基礎理論 第3章 化学

化学反応・電気化学を扱う章です。化学反応の分類、反応熱と標準生成熱、化学平衡(ル・シャトリエ)、化学反応、反応速度と触媒、電気化学反応と電池、燃料電池の発電原理までを順番に学びます。第2章「熱力学」のエンタルピー・反応熱が前提です。

乙種甲種兼用 / 全17節 / 学習目安: 60〜90分

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📍 はじめに

燃焼やガス精製、燃料電池まで、ガス工業の現場で起きていることのほとんどは化学反応です。この章では、反応がどう進むか(熱・速度・触媒)、どこで止まるか(平衡)、どう電気に変えるか(電池)を学びます。


📍 この章で学ぶこと(5ブロック・全17節)

各節の重要度を 乙種 / 甲種 で並べて表示します。

🟦 = 甲種で重要度が乙種より上がる節 / ★ = 重要度A節

ブロック1: 化学反応の基本

タイトル
1化学反応の分類(酸化・還元・燃焼)BC
2反応熱と標準生成熱★AB
3燃焼熱の計算(標準生成熱を使う)★AB

ブロック2: 化学平衡

タイトル
4化学平衡とギブス自由エネルギーCC
5平衡定数 KpC🟦 B
6平衡移動の法則(ル・シャトリエの原理★A★A
7化学反応と平衡移動★A★A

ブロック3: 反応速度と触媒

タイトル
8反応速度と速度定数CC
9反応次数と半減期(一次反応)★A★A
10アレニウスの式活性化エネルギーC🟦 B
11触媒反応(均一触媒・不均一触媒・接触触媒)★A★A

ブロック4: 電気化学反応

タイトル
12電気化学反応の基本★AC
13電解質と電池(一次電池・二次電池・燃料電池)★AC
14電極電位とイオン化傾向CC

ブロック5: 腐食と燃料電池

タイトル
15金属の腐食CC
16燃料電池の種類と発電原理BC
17燃料電池の特性とファラデーの法則BB

📚 テキスト解説

各節は次の構成で進みます。

– 🎯 一言で

– 📖 解説(乙種ベース)

– 🟦 甲種プラスα(必要な節のみ)

– ⚡ 焦点ポイント

– 📝 過去問のひっかけ例


1. 化学反応の分類(酸化・還元・燃焼)

重要度: 乙B / 甲C

🎯 一言で

化学反応を酸化・還元・燃焼の観点で分類。酸素の授受・電子の授受・水素の授受の3つの視点を押さえる

📖 解説(乙種ベース)

化学反応を酸化・還元・燃焼の観点で分類。酸素の授受・電子の授受・水素の授受の3つの視点を押さえる

化学反応は様々な観点で分類できる。ガス主任試験で重要なのは以下の3つの視点。

酸化と還元

酸化:酸素を受け取る/水素を失う/電子を失う(酸化数が増加する)

還元:酸素を失う/水素を受け取る/電子を得る(酸化数が減少する)

→ 酸化と還元は必ず同時に起こる(酸化還元反応)

燃焼反応

燃焼は急激な酸化反応であり、熱と光を伴う。

完全燃焼:炭素 → CO₂、水素 → H₂O に完全に酸化される

不完全燃焼:酸素不足で CO や C(すす)が生成する

メタンの完全燃焼反応式:

CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O

プロパンの完全燃焼反応式:

C₃H₈ + 5O₂ → 3CO₂ + 4H₂O

一般の炭化水素 CₘHₙ の完全燃焼:

CₘHₙ + (m + n/4)O₂ → mCO₂ + (n/2)H₂O

⚡ 焦点ポイント

「酸化 = 電子を失う」「還元 = 電子を得る」は正誤問題の定番文言。 / 完全燃焼反応式の係数が問われることがある——メタンプロパンは暗記必須。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「酸化 = 酸素と結びつく」だけが酸化の定義ではない。電子を失うことが本質的な定義。酸化数の増減で判断する習慣をつけると応用が効く。
  • 「酸化 = 電子を失う」「還元 = 電子を得る」は正誤問題の定番文言
  • 完全燃焼反応式の係数が問われることがある——メタン・プロパンは暗記必須
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

2. 反応熱と標準生成熱

重要度: ★ 乙A / 甲B

🎯 一言で

反応熱は始状態と終状態で決まる(ヘスの法則)。「反応熱は温度によらず一定」は誤り(キルヒホッフ)

📖 解説(乙種ベース)

反応熱は始状態と終状態で決まる(ヘスの法則)。「反応熱は温度によらず一定」は誤り(キルヒホッフ)

化学反応では熱が出入りする。この熱を反応熱という。

反応熱の種類

燃焼熱:物質 1 mol が完全燃焼するときの反応熱

生成熱(標準生成熱):化合物 1 mol が最安定な単体から生成するときの反応熱

溶解熱・中和熱なども反応熱の一種。

ヘスの法則(総熱量保存の法則)

化学反応の反応熱は、反応の出発物と最終生成物が同じであれば、途中の経路(段階)に関係なく常に一定。

エンタルピーは状態量であるため、始状態と終状態が決まれば ΔH は一意に定まる。

キルヒホッフの法則(反応熱の温度依存性)

同じ反応でも温度が変われば反応熱の値は変化する。

ΔH(T₂) = ΔH(T₁) + ΔCp × (T₂ − T₁)

(ΔCp:生成系と反応系のモル熱容量の差)

重要な区別

「反応熱は経路によらない」(ヘスの法則) → ○

「反応熱は温度によらず一定」 → × (キルヒホッフで変化する)

⚡ 焦点ポイント

R07 Q06 で出た最重要パターン:「反応熱は温度によらず一定」→ × を選ぶ問題。 / 「ヘスの法則は経路不変を言っている」「キルヒホッフは温度による変化を言っている」——2つは矛盾しない(ヘスは同一温度の話)。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【近年トレンド】 「ヘスの法則 = 温度によらない」という誤解が最大の罠。ヘスの法則は同温・同圧条件での経路不変を述べているだけで、温度を変えれば当然反応熱は変わる(キルヒホッフ)。
  • R07 Q06 で出た最重要パターン:「反応熱は温度によらず一定」→ × を選ぶ問題
  • 「ヘスの法則は経路不変を言っている」「キルヒホッフは温度による変化を言っている」——2つは矛盾しない(ヘスは同一温度の話)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

3. 燃焼熱の計算(標準生成熱を使う)

重要度: ★ 乙A / 甲B

🎯 一言で

ΔH燃焼 = Σ(生成物の生成熱) − Σ(反応物の生成熱)。CO₂は393.5 kJ/mol、H₂Oは241.8 kJ/mol(気体)

📖 解説(乙種ベース)

ΔH燃焼 = Σ(生成物の生成熱) − Σ(反応物の生成熱)。CO₂は393.5 kJ/mol、H₂Oは241.8 kJ/mol(気体)

燃焼熱の計算には、各物質の標準生成熱(単体から化合物 1 mol を生成するときの反応熱)を使う。

計算手順

燃焼反応式を書く → 生成物と反応物の生成熱を確認 → ΔH = Σ生成物 − Σ反応物

主要物質の標準生成熱(気体基準)

CO₂(g):−393.5 kJ/mol(= CO₂ の生成熱は 393.5 kJ/mol 発熱)

H₂O(g):−241.8 kJ/mol(気体水の生成熱)

H₂O(l):−285.8 kJ/mol(液体水の生成熱。気体より大きいのは凝縮熱の分)

CO(g):−110.5 kJ/mol

例:メタンの燃焼熱

CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O(g)

ΔH = [−393.5 + 2×(−241.8)] − [(−74.8) + 2×0]

= −877.1 − (−74.8) = −802.3 kJ/mol

(CH₄ の標準生成熱 −74.8 kJ/mol、O₂ は単体なので 0)

低発熱量 LHV と高発熱量 HHV

LHV:燃焼後の水が気体(蒸気)のままの発熱量

HHV:燃焼後の水が液体になったときの発熱量(LHV より大きい)

HHV − LHV = 水の凝縮熱 × モル数

⚡ 焦点ポイント

「高発熱量(HHV)は低発熱量(LHV)より大きい」は正誤問題の定番。 / 「水が液体になるほど発熱量が大きくなる」理由(凝縮熱の分)を押さえる。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • HHV と LHV の大小を逆に覚えないこと。液体水が生成するほうが蒸発熱分だけ余分に熱が出る → HHV > LHV。また CO₂・H₂O の生成熱は「発熱(負のΔH)」なのでΔH計算時の符号に注意。
  • 「大きい」が「小さい」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「液体」が「気体」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

4. 化学平衡とギブス自由エネルギー

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

平衡状態では ΔG = 0。自発変化は ΔG < 0。ΔG = ΔH − TΔS で温度と平衡の関係がわかる

📖 解説(乙種ベース)

平衡状態では ΔG = 0。自発変化は ΔG < 0。ΔG = ΔH − TΔS で温度と平衡の関係がわかる

可逆反応(正逆両方向に進める反応)は、やがて正反応速度=逆反応速度の状態になる。

この状態を「化学平衡(平衡状態)」という。

ギブス自由エネルギー G と平衡の関係

G = H − TS(H:エンタルピー、T:絶対温度、S:エントロピー

反応の自発性と ΔG の関係:

ΔG < 0:反応は自発的に正方向へ進む

ΔG = 0:平衡状態(正逆速度が等しい)

ΔG > 0:反応は自発的には逆方向へ進む(正方向に進めるには仕事が必要)

温度と平衡への影響

ΔG = ΔH − TΔS

・発熱反応(ΔH < 0)で ΔS > 0 → どの温度でも ΔG < 0(常に自発的)

・吸熱反応(ΔH > 0)で ΔS > 0 → 高温ほど ΔG が小さくなり自発になりやすい

平衡定数と ΔG の関係(参考):ΔG° = −RT ln K

🟦 甲種プラスα

「平衡状態では ΔG = 0」は甲種の正誤問題で頻出

⚡ 焦点ポイント

「平衡状態では ΔG = 0」は甲種の正誤問題で頻出。 / 「ΔG < 0 なら自発的に反応が進む」も押さえる。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「自発的に進む ≠ 速く進む」。ΔG < 0 でも反応速度が極めて遅い反応は多い(例:ダイヤモンド → グラファイト)。熱力学的安定性と反応速度は別の話。
  • 「平衡状態では ΔG = 0」は甲種の正誤問題で頻出
  • 「ΔG < 0 なら自発的に反応が進む」も押さえる
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

5. 平衡定数 Kp

重要度: 乙C / 🟦 甲B

🎯 一言で

Kp は分圧の積の比(生成物/反応物)。温度のみの関数。Kp > 1 なら生成物側に有利

📖 解説(乙種ベース)

Kp は分圧の積の比(生成物/反応物)。温度のみの関数。Kp > 1 なら生成物側に有利

可逆反応が平衡状態に達したとき、各成分の分圧の間に一定の関係が成立する。これが平衡定数 Kp。

例:aA + bB ⇌ cC + dD(気相反応)

Kp = (pC)^c × (pD)^d / [(pA)^a × (pB)^b]

(pA, pB, pC, pD:各成分の分圧、a, b, c, d:化学量論係数)

Kp の重要な性質

・Kp は温度だけの関数(圧力や濃度を変えても Kp 自体は変わらない)

・Kp > 1:平衡は生成物側(右辺)に偏っている

・Kp < 1:平衡は反応物側(左辺)に偏っている

Kp と Kc の関係

Kc は濃度で定義した平衡定数。気相反応では:

Kp = Kc × (RT)^Δn

(Δn:生成物のモル数合計 − 反応物のモル数合計)

Δn = 0 のとき Kp = Kc(モル数変化がない反応)

🟦 甲種プラスα

甲種:Kp の式を書く問題・Kp = Kc(RT)^Δn の計算問題が出る

⚡ 焦点ポイント

「Kp は温度のみの関数(圧力・濃度を変えても Kp は変わらない)」は頻出正誤問題。 / 甲種:Kp の式を書く問題・Kp = Kc(RT)^Δn の計算問題が出る。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「圧力を変えると平衡が移動する」が真でも「Kp が変わる」は偽。Kp は温度でしか変わらない。平衡移動(ル・シャトリエの原理)と Kp の変化を混同しない。
  • 「〜のみ」の限定が外されて「全〜」「他の〜も含む」と誤って出題される
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

6. 平衡移動の法則(ル・シャトリエの原理

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

外部条件を変えると、その変化を緩和する方向へ平衡が移動する。圧力・温度・濃度の3パターンを制覇する

📖 解説(乙種ベース)

外部条件を変えると、その変化を緩和する方向へ平衡が移動する。圧力・温度・濃度の3パターンを制覇する

ル・シャトリエの原理(平衡移動の法則)

平衡状態にある系に外部から何らかの変化(圧力・温度・濃度)を加えると、

その変化を打ち消す方向へ平衡が移動する。

圧力変化による平衡移動

圧力を高める → 気体分子数が減る方向(モル数が少ない側)へ平衡が移動

圧力を下げる → 気体分子数が増える方向へ移動

(反応前後でモル数が変わらない反応では圧力変化の影響なし)

温度変化による平衡移動

温度を上げる → 吸熱方向へ平衡が移動(熱を吸収する方向)

温度を下げる → 発熱方向へ平衡が移動

→ 発熱反応の場合、温度を上げると逆反応(吸熱)方向へ移動 → 生成物が減少

濃度変化による平衡移動

反応物を増やす → 生成物を増やす方向(正反応方向)へ移動

生成物を増やす → 反応物を増やす方向(逆反応方向)へ移動

※ Kp(平衡定数)自体は圧力や濃度を変えても変わらない。温度変化のみ Kp が変わる。

⚡ 焦点ポイント

R06 Q06 で直撃:「発熱反応で温度を上げると逆方向へ移動する(生成物が減る)」→ ○ / 「圧力を上げると分子数が少ない側へ平衡が移動する」→ 頻出正誤問題。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【注意】 「温度を上げると発熱反応の Kp が大きくなる」→ × 。発熱反応で温度上昇 → 逆方向へ移動 → Kp は小さくなる。温度と Kp の変化方向は直感に反するので要注意。
  • 「逆方向」が「順方向」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

7. 化学反応と平衡移動

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

CH₄+H₂O ⇌ CO+3H₂(吸熱・分子数増)。高温・低圧・水蒸気過剰で H₂ 収率アップ。燃料電池の前段処理

📖 解説(乙種ベース)

CH₄+H₂O ⇌ CO+3H₂(吸熱・分子数増)。高温・低圧・水蒸気過剰で H₂ 収率アップ。燃料電池の前段処理

化学反応はガス工業で最も重要な反応の一つ。水素製造や燃料電池の前段処理に使われる。

基本反応式

CH₄ + H₂O ⇌ CO + 3H₂ (吸熱反応:ΔH > 0)

メタン + 水蒸気 → 一酸化炭素 + 水素)

続けて起こる水性シフト反応

CO + H₂O ⇌ CO₂ + H₂ (発熱反応:ΔH < 0)

→ CO を CO₂ に変換しながらさらに H₂ を生成する

ル・シャトリエの原理による H₂ 収率向上の条件

(1)高温にする → 吸熱反応なので正方向へ移動(H₂ 生成側)

(2)低圧(または減圧)にする → 左辺 2 mol に対し右辺 4 mol(H₂ 3 mol + CO 1 mol

   → 分子数が増える方向(右辺)へ平衡が移動

(3)水蒸気を過剰に加える → 反応物(H₂O)濃度増加 → 正反応方向へ移動

※ 実際のプロセスでは触媒(ニッケル系など)を用いて反応速度を確保しつつ、

  高温(700〜900℃)・常圧付近で運転されることが多い。

⚡ 焦点ポイント

「高温・低圧・水蒸気過剰で H₂ 生成量が増加する」の3条件は丸暗記レベル。 / 「吸熱反応なので温度を上げると正方向へ移動する」というル・シャトリエ適用の論理も説明できるように。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【注意】 「圧力を下げると H₂ 収率が上がる」の理由を「ル・シャトリエ(分子数が多い側へ移動)」で説明できるようにしておく。単に「低圧がいい」と丸暗記するだけでは正誤問題の論理を問われたときに対応できない。
  • 「増加」が「減少」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「高温」が「低温」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「低圧」が「高圧」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「吸熱」が「放熱」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる/数値・用語が類似のものに差し替えられる

8. 反応速度と速度定数

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

反応速度 v = k[A]^m[B]^n。速度定数 k は温度の関数(Arrhenius式)。濃度が高いほど速い

📖 解説(乙種ベース)

反応速度 v = k[A]^m[B]^n。速度定数 k は温度の関数(Arrhenius式)。濃度が高いほど速い

化学反応速度(単位時間あたりの反応物の減少量または生成物の増加量)は、反応物の濃度に依存する。

反応速度式(速度方程式)

aA + bB → 生成物 の反応で:

v = k × [A]^m × [B]^n

v:反応速度 k:速度定数 [A][B]:各成分の濃度

m, n:反応次数(実験的に決める。a, b とは必ずしも一致しない)

速度定数 k の特徴

・温度が上がると k が増大する(高温ほど反応が速い)

・触媒を加えると k が増大する(触媒は k を変える)

・濃度や圧力では k は変わらない(v は変わるが k 自体は変わらない)

反応速度に影響する因子

濃度↑ → 衝突頻度↑ → 反応速度↑

温度↑ → 活性化エネルギーを超える分子割合↑ → k↑ → 反応速度↑

触媒あり → 活性化エネルギーが下がる → k↑ → 反応速度↑

表面積↑(固体)→ 反応面積↑ → 不均一反応速度↑

⚡ 焦点ポイント

「速度定数 k は濃度によらない(温度と触媒で変わる)」は正誤問題の定番。 / 「温度上昇により反応速度が増大する理由」として「活性化エネルギーを超える分子の割合が増えるから」が正解。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「速度定数 k が変わる = 反応速度が変わる」は正しいが逆は真とは限らない。濃度変化でも反応速度 v は変わる(k は変わらない)。k と v を区別して使い分けること。
  • 「超」が「以下」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「上昇」が「下降」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

9. 反応次数と半減期(一次反応)

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

一次反応の半減期 t₁/₂ = ln2/k(濃度によらず一定)。n 回の半減期後の残量 = 初期量 × (1/2)^n

📖 解説(乙種ベース)

一次反応の半減期 t₁/₂ = ln2/k(濃度によらず一定)。n 回の半減期後の残量 = 初期量 × (1/2)^n

反応次数

反応速度式 v = k[A]^m において、m を A に関する反応次数、全体の次数を m+n+… という。

ゼロ次反応:v = k(濃度によらず速度一定)

一次反応:v = k[A](濃度に比例)

二次反応:v = k[A]²(濃度の二乗に比例)

一次反応の半減期

半減期 t₁/₂ = (ln 2) / k = 0.693 / k

特徴:一次反応の半減期は初期濃度によらず一定!

半減期を使った残量計算

n 回の半減期を経過すると、残量は初期量の (1/2)^n になる。

例題:半減期が 10 分の一次反応で、初期量の 1/64 になるまでの時間は?

→ (1/2)^n = 1/64 = (1/2)^6 → n = 6

→ 時間 = 10 分 × 6 = 60 分

ゼロ次反応との比較

ゼロ次反応:v = k(一定)→ 半減期は初期濃度に比例して変化

一次反応:v = k[A] → 半減期は初期濃度に依存しない(一定)

二次反応:v = k[A]² → 半減期は初期濃度に反比例

⚡ 焦点ポイント

R07 Q07 で直撃:半減期 10 分の一次反応で 1/64 になるまで何分か → 60 分。 / 「一次反応の半減期は初期濃度によらず一定」は毎年出る正誤問題。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【近年トレンド】 「一次反応の半減期は濃度が変わっても一定」——「濃度が減るにつれて速度が遅くなる(v = k[A] なので)が、半減期は変わらない」という点を理解しておく。直感に反するので要注意。
  • 「10分」が「15分」「5分」と書き換えられる
  • 「60分」が「65分」「55分」と書き換えられる
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

10. アレニウスの式活性化エネルギー

重要度: 乙C / 🟦 甲B

🎯 一言で

k = A × exp(−Ea/RT)。活性化エネルギー Ea が大きいほど温度依存性が大きい。触媒は Ea を下げる

📖 解説(乙種ベース)

k = A × exp(−Ea/RT)。活性化エネルギー Ea が大きいほど温度依存性が大きい。触媒は Ea を下げる

反応速度定数 k の温度依存性を定量的に表したのがアレニウスの式

アレニウスの式

k = A × exp(−Ea / RT)

k:速度定数 A:頻度因子(衝突頻度に関する定数)

Ea:活性化エネルギー [J/mol] R:気体定数 8.314 J/(mol·K) T:絶対温度

対数形式(計算問題に使う)

ln k = ln A − Ea/(RT)

→ ln k を 1/T に対してプロットすると直線(傾き = −Ea/R)

活性化エネルギー Ea の意味

反応が起こるために必要な最小エネルギー(エネルギー障壁の高さ)。

Ea が大きい → 温度変化に対して k が大きく変化(高温で劇的に速くなる)

Ea が小さい → 温度変化の影響が小さい

触媒の効果

触媒は反応経路を変えて活性化エネルギー Ea を低下させる。

→ k が増大 → 反応速度が速くなる(反応熱 ΔH は変わらない)

🟦 甲種プラスα

甲種:ln(k₂/k₁) = Ea/R × (1/T₁ − 1/T₂) を使った Ea の計算問題が出る

⚡ 焦点ポイント

「触媒は活性化エネルギーを低下させることで反応速度を速める」は頻出正誤問題。 / 「触媒は反応熱(ΔH)を変えない」も重要——速度は変えるがエネルギー収支は変えない。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「温度を 10℃上げると反応速度は約 2 倍」は経験則(ファントホッフの規則)であり厳密ではない。アレニウスの式から正確に計算すると Ea や温度域によって異なる。試験では「概算で 2 倍」程度の理解で OK。
  • 「触媒は活性化エネルギーを低下させることで反応速度を速める」は頻出正誤問題
  • 「触媒は反応熱(ΔH)を変えない」も重要——速度は変えるがエネルギー収支は変えない
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

11. 触媒反応(均一触媒・不均一触媒・接触触媒)

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

触媒は活性化エネルギーを下げる。均一(同相)・不均一(異相)・生体触媒(酵素)。反応熱は変わらない

📖 解説(乙種ベース)

触媒は活性化エネルギーを下げる。均一(同相)・不均一(異相)・生体触媒(酵素)。反応熱は変わらない

触媒とは、反応自身は変化せず(反応前後で消費されず)に反応速度を変化させる物質。

触媒の分類

均一系触媒:触媒と反応物が同じ相(気体+気体、液体+液体)に存在

 例:酸触媒(H⁺)、塩基触媒(OH⁻)による液相反応

不均一系触媒(接触触媒):触媒と反応物が異なる相(固体触媒 + 気体/液体反応物)

 例:Pt, Pd, Ni などの固体金属触媒を使った気相反応

 ・水蒸気改質の Ni 系触媒

 ・アンモニア合成の Fe 系触媒(ハーバー・ボッシュ法)

 ・硫酸製造の V₂O₅ 触媒(接触法)

酵素(生体触媒):タンパク質でできた触媒。反応特異性が高い(特定の基質にのみ作用)

触媒の効果のまとめ

活性化エネルギーを下げる → 反応速度を上げる

○ 反応速度定数 k を大きくする

× 反応熱(ΔH)は変えない——反応のエネルギー収支は変わらない

× 平衡定数 Kp は変えない——平衡の位置は変わらない(到達速度が速くなるだけ)

⚡ 焦点ポイント

「触媒は反応熱を変えない」「触媒は平衡定数を変えない」は頻出正誤問題。 / 「接触触媒(不均一系)では固体触媒表面での吸着が反応の場になる」という説明も出る。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「触媒を加えると平衡が正方向へ移動する」→ × 。触媒は正反応・逆反応の両方を同じ比率で速くするため、平衡の位置(平衡定数 Kp)は変わらない。平衡に達するまでの時間が短くなるだけ。
  • 「触媒は反応熱を変えない」「触媒は平衡定数を変えない」は頻出正誤問題
  • 「接触触媒(不均一系)では固体触媒表面での吸着が反応の場になる」という説明も出る
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

12. 電気化学反応の基本

重要度: ★ 乙A / 甲C

🎯 一言で

酸化還元反応と電子の移動が電気化学の本質。酸化半反応(電子を失う)=アノード。還元半反応=カソード

📖 解説(乙種ベース)

酸化還元反応と電子の移動が電気化学の本質。酸化半反応(電子を失う)=アノード。還元半反応=カソード

電気化学反応は、酸化還元反応と電子の移動(電流)を組み合わせた反応。

酸化半反応と還元半反応

全体の酸化還元反応は2つの半反応に分解できる:

酸化半反応(アノード):還元剤が電子を失う Ox₁ → Red₁ + ne⁻

還元半反応(カソード):酸化剤が電子を得る Ox₂ + ne⁻ → Red₂

電池(ガルバニ電池)での電極名称:

アノード(負極):酸化反応が起こる(電子を放出する)

カソード(正極):還元反応が起こる(電子を受け取る)

電解(外部電源を使う)での電極名称:

アノード(陽極):外部から電流を流し込む → 酸化反応

カソード(陰極):外部から電子を流し込む → 還元反応

ファラデーの法則(電解)

析出(溶解)する物質の質量 m = (M/nF) × Q

M:モル質量 n:電子数 F:ファラデー定数(96485 C/mol ≈ 96500 C/mol) Q:電気量(C)

⚡ 焦点ポイント

アノードで酸化反応、カソードで還元反応」は正誤問題の最頻出文言。 / 電池と電解でアノードカソードの符号(正/負、陽/陰)が入れ替わることに注意。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 電池と電解では「アノード=負極(電池)、陽極(電解)」と名称は同じでも記号が変わる。電流の向きと電子の向きが逆な点(電流は正電荷の流れ、電子の流れと逆)も混乱の元。
  • 「アノードで酸化反応、カソードで還元反応」は正誤問題の最頻出文言
  • 電池と電解でアノード・カソードの符号(正/負、陽/陰)が入れ替わることに注意
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

13. 電解質と電池(一次電池・二次電池・燃料電池)

重要度: ★ 乙A / 甲C

🎯 一言で

電解質はイオンを運ぶ媒体。一次電池は使い捨て、二次電池は充電可能、燃料電池は連続供給型

📖 解説(乙種ベース)

電解質はイオンを運ぶ媒体。一次電池は使い捨て、二次電池は充電可能、燃料電池は連続供給型

電解質

電解質とは水溶液中や溶融状態でイオンに解離する物質。

強電解質:完全解離(NaCl, HCl, H₂SO₄ など)

弱電解質:部分解離(CH₃COOH, NH₃ など)

非電解質:イオンを生じない(C₂H₅OH, C₆H₁₂O₆ など)

電池の分類

一次電池(使い切り型):放電のみ可能。マンガン乾電池、アルカリ乾電池など

二次電池(蓄電池):充電・放電を繰り返せる。鉛蓄電池、リチウムイオン電池など

燃料電池:燃料(H₂ など)を外部から連続供給し続ける限り発電できる。

 → 電池というより発電装置に近い。理論効率が高く、排熱利用(コージェネ)も可能

鉛蓄電池(二次電池の基本例)

放電時:負極(Pb) → Pb²⁺ + 2e⁻(酸化)

    正極(PbO₂) + 2e⁻ → Pb²⁺(還元)

電解質:希硫酸(H₂SO₄ 水溶液)

放電すると硫酸濃度が低下する(バッテリー液の比重が下がる)

⚡ 焦点ポイント

「燃料電池は燃料を外部から供給し続ける限り発電できる」は正誤問題の定番。 / 「二次電池は放電・充電を繰り返せる」「一次電池は充電できない」の分類も頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「燃料電池は二次電池の一種」→ × 。燃料電池は充放電ではなく連続的に燃料を供給して発電するため、二次電池とは別カテゴリ。ガス主任試験では燃料電池は独立した出題単元として扱われる。
  • 「燃料電池は燃料を外部から供給し続ける限り発電できる」は正誤問題の定番
  • 「二次電池は放電・充電を繰り返せる」「一次電池は充電できない」の分類も頻出
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

14. 電極電位とイオン化傾向

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

標準電極電位が低い(負)ほどイオン化しやすい。イオン化列:Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > H > Cu > Ag > Pt > Au

📖 解説(乙種ベース)

標準電極電位が低い(負)ほどイオン化しやすい。イオン化列:Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > H > Cu > Ag > Pt > Au

標準電極電位 E°

各半反応の電子を受け取る(還元する)能力を数値化したもの。

基準:水素電極(SHE)= 0 V

E° が正(大きい)→ 還元されやすい(貴金属)

E° が負(小さい)→ 酸化されやすい(イオン化しやすい)

例(還元方向の E°):

Li⁺/Li:−3.04 V(最もイオン化しやすい)

Zn²⁺/Zn:−0.76 V

Fe²⁺/Fe:−0.44 V

H⁺/H₂: 0.00 V(基準)

Cu²⁺/Cu:+0.34 V

Ag⁺/Ag:+0.80 V

Au³⁺/Au:+1.50 V(最も還元されやすい)

起電力の計算

電池の起電力 = カソード(正極)の E° − アノード(負極)の E°

例:銅-亜鉛電池(ダニエル電池)

E = E°(Cu²⁺/Cu) − E°(Zn²⁺/Zn) = 0.34 − (−0.76) = 1.10 V

⚡ 焦点ポイント

R06 Q07 で出題:イオン化傾向・標準電極電位の正誤問題。 / 「標準電極電位が負の金属ほどイオン化しやすい(腐食されやすい)」は正誤問題の定番。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【注意】 「イオン化傾向が大きい = 腐食されやすい」という関係は正しいが、実際の腐食には不動態形成(Al, Fe など)が影響する。単純なイオン化傾向順と実際の耐食性が一致しないケースもある(Al は不動態で腐食しにくい)。
  • R06 Q07 で出題:イオン化傾向・標準電極電位の正誤問題
  • 「標準電極電位が負の金属ほどイオン化しやすい(腐食されやすい)」は正誤問題の定番
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

15. 金属の腐食

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

腐食は金属が酸化されてイオンになる現象。ガルバニ腐食(異種金属)と均一腐食。不動態膜が防食の鍵

📖 解説(乙種ベース)

腐食は金属が酸化されてイオンになる現象。ガルバニ腐食(異種金属)と均一腐食。不動態膜が防食の鍵

金属の腐食は、電気化学反応(酸化還元)によって金属が溶解・劣化する現象。

腐食の種類

均一腐食:金属全面が均一に溶解する。pH が低い(酸性)溶液での腐食など

ガルバニ腐食(異種金属接触腐食):異なる電極電位を持つ2種類の金属が接触し電解質に浸かると

 イオン化傾向が高い方(電極電位が低い方)が優先的に溶解する

孔食(ピッティング):特定箇所に集中して穴が開く局所腐食

応力腐食割れ:引張応力と腐食性環境が重なって起きる割れ

不動態膜

Al, Fe, Ni, Cr などは表面に緻密な酸化膜(不動態膜)を形成し、それ以上の腐食を防ぐ。

ステンレス鋼:Fe に Cr を加えることで Cr₂O₃ 系の不動態膜が形成される

ガスパイプラインの防食対策

犠牲陽極法:イオン化傾向の大きい Mg, Zn を陽極として接続 → 鋼管が腐食しないようにする

外部電源(カソード防食):外部電源で鋼管カソード(還元側)に保つ

⚡ 焦点ポイント

「ガルバニ腐食ではイオン化傾向が高い(電極電位が低い)金属が溶解する」は正誤問題の定番。 / 「犠牲陽極法では Mg や Zn が使われる(鋼鉄よりイオン化傾向が高い)」も頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 犠牲陽極に「貴金属(腐食しにくい金属)」を使うのは誤り。イオン化傾向が「大きい」(腐食しやすい)Mg, Zn を使うことで保護したい金属(鋼管)をカソードにする。
  • 「高い」が「低い」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

16. 燃料電池の種類と発電原理

重要度: 乙B / 甲C

🎯 一言で

燃料電池5種類の電解質・動作温度・燃料を表で覚える。H₂がアノードで酸化、O₂がカソードで還元

📖 解説(乙種ベース)

燃料電池5種類の電解質・動作温度・燃料を表で覚える。H₂がアノードで酸化、O₂がカソードで還元

燃料電池は水素などの燃料を直接酸化することで電気を取り出す発電装置。

燃焼を経由しないため理論効率が高く、CO₂ 排出量も少ない。

基本反応(水素燃料電池)

アノード(燃料極):H₂ → 2H⁺ + 2e⁻(酸化)

カソード(空気極):½O₂ + 2H⁺ + 2e⁻ → H₂O(還元)

全体:H₂ + ½O₂ → H₂O

主要な燃料電池の種類

PEFC固体高分子形):動作温度 60〜80℃、電解質は固体高分子膜、家庭用・自動車用

PAFC(リン酸形):動作温度 160〜200℃、電解質はリン酸、業務用・小型分散電源

MCFC溶融炭酸塩形):動作温度 600〜700℃、電解質は溶融炭酸塩、大型発電用

SOFC固体酸化物形):動作温度 700〜1000℃、電解質は固体酸化物(セラミックス)

AFC(アルカリ形):電解質は KOH 水溶液、宇宙用途で実績

高温形(MCFC, SOFC)は排熱をガスタービンや蒸気タービンと組み合わせたコンバインドサイクルが可能 → 発電効率が高い。

⚡ 焦点ポイント

PEFC固体高分子形)は動作温度が低く(60〜80℃)家庭用に向いている」は頻出。 / 「SOFC は高温で動作するため排熱利用が容易(コージェネ向き)」も出る。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「燃料電池は発電効率が高い理由」として「カルノー効率の制約を受けない(燃焼プロセスを経ないため)」という説明が正しい。「エネルギーを全て電気に変えられる」は言い過ぎ——実際には内部損失あり。
  • 「80℃」が「85℃」「75℃」と書き換えられる
  • 「高温」が「低温」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる

17. 燃料電池の特性とファラデーの法則

重要度: 乙B / 甲B

🎯 一言で

理論起電力 1.23 V(H₂/O₂)。実際電圧は過電圧で低下。ファラデー則:m = MQ/(nF) で発電量↔消費燃料を計算

📖 解説(乙種ベース)

理論起電力 1.23 V(H₂/O₂)。実際電圧は過電圧で低下。ファラデー則:m = MQ/(nF) で発電量↔消費燃料を計算

燃料電池の理論起電力

H₂-O₂ 燃料電池の標準起電力:E° = 1.23 V(25℃、標準状態)

実際の動作電圧は過電圧(活性化過電圧・抵抗過電圧・拡散過電圧)のために低下する。

過電圧の種類

活性化過電圧:電極反応の活性化エネルギーに起因(電流が少ないときに顕著)

抵抗過電圧(オーミック損失):電解質抵抗や接触抵抗に起因(電流に比例)

拡散過電圧(濃度過電圧):反応物の供給不足や生成物の除去不足に起因(大電流時に顕著)

ファラデーの法則(電解・燃料電池計算の基本)

析出または消費される物質の質量:

m = (M × Q) / (n × F)

m:質量 [g] M:モル質量 [g/mol]

Q:電気量 [C](= 電流 [A] × 時間 [s])

n:電子移動数(H₂ の場合 n=2、O₂ の場合 n=4)

F:ファラデー定数 ≈ 96500 C/mol

例題:H₂-O₂ 燃料電池が 5 A の電流を 1 時間発電したとき消費する H₂ の質量

Q = 5 A × 3600 s = 18000 C

m(H₂) = (2 × 18000) / (2 × 96500) ≈ 0.187 g

🟦 甲種プラスα

ファラデーの法則の計算(電流・時間 → 消費燃料量)は甲種で頻出

⚡ 焦点ポイント

「H₂-O₂ 燃料電池の理論起電力は 1.23 V」は数値として問われる。 / ファラデーの法則の計算(電流・時間 → 消費燃料量)は甲種で頻出。Q = It の関係と組み合わせて解く。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • ファラデー定数は F = 96485 C/mol だが計算問題では F ≈ 96500 C/mol を使えばよい。H₂ の場合 n=2、O₂ の場合 n=4 なので、問題が H₂ 消費量を求めているのか O₂ 消費量を求めているのかを確認してから n の値を決める。
  • 「H₂-O₂ 燃料電池の理論起電力は 1.23 V」は数値として問われる
  • ファラデーの法則の計算(電流・時間 → 消費燃料量)は甲種で頻出
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

🔢 計算問題のための準備

主要原子のモル質量: H=1, C=12, N=14, O=16, S=32

主要分子のモル質量: H2=2, CH4=16, H2O=18, N2=28, O2=32, C3H8=44, CO2=44, C4H10=58

標準生成熱(主要): H2O(液)=−286 kJ/mol、CO2=−394 kJ/mol、CH4=−75 kJ/mol、C3H8=−104 kJ/mol

ファラデー定数: F = 96,485 C/mol(電気化学計算で使う)

典型計算式:

– ΔH反応 = Σ(生成物の生成熱) − Σ(反応物の生成熱)

アレニウス式: k = A·exp(−Ea/RT)

– 一次反応の半減期: t1/2 = ln(2)/k

計算問題で失点する最大の原因は単位ミス。代入前に「絶対圧か?」「絶対温度か?」「単位は揃っているか?」を必ず確認。

🗒️ 3分で復習(章末まとめ)

🎯 全節 一言まとめ

  • 節1 化学反応の分類(酸化・還元・燃焼): 化学反応を酸化・還元・燃焼の観点で分類。酸素の授受・電子の授受・水素の授受の3つの視点を押さえる
  • 節2 反応熱と標準生成熱: 反応熱は始状態と終状態で決まる(ヘスの法則)。「反応熱は温度によらず一定」は誤り(キルヒホッフ)
  • 節3 燃焼熱の計算(標準生成熱を使う): ΔH燃焼 = Σ(生成物の生成熱) − Σ(反応物の生成熱)。CO₂は393.5 kJ/mol、H₂Oは241.8 kJ/mol(気体)
  • 節4 化学平衡とギブス自由エネルギー: 平衡状態では ΔG = 0。自発変化は ΔG < 0。ΔG = ΔH − TΔS で温度と平衡の関係がわかる
  • 節5 平衡定数 Kp: Kp は分圧の積の比(生成物/反応物)。温度のみの関数。Kp > 1 なら生成物側に有利
  • 節6 平衡移動の法則(ル・シャトリエの原理): 外部条件を変えると、その変化を緩和する方向へ平衡が移動する。圧力・温度・濃度の3パターンを制覇する
  • 節7 化学反応と平衡移動: CH₄+H₂O ⇌ CO+3H₂(吸熱・分子数増)。高温・低圧・水蒸気過剰で H₂ 収率アップ。燃料電池の前段処理
  • 節8 反応速度と速度定数: 反応速度 v = k[A]^m[B]^n。速度定数 k は温度の関数(Arrhenius式)。濃度が高いほど速い
  • 節9 反応次数と半減期(一次反応): 一次反応の半減期 t₁/₂ = ln2/k(濃度によらず一定)。n 回の半減期後の残量 = 初期量 × (1/2)^n
  • 節10 アレニウスの式と活性化エネルギー: k = A × exp(−Ea/RT)。活性化エネルギー Ea が大きいほど温度依存性が大きい。触媒は Ea を下げる
  • 節11 触媒反応(均一触媒・不均一触媒・接触触媒): 触媒は活性化エネルギーを下げる。均一(同相)・不均一(異相)・生体触媒(酵素)。反応熱は変わらない
  • 節12 電気化学反応の基本: 酸化還元反応と電子の移動が電気化学の本質。酸化半反応(電子を失う)=アノード。還元半反応=カソード
  • 節13 電解質と電池(一次電池・二次電池・燃料電池): 電解質はイオンを運ぶ媒体。一次電池は使い捨て、二次電池は充電可能、燃料電池は連続供給型
  • 節14 電極電位とイオン化傾向: 標準電極電位が低い(負)ほどイオン化しやすい。イオン化列:Li > K > Ca > Na > Mg > Al > Zn > Fe > Ni > Sn > Pb > H > Cu > Ag > Pt > Au
  • 節15 金属の腐食: 腐食は金属が酸化されてイオンになる現象。ガルバニ腐食(異種金属)と均一腐食。不動態膜が防食の鍵
  • 節16 燃料電池の種類と発電原理: 燃料電池5種類の電解質・動作温度・燃料を表で覚える。H₂がアノードで酸化、O₂がカソードで還元
  • 節17 燃料電池の特性とファラデーの法則: 理論起電力 1.23 V(H₂/O₂)。実際電圧は過電圧で低下。ファラデー則:m = MQ/(nF) で発電量↔消費燃料を計算

⚡ 全節 焦点ポイント

  • 節1: 「酸化 = 電子を失う」「還元 = 電子を得る」は正誤問題の定番文言。 / 完全燃焼反応式の係数が問われることがある——メタンプロパンは暗記必須。
  • 節2: R07 Q06 で出た最重要パターン:「反応熱は温度によらず一定」→ × を選ぶ問題。 / 「ヘスの法則は経路不変を言っている」「キルヒホッフは温度による変化を言っている」——2つは矛盾しない(ヘスは同一温度の話)。
  • 節3: 「高発熱量(HHV)は低発熱量(LHV)より大きい」は正誤問題の定番。 / 「水が液体になるほど発熱量が大きくなる」理由(凝縮熱の分)を押さえる。
  • 節4: 「平衡状態では ΔG = 0」は甲種の正誤問題で頻出。 / 「ΔG < 0 なら自発的に反応が進む」も押さえる。
  • 節5: 「Kp は温度のみの関数(圧力・濃度を変えても Kp は変わらない)」は頻出正誤問題。 / 甲種:Kp の式を書く問題・Kp = Kc(RT)^Δn の計算問題が出る。
  • 節6: R06 Q06 で直撃:「発熱反応で温度を上げると逆方向へ移動する(生成物が減る)」→ ○ / 「圧力を上げると分子数が少ない側へ平衡が移動する」→ 頻出正誤問題。
  • 節7: 「高温・低圧・水蒸気過剰で H₂ 生成量が増加する」の3条件は丸暗記レベル。 / 「吸熱反応なので温度を上げると正方向へ移動する」というル・シャトリエ適用の論理も説明できるように。
  • 節8: 「速度定数 k は濃度によらない(温度と触媒で変わる)」は正誤問題の定番。 / 「温度上昇により反応速度が増大する理由」として「活性化エネルギーを超える分子の割合が増えるから」が正解。
  • 節9: R07 Q07 で直撃:半減期 10 分の一次反応で 1/64 になるまで何分か → 60 分。 / 「一次反応の半減期は初期濃度によらず一定」は毎年出る正誤問題。
  • 節10: 「触媒は活性化エネルギーを低下させることで反応速度を速める」は頻出正誤問題。 / 「触媒は反応熱(ΔH)を変えない」も重要——速度は変えるがエネルギー収支は変えない。
  • 節11: 「触媒は反応熱を変えない」「触媒は平衡定数を変えない」は頻出正誤問題。 / 「接触触媒(不均一系)では固体触媒表面での吸着が反応の場になる」という説明も出る。
  • 節12: 「アノードで酸化反応、カソードで還元反応」は正誤問題の最頻出文言。 / 電池と電解でアノードカソードの符号(正/負、陽/陰)が入れ替わることに注意。
  • 節13: 「燃料電池は燃料を外部から供給し続ける限り発電できる」は正誤問題の定番。 / 「二次電池は放電・充電を繰り返せる」「一次電池は充電できない」の分類も頻出。
  • 節14: R06 Q07 で出題:イオン化傾向・標準電極電位の正誤問題。 / 「標準電極電位が負の金属ほどイオン化しやすい(腐食されやすい)」は正誤問題の定番。
  • 節15: 「ガルバニ腐食ではイオン化傾向が高い(電極電位が低い)金属が溶解する」は正誤問題の定番。 / 「犠牲陽極法では Mg や Zn が使われる(鋼鉄よりイオン化傾向が高い)」も頻出。
  • 節16: 「PEFC固体高分子形)は動作温度が低く(60〜80℃)家庭用に向いている」は頻出。 / 「SOFC は高温で動作するため排熱利用が容易(コージェネ向き)」も出る。
  • 節17: 「H₂-O₂ 燃料電池の理論起電力は 1.23 V」は数値として問われる。 / ファラデーの法則の計算(電流・時間 → 消費燃料量)は甲種で頻出。Q = It の関係と組み合わせて解く。

📝 関連過去問

この章の知識が問われる過去問題リスト(全42問)。

ℹ️ 乙種・甲種は別の試験です。同じ問番号(例: 基問10)であっても、乙種と甲種では出題される問題内容は異なります。各年度・種別ごとの本文は 乙種過去問 / 甲種過去問 ページから確認してください。

乙種(23問)

令和7年: 基問5 / 基問6 / 基問7

令和6年: 基問5 / 基問6 / 基問7

令和5年: 基問6 / 基問7

令和4年: 基問7 / 基問8 / 基問9

令和3年: 基問8 / 基問9

令和2年: 基問8 / 基問9

令和元年: 基問8 / 基問9

平成30年: 基問8 / 基問9

平成29年: 基問7 / 基問8

平成27年: 基問5 / 基問6

甲種(19問)

令和7年: 基問5 / 基問6

令和6年: 基問5 / 基問6

令和5年: 基問6 / 基問7

令和4年: 基問7 / 基問8 / 基問9

令和3年: 基問8 / 基問9

令和2年: 基問8 / 基問9

令和元年: 基問8 / 基問9

平成30年: 基問8 / 基問9

平成29年: 基問7 / 基問8