁→(対流熱伝達)→低温側流体
と熱が連続して伝わる現象を「熱通過」という。3形態が組み合わさった複合現象。
🟦 甲種プラスα
甲種では「伝熱の3形態:熱伝導・対流熱伝達・熱放射」の本文の概念をより深く理解した上で、応用問題への対応が問われます。本文の数式・概念をしっかり押さえてください。
⚡ 焦点ポイント
「固体内は熱伝導、固体と流体の間は対流熱伝達、離れた物体間は熱放射」の対応を正確に暗記。 / 熱通過=対流熱伝達+熱伝導+対流熱伝達の組み合わせ。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【頻出】 「固体内では対流熱伝達も起こる」は誤り。固体内は熱伝導のみ。
- 「固体内は熱伝導、固体と流体の間は対流熱伝達、離れた物体間は熱放射」の対応を正確に暗記
- 熱通過=対流熱伝達+熱伝導+対流熱伝達の組み合わせ
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
2. フーリエの法則と平板熱伝導の計算式
重要度: ★ 乙A / 甲C
🎯 一言で
平板を通る熱流束 q = λ(T₁-T₂)/L。伝熱量 Q = qA。フーリエの法則:q = λ(dT/dx)。
📖 解説(乙種ベース)
平板を通る熱流束 q = λ(T₁-T₂)/L。伝熱量 Q = qA。フーリエの法則:q = λ(dT/dx)。
平板(平面壁)を定常状態で通過する熱を定量的に求める計算式。
定義と記号
伝熱量 Q [W]:単位時間あたりに面全体を通る熱量
熱流束 q [W/m²]:単位面積あたりの伝熱量 q = Q/A
熱伝導率 λ [W/(m·K)]:物質固有の熱の伝えやすさ
平板の熱流束の式
q = λ × (T₁ – T₂) / L
T₁:高温側表面温度 [K] T₂:低温側表面温度 [K]
L:平板の厚さ [m]
(T₁ – T₂)/L を「温度勾配」という。
フーリエの法則(一般式)
q = λ × dT/dx
一般には温度勾配に比例して熱流束が決まる。
計算のコツ:厚さLを求める変形
L = λ × (T₁ – T₂) / q
qが与えられてLを求める問題(炉壁の厚さ)でよく使う。
単位注意
q が kW/m² で与えられたら W/m² に変換してから代入すること。
⚡ 焦点ポイント
乙種では「熱流束を求める」「平板の厚さを求める」「温度を求める」の3パターンが頻出。 / 式を変形できるようにしておくこと:q = λΔT/L → L = λΔT/q → ΔT = qL/λ
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- q の単位が kW/m² の場合は ×1000 して W/m² にしてから計算。単位変換忘れに注意。
- 乙種では「熱流束を求める」「平板の厚さを求める」「温度を求める」の3パターンが頻出
- 式を変形できるようにしておくこと:q = λΔT/L → L = λΔT/q → ΔT = qL/λ
- その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
3. 平板熱伝導の比例・反比例関係(覚え方)
重要度: ★ 乙A / 甲C
🎯 一言で
伝熱量Qはλ・温度差・面積Aに比例し、厚さLに反比例。λが2倍→Q2倍、L2倍→Q半分。
📖 解説(乙種ベース)
伝熱量Qはλ・温度差・面積Aに比例し、厚さLに反比例。λが2倍→Q2倍、L2倍→Q半分。
Q = λ × A × (T₁ – T₂) / L の式から読み取れる比例・反比例の関係を整理する。
比例する量(大きいほどQが増える)
・熱伝導率 λ:材料を良熱伝導体に替えると伝熱量が増える
・伝熱面積 A:面積が広いほど多くの熱が流れる
・温度差 (T₁-T₂):高低温の差が大きいほど多くの熱が流れる
反比例する量(大きいほどQが減る)
・平板の厚さ L:厚くするほど熱が通りにくくなる
倍率の計算(比で解く問題)
λが2倍 → Q は 2倍
Lが2倍 → Q は 1/2倍
ΔT が2倍かつ A が2倍 → Q は 4倍
ΔTが2倍・Lが2倍 → Q は 2 × 1/2 = 1倍(変わらない)
壁の中間温度(平均値)
均一材質の平板では、厚さ方向の中間地点の温度は表裏の温度の平均値になる。
(温度分布が直線的になるため)
⚡ 焦点ポイント
「○○が2倍になると伝熱量は何倍になるか」形式の問題が乙種で多い。 / 比例・反比例の組み合わせを掛け算で処理できれば必ず解ける。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 面積Aと厚さLを混同しないこと。面積は比例、厚さは反比例(逆)。
- 「○○が2倍になると伝熱量は何倍になるか」形式の問題が乙種で多い
- 比例・反比例の組み合わせを掛け算で処理できれば必ず解ける
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
4. 主な物質の熱伝導率(金属・非金属の大小傾向)
重要度: ★ 乙A / 甲C
🎯 一言で
熱伝導率:金属>非金属>気体。Cu>Al>Fe。金属は温度上昇で低下、繊維質は温度上昇で増大。
📖 解説(乙種ベース)
熱伝導率:金属>非金属>気体。Cu>Al>Fe。金属は温度上昇で低下、繊維質は温度上昇で増大。
熱伝導率 λ の大きさの傾向を材料カテゴリ別に整理する。
大小の順位(おおよそ)
銅(Cu)> アルミニウム(Al)> 鉄(Fe)> 非金属固体(Al₂O₃など)> ガラス > 水 > 空気
具体的な値の目安:
Cu:約 400 W/(m·K)
Al:約 200 W/(m·K)
Fe:約 50~80 W/(m·K)
ガラス(SiO₂):約 1 W/(m·K)
空気:約 0.026 W/(m·K)
温度との関係
金属:温度が上がると熱伝導率は一般に低下する
繊維質の断熱材(グラスウールなど):温度が上がると熱伝導率は増大する
試験で使う知識
「鉄の熱伝導率は銅・アルミより小さい」→ 正しい
「金属の熱伝導率はガラスより大きい」→ 正しい
「繊維質材料の熱伝導率は温度上昇で増大」→ 正しい
⚡ 焦点ポイント
具体的な数値を暗記する必要はない。大小関係と傾向(金属>非金属、金属は温度↑でλ↓)を押さえれば対応できる。 / 繊維質の「温度↑でλ↑」は金属と逆で引っ掛けに使われやすい。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 「金属は温度が上がると熱伝導率も上がる」は誤り(金属は逆)。繊維質と混同しないこと。
- 具体的な数値を暗記する必要はない
- 大小関係と傾向(金属>非金属、金属は温度↑でλ↓)を押さえれば対応できる
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
5. 多層平板の熱伝導:定常熱流束と接触面温度の計算
重要度: 乙C / 🟦 甲B
🎯 一言で
多層平板では定常時に各層の熱流束は等しい。q = (T₁-Tₙ) / Σ(Lᵢ/λᵢ)。接触面温度は各層で同じqを使って逆算。
📖 解説(乙種ベース)
多層平板では定常時に各層の熱流束は等しい。q = (T₁-Tₙ) / Σ(Lᵢ/λᵢ)。接触面温度は各層で同じqを使って逆算。
材質や厚さが異なる複数の平板が密着している場合の伝熱計算。
定常状態の鉄則
定常状態では各層を通る単位時間あたりの熱量は全て等しい。
(エネルギーが蓄積されないため)
3層平板の式
q = λ₁(T₁-T₂)/L₁ = λ₂(T₂-T₃)/L₂ = λ₃(T₃-T₄)/L₃
全体の熱流束を一発で求める式
q = (T₁ – Tₙ) / (L₁/λ₁ + L₂/λ₂ + L₃/λ₃)
分母 = 各層の「熱抵抗」の合計(直列回路の電気抵抗と同じ考え方)
接触面温度の求め方(例:T₂を求める)
① まず全体の q を上の式で求める
② q = λ₁(T₁-T₂)/L₁ を T₂ について解く
→ T₂ = T₁ – q×L₁/λ₁
2層の例題
内側λ=1、L=0.1m、外側λ=4、L=0.2m、T₁=1050℃、T₄=150℃
q は両層で等しいので:1×(1050-T)/0.1 = 4×(T-150)/0.2
→ T = 450℃
🟦 甲種プラスα
甲種で頻出の計算問題
⚡ 焦点ポイント
甲種で頻出の計算問題。「q が各層で等しい」という条件設定が肝。 / 式を立ててから連立方程式(または代入法)で解く。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 「定常状態では各層の温度が等しい」は誤り。等しいのは熱流束(q)であって温度ではない。
- 甲種で頻出の計算問題
- 「q が各層で等しい」という条件設定が肝
- その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
6. 円筒壁の熱伝導(ln式)
重要度: 乙C / 甲C
🎯 一言で
円管の伝熱量 Q = 2πLλ(T₁-T₂) / ln(r₂/r₁)。平板と違い面積が半径依存するためlnが登場。
📖 解説(乙種ベース)
円管の伝熱量 Q = 2πLλ(T₁-T₂) / ln(r₂/r₁)。平板と違い面積が半径依存するためlnが登場。
円管(パイプ)の壁を通る伝熱は、平板と形が異なる。
平板と違う理由
円管では半径方向の位置によって伝熱面積が変化するため、
平板の q = λΔT/L そのままでは使えない。積分が必要になりlnが現れる。
円筒壁の伝熱量の式
Q = 2π × L × λ × (T₁ – T₂) / ln(r₂/r₁)
記号の意味:
Q:伝熱量 [W] L:管の長さ [m]
λ:熱伝導率 [W/(m·K)]
T₁:内面温度 [K] T₂:外面温度 [K]
r₁:内半径 [m] r₂:外半径 [m]
注意点
半径方向の位置によらず伝熱量 Q は一定(定常状態)。
ただし熱流束 q = Q/A は面積 A が位置によって変わるため一定ではない。
試験での位置づけ
乙種・甲種ともにC難易度(滅多に出ない)。
甲種では「管長1mあたりの熱損失を計算する」形で出ることがある。
🟦 甲種プラスα
甲種受験者は式を書けるように練習しておくこと(ln(r₂/r₁) を忘れやすい)
乙種・甲種ともにC難易度(滅多に出ない)
甲種では「管長1mあたりの熱損失を計算する」形で出ることがある
⚡ 焦点ポイント
乙種では式を覚えるよりも「平板とは異なりlnが使われる」という概念把握で十分。 / 甲種受験者は式を書けるように練習しておくこと(ln(r₂/r₁) を忘れやすい)。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 「円筒壁でも熱流束(単位面積あたり)は一定」は誤り。Qが一定であって、qは位置によって変わる。
- 乙種では式を覚えるよりも「平板とは異なりlnが使われる」という概念把握で十分
- 甲種受験者は式を書けるように練習しておくこと(ln(r₂/r₁) を忘れやすい)
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
7. 対流熱伝達の形態(自然対流・強制対流・沸騰・凝縮)
重要度: ★ 乙C / 🟦 甲A
🎯 一言で
対流熱伝達の形態:自然対流(浮力駆動)・強制対流(機械駆動)・沸騰・凝縮(相変化)。固体近くの境界層では熱伝導が主体。
📖 解説(乙種ベース)
対流熱伝達の形態:自然対流(浮力駆動)・強制対流(機械駆動)・沸騰・凝縮(相変化)。固体近くの境界層では熱伝導が主体。
固体表面と流体の間で熱が移動する現象が対流熱伝達。その形態を整理する。
境界層の形成
物体表面近くでは流体の速度が急激に減少し、境界層が形成される。
境界層の中では熱は主に熱伝導によって伝わる(流れが止まっているため)。
境界層から離れた流体本体では混合作用が絶えず起こっているため、
流体本体の温度はほぼ均一とみなせる。
自然対流
流体を強制的に動かす機械(ポンプや送風機)を使わず、
加熱された流体の密度が下がって浮力で上昇することで起こる対流。
強制対流
ポンプや送風機などで強制的に流体を流す対流。
流速が大きいため、自然対流より熱伝達率が大きく伝熱量も多い。
沸騰
液体が高温の固体表面で加熱されて蒸気に相変化する現象。
蒸発潜熱を奪うため、大量の熱を移動させられる。
凝縮
蒸気が低温の固体表面で冷やされて液体に相変化する現象。
凝縮潜熱として大量の熱を低温物体に与える。
沸騰・凝縮のある相変化では熱伝達率が著しく大きくなる。
🟦 甲種プラスα
甲種では形態の特徴(浮力→自然対流、機械→強制対流、相変化→沸騰/凝縮)の区別が問われる
⚡ 焦点ポイント
甲種では形態の特徴(浮力→自然対流、機械→強制対流、相変化→沸騰/凝縮)の区別が問われる。 / 「固体付近の境界層では主に熱伝導で伝わる」という文も頻出選択肢。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 「境界層内では主に対流で熱が伝わる」は誤り。境界層内は熱伝導が主体(流れが止まっているため)。
- 甲種では形態の特徴(浮力→自然対流、機械→強制対流、相変化→沸騰/凝縮)の区別が問われる
- 「固体付近の境界層では主に熱伝導で伝わる」という文も頻出選択肢
- その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
8. 対流熱伝達の熱流束式 q = h(T₁-T₃)
重要度: ★ 乙C / 🟦 甲A
🎯 一言で
対流熱伝達の熱流束 q = h(T₁-T₃)。h は熱伝達率 [W/(m²·K)]。物質だけでなく対流の強さによっても変わる。
📖 解説(乙種ベース)
対流熱伝達の熱流束 q = h(T₁-T₃)。h は熱伝達率 [W/(m²·K)]。物質だけでなく対流の強さによっても変わる。
固体表面と流体の間を流れる熱流束の定式化。
境界層内の温度分布の扱い
固体表面温度を T₁、流体本体温度を T₃ とすると、
境界層内の正確な温度(T₂)は測定が難しい。
そこで、T₁ と T₃ の差で熱流束を表す近似式を使う。
対流熱伝達の式
q = h × (T₁ – T₃)
q:熱流束 [W/m²]
h:熱伝達率(熱伝達係数)[W/(m²·K)]
T₁:固体表面温度 [K] T₃:流体本体温度 [K]
熱伝達率 h の特徴
・物質の種類だけでなく、対流の強さ(流速)によっても変化する
・同じ流体でも、流速が速いほど h は大きくなる
・液体は気体より h が大きい(液体の方が熱伝導率が高いため)
伝熱量への変換
Q = h × A × (T₁ – T₃)
A:固体表面の面積 [m²]
🟦 甲種プラスα
甲種では「対流熱伝達の熱流束式 q = h(T₁-T₃)」の本文の概念をより深く理解した上で、応用問題への対応が問われます。本文の数式・概念をしっかり押さえてください。
⚡ 焦点ポイント
式の形は平板熱伝導の q = λΔT/L と似ているが、hは厚さLを含まない点に注意。 / 「熱伝達率は物質の種類だけで決まる」は誤り(対流の強さでも変わる)というひっかけが出る。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 熱伝達率 h と熱伝導率 λ を混同しないこと。h は対流の条件も含む係数、λ は材料固有の値。
- 式の形は平板熱伝導の q = λΔT/L と似ているが、hは厚さLを含まない点に注意
- 「熱伝達率は物質の種類だけで決まる」は誤り(対流の強さでも変わる)というひっかけが出る
- その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
9. 熱伝達率の大小関係(気体→液体→相変化の順)
重要度: ★ 乙C / 🟦 甲A
🎯 一言で
熱伝達率 h の大小:気体・自然対流 < 気体・強制対流 < 液体・自然対流 < 液体・強制対流 < 相変化(沸騰・凝縮)。
📖 解説(乙種ベース)
熱伝達率 h の大小:気体・自然対流 < 気体・強制対流 < 液体・自然対流 < 液体・強制対流 < 相変化(沸騰・凝縮)。
熱伝達率 h の大まかな範囲と大小順序を整理する。
熱伝達率のおよその範囲 [W/(m²·K)]
気体・自然対流: 2 ~ 30
気体・強制対流: 25 ~ 300
液体・自然対流: 50 ~ 1,000
液体・強制対流: 100 ~ 10,000
相変化熱伝達(沸騰・凝縮):2,500 ~ 100,000
大小関係の覚え方
気体 < 液体 < 相変化(沸騰・凝縮)
自然対流 < 強制対流(流速が速いほど h が大きい)
重要な比較ポイント
・流動水 > 静止水(流れているほど h が大きい)
・液体 > 気体(液体の方が熱伝導率が高い)
・沸騰・凝縮では h が著しく大きくなる(潜熱のため)
🟦 甲種プラスα
甲種では「熱伝達率の大小関係(気体→液体→相変化の順)」の本文の概念をより深く理解した上で、応用問題への対応が問われます。本文の数式・概念をしっかり押さえてください。
⚡ 焦点ポイント
「熱伝達率が最も大きいのはどれか」という問いに対して相変化(沸騰・凝縮)を選ぶ。 / 「液体・強制対流 > 気体・強制対流」という比較も頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 「静止水と沸騰水では熱伝達率がほぼ同じ」は誤り。沸騰水は桁違いに大きい。
- 「大きい」が「小さい」に書き換えられる(方向の逆転)
- 「液体」が「気体」に書き換えられる(方向の逆転)
- その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる
10. 熱通過率(総括伝熱係数)1/U = 1/hh + L/λ + 1/hc
重要度: ★ 乙B / 🟦 甲A
🎯 一言で
熱通過率 U:1/U = 1/hh + L/λ + 1/hc。電気の直列抵抗と同じ考え方で3つの熱抵抗が直列に並ぶ。
📖 解説(乙種ベース)
熱通過率 U:1/U = 1/hh + L/λ + 1/hc。電気の直列抵抗と同じ考え方で3つの熱抵抗が直列に並ぶ。
固体金属壁を隔てた2流体間の伝熱を総合的に表すのが熱通過率 U。
熱が伝わる経路
高温流体(T₁)→ [対流熱伝達 hh] → 壁面高温側
→ [熱伝導 λ/L] → 壁面低温側
→ [対流熱伝達 hc] → 低温流体(T₄)
熱通過率 U の計算式
1/U = 1/hh + L/λ + 1/hc
U:熱通過率(総括伝熱係数)[W/(m²·K)]
hh:高温流体側の熱伝達率 [W/(m²·K)]
hc:低温流体側の熱伝達率 [W/(m²·K)]
L:隔壁の厚さ [m] λ:隔壁の熱伝導率 [W/(m·K)]
計算の手順
① 各項(1/hh, L/λ, 1/hc)を通分して足し合わせる
② その逆数をとると U が求まる
例題
hh=330、L=0.01m、λ=66、hc=6600 のとき
1/U = 1/330 + 0.01/66 + 1/6600
= 20/6600 + 1/6600 + 1/6600
= 22/6600 = 1/300
→ U = 300 W/(m²·K)
U が大きい条件
・両側の熱伝達率が大きい(強制対流、相変化)
・隔壁が薄く、熱伝導率が高い
🟦 甲種プラスα
甲種では「熱通過率(総括伝熱係数)1/U = 1/hh + L/λ + 1/hc」の本文の概念をより深く理解した上で、応用問題への対応が問われます。本文の数式・概念をしっかり押さえてください。
⚡ 焦点ポイント
1/U の計算は分数の足し算。通分の計算ミスに注意。 / 「U が大きいほど熱交換量が多い」は正しい。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- U を直接足し合わせるのは誤り。必ず 1/U = Σ(各熱抵抗) の形で計算すること。
- 「大きい」が「小さい」に書き換えられる(方向の逆転)
- その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
11. 熱交換量の計算 Q = UA(T₁-T₄) と熱流束 q = U(T₁-T₄)
重要度: ★ 乙B / 🟦 甲A
🎯 一言で
熱流束 q = U(T₁-T₄)、熱交換量 Q = UA(T₁-T₄)。Uが大きい・Aが大きい・温度差が大きいほどQが大きい。
📖 解説(乙種ベース)
熱流束 q = U(T₁-T₄)、熱交換量 Q = UA(T₁-T₄)。Uが大きい・Aが大きい・温度差が大きいほどQが大きい。
熱通過率 U を使って熱交換器の熱交換量を求める計算。
熱流束の式
q = U × (T₁ – T₄)
T₁:高温流体の温度 [K] T₄:低温流体の温度 [K]
熱交換量(伝熱量)の式
Q = q × A = U × A × (T₁ – T₄)
A:熱交換器の伝熱面積 [m²]
Q を大きくするには
① U(熱通過率)を大きくする:強制対流にする、管の材質を変えるなど
② A(伝熱面積)を大きくする:熱交換器を大きくする、フィンをつけるなど
③ 温度差(T₁-T₄)を大きくする:流体の入口温度を調整する
比例関係
・伝熱面積が2倍 → Q は2倍
・温度差が2倍 → Q は2倍
・U が2倍 → Q は2倍
注意:温度が場所によって変わる場合
実際の熱交換器では流体温度が入口から出口にかけて変化する。
このとき温度差(T₁-T₄)の代わりに「対数平均温度差 ΔTm」を使う(次セクション参照)。
🟦 甲種プラスα
甲種では「熱交換量の計算 Q = UA(T₁-T₄) と熱流束 q = U(T₁-T₄)」の本文の概念をより深く理解した上で、応用問題への対応が問われます。本文の数式・概念をしっかり押さえてください。
⚡ 焦点ポイント
Q = UA(T₁-T₄) の式は熱通過の計算問題の基本。Uの求め方(前セクション)と組み合わせて使う。 / 「伝熱面積が大きいほど熱交換量が多い」「流体の平均温度差が大きいほど多い」は正文として頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- Aは「壁の断面積」ではなく「伝熱面積(熱交換器の表面積)」。大きい装置ほどAが大きい。
- 「大きい」が「小さい」に書き換えられる(方向の逆転)
- その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
12. 温度効率の定義と計算(熱交換器の性能指標)
重要度: ★ 乙B / 🟦 甲A
🎯 一言で
温度効率 = 流体の実際の温度変化 / 最大可能温度差(高温入口 – 低温入口)。値は0~1。
📖 解説(乙種ベース)
温度効率 = 流体の実際の温度変化 / 最大可能温度差(高温入口 – 低温入口)。値は0~1。
熱交換器の性能を評価するための無次元指標。
温度効率の意味
温度効率の値は 0~1(0%~100%)。
値が大きいほど、その流体が相手流体の温度に近づいていることを示す。
高温流体の温度効率
εh = (高温流体の入口温度 – 高温流体の出口温度) / (高温流体の入口温度 – 低温流体の入口温度)
低温流体の温度効率
εc = (低温流体の出口温度 – 低温流体の入口温度) / (高温流体の入口温度 – 低温流体の入口温度)
共通の分母
分母はどちらも「高温流体の入口温度 – 低温流体の入口温度」
=理論上の最大温度差(これ以上の熱交換は物理的に不可能)
例
高温流体:入口200℃→出口120℃
低温流体:入口20℃
高温流体の温度効率 = (200-120)/(200-20) = 80/180 ≈ 0.44
🟦 甲種プラスα
甲種では「温度効率の定義と計算(熱交換器の性能指標)」の本文の概念をより深く理解した上で、応用問題への対応が問われます。本文の数式・概念をしっかり押さえてください。
⚡ 焦点ポイント
「温度効率の分母は高温入口温度 – 低温入口温度」を確実に覚える。 / 計算は分数の代入問題。分母の設定を間違えないこと。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 高温・低温それぞれの「出口温度」を分母に使うのは誤り。分母は常に「入口同士の温度差」。
- 「高温」が「低温」に書き換えられる(方向の逆転)
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
13. 対数平均温度差 ΔTm(向流型熱交換器の熱交換量計算)
重要度: ★ 乙C / 🟦 甲A
🎯 一言で
実際の熱交換器では温度差が場所によって変わるため、対数平均温度差 ΔTm = (ΔT₁-ΔT₂)/ln(ΔT₁/ΔT₂) を使う。
📖 解説(乙種ベース)
実際の熱交換器では温度差が場所によって変わるため、対数平均温度差 ΔTm = (ΔT₁-ΔT₂)/ln(ΔT₁/ΔT₂) を使う。
実際の熱交換器では、流体温度が入口から出口にかけて変化するため、
場所によって高温流体と低温流体の温度差が変わる。
この場合の熱交換量は対数平均温度差 ΔTm を使って計算する。
熱交換量の式
Q = U × A × ΔTm
対数平均温度差の式
ΔTm = (ΔT₁ – ΔT₂) / ln(ΔT₁/ΔT₂)
ΔT₁:高温流体入口側での高温・低温流体の温度差
ΔT₂:高温流体出口側での高温・低温流体の温度差
向流型での設定例
高温:入口 200℃ → 出口 100℃
低温:入口 20℃ → 出口 80℃(向流なので低温流体は逆方向)
ΔT₁ = 200 – 80 = 120℃ ΔT₂ = 100 – 20 = 80℃
ΔTm = (120 – 80) / ln(120/80) = 40 / ln(1.5) ≈ 98.6℃
単純平均との違い
算術平均(120+80)/2=100℃ より対数平均は少し小さくなる。
🟦 甲種プラスα
甲種で対数平均温度差の式が問われる
⚡ 焦点ポイント
甲種で対数平均温度差の式が問われる。ΔT₁とΔT₂がどの部分の温度差かを正確に把握すること。 / 「向流型では対数平均温度差を使う」「式中の ΔT₁、ΔT₂ が何を指すか」が選択肢の正誤判断のポイント。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- ΔT₁・ΔT₂の定義(どこの温度差か)を問う問題で、入口/出口を逆にしないこと。
- 甲種で対数平均温度差の式が問われる
- ΔT₁とΔT₂がどの部分の温度差かを正確に把握すること
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
14. ステファン・ボルツマンの法則と黒体の全放射能
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
黒体の全放射能 Eb = σT⁴(T:絶対温度)。σ = 5.67×10⁻⁸ W/(m²K⁴)。実在物体 E = εσT⁴(ε:放射率)。
📖 解説(乙種ベース)
黒体の全放射能 Eb = σT⁴(T:絶対温度)。σ = 5.67×10⁻⁸ W/(m²K⁴)。実在物体 E = εσT⁴(ε:放射率)。
熱放射の定量的な基本法則。
黒体とは
外部から入射してくるあらゆる電磁波を完全に吸収する仮想の物体。
到達した放射エネルギーはすべて吸収する(反射しない)。
ステファン・ボルツマンの法則
黒体の単位面積・単位時間あたりに放射される全波長の放射エネルギー(全放射能)は
絶対温度の4乗に比例する。
Eb = σ × T⁴
Eb:全放射能 [W/m²]
σ:ステファン・ボルツマン定数 = 5.67×10⁻⁸ [W/(m²K⁴)]
T:絶対温度 [K]
実在物体の全放射能
E = ε × σ × T⁴
ε:放射率(全放射率) 0≤ε≤1
黒体では ε = 1、実在物体では ε < 1
放射率(全放射率)ε とは
実在物体の全放射能と、同温の黒体の全放射能の比。
放射率は物体の種類・表面状態・温度によって異なる。
研磨された金属では小さく、酸化した表面では大きくなる。
温度が変わると放射能はどう変わる?
T が 2倍になると Eb は 2⁴ = 16倍になる(4乗の法則)。
⚡ 焦点ポイント
「黒体の全放射能は絶対温度の4乗に比例」は最頻出の正文。 / 「実在物体の放射量は黒体より小さい(ε<1)」も正しい文として頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 「絶対温度の4乗」なので摂氏(°C)では計算できない。必ず K(ケルビン)で計算すること。
- 「小さい」が「大きい」に書き換えられる(方向の逆転)
- その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
15. 二面間の熱放射と吸収率・反射率・キルヒホッフの法則
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
吸収率α+反射率ρ=1。黒体はα=1。キルヒホッフの法則:放射率ε=吸収率α(同波長)。二面間熱流束 q = σ(Th⁴-Tc⁴)。
📖 解説(乙種ベース)
吸収率α+反射率ρ=1。黒体はα=1。キルヒホッフの法則:放射率ε=吸収率α(同波長)。二面間熱流束 q = σ(Th⁴-Tc⁴)。
熱放射の応用:2つの面の間で交わされる熱の計算と関連法則。
吸収率と反射率
黒体でない物体では、入射した放射エネルギーの一部を吸収し、残りを反射する。
吸収率 α:入射エネルギーのうち吸収する割合(0≤α≤1)
反射率 ρ:入射エネルギーのうち反射する割合(0≤ρ≤1)
α + ρ = 1 (黒体では α=1、ρ=0)
キルヒホッフの法則
物体の放射と吸収の割合は、放射線の波長のみに依存する。
→ 同じ波長に対して、放射率 ε と吸収率 α は一致する(ε = α)。
二面間の熱流束(黒体平板)
無限に広い2枚の黒体平板間の熱流束:
q = σ × (Th⁴ – Tc⁴)
Th:高温面の絶対温度 [K] Tc:低温面の絶対温度 [K]
一方が非黒体の場合(放射率 ε)
一方の放射率が 1.0、もう一方の放射率が ε のとき:
q = ε × σ × (Th⁴ – Tc⁴)
放射率の傾向
・研磨された金属面:ε が小さい(鏡面は放射しにくい)
・酸化した金属面:ε が大きい
・一般に温度が高くなるほど ε は大きくなる
⚡ 焦点ポイント
「α + ρ = 1」「黒体はα=1」「キルヒホッフの法則:ε=α」の3点を確実に覚える。 / 計算問題では「T が何倍になると放射熱流束は何倍か」→ 4乗で考える(前セクションと同じ)。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 「黒体は全反射する」は誤り。黒体は全吸収(反射率ρ=0)。
- 「α + ρ = 1」「黒体はα=1」「キルヒホッフの法則:ε=α」の3点を確実に覚える
- 計算問題では「T が何倍になると放射熱流束は何倍か」→ 4乗で考える(前セクションと同じ)
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
16. 伝熱装置の用途による分類(加熱器・蒸発器・凝縮器など10種類)
重要度: 乙C / 🟦 甲B
🎯 一言で
伝熱装置(熱交換器)は用途によって加熱器・予熱器・過熱器・蒸発器・再沸器・凝縮器・冷却器・深冷器・放熱器・熱交換器に分類される。
📖 解説(乙種ベース)
伝熱装置(熱交換器)は用途によって加熱器・予熱器・過熱器・蒸発器・再沸器・凝縮器・冷却器・深冷器・放熱器・熱交換器に分類される。
伝熱装置は隔壁を通して高温流体から低温流体へ熱エネルギーを移動させる装置の総称。
10種類の用途分類
①加熱器:液体を加熱して温度を上昇させる。被加熱流体の相変化は起こらない。
②予熱器:次の工程で使う流体をあらかじめ加熱しておく装置。
例:ボイラの空気予熱器、給水予熱器
③過熱器:飽和状態の流体をさらに加熱して過熱流体にする装置。
④蒸発器:液体を加熱してその蒸気を発生させる装置。
発生した蒸気を使用する場合は蒸気発生器、残液を濃縮する場合は濃縮器という。
⑤再沸器(リボイラ):蒸気中の一部凝縮した液を再度蒸発させる装置。
飽和蒸気に戻すものを再熱器という。
⑥凝縮器・復水器:気体を冷却して液化する装置。
特に水蒸気を凝縮して水にするものを復水器という。
⑦冷却器:流体を冷却する装置。被冷却流体の相変化はおきない。
⑧深冷器:凝固点以下の低温まで冷却する装置。
⑨放熱器:蒸気または温水による暖房用放熱器など。
⑩熱交換器:その他狭義の熱交換器(上記に分類されないもの)。
🟦 甲種プラスα
「深冷器は凝固点以下まで冷却する」「復水器は水蒸気→水」を押さえれば甲種対応できる
⚡ 焦点ポイント
試験では「蒸発器で相変化が起こるか」「復水器とは何か」「リボイラとは何か」が問われる。 / 相変化が起こるもの:蒸発器・凝縮器・再沸器
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 「加熱器では被加熱流体の相変化が起こる」は誤り。加熱器は相変化なしで温度を上げるだけ。
- 「蒸発器」「凝縮器」「再沸器」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
- その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
17. 熱交換器の構造・流れ方向による分類(管形・板形・並流・向流・直交流)
重要度: 乙C / 🟦 甲B
🎯 一言で
構造:管形(単管・二重管・多管円筒型)・板形(プレート・ジャケット・ブロック)。流れ:並流・向流(温度効率最大)・直交流。
📖 解説(乙種ベース)
構造:管形(単管・二重管・多管円筒型)・板形(プレート・ジャケット・ブロック)。流れ:並流・向流(温度効率最大)・直交流。
熱交換器を構造と流体の流れ方向で分類する。
構造による分類
■管形熱交換器
・単管式:単純な管形。代表例:トロンボン型冷却器、タンクヒータ、コイル型熱交換器
・二重管式:同心の二重管の内管と環状間隙にそれぞれ別の流体を流す
・多管円筒型(シェルアンドチューブ式):多数の管束を胴内に挿入。最も多く使用される形式
2流体の熱伝達率の差が大きい場合、熱伝達率の小さい側にフィンを設けることがある
■板形熱交換器
・プレート型:凹凸プレスした伝熱板をガスケットで挟んで積層。掃除・点検が容易
・ジャケット型:容器の周囲にジャケットをつけて加熱・冷却
・ブロック型:ブロックに穴を設けて熱交換
流れ方向による分類
■並流形(同流形)
加熱流体と被加熱流体が同じ方向に流れる。
一方の熱容量が他方より著しく大きい場合以外は温度効率が低く不経済。
■向流形(逆流形)
加熱流体と被加熱流体が逆方向に流れる。
温度効率が最高で、一般によく使用される(最も普及している方式)。
■直交流形
2流体の流れが直交する方式。温度効率は向流と並流の中間。
流体通路の配置上の便宜から広く用いられている。
🟦 甲種プラスα
「プレート形は掃除・点検が容易」も甲種で出題実績あり
⚡ 焦点ポイント
「最も多く使用される構造 = シェルアンドチューブ式(多管円筒型)」は頻出の正文。 / 「温度効率が最も良いのは向流形(逆流形)」も確実に覚える。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 「並流形は向流形より温度効率が高い」は誤り。向流形の方が温度効率は高い。
- 「最も多く使用される構造 = シェルアンドチューブ式(多管円筒型)」は頻出の正文
- 「温度効率が最も良いのは向流形(逆流形)」も確実に覚える
- その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる
🔢 計算問題のための準備
主要式:
– フーリエの法則: q = −λ(dT/dx)(熱伝導の流束)
– 平板熱伝導: q = λ(T1 − T2)/L
– 対流熱伝達: q = h(Ts − T∞)
– 熱通過率(平板): 1/U = 1/h₁ + L/λ + 1/h₂
– 熱交換量: Q = UAΔT
– 対数平均温度差: ΔTm = (ΔT1 − ΔT2)/ln(ΔT1/ΔT2)
ステファン・ボルツマンの法則: E = σT⁴(σ = 5.67×10⁻⁸ W/m²·K⁴)
主要物質の熱伝導率(W/m·K): 銅=400、鉄=80、ガラス=1、断熱材=0.05、空気=0.025
計算問題で失点する最大の原因は単位ミス。代入前に「絶対圧か?」「絶対温度か?」「単位は揃っているか?」を必ず確認。
🗒️ 3分で復習(章末まとめ)
🎯 全節 一言まとめ
- 節1 伝熱の3形態:熱伝導・対流熱伝達・熱放射: 熱の移動には熱伝導・対流熱伝達・熱放射の3形態がある。固体内→熱伝導、固体と流体間→対流熱伝達、離れた物体間→熱放射。
- 節2 フーリエの法則と平板熱伝導の計算式: 平板を通る熱流束 q = λ(T₁-T₂)/L。伝熱量 Q = qA。フーリエの法則:q = λ(dT/dx)。
- 節3 平板熱伝導の比例・反比例関係(覚え方): 伝熱量Qはλ・温度差・面積Aに比例し、厚さLに反比例。λが2倍→Q2倍、L2倍→Q半分。
- 節4 主な物質の熱伝導率(金属・非金属の大小傾向): 熱伝導率:金属>非金属>気体。Cu>Al>Fe。金属は温度上昇で低下、繊維質は温度上昇で増大。
- 節5 多層平板の熱伝導:定常熱流束と接触面温度の計算: 多層平板では定常時に各層の熱流束は等しい。q = (T₁-Tₙ) / Σ(Lᵢ/λᵢ)。接触面温度は各層で同じqを使って逆算。
- 節6 円筒壁の熱伝導(ln式): 円管の伝熱量 Q = 2πLλ(T₁-T₂) / ln(r₂/r₁)。平板と違い面積が半径依存するためlnが登場。
- 節7 対流熱伝達の形態(自然対流・強制対流・沸騰・凝縮): 対流熱伝達の形態:自然対流(浮力駆動)・強制対流(機械駆動)・沸騰・凝縮(相変化)。固体近くの境界層では熱伝導が主体。
- 節8 対流熱伝達の熱流束式 q = h(T₁-T₃): 対流熱伝達の熱流束 q = h(T₁-T₃)。h は熱伝達率 [W/(m²·K)]。物質だけでなく対流の強さによっても変わる。
- 節9 熱伝達率の大小関係(気体→液体→相変化の順): 熱伝達率 h の大小:気体・自然対流 < 気体・強制対流 < 液体・自然対流 < 液体・強制対流 < 相変化(沸騰・凝縮)。
- 節10 熱通過率(総括伝熱係数)1/U = 1/hh + L/λ + 1/hc: 熱通過率 U:1/U = 1/hh + L/λ + 1/hc。電気の直列抵抗と同じ考え方で3つの熱抵抗が直列に並ぶ。
- 節11 熱交換量の計算 Q = UA(T₁-T₄) と熱流束 q = U(T₁-T₄): 熱流束 q = U(T₁-T₄)、熱交換量 Q = UA(T₁-T₄)。Uが大きい・Aが大きい・温度差が大きいほどQが大きい。
- 節12 温度効率の定義と計算(熱交換器の性能指標): 温度効率 = 流体の実際の温度変化 / 最大可能温度差(高温入口 – 低温入口)。値は0~1。
- 節13 対数平均温度差 ΔTm(向流型熱交換器の熱交換量計算): 実際の熱交換器では温度差が場所によって変わるため、対数平均温度差 ΔTm = (ΔT₁-ΔT₂)/ln(ΔT₁/ΔT₂) を使う。
- 節14 ステファン・ボルツマンの法則と黒体の全放射能: 黒体の全放射能 Eb = σT⁴(T:絶対温度)。σ = 5.67×10⁻⁸ W/(m²K⁴)。実在物体 E = εσT⁴(ε:放射率)。
- 節15 二面間の熱放射と吸収率・反射率・キルヒホッフの法則: 吸収率α+反射率ρ=1。黒体はα=1。キルヒホッフの法則:放射率ε=吸収率α(同波長)。二面間熱流束 q = σ(Th⁴-Tc⁴)。
- 節16 伝熱装置の用途による分類(加熱器・蒸発器・凝縮器など10種類): 伝熱装置(熱交換器)は用途によって加熱器・予熱器・過熱器・蒸発器・再沸器・凝縮器・冷却器・深冷器・放熱器・熱交換器に分類される。
- 節17 熱交換器の構造・流れ方向による分類(管形・板形・並流・向流・直交流): 構造:管形(単管・二重管・多管円筒型)・板形(プレート・ジャケット・ブロック)。流れ:並流・向流(温度効率最大)・直交流。
⚡ 全節 焦点ポイント
- 節1: 「固体内は熱伝導、固体と流体の間は対流熱伝達、離れた物体間は熱放射」の対応を正確に暗記。 / 熱通過=対流熱伝達+熱伝導+対流熱伝達の組み合わせ。
- 節2: 乙種では「熱流束を求める」「平板の厚さを求める」「温度を求める」の3パターンが頻出。 / 式を変形できるようにしておくこと:q = λΔT/L → L = λΔT/q → ΔT = qL/λ
- 節3: 「○○が2倍になると伝熱量は何倍になるか」形式の問題が乙種で多い。 / 比例・反比例の組み合わせを掛け算で処理できれば必ず解ける。
- 節4: 具体的な数値を暗記する必要はない。大小関係と傾向(金属>非金属、金属は温度↑でλ↓)を押さえれば対応できる。 / 繊維質の「温度↑でλ↑」は金属と逆で引っ掛けに使われやすい。
- 節5: 甲種で頻出の計算問題。「q が各層で等しい」という条件設定が肝。 / 式を立ててから連立方程式(または代入法)で解く。
- 節6: 乙種では式を覚えるよりも「平板とは異なりlnが使われる」という概念把握で十分。 / 甲種受験者は式を書けるように練習しておくこと(ln(r₂/r₁) を忘れやすい)。
- 節7: 甲種では形態の特徴(浮力→自然対流、機械→強制対流、相変化→沸騰/凝縮)の区別が問われる。 / 「固体付近の境界層では主に熱伝導で伝わる」という文も頻出選択肢。
- 節8: 式の形は平板熱伝導の q = λΔT/L と似ているが、hは厚さLを含まない点に注意。 / 「熱伝達率は物質の種類だけで決まる」は誤り(対流の強さでも変わる)というひっかけが出る。
- 節9: 「熱伝達率が最も大きいのはどれか」という問いに対して相変化(沸騰・凝縮)を選ぶ。 / 「液体・強制対流 > 気体・強制対流」という比較も頻出。
- 節10: 1/U の計算は分数の足し算。通分の計算ミスに注意。 / 「U が大きいほど熱交換量が多い」は正しい。
- 節11: Q = UA(T₁-T₄) の式は熱通過の計算問題の基本。Uの求め方(前セクション)と組み合わせて使う。 / 「伝熱面積が大きいほど熱交換量が多い」「流体の平均温度差が大きいほど多い」は正文として頻出。
- 節12: 「温度効率の分母は高温入口温度 – 低温入口温度」を確実に覚える。 / 計算は分数の代入問題。分母の設定を間違えないこと。
- 節13: 甲種で対数平均温度差の式が問われる。ΔT₁とΔT₂がどの部分の温度差かを正確に把握すること。 / 「向流型では対数平均温度差を使う」「式中の ΔT₁、ΔT₂ が何を指すか」が選択肢の正誤判断のポイント。
- 節14: 「黒体の全放射能は絶対温度の4乗に比例」は最頻出の正文。 / 「実在物体の放射量は黒体より小さい(ε<1)」も正しい文として頻出。
- 節15: 「α + ρ = 1」「黒体はα=1」「キルヒホッフの法則:ε=α」の3点を確実に覚える。 / 計算問題では「T が何倍になると放射熱流束は何倍か」→ 4乗で考える(前セクションと同じ)。
- 節16: 試験では「蒸発器で相変化が起こるか」「復水器とは何か」「リボイラとは何か」が問われる。 / 相変化が起こるもの:蒸発器・凝縮器・再沸器
- 節17: 「最も多く使用される構造 = シェルアンドチューブ式(多管円筒型)」は頻出の正文。 / 「温度効率が最も良いのは向流形(逆流形)」も確実に覚える。
📝 関連過去問
この章の知識が問われる過去問題リスト(全15問)。
ℹ️ 乙種・甲種は別の試験です。同じ問番号(例: 基問10)であっても、乙種と甲種では出題される問題内容は異なります。各年度・種別ごとの本文は 乙種過去問 / 甲種過去問 ページから確認してください。
乙種(9問)
– 令和7年: 基問12 / 基問13
– 令和6年: 基問12 / 基問13
– 令和5年: 基問12 / 基問13
– 平成27年: 基問11 / 基問12 / 基問13
甲種(6問)
– 令和7年: 基問12 / 基問13
– 令和6年: 基問12 / 基問13
– 令和5年: 基問12 / 基問13
