基礎理論 第4章 燃焼理論

基礎理論 第4章 燃焼理論 解説動画
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ガスの燃焼を計算と概念の両面で扱います。発熱量(LHV/HHV)、燃焼反応式と理論酸素量・空気量、空気比と過剰空気、燃焼ガス量計算、燃焼速度と燃焼方式、燃焼範囲(可燃範囲)とル・シャトリエの式、爆発と爆ごうまでを順番に学びます。

乙種甲種兼用 / 全17節 / 学習目安: 60〜90分

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📍 はじめに

都市ガスLPGがバーナーで燃えるとき、何mol の酸素が必要で、何mol の燃焼ガス(CO₂・H₂O)が出てくるのか。この章ではそれを定量的に扱います。設計から事故防止まで、ガス事業者にとって最も実務的な章です。


📚 テキスト解説

各節は次の構成で進みます。

– 🎯 一言で

– 📖 解説(乙種ベース)

– 🟦 甲種プラスα(必要な節のみ)

– ⚡ 焦点ポイント

– 📝 過去問のひっかけ例


📑 この章の目次(全17節)
  1. 1. 真発熱量(LHV)と総発熱量(HHV)の違い
  2. 2. 気体燃料の成分別発熱量(主要数値)
  3. 3. HHV→LHV変換式(水蒸気の凝縮潜熱から導く)
  4. 4. 燃焼反応の構成(燃焼ガスの成分フロー)
  5. 5. 燃焼反応式と理論酸素量
  6. 6. 理論空気量(A₀)の計算
  7. 7. 空気比(λ)と過剰空気量
  8. 8. 湿り燃焼ガス量の計算
  9. 9. 乾き燃焼ガス量の計算
  10. 10. 燃焼計算の全体手順(まとめ)
  11. 11. 燃焼速度(層流燃焼速度・乱流燃焼速度)
  12. 12. 燃焼生成物とラジカル反応
  13. 13. 燃焼方式(拡散燃焼・予混合燃焼)
  14. 14. 単体ガスの燃焼範囲(燃焼上下限界)
  15. 15. 混合ガスの燃焼範囲(ル・シャトリエの式)
  16. 16. 燃焼範囲に影響を与える因子
  17. 17. 爆発と爆ごう(デフラグレーション・デトネーション)

1. 真発熱量(LHV)と総発熱量(HHV)の違い

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

総発熱量(HHV)= 真発熱量(LHV)+ 水蒸気の凝縮潜熱。HHV ≥ LHV。供給ガスの発熱量は一般にHHVで表す

📖 解説(乙種ベース)

同じ燃料なのに、カタログの発熱量が2種類あることがある。燃料を完全燃焼させると熱が発生し、この熱量を発熱量というが、燃焼後に生成する水(H₂O)が蒸気のままか液体になるかで発熱量の値が変わるからだ。給料の額面と手取りの関係に近い。

水蒸気が液体に凝縮するときには潜熱(凝縮熱)が放出される。これを含めて数えた「額面」が総発熱量(高発熱量 HHV:Higher Heating Value)、別名高位発熱量。含めず、生じた水蒸気が気体のままとして計算した「手取り」が真発熱量(低発熱量 LHV:Lower Heating Value)、別名低位発熱量である。

公式
HHV = LHV + 水蒸気の凝縮潜熱
HHV: 総発熱量 LHV: 真発熱量 (潜熱は燃焼で生成した水蒸気の凝縮潜熱)

差の正体が凝縮潜熱そのものなので、常に HHV ≥ LHV になる。では等号はいつ成立するのか。COのように水素を含まない燃料のときだ。燃やしても水ができないため、凝縮すべき相手がいない。「常にHHVの方が大きい」と言い切る選択肢はここで崩れる——出題者の定番の仕掛けである。

使い分けも押さえておきたい。供給ガスの発熱量は一般に総発熱量(HHV)で表す。一方、コージェネ等の効率計算には真発熱量(LHV)を用いることが多い。実際の燃焼装置は排気温度200〜300℃のため水蒸気が凝縮せず、LHVが実効発熱量になるからだ。

覚える
供給ガスの発熱量は総発熱量(HHV)で表す。効率計算は真発熱量(LHV)。HHV ≥ LHV、等号はCO
🖼 図解
総発熱量(HHV)と真発熱量(LHV)の関係総発熱量(HHV)と真発熱量(LHV)の関係

⚡ 焦点ポイント

総発熱量真発熱量に同じか、または大きい」→ ○(頻出正誤問題) / 「供給ガスの発熱量は一般に総発熱量(HHV)で表す」→ ○

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「HHV の方が LHV より大きい」が基本だが、CO のように燃焼生成物に水が含まれない燃料では HHV = LHV。「常に HHV > LHV」と断言すると CO のケースで誤りになる。

2. 気体燃料の成分別発熱量(主要数値)

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

メタン HHV≈40 MJ/m³N、LHV≈36 MJ/m³N(HHVの約90%)。炭素数が多いほど発熱量大。H₂はHHV/LHV比が最小

📖 解説(乙種ベース)

メタンの発熱量は HHV≈40 MJ/m³N、LHV≈36 MJ/m³N(HHVの約90%)——この2つの数値は、そのまま出題される。まずここを押さえたうえで、成分ごとの並びを見ていきたい。

気体燃料の発熱量は標準状態(0℃101.3 kPa)の 1 m³N あたりの値で表す。体積で比べるということは、同じ大きさの箱を並べて中身を比べるということだ。だから炭素数が多いほど発熱量大となり、H₂はHHV/LHV比が最小になる。理由は下の表のあとで種明かしをする。

主要成分の発熱量(代表値)

成分HHV [MJ/m³N]LHV [MJ/m³N]備考
メタン CH₄約39.9約35.9
エタン C₂H₆約70.5約64.4
プロパン C₃H₈約101.4約93.2
n-ブタン C₄H₁₀約134.4約123.9
一酸化炭素 CO約12.6約12.6HHV = LHV
水素 H₂約12.8約10.8

表から読み取るべき傾向は3つある。第一に、飽和炭化水素は炭素数が多いほど単位体積あたりの発熱量が大きい。分子が大きいほど、燃える部分を多く抱えているからだ。第二に、COは燃焼で水を生成しないのでHHV = LHV。前節の等号ケースがここに現れている。

第三が引っかかりやすい。水素(H₂)は炭化水素系燃料と比べてHHVに対するLHVの比(LHV/HHV)が最も小さい。水素は重量あたりの発熱量は大きいが体積あたりは小さい、という二面性を持つためだ。「水素は発熱量が大きい」という印象だけで判断すると、体積基準の表を読み違える。

数値の関係も確認しておこう。メタンの LHV はHHVより約10%小さい(≈ 35.9/39.9 ≈ 0.90)。またメタンのHHVはH₂のHHVの約3倍(39.9 ÷ 12.8 ≈ 3.1)である。

⚡ 焦点ポイント

メタン総発熱量約40 MJ/m³N」は数値として問われる(丸暗記必須)。 / 「メタン真発熱量総発熱量より約10%小さい」→ ○

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「発熱量が大きい = 燃焼範囲が広い」は誤り。発熱量と燃焼範囲は別の物性。水素は発熱量(体積基準)は小さいが燃焼範囲は非常に広い(4〜75%)。
  • 「40MJ」が「45MJ」「35MJ」と書き換えられる
  • 「10%」が「15%」「5%」と書き換えられる

3. HHV→LHV変換式(水蒸気の凝縮潜熱から導く)

💡 図の見方:変換式の係数2・4・5がどこから来るのかを対応づけた図。左の燃焼反応式のH₂O係数がそのまま右の式に入る。丸暗記せずとも反応式を書けばその場で出せるので、係数を入れ替えた選択肢に惑わされずに済む。

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

Hn = Hg − 2.01(2·cCH₄ + 4·cC₃H₈ + 5·cC₄H₁₀)MJ/m³N。水蒸気の凝縮潜熱2.01 MJ/m³N×生成H₂O量

📖 解説(乙種ベース)

真発熱量 Hn と総発熱量 Hg の関係は、燃焼で生成した水蒸気の凝縮潜熱から計算できる。差し引く額は、生成した水蒸気の”頭数”で決まる。1人いくらの入場料と同じで、水蒸気 1 m³N につき2.01 MJ/m³Nが引かれると考えればよい。

では、燃料 1 m³N から水蒸気は何 m³N 出るのか。答えは燃焼反応式のH₂O係数がそのまま教えてくれる。

🖼 図解
LHVで差し引く係数2・4・5は反応式のH₂O係数LHVで差し引く係数2・4・5は反応式のH₂O係数
成分燃焼反応式H₂O 生成量
CH₄CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O2
C₃H₈C₃H₈ + 5O₂ → 3CO₂ + 4H₂O4
C₄H₁₀C₄H₁₀ + 13/2 O₂ → 4CO₂ + 5H₂O5

あとは水蒸気の凝縮潜熱2.01 MJ/m³N)を生成量に掛けて引くだけだ。Hn = Hg − 2.01 × (生成したH₂O量)という形になる。

公式
Hn = Hg − 2.01(2·cCH₄ + 4·cC₃H₈ + 5·cC₄H₁₀)
Hn: 真発熱量(LHV)[MJ/m³N] Hg: 総発熱量(HHV)[MJ/m³N] cCH₄, cC₃H₈, cC₄H₁₀: 1 m³N の乾き燃料ガス中のメタンプロパンブタンの体積(m³N)

したがって、生成H₂O量の係数 2, 4, 5 は燃焼反応式のH₂O係数と一致する。丸暗記するのではなく、反応式を書けば毎回その場で出せる——ここを理解しておけば、係数を入れ替えた選択肢に惑わされない。

🟦 甲種プラスα

「(甲種)Hn = Hg − 2.01([ ]cCH₄ + [ ]cC₃H₈ + [ ]cC₄H₁₀)の係数を求めよ」→ 2, 4, 5

⚡ 焦点ポイント

「(甲種)Hn = Hg − 2.01([ ]cCH₄ + [ ]cC₃H₈ + [ ]cC₄H₁₀)の係数を求めよ」→ 2, 4, 5 / 係数は「各成分の燃焼反応式のH₂O係数」と一致することを理解すれば暗記不要。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 係数 2, 4, 5 はそれぞれ CH₄, C₃H₈, C₄H₁₀ の燃焼反応式における H₂O の係数。分子式の H 原子数の 1/2 に等しい(CH₄ は H=4 → H₂O=2)。この関係を覚えておくと他の炭化水素にも応用できる。
  • 「(甲種)Hn = Hg − 2.01([ ]cCH₄ + [ ]cC₃H₈ + [ ]cC₄H₁₀)の係数を求めよ」→ 2, 4, 5
  • 係数は「各成分の燃焼反応式のH₂O係数」と一致することを理解すれば暗記不要

4. 燃焼反応の構成(燃焼ガスの成分フロー)

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

供給空気 = 理論空気量 + 過剰空気量。燃焼ガス = 不燃成分 + CO₂ + H₂O + 過剰O₂ + 窒素。フローを頭に入れる

📖 解説(乙種ベース)

燃焼計算の問題は、式を覚える前に「何が入って何が出るか」を押さえた方が速く解ける。燃焼室をパーティー会場だと思ってほしい。会場で姿を変える参加者もいれば、受付を通っただけで何もせず帰る参加者もいる。この見分けが計算の全体像になる。

まず入口から。燃料ガスは可燃成分(CH₄, C₃H₈ など)と不燃成分(N₂, CO₂ など)でできている。そこへ供給空気が加わる。供給空気 = 理論空気量 + 過剰空気量であり、内訳を細かく書けば、理論酸素量 + 理論空気中N₂ + 過剰O₂ + 過剰空気中N₂の4つになる。

次に出口。燃焼ガスは4つの成分の足し算だ。燃料中の不燃成分はそのまま通過し、可燃成分は燃焼生成物(CO₂ + H₂O)に変わる。使われなかった過剰酸素(供給O₂ − 理論O₂)はそのまま残り、窒素(供給空気中のN₂)も反応せずそのまま通過する。何もせず帰る参加者とは、この窒素と過剰酸素のことだ。

この燃焼ガス全体を、H₂O を含んだまま数えたものが湿り燃焼ガス(G)。そこから H₂O を除いたものが乾き燃焼ガス(G’)で、G’ = G − (燃焼により生成した H₂O 量)となる。供給空気量が理論空気量のときの燃焼ガス量が理論燃焼ガス量(G₀)だ。

公式
G = G₀ + (m − 1) × A₀
G: 湿り燃焼ガス量 G₀: 理論燃焼ガス量 m: 空気比 A₀: 理論空気量 (増える分は過剰空気そのもの)
🖼 図解
燃焼反応の入口と出口(成分フロー)燃焼反応の入口と出口(成分フロー)

⚡ 焦点ポイント

「燃焼ガスの中から水蒸気を除いたものを乾き燃焼ガスという」は定義問題の定番。 / 「供給空気中の過剰空気量と燃焼ガス中の過剰空気量は同じ」→ ○(過剰空気は反応せずそのまま通過)

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「燃料ガス中の酸素量は燃焼ガス量に含まれない」(理論酸素量から差し引いて計算する)という注意点がある。燃料に O₂ が含まれる場合は理論酸素量からその分を差し引いた値を使う。
  • 「燃焼ガスの中から水蒸気を除いたものを乾き燃焼ガスという」は定義問題の定番
  • 「供給空気中の過剰空気量と燃焼ガス中の過剰空気量は同じ」→ ○(過剰空気は反応せずそのまま通過)

5. 燃焼反応式と理論酸素量

重要度: ★ 乙A / 甲B

🎯 一言で

CmHn + (m+n/4)O₂ → mCO₂ + (n/2)H₂O。理論O₂量 = 反応式のO₂係数。混合ガスは各成分の加算

📖 解説(乙種ベース)

燃焼計算はすべてここから始まる。可燃性ガスの完全燃焼に必要な最小酸素量(理論酸素量)は、燃焼反応式のO₂係数から求まるからだ。反応式は料理のレシピのようなもので、材料の分量が最初から書き込まれている。書けさえすれば、酸素の必要量は読むだけで済む。

炭化水素 CₘHₙ なら一般式で一発だ。炭素mが CO₂ を m 個、水素nが H₂O を n/2 個つくるので、必要な酸素は m + n/4 になる。

公式
CₘHₙ + (m + n/4) O₂ → m CO₂ + (n/2) H₂O
理論酸素量 = m + n/4 m: 炭素数 n: 水素数 (完全燃焼・体積基準 [m³N/m³N])

主要ガスについては、一般式に代入した結果をそのまま覚えてしまう方が速い。

ガス燃焼反応式理論O₂量
CH₄CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O2
C₂H₆C₂H₆ + 7/2 O₂ → 2CO₂ + 3H₂O3.5
C₃H₈C₃H₈ + 5O₂ → 3CO₂ + 4H₂O5
C₄H₁₀C₄H₁₀ + 13/2 O₂ → 4CO₂ + 5H₂O6.5
H₂H₂ + 1/2 O₂ → H₂O0.5
COCO + 1/2 O₂ → CO₂0.5

混合ガスでも難しくはない。各成分の(体積割合 × 理論O₂量)を合算するだけだ。たとえばメタン cCH₄ とプロパン cC₃H₈ からなる 1 m³N の混合ガスなら、理論酸素量 = 2 × cCH₄ + 5 × cC₃H₈ [m³N/m³N] となる。

🟦 甲種プラスα

混合ガスの理論酸素量計算は乙種甲種どちらでも毎年出題される最頻出計算

⚡ 焦点ポイント

メタン 1 m³N の完全燃焼に必要な酸素は 2 m³N、発生するCO₂は 1 m³N、H₂Oは 2 m³N」→ 超頻出の数値問題。 / 「プロパン 1 m³N を完全燃焼させるのに必要な理論酸素量は 5 m³N」→ 丸暗記。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「プロパンを完全燃焼させる場合は同容積のメタンを完全燃焼させる場合の2.5倍の空気が必要」(プロパンO₂=5、メタンO₂=2 → 5/2=2.5)。比較問題で空気比と混同しないこと。

6. 理論空気量(A₀)の計算

💡 図の見方:必要なのは酸素だが送り込むのは空気——理論酸素量を0.21で割り戻す一手を見る図。残り79%の窒素は燃焼に使われず、そのまま燃焼ガスへ抜けていく。この窒素を数え落とすと燃焼ガス量の計算が丸ごと合わなくなる。21%は体積基準の値。

重要度: ★ 乙A / 甲B

🎯 一言で

A₀ = 理論O₂量 / 0.21 [m³N/m³N]。空気中O₂ = 21%。混合ガスの公式 A₀ = 1/0.21 × (2cCH₄ + 5cC₃H₈ + 6.5cC₄H₁₀ + …)

📖 解説(乙種ベース)

前節で必要な酸素の量は出た。しかし、バーナーに送り込むのは純酸素ではなく空気である。空気は酸素を薄めた原液のようなもので、体積の21%しか酸素が入っていない。だから必要な酸素量を 0.21 で割り戻す必要がある。この割り戻した量が理論空気量 A₀——燃料の完全燃焼に理論上必要な最小の空気量だ。

公式
A₀ = 理論酸素量0.21
A₀: 理論空気量 [m³N/m³N] (空気中のO₂割合 = 21% = 0.21)

実際に代入してみよう。メタン単体なら A₀ = 2 / 0.21 ≈ 9.52 m³N/m³N、プロパン単体なら A₀ = 5 / 0.21 ≈ 23.8 m³N/m³N。分子に来る数字が前節の理論O₂量そのままだと気づけば、覚える量は一気に減る。

混合ガスも同じ発想で、各成分のO₂係数を体積割合で重み付けして足し、まとめて 0.21 で割る。メタンプロパンブタン混合なら A₀ = 1/0.21 × (2·cCH₄ + 5·cC₃H₈ + 6.5·cC₄H₁₀) [m³N/m³N]。水素・COを含む場合(H₂のO₂係数=0.5、COのO₂係数=0.5)は項が増えるだけで、A₀ = 1/0.21 × (0.5·cH₂ + 0.5·cCO + 2·cCH₄ + 3.5·cC₂H₆ + 5·cC₃H₈ + 6.5·cC₄H₁₀) となる。

忘れがちなのが、空気の残り8割を占める窒素だ。燃焼に使われず、そのまま燃焼ガスへ抜けていく。空気のN₂:O₂ = 79:21 だから、N₂量 = 理論O₂量 × 79/21 = 理論O₂量 × 3.76 で求まる。この窒素を数え落とすと、燃焼ガス量の計算が丸ごと合わなくなる。

🟦 甲種プラスα

A₀ の係数の式の空欄補充問題は甲種の頻出計算

🖼 図解
理論酸素量を0.21で割り戻す(残る79%のN₂は素通り)理論酸素量を0.21で割り戻す(残る79%のN₂は素通り)

⚡ 焦点ポイント

A₀ の係数の式の空欄補充問題は甲種の頻出計算。係数(2, 3.5, 5, 6.5…)は各炭化水素のO₂係数と同じ。 / 「メタン 1 m³N を完全燃焼するのに必要な理論空気量は?」→ 2/0.21 ≈ 9.5 m³N を素早く出せるように。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 空気のO₂割合は体積基準で21%(= 0.21)。質量基準(≈23%)と混同しない。燃焼計算では必ず体積基準(mol または m³N)で計算する。

7. 空気比(λ)と過剰空気量

重要度: ★ 乙C / 🟦 甲A

🎯 一言で

空気比λ = 供給空気量/理論空気量。一般に λ > 1。過剰空気量 = (λ−1)×A₀。乾き燃焼ガス中のO₂・CO₂濃度から逆算も可

📖 解説(乙種ベース)

理論どおりの空気量を送り込めば完全燃焼するはずだ——ところが実際の燃焼装置ではそうならない。混合にはムラがあるからだ。乗り換え時間を5分多めに見積もるのと同じで、現場では理論量より多く空気を供給して確実に完全燃焼させる。その”多めの度合い”を数値にしたのが空気比(λ、またはmとも表記)である。

公式
λ = 供給空気量理論空気量 A₀  過剰空気量 = (λ − 1) × A₀
λ: 空気比 A₀: 理論空気量 (実際に供給した空気量が理論最小量の何倍かを示す。一般に λ > 1)

λ の値は燃焼ガスの中身に直結する。理論量ぴったりか、多いか、少ないか——この3通りで結果がはっきり分かれる。

🖼 図解
空気比と過剰空気量の帯グラフ空気比と過剰空気量の帯グラフ
空気比状態燃焼ガス
λ = 1理論空気量での燃焼燃焼ガスにO₂なし(完全燃焼の最小条件)
λ > 1過剰空気あり燃焼ガスにO₂が残る
λ < 1空気不足不完全燃焼(COが発生)

この対応関係が、試験の重要計算パターンを支えている。λ > 1 なら燃焼ガスにO₂が残る——ならば逆に、残ったO₂の濃度を測れば λ が逆算できるはずだ。実際、乾き燃焼ガス中の酸素濃度 = 過剰O₂量 / 乾き燃焼ガス量、乾き燃焼ガス中のCO₂濃度 = 生成CO₂量 / 乾き燃焼ガス量 という関係を使う。

解き方は決まっている。空気比 λ を未知数として方程式を作り、与えられた濃度を代入して解く(例題1・2型)。

🟦 甲種プラスα

甲種計算:空気比と過剰空気量の計算は必ず出る

⚡ 焦点ポイント

空気比は一般に1以上である」→ ○(頻出正誤問題) / 乙種計算の王道パターン:「乾き燃焼ガス中のO₂(またはCO₂)濃度が○%のときの空気比を求めよ」

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「空気比 1 = 完全燃焼」は理論上の話。実際の装置では空気の混合が不均一なため、λ = 1 でも不完全燃焼が起きる可能性がある。試験では理論値で計算すれば OK。

8. 湿り燃焼ガス量の計算

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

G = 1 + mA₀ + (cC₃H₈ + 1.5·cC₄H₁₀ + …) [m³N/m³N]。燃料+供給空気+体積変化分の加算

📖 解説(乙種ベース)

湿り燃焼ガス量(G)は「水蒸気を含む燃焼後ガスの全量」である。求め方は2通りあるが、まずは入れたものを足して、増減分を補正するやり方から見ていきたい。

計算方法①は、体積変化量を加算する方法だ。G = 燃料量 + 供給空気量 + 燃焼反応による体積変化量。式にすると G = 1 + m·A₀ + (cC₃H₈ + 1.5·cC₄H₁₀ + …) [m³N/m³N] となる(m:空気比、A₀:理論空気量)。

公式
G = 1 + m·A₀ + (cC₃H₈ + 1.5·cC₄H₁₀ + …)
G: 湿り燃焼ガス量 [m³N/m³N] 1: 燃料 1 m³N m: 空気比 A₀: 理論空気量 (第3項が燃焼による体積変化)

第3項の係数はどこから来るのか。反応式の生成物と消費物の差だ。両替してみたら枚数が増えたり、そのままだったりする——ガスによって事情が違う。

成分生成物 − 消費物体積変化
CH₄(1+2) − (1+2) = 0体積変化ゼロ
C₃H₈(3+4) − (1+5) = 11 m³N 増加
C₄H₁₀(4+5) − (1+6.5) = 1.51.5 m³N 増加

計算方法②は、燃焼ガスの成分を個別に積算する方法である。G = 過剰空気量 + 燃焼生成物(CO₂ + H₂O)+ 燃焼に使われなかったN₂ という数え方で、式にすると G = (m − 0.21)A₀ + (3·cCH₄ + 7·cC₃H₈ + 9·cC₄H₁₀)。ここでの各成分の生成物係数は、CH₄は CO₂+H₂O=1+2=3、C₃H₈は3+4=7、C₄H₁₀は4+5=9 である。

なお m=1 のときが理論燃焼ガス量 G₀ で、G₀ = 1 + A₀ + (cC₃H₈ + 1.5·cC₄H₁₀) となる。

🟦 甲種プラスα

甲種計算:「メタン空気比1.5で燃焼させたときの湿り燃焼ガス量を計算せよ」が頻出

⚡ 焦点ポイント

甲種計算:「メタン空気比1.5で燃焼させたときの湿り燃焼ガス量を計算せよ」が頻出。 / 手順:① A₀を計算 ② 供給空気量 = m×A₀ ③ G = 1 + m×A₀ + 体積変化量

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • メタン(CH₄)の燃焼では体積変化がゼロ(反応前後でモル数不変)。プロパン・ブタンは体積が増加。この「炭化水素によって体積変化量が異なる」点を正しく反映させること。
  • 甲種計算:「メタンを空気比1.5で燃焼させたときの湿り燃焼ガス量を計算せよ」が頻出
  • 手順:① A₀を計算 ② 供給空気量 = m×A₀ ③ G = 1 + m×A₀ + 体積変化量

9. 乾き燃焼ガス量の計算

💡 図の見方:湿り燃焼ガス量Gが「燃料1+供給空気m·A₀+燃焼による体積変化」で組み立てられ、そこから生成H₂Oを引いたものが乾き燃焼ガス量G’であることを積み上げ棒で示した図。引く係数2・4・5は各成分の燃焼反応式のH₂O係数(節3のHHV→LHV変換で引いた水の量と同じ)で、G’は乾きガス中のCO₂%・O₂%を求めるときの分母になる。

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

G’ = G − (燃焼で生成したH₂O量)= G − (2cCH₄ + 4cC₃H₈ + 5cC₄H₁₀)。成分濃度計算の分母として使う

📖 解説(乙種ベース)

乾き燃焼ガス量(G’)は「水蒸気を除いた燃焼ガス量」である。なぜわざわざ水を抜くのか。乾き燃焼ガス中の成分濃度計算(CO₂%、O₂%など)では G’ が分母になるためだ。濡れた傘を持ったまま体重計に乗らないのと同じで、水分を除いた状態で数えるのが約束になっている。

やることは引き算だけだ。G’ = G − (燃焼により生成した H₂O の量)。

公式
G’ = G − (2·cCH₄ + 4·cC₃H₈ + 5·cC₄H₁₀ + …)
G’: 乾き燃焼ガス量 [m³N/m³N] G: 湿り燃焼ガス量 係数(2, 4, 5)は各成分の燃焼反応式のH₂O係数(HHV→LHV変換の係数と同じ)

この係数に見覚えがあるはずだ。節3のHHV→LHV変換で引いた水の量と、まったく同じものを引いている。反応式が書ければ、両方の節が一度に片づく。

単純計算例で流れを追ってみよう。メタン 1 m³N を空気比 λ で完全燃焼した場合、A₀ = 2/0.21 ≈ 9.52 m³N。メタンは体積変化ゼロなので G = 1 + λ × 9.52 となる。生成H₂O = 2 m³N を引けば、G’ = 1 + 9.52λ − 2 = 9.52λ − 1。λ の式のまま置いておくのが、濃度からλを求める問題への布石になる。

なお λ=1 のときが理論乾き燃焼ガス量 G₀’ で、G₀’ = G₀ − (生成H₂O量)である。

🖼 図解
湿り燃焼ガス量Gと乾き燃焼ガス量G'の関係湿り燃焼ガス量Gと乾き燃焼ガス量G’の関係

⚡ 焦点ポイント

「乾き燃焼ガス量 = 湿り燃焼ガス量 − 燃焼で生成した水蒸気量」の定義をしっかり押さえる。 / 計算問題では G’ の式を λ で表し、CO₂% や O₂% の式と連立して λ を求める流れになる。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「空気中にも水蒸気が含まれる場合」は計算が複雑になるが、試験の計算問題では通常「空気は乾燥状態」として扱う。問題文に「乾燥空気」の記載がなくても乾燥と仮定して計算して OK。
  • 「乾き燃焼ガス量 = 湿り燃焼ガス量 − 燃焼で生成した水蒸気量」の定義をしっかり押さえる
  • 計算問題では G’ の式を λ で表し、CO₂% や O₂% の式と連立して λ を求める流れになる

10. 燃焼計算の全体手順(まとめ)

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

①理論O₂量 → ②A₀ → ③供給空気量 → ④生成CO₂・H₂O → ⑤G(湿り)→ ⑥G’(乾き)→ ⑦濃度。この順番で解く

📖 解説(乙種ベース)

ここまでの節は、実は1本の道の途中駅だった。燃焼計算問題は必ず以下の 7 ステップの順序で計算する。分岐のない一本のレールだと思ってよく、この手順を体に染み込ませることが乙種甲種合格への最短経路になる。

🖼 図解
燃焼計算の7ステップ燃焼計算の7ステップ
手順求めるものやり方
理論酸素量燃焼反応式の O₂ 係数(CₘHₙの場合 = m + n/4)
理論空気量 A₀理論酸素量 / 0.21
供給空気量A₀ × 空気比 λ / 過剰空気量 = (λ − 1) × A₀
燃焼生成物の量生成CO₂量 = 反応式のCO₂係数 生成H₂O量 = 反応式のH₂O係数
湿り燃焼ガス量 G供給空気量 − 理論O₂量 + 生成CO₂量 + 生成H₂O量(または G = 1 + λA₀ + 体積変化量)
乾き燃焼ガス量 G’G − 生成H₂O量(または G’ = 供給空気量 − 理論O₂量 + 生成CO₂量)
成分濃度対象成分量 / G または G’

最後の⑦でつまずく受験者が多い。分母をGにするのかG’にするのかで答えが変わるからだ。判断は単純で、乾き燃焼ガス中の濃度なら分母は G’、湿りなら G。問題文のどちらを聞かれているかを、代入の前に必ず確認したい。

覚える
⑦の分母 — 乾き燃焼ガス中の濃度なら G’、湿り燃焼ガス中の濃度なら G

なお空気比 λ が未知の場合は、⑦の濃度を与えてλの方程式を立てて解く(例題1・2型)。手順は変わらず、最後を逆向きにたどるだけである。

🟦 甲種プラスα

甲種最頻出パターン:混合ガスの各種計算(A₀の式の係数・G₀の式の係数) 燃焼計算問題は必ず以下の順序で計算する

この手順を体に染み込ませることが乙種甲種合格への最短経路

⚡ 焦点ポイント

この 7 ステップを「反応式を書く→O₂係数→A₀→供給空気→生成物→G→G’→濃度」と唱えながら練習する。 / 乙種最頻出パターン:「メタン空気比λで燃焼→乾き燃焼ガスのO₂濃度=○%→λを求めよ」

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • G と G’ の区別ミスが最も多い計算ミス。問題が「乾き燃焼ガス中の濃度」を聞いているときは G’ を分母にすること。「湿り燃焼ガス中の水蒸気濃度」のときは G を分母にする。
  • この 7 ステップを「反応式を書く→O₂係数→A₀→供給空気→生成物→G→G’→濃度」と唱えながら練習する
  • 乙種最頻出パターン:「メタンを空気比λで燃焼→乾き燃焼ガスのO₂濃度=○%→λを求めよ」

11. 燃焼速度(層流燃焼速度・乱流燃焼速度)

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

燃焼速度は火炎が可燃性混合気を消費する速度。H₂は他と比べ著しく大きく空気比0.5付近で最大

📖 解説(乙種ベース)

コンロの火が、青い炎のまま同じ位置に留まっているのはなぜか。実はそこでは、川を遡る船のような釣り合いが起きている。燃焼速度とは、可燃性混合気体を消費しながら火炎が伝播する速度のこと。ガスが流れ出る速さと、火炎がガスをさかのぼる速さが釣り合うと、炎はその場に止まって見える。

キーワード
層流燃焼速度 SL(Laminar Burning Speed) — ガスと空気が一様な層流で流れる場合の燃焼速度。単位は cm/s

この層流燃焼速度は3つの要因で変わる。ガス成分(燃料の種類)、空気比(一次空気比)、そして温度・圧力である。空気比については、炭化水素系ガスは空気比が1より少し小さいところで最大になる。

ここで水素が例外的な振る舞いをする。水素(H₂)は他のガスに比べて著しく層流燃焼速度が大きく(約270〜300 cm/s)、しかも空気比約0.5付近で最大燃焼速度となる。炭化水素系ガス(CH₄, C₃H₈ など)の最大燃焼速度が30〜50 cm/s 程度であることと比べれば、桁が違うことがわかる。CO も、H₂と同様に比較的速い。

覚える
水素 = 層流燃焼速度が著しく大きく、空気比0.5付近で最大。炭化水素系は空気比が1より少し小さいところで最大

流れが乱れると事情はさらに変わる。乱流予混合火炎では渦運動の効果が加わり、乱流燃焼速度は層流燃焼速度よりはるかに大きい。この性質が工業炉など高負荷燃焼技術に利用されている。

では、ガス流速と燃焼速度の釣り合いが崩れるとどうなるか。ガス流速 > 燃焼速度なら火炎がリフティング(吹き飛ぶ)。逆にガス流速 < 燃焼速度ならフラッシュバック(逆火)となり、火炎が管内へ戻ってしまう。どちらも燃焼機器の異常であり、船が流されるか、押し戻されるかの違いだと考えればよい。

🖼 図解
リフティングとフラッシュバックリフティングとフラッシュバック

⚡ 焦点ポイント

「水素の層流燃焼速度はメタンに比べ大きく、空気比0.5付近が最大」は過去問で直撃した重要事実。 / 「乱流燃焼速度は層流燃焼速度より大きい」→ ○

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「空気比0.5付近が最大」は水素の話。メタン・プロパンなど炭化水素系ガスは空気比が「1より少し小さいところ」(0.9〜0.95程度)で最大燃焼速度となる。水素と炭化水素を混同しない。

12. 燃焼生成物とラジカル反応

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

燃焼は連鎖反応。空気不足・反応時間不足・冷所接触でCOが排出。NOxは燃焼中間体とN₂の反応で生成

📖 解説(乙種ベース)

反応式では CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O と一行で書くが、実際の炎の中で起きていることはそれほど単純ではない。燃焼反応は単一の素反応ではなく、多数の素反応が連鎖的に進行する複雑な反応である。ドミノ倒しのように、ひとつの反応が次の反応の引き金を引いていく。

キーワード
ラジカル — 不対電子を持ち非常に反応性が高い化学種。燃焼反応では OH・、O・、H・などが重要な役割を果たす

ドミノが最後まで倒れきれば完全燃焼で、炭素は CO₂、水素は H₂O に完全に酸化される。倒れきれずに途中で止まると不完全燃焼となり、中間生成物 CO、H₂CO(ホルムアルデヒド)などが排出ガスに残留する。止まる原因は3つある。

不完全燃焼の原因何が起きているか
燃焼用空気が不足酸素不足でラジカルが少ない
燃焼室が小さく反応時間が不足反応が終わりきる前にガスが出ていく
冷所接触火炎温度が低下する

試験で狙われるのは2つ目だ。COからCO₂への最終酸化反応は CO + OH・ → CO₂ + H・ で、これが比較的遅い反応である。だから空気不足だけでなく、反応時間不足でも CO が排出される可能性がある。「空気が足りていれば完全燃焼」と早合点した受験者が、この一文で失点する。

もうひとつの生成物がNOxだ。燃焼中間体などが空気中のN₂と高温で反応し、有害な窒素酸化物(NOx)を生成する。そのため燃焼機器の設計上、NOx 低減のため過剰空気量や燃焼温度の管理が重要になる。

⚡ 焦点ポイント

「十分な空気が供給されていても燃焼反応に十分な時間が確保できない場合にCOが排出される可能性がある」→ ○(過去出題) / 「不完全燃焼の原因:空気不足・燃焼室容量不足・冷所接触」の3つを押さえる。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「空気量が十分 = 完全燃焼」は誤り。空気量が十分でも反応時間(燃焼室の大きさ・温度)が不十分な場合は CO が残留する。この「時間不足」の視点が試験では問われる。
  • 「空気不足」「燃焼室容量不足」「冷所接触」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)

13. 燃焼方式(拡散燃焼予混合燃焼

重要度: 乙C / 🟦 甲B

🎯 一言で

拡散燃焼(逆火なし)vs 予混合燃焼(完全:NOx低、部分:ブンゼン・火炎安定)。方式の特徴を対比で覚える

📖 解説(乙種ベース)

ガスと空気をいつ混ぜるか。たったそれだけの違いで、燃焼は大きく2種類に分類される。鉄板の上で混ぜながら焼くお好み焼きと、生地を先に混ぜてから焼くホットケーキ——その差だと思えばよい。

拡散燃焼(Diffusion Combustion)は、燃料のみをバーナーから吹き出し、周囲の空気と混合しながら燃焼する方式だ。混ぜる量を後から加減できるので燃焼量の調節が容易で、大型バーナーに多く採用される。そして最大の利点は、バーナー内部で予混合気が形成されないため、逆火(フラッシュバック)の恐れがないこと。燃えるものが管の中にないのだから、火が戻りようがない。ただし燃焼ガス中のNOx濃度はやや高くなりやすい。

一方の予混合燃焼(Premixed Combustion)は、燃料と空気を事前に混合した可燃予混合ガスをバーナーから吹き出して燃焼する方式である。こちらは混合済みのガスが管内にあるため、逆火への備えが必要になる。空気比によって完全と部分の2つに分かれ、この区別が出題の的になる。

🖼 図解
拡散燃焼と予混合燃焼の対比拡散燃焼と予混合燃焼の対比
方式空気比特徴
完全予混合燃焼空気比 ≥ 1燃焼ガス中のNOx濃度が低い/逆火防止のため、多数の小さい火口を設けるなどの工夫が必要
部分予混合燃焼空気比 < 1ブンゼン火炎(内炎と外炎の二重火炎)がその代表例/火炎安定性に優れている

🟦 甲種プラスα

甲種では「燃焼方式(拡散燃焼予混合燃焼)」の本文の概念をより深く理解した上で、応用問題への対応が問われます。本文の数式・概念をしっかり押さえてください。

⚡ 焦点ポイント

拡散燃焼はバーナー内部で予混合気が形成されないため逆火の恐れがない」→ ○(頻出正誤問題) / 「ブンゼン火炎は部分予混合燃焼の代表例で内炎と外炎の二重火炎が形成される」→ ○

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「予混合燃焼 = 空気比 1 以上」は完全予混合燃焼の場合。部分予混合燃焼は空気比が 1 より小さい。この空気比の違いで完全と部分を区別する。
  • 「拡散燃焼はバーナー内部で予混合気が形成されないため逆火の恐れがない」→ ○(頻出正誤問題)
  • 「ブンゼン火炎は部分予混合燃焼の代表例で内炎と外炎の二重火炎が形成される」→ ○

14. 単体ガスの燃焼範囲(燃焼上下限界)

💡 図の見方:各ガスが燃える濃度の「窓」を横棒の長さで比べた図で、水素とアセチレンの範囲が著しく広い(危険性が高い)ことが一目でわかる。飽和炭化水素は炭素数が増えると燃焼下限界が下がるため、範囲の「広さ」と下限の「低さ」は別物(メタンはプロパンより範囲は広いが下限界はプロパンの方が低い)という引っかけに注意。

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

H₂:4〜75%、CH₄:5〜15%、C₃H₈:2.1〜9.5%、C₄H₁₀:1.6〜8.4%。H₂が最も広い。炭素数↑で下限界↓

📖 解説(乙種ベース)

ガスが漏れれば必ず燃えるかというと、そうではない。薄すぎても濃すぎても火はつかず、燃えるのは特定の濃度の”窓”の中だけだ。燃焼範囲(爆発範囲)とは、可燃性ガスと空気を混合したとき、着火によって燃焼する混合割合の範囲のことをいう。

この窓には上下の縁がある。最大混合割合が燃焼上限界(上限)、最小混合割合が燃焼下限界(下限)だ。窓が広いガスほど、漏れたときに着火する条件に当たりやすい——つまり危険性が高い。

覚えるべき数値は4つ。H₂:4〜75%、CH₄:5〜15%、C₃H₈:2.1〜9.5%、C₄H₁₀:1.6〜8.4%。H₂が最も広く、炭素数↑で下限界↓という並びになっている。

主要ガスの燃焼範囲(空気中、大気圧)

🖼 図解
主要ガスの燃焼範囲(燃焼下限界〜上限界)主要ガスの燃焼範囲(燃焼下限界〜上限界)
ガス燃焼下限 [vol%]燃焼上限 [vol%]特徴
水素 H₂4.075.0非常に広い
メタン CH₄5.015.0中程度
エタン C₂H₆3.012.5
プロパン C₃H₈2.19.5
ブタン C₄H₁₀1.68.4
アセチレン C₂H₂2.5100.0非常に広い(上限100%!)

表から読み取る傾向は3つに整理できる。第一に、水素とアセチレンは燃焼範囲が著しく広い(危険性が高い)。アセチレンの上限が100%という数字は、空気がほとんどなくても燃えうるという意味で、特に印象に残しておきたい。

第二に、飽和炭化水素は炭素数が増えると燃焼下限界が下がる(より低濃度でも燃える)。プロパンブタンの下限界が低いのは、少量の漏洩でも着火しうるということだ。

第三に、範囲の”広さ”と”下限の低さ”は別物である。メタンの燃焼範囲はプロパンより広い(5〜15 vs 2.1〜9.5)が、下限界はプロパンの方が低い。混同を誘う選択肢が出るので、どちらを問われているかを見極めたい。なおエタンの燃焼上限はブタンの燃焼上限より大きい。

⚡ 焦点ポイント

「水素の燃焼範囲はおよそ4〜75%」「メタンの燃焼範囲はおよそ5〜15%」は数値として問われる。 / 「メタンの燃焼範囲はプロパンより広い」→ ○(幅:メタン10%プロパン7.4%

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「燃焼範囲が広い = 危険」という方向性は正しいが、「燃焼下限界が低い = 危険性が高い」という観点もある。LPGのプロパン・ブタンは燃焼下限界がメタンより低い(少量漏洩でも着火する)ため、低い場所への滞留に要注意。
  • 「75%」が「80%」「70%」と書き換えられる
  • 「15%」が「20%」「10%」と書き換えられる
  • 「10%」が「15%」「5%」と書き換えられる

15. 混合ガスの燃焼範囲(ル・シャトリエの式)

💡 図の見方:各成分の割合をそのまま平均するのではなく、割合を下限界で割った項を分母側で足し合わせる式だと見る図。計算は必ず分母を足し切ってから100を割る。適用できるのは下限界のみで、上限界には使えない点が引っかけどころ。

重要度: ★ 乙B / 🟦 甲A

🎯 一言で

L = 100 / (n₁/N₁ + n₂/N₂ + …)。混合ガスの燃焼下限界を各成分の燃焼下限界から計算。炭化水素によく適合

📖 解説(乙種ベース)

前節で扱ったのは単体ガスだった。ではメタンプロパンが混ざった実際の都市ガスの下限界はどうなるのか。2種類以上の可燃性ガスが混合した燃料の燃焼下限界は、ル・シャトリエの式で計算できる。

ここで注意したいのは、単純な平均ではないという点だ。足し合わせるのは割合そのものではなく、割合を下限界で割った”逆数側”である。並列につないだ電気抵抗と同じ形の式だと思えば、構造が頭に入りやすい。

公式
100L = n₁N₁ + n₂N₂ + n₃N₃ + …
L: 混合ガスの燃焼下限界 [%] n₁, n₂, n₃: 各成分ガスの体積割合 [%](合計 100%) N₁, N₂, N₃: 各成分ガスの燃焼下限界 [%] (変形すると L = 100 / (n₁/N₁ + n₂/N₂ + n₃/N₃ + …))

実際に計算してみよう。メタン60%エタン30%プロパン10%の混合ガス(各燃焼下限:4.9, 2.5, 2.2%)なら、L = 100 / (60/4.9 + 30/2.5 + 10/2.2) = 100 / (12.24 + 12.00 + 4.55) = 100 / 28.79 ≈ 3.5% となる。分母を先に足し切ってから割る、この順番を崩さないことが計算ミスを防ぐ。

ただし万能ではない。この式は炭化水素類の混合ガスによく適合する一方、水素(H₂)、アセチレン(C₂H₂)を含む混合ガスでは誤差が大きい。前節で「燃焼範囲が著しく広い」と押さえた2つのガスが、ここでも例外として顔を出す。なお、空気以外の不活性ガスの雰囲気に対しても成立する。

🟦 甲種プラスα

計算問題:各成分の体積割合と燃焼下限界の数値が与えられ、混合ガスのLを計算する問題が出る(乙種甲種とも)

🖼 図解
ル・シャトリエ式は分母にn/Nを足す(下限界だけ)ル・シャトリエ式は分母にn/Nを足す(下限界だけ)

⚡ 焦点ポイント

「2種類以上の可燃性ガスが混合した燃料の燃焼下限界はル・シャトリエの式で計算できる」→ 頻出正誤問題。 / 「ル・シャトリエの式は炭化水素の混合ガスによく適合するが、水素を含むガスでは誤差が大きい」→ ○

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「ル・シャトリエの式で燃焼上限界も計算できる」→ × 。ル・シャトリエの式は燃焼下限界の計算式。上限界には単純には適用できない。問題文が「下限界」を求めているか確認すること。

16. 燃焼範囲に影響を与える因子

重要度: 乙B / 甲C

🎯 一言で

温度↑・圧力↑(一般)で燃焼範囲は広くなる。不活性ガス混合で狭くなる(上限界が大きく低下)。CO は圧力↑で狭くなる例外

📖 解説(乙種ベース)

前節までの燃焼範囲の数値は、あくまで常温・大気圧での話だった。燃焼範囲は一定ではなく、温度・圧力・容器の大きさ・不活性ガスの混合割合によって変化する。条件が変われば窓の幅も変わる、ということだ。

🖼 図解
燃焼範囲を広げる・狭める因子燃焼範囲を広げる・狭める因子
因子燃焼範囲への影響理由
温度が高くなる広くなる熱の逸散速度が遅くなる(温度が低くなると熱の逸散が激しくなり狭くなる)
圧力が高くなる一般に広くなる反応が促進される ※例外:一酸化炭素(CO)は圧力が増加すると狭くなる
容器が小さい燃焼を維持できなくなる器壁の冷却効果を受けるため(燃焼範囲内のガスでも起こる)
不活性ガスを加える狭くなるN₂、CO₂ などが可燃性ガスと空気の混合物を希釈する

不活性ガスの効き方には偏りがある。燃焼下限界はあまり影響を受けないのに対し、燃焼上限界は著しく低下する。不活性ガスは高濃度側の燃焼に対してより大きな抑制効果を持つためだ。煮立った鍋に氷を落とすように、勢いのある側ほど強く冷やされると考えるとつかみやすい。

そして試験が最も好むのが、圧力の例外である。一般則は「圧力↑で広くなる」だが、一酸化炭素だけは逆に狭くなる。原則と例外がセットで問われるので、COの名前が出たら圧力の向きを疑ってほしい。

覚える
温度↑・圧力↑で燃焼範囲は広くなる(一般則)。ただし一酸化炭素は圧力↑で狭くなる例外。不活性ガス混合では上限界が著しく低下

⚡ 焦点ポイント

「一般に温度が高くなると燃焼範囲は広くなる」→ ○(頻出正誤問題) / 「一酸化炭素は圧力が増加すると燃焼範囲は狭くなる」→ ○(一般則の例外として頻出)

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「圧力上昇 → 燃焼範囲拡大」は一般則。しかし CO は圧力上昇で燃焼範囲が狭くなる例外。この CO の例外は繰り返し出題されているので要注意。「圧力が増加すると燃焼範囲が広くなる」という選択肢が正しいとは限らない(COの場合は誤り)。

17. 爆発と爆ごう(デフラグレーション・デトネーション)

重要度: 乙C / 🟦 甲B

🎯 一言で

爆発=急激な膨張。爆ごう(デトネーション)は超音速の燃焼伝播+衝撃波。爆ごう範囲は燃焼範囲の内側

📖 解説(乙種ベース)

爆発(Explosion)とは、静止状態にあった物質系が急激に膨張する現象をいう。化学的爆発は可燃性ガスと空気の混合物が急速に反応することで起きる。起こるには2つの条件が要る。①可燃性ガスと空気が適当な濃度範囲(爆発範囲=燃焼範囲)で混合されていること、②外部から何らかの方法でエネルギーが与えられること(点火源)。前節までの燃焼範囲が、そのまま①の条件になっている。

では、同じ爆発でも被害の質がまるで違うのはなぜか。分かれ目は伝播速度が音速を超えるかどうかだ。爆燃(デフラグレーション)は燃焼反応領域の伝播速度が亜音速の爆発。これに対し爆ごう(デトネーション)は、伝播速度が音速を超え、衝撃波を伴う現象である。ジェット機が音速を超えたときのソニックブームと同じ壁を、炎が越えていると考えればよい。

キーワード
爆ごう(デトネーション) — 燃焼反応領域の伝播速度が音速を超え、衝撃波を伴う現象

この衝撃波が破壊力の正体だ。衝撃波は音波と異なり非常に波長が短い単一圧縮波で前進する。そのため物体に衝突すると短時間に強烈な衝撃的圧力を及ぼし、機械的破壊作用を与える。しかも最初から超音速なのではなく、伝播速度は初め小さいが加速して音速を超える(爆燃 → 爆ごう への遷移)。配管のように細長い空間ほど、この加速が起こりやすい。

もうひとつの頻出事項が範囲の関係である。爆ごうが発生する濃度範囲(爆ごう範囲)は、燃焼範囲の内側にある。すべての燃焼が爆ごうになるわけではない——「爆ごう範囲=燃焼範囲」とする選択肢は、この一点で誤りになる。

🟦 甲種プラスα

甲種では「爆発と爆ごう(デフラグレーション・デトネーション)」の本文の概念をより深く理解した上で、応用問題への対応が問われます。本文の数式・概念をしっかり押さえてください。

🖼 図解
爆発(爆燃)と爆ごうの違い爆発(爆燃)と爆ごうの違い

⚡ 焦点ポイント

「爆ごうの伝播速度は音速より大きくなり、衝撃的圧力が発生する」→ ○(頻出) / 「爆ごうが発生する範囲は燃焼範囲の内側にある」→ ○(頻出)

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「爆ごう範囲 = 燃焼範囲」は誤り。爆ごう範囲は燃焼範囲の「内側」にある(より狭い範囲)。燃焼範囲内でも低濃度・高濃度側は爆ごうにならない。
  • 「爆ごうの伝播速度は音速より大きくなり、衝撃的圧力が発生する」→ ○(頻出)
  • 「爆ごうが発生する範囲は燃焼範囲の内側にある」→ ○(頻出)

🔢 計算問題のための準備

完全燃焼反応式:

メタン: CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O

プロパン: C3H8 + 5O₂ → 3CO₂ + 4H₂O

ブタン: C4H10 + 6.5O₂ → 4CO₂ + 5H₂O

– 一般炭化水素 CmHn: CmHn + (m + n/4)O₂ → mCO₂ + (n/2)H₂O

空気比 λ: 実際の空気量 / 理論空気量

空気組成(体積%): O₂=21%、N₂=79%(O₂:N₂=1:3.76)

主要発熱量(MJ/m³ 標準状態, HHV): メタン=39.9、プロパン=101.4、ブタン=134.4

計算問題で失点する最大の原因は単位ミス。代入前に「絶対圧か?」「絶対温度か?」「単位は揃っているか?」を必ず確認。

🧮 計算例題(過去問を解き切る)

この章の内容が本試験でどう問われるか、実際の過去問で「立式→計算→答え」まで通しで確認しましょう。まず自分で解いてから「解き方をみる」を開くのがおすすめです。

🧮 解き切り例題①(令和6年度 乙種 問8)

メタン5m³を空気比1.5で完全燃焼させるのに必要な空気量(m³)として、最も近い値はどれか。ただし、気体は標準状態(温度0℃、圧力101325Pa)とし、空気中の窒素と酸素の体積比は4:1とする。

(1) 15 (2) 30 (3) 50 (4) 75 (5) 90 [m³]

▶ 解き方をみる(まず自分で立式してから!)
  1. 燃焼反応式を書く: CH₄+2O₂ → CO₂+2H₂O(メタン1m³に酸素2m³必要)
  2. 理論酸素量=5×2=10m³
  3. 理論空気量=10÷0.2=50m³(空気中の酸素は1/5)
  4. 供給空気量=理論空気量×空気比=50×1.5=75m³

✅ 答え: (4) 75m³

⚠ よくあるミス: 空気比1.5を掛け忘れる/窒素:酸素=4:1(酸素0.2)の取り違え

🧮 解き切り例題②(令和7年度 乙種 問8)

メタンを空気比1.2で完全燃焼させた。このとき発生する湿り燃焼ガス中の水蒸気濃度(vol%)として、最も近い値はどれか。ただし、空気中の窒素と酸素の体積比は4:1とする。

(1) 12.5 (2) 14.1 (3) 15.4 (4) 16.7 (5) 18.2 [vol%]

▶ 解き方をみる(まず自分で立式してから!)
  1. メタン1m³基準で考える。理論酸素量=2m³ → 理論空気量=2÷0.2=10m³ → 供給空気量=10×1.2=12m³
  2. 燃焼ガスの中身を数える: 未使用O₂=12×0.2−2=0.4m³、供給されたN₂=12×0.8=9.6m³
  3. 生成CO₂=1m³、生成H₂O=2m³
  4. 湿り燃焼ガス量=0.4+9.6+1+2=13m³
  5. H₂O濃度=2÷13≒0.154=15.4vol%

✅ 答え: (3) 15.4vol%

⚠ よくあるミス: 乾き燃焼ガス(H₂O抜き)で計算してしまう/空気比1.2を忘れて未使用O₂を0にする

🗒️ 3分で復習(章末まとめ)

🎯 全節 一言まとめ

  • 節1 真発熱量(LHV)と総発熱量(HHV)の違い: 総発熱量(HHV)= 真発熱量(LHV)+ 水蒸気の凝縮潜熱。HHV ≥ LHV。供給ガスの発熱量は一般にHHVで表す
  • 節2 気体燃料の成分別発熱量(主要数値): メタン HHV≈40 MJ/m³N、LHV≈36 MJ/m³N(HHVの約90%)。炭素数が多いほど発熱量大。H₂はHHV/LHV比が最小
  • 節3 HHV→LHV変換式(水蒸気の凝縮潜熱から導く): Hn = Hg − 2.01(2·cCH₄ + 4·cC₃H₈ + 5·cC₄H₁₀)MJ/m³N。水蒸気の凝縮潜熱2.01 MJ/m³N×生成H₂O量
  • 節4 燃焼反応の構成(燃焼ガスの成分フロー): 供給空気 = 理論空気量 + 過剰空気量。燃焼ガス = 不燃成分 + CO₂ + H₂O + 過剰O₂ + 窒素。フローを頭に入れる
  • 節5 燃焼反応式と理論酸素量: CmHn + (m+n/4)O₂ → mCO₂ + (n/2)H₂O。理論O₂量 = 反応式のO₂係数。混合ガスは各成分の加算
  • 節6 理論空気量(A₀)の計算: A₀ = 理論O₂量 / 0.21 [m³N/m³N]。空気中O₂ = 21%。混合ガスの公式 A₀ = 1/0.21 × (2cCH₄ + 5cC₃H₈ + 6.5cC₄H₁₀ + …)
  • 節7 空気比(λ)と過剰空気量: 空気比λ = 供給空気量/理論空気量。一般に λ > 1。過剰空気量 = (λ−1)×A₀。乾き燃焼ガス中のO₂・CO₂濃度から逆算も可
  • 節8 湿り燃焼ガス量の計算: G = 1 + mA₀ + (cC₃H₈ + 1.5·cC₄H₁₀ + …) [m³N/m³N]。燃料+供給空気+体積変化分の加算
  • 節9 乾き燃焼ガス量の計算: G’ = G − (燃焼で生成したH₂O量)= G − (2cCH₄ + 4cC₃H₈ + 5cC₄H₁₀)。成分濃度計算の分母として使う
  • 節10 燃焼計算の全体手順(まとめ): ①理論O₂量 → ②A₀ → ③供給空気量 → ④生成CO₂・H₂O → ⑤G(湿り)→ ⑥G’(乾き)→ ⑦濃度。この順番で解く
  • 節11 燃焼速度(層流燃焼速度・乱流燃焼速度): 燃焼速度は火炎が可燃性混合気を消費する速度。H₂は他と比べ著しく大きく空気比0.5付近で最大
  • 節12 燃焼生成物とラジカル反応: 燃焼は連鎖反応。空気不足・反応時間不足・冷所接触でCOが排出。NOxは燃焼中間体とN₂の反応で生成
  • 節13 燃焼方式(拡散燃焼・予混合燃焼): 拡散燃焼(逆火なし)vs 予混合燃焼(完全:NOx低、部分:ブンゼン・火炎安定)。方式の特徴を対比で覚える
  • 節14 単体ガスの燃焼範囲(燃焼上下限界): H₂:4〜75%、CH₄:5〜15%、C₃H₈:2.1〜9.5%、C₄H₁₀:1.6〜8.4%。H₂が最も広い。炭素数↑で下限界↓
  • 節15 混合ガスの燃焼範囲(ル・シャトリエの式): L = 100 / (n₁/N₁ + n₂/N₂ + …)。混合ガスの燃焼下限界を各成分の燃焼下限界から計算。炭化水素によく適合
  • 節16 燃焼範囲に影響を与える因子: 温度↑・圧力↑(一般)で燃焼範囲は広くなる。不活性ガス混合で狭くなる(上限界が大きく低下)。CO は圧力↑で狭くなる例外
  • 節17 爆発と爆ごう(デフラグレーション・デトネーション): 爆発=急激な膨張。爆ごう(デトネーション)は超音速の燃焼伝播+衝撃波。爆ごう範囲は燃焼範囲の内側

⚡ 全節 焦点ポイント

  • 節1: 「総発熱量真発熱量に同じか、または大きい」→ ○(頻出正誤問題) / 「供給ガスの発熱量は一般に総発熱量(HHV)で表す」→ ○
  • 節2: 「メタン総発熱量約40 MJ/m³N」は数値として問われる(丸暗記必須)。 / 「メタン真発熱量総発熱量より約10%小さい」→ ○
  • 節3: 「(甲種)Hn = Hg − 2.01([ ]cCH₄ + [ ]cC₃H₈ + [ ]cC₄H₁₀)の係数を求めよ」→ 2, 4, 5 / 係数は「各成分の燃焼反応式のH₂O係数」と一致することを理解すれば暗記不要。
  • 節4: 「燃焼ガスの中から水蒸気を除いたものを乾き燃焼ガスという」は定義問題の定番。 / 「供給空気中の過剰空気量と燃焼ガス中の過剰空気量は同じ」→ ○(過剰空気は反応せずそのまま通過)
  • 節5: 「メタン 1 m³N の完全燃焼に必要な酸素は 2 m³N、発生するCO₂は 1 m³N、H₂Oは 2 m³N」→ 超頻出の数値問題。 / 「プロパン 1 m³N を完全燃焼させるのに必要な理論酸素量は 5 m³N」→ 丸暗記。
  • 節6: A₀ の係数の式の空欄補充問題は甲種の頻出計算。係数(2, 3.5, 5, 6.5…)は各炭化水素のO₂係数と同じ。 / 「メタン 1 m³N を完全燃焼するのに必要な理論空気量は?」→ 2/0.21 ≈ 9.5 m³N を素早く出せるように。
  • 節7: 「空気比は一般に1以上である」→ ○(頻出正誤問題) / 乙種計算の王道パターン:「乾き燃焼ガス中のO₂(またはCO₂)濃度が○%のときの空気比を求めよ」
  • 節8: 甲種計算:「メタン空気比1.5で燃焼させたときの湿り燃焼ガス量を計算せよ」が頻出。 / 手順:① A₀を計算 ② 供給空気量 = m×A₀ ③ G = 1 + m×A₀ + 体積変化量
  • 節9: 「乾き燃焼ガス量 = 湿り燃焼ガス量 − 燃焼で生成した水蒸気量」の定義をしっかり押さえる。 / 計算問題では G’ の式を λ で表し、CO₂% や O₂% の式と連立して λ を求める流れになる。
  • 節10: この 7 ステップを「反応式を書く→O₂係数→A₀→供給空気→生成物→G→G’→濃度」と唱えながら練習する。 / 乙種最頻出パターン:「メタン空気比λで燃焼→乾き燃焼ガスのO₂濃度=○%→λを求めよ」
  • 節11: 「水素の層流燃焼速度はメタンに比べ大きく、空気比0.5付近が最大」は過去問で直撃した重要事実。 / 「乱流燃焼速度は層流燃焼速度より大きい」→ ○
  • 節12: 「十分な空気が供給されていても燃焼反応に十分な時間が確保できない場合にCOが排出される可能性がある」→ ○(過去出題) / 「不完全燃焼の原因:空気不足・燃焼室容量不足・冷所接触」の3つを押さえる。
  • 節13: 「拡散燃焼はバーナー内部で予混合気が形成されないため逆火の恐れがない」→ ○(頻出正誤問題) / 「ブンゼン火炎は部分予混合燃焼の代表例で内炎と外炎の二重火炎が形成される」→ ○
  • 節14: 「水素の燃焼範囲はおよそ4〜75%」「メタンの燃焼範囲はおよそ5〜15%」は数値として問われる。 / 「メタンの燃焼範囲はプロパンより広い」→ ○(幅:メタン10%プロパン7.4%
  • 節15: 「2種類以上の可燃性ガスが混合した燃料の燃焼下限界はル・シャトリエの式で計算できる」→ 頻出正誤問題。 / 「ル・シャトリエの式は炭化水素の混合ガスによく適合するが、水素を含むガスでは誤差が大きい」→ ○
  • 節16: 「一般に温度が高くなると燃焼範囲は広くなる」→ ○(頻出正誤問題) / 「一酸化炭素は圧力が増加すると燃焼範囲は狭くなる」→ ○(一般則の例外として頻出)
  • 節17: 「爆ごうの伝播速度は音速より大きくなり、衝撃的圧力が発生する」→ ○(頻出) / 「爆ごうが発生する範囲は燃焼範囲の内側にある」→ ○(頻出)

📝 一問一答(過去問ランダム)

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