基礎理論 第2章 熱力学

熱と仕事の関係を扱う章です。第1章で学んだPV=nRTを前提に、熱力学第一法則内部エネルギーエンタルピー、反応熱、熱容量、気体の状態変化(等温断熱・ポリトロープ)、ジュール・トムソン効果、第二法則とエントロピー可逆/不可逆過程カルノーサイクルヒートポンプ、自由エネルギー、第三法則までを順番に学びます。

乙種甲種兼用 / 全17節 / 学習目安: 60〜90分

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📍 はじめに

熱と仕事は同じエネルギーの2つの顔です。お湯を沸かすと熱が水蒸気を膨張させて仕事をする(=蒸気機関の原理)し、自転車のブレーキは仕事(摩擦)を熱に変えます。この章では、その変換の規則と限界を扱います。


📍 この章で学ぶこと(5ブロック・全17節)

各節の重要度を 乙種 / 甲種 で並べて表示します。

🟦 = 甲種で重要度が乙種より上がる節 / ★ = 重要度A節

ブロック1: 熱力学の枠組み

タイトル
1系と状態量(孤立系・閉鎖系・開放系)CC
2熱力学第一法則と仕事★AC
3内部エネルギーCC
4エンタルピーCC

ブロック2: 反応熱と熱容量

タイトル
5反応熱・ヘスの法則C🟦 B
6熱容量(Cp・Cv・比熱比γ)★A★A

ブロック3: 気体の状態変化

タイトル
7等温変化C🟦 B
8断熱変化BB
9ポリトロープ変化CC
10ジュール・トムソン効果BB

ブロック4: 第二法則とエントロピー

タイトル
11熱力学第二法則BC
12エントロピー★A★A
13可逆不可逆過程CC

ブロック5: 熱機関と先端概念

タイトル
14カルノーサイクルと熱効率★A★A
15ヒートポンプと成績係数(COP)CC
16自由エネルギーとエクセルギーCC
17熱力学第三法則C🟦 B

📚 テキスト解説

各節は次の構成で進みます。

– 🎯 一言で

– 📖 解説(乙種ベース)

– 🟦 甲種プラスα(必要な節のみ)

– ⚡ 焦点ポイント

– 📝 過去問のひっかけ例


1. 系と状態量(孤立系・閉鎖系・開放系)

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

熱力学が扱う「系」の3分類と、状態量(経路によらず現状態だけで決まる量)の概念を押さえる

📖 解説(乙種ベース)

熱力学が扱う「系」の3分類と、状態量(経路によらず現状態だけで決まる量)の概念を押さえる

熱力学では、注目する対象を「系」、その外側を「外界(外部)」と呼ぶ。

系の分類:

・孤立系:外界との間でエネルギー(熱・仕事)も物質も一切交換しない

・閉鎖系:エネルギーは交換できるが、物質は出入りしない

・開放系:エネルギーも物質も外界と交換できる

状態量とは、系が平衡状態にあるとき、その「今の状態だけ」で一意に決まる量のこと。始点と終点が同じなら経路が違っても値が同じになるのが特徴。

代表的な状態量:温度T、圧力P、体積V、内部エネルギーU、エンタルピーH、エントロピーS

一方、熱Qや仕事Wは経路関数——同じ始点・終点でも経路によって値が変わる。

⚡ 焦点ポイント

エントロピーは状態量か、経路関数か?」は超頻出の正誤問題(→状態量が正解)。 / 孤立系・閉鎖系・開放系の定義は選択問題の選択肢として丸ごと出題されることがある。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【最頻出】 「エントロピー変化は経路に依存する」→ ×(状態量なので経路によらない)。R07-Q05で正にこの引っ掛けが出た。
  • 「超」が「以下」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「孤立系」「閉鎖系」「開放系」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる

2. 熱力学第一法則と仕事

重要度: ★ 乙A / 甲C

🎯 一言で

エネルギー保存則。ΔU = Q − W(吸収熱 − 外部への仕事)。定圧仕事 W = P(V₂−V₁)

📖 解説(乙種ベース)

エネルギー保存則。ΔU = Q − W(吸収熱 − 外部への仕事)。定圧仕事 W = P(V₂−V₁)

熱力学第一法則は「エネルギー保存則」をあらゆる変化に拡張したもの。

式:ΔU = Q − W

 ΔU:内部エネルギーの変化量

 Q:系が吸収した熱(外から受け取れば正)

 W:系が外部にした仕事(外部に押し出せば正)

仕事の計算

圧力Pが一定のとき(定圧変化)、気体が外部にする仕事は

W = P × (V₂ − V₁) = P × ΔV

定積(定容)変化では体積変化ゼロなので W = 0。

よって ΔU = Q(加えた熱がそのまま内部エネルギーになる)。

第一種永久機関(外部エネルギーなしで仕事し続ける機関)は不可能——これが第一法則の意味。

⚡ 焦点ポイント

乙種の計算問題頻出パターン:定積加熱(W=0 → Q=ΔU=mC_v ΔT)。 / 「定積変化では外部への仕事はゼロである」は毎年出る正誤問題の定番表現。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【近年トレンド】 Qの符号は「系が吸収した熱が正」、Wの符号は「系が外部にした仕事が正」。参考書によって符号定義が異なるので問題文の定義を確認する習慣をつける。
  • 乙種の計算問題頻出パターン:定積加熱(W=0 → Q=ΔU=mC_v ΔT)
  • 「定積変化では外部への仕事はゼロである」は毎年出る正誤問題の定番表現
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

3. 内部エネルギー

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

系が保有するエネルギーの総量。状態量であり、温度・圧力の関数。変化量 ΔU = Q − W

📖 解説(乙種ベース)

系が保有するエネルギーの総量。状態量であり、温度・圧力の関数。変化量 ΔU = Q − W

内部エネルギー U は、系を構成する分子の運動エネルギーと位置エネルギーの総和。

速度や高さ(巨視的運動)とは無関係に、分子レベルの「熱的エネルギー」だけを指す。

重要な性質:

・状態量——今の温度・圧力・体積だけで決まり、どの経路をたどってきたかは関係ない

理想気体内部エネルギーは温度のみの関数(圧力・体積に依存しない)

定積(定容)加熱:外部への仕事がないため Q = ΔU

→ 加えた熱がすべて内部エネルギーの増加に使われ、温度が上昇する。

化学反応が定積条件(密閉容器)で起こるとき、反応熱 = 内部エネルギーの変化量 ΔU。

⚡ 焦点ポイント

内部エネルギーは状態量」「経路によらない」は正誤問題の頻出文言。 / 「定積変化では Q = ΔU」の関係を素早く使えるように。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「内部エネルギーの変化は吸収した熱に等しい」→ 定積変化のみで成立。定圧変化では W≠0 なので ΔU ≠ Q。
  • 「内部エネルギーは状態量」「経路によらない」は正誤問題の頻出文言
  • 「定積変化では Q = ΔU」の関係を素早く使えるように
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

4. エンタルピー

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

H = U + PV。定圧変化での熱の出入り=エンタルピー変化。化学反応(大気圧下)に便利

📖 解説(乙種ベース)

H = U + PV。定圧変化での熱の出入り=エンタルピー変化。化学反応(大気圧下)に便利

エンタルピー H = U + PV

(U:内部エネルギー、P:圧力、V:体積)

定圧変化では、系に加えた熱 Q はエンタルピーの増加量に等しい。

Q = ΔH = ΔU + PΔV(定圧の場合)

なぜ便利か:大気圧下での反応(燃焼、蒸発など)は定圧変化が多いため、「加えた熱 = ΔH」と直接対応させられる。

定圧と定積の関係:

ΔH = ΔU + Δn・RT(Δn は反応前後のモル数変化、R は気体定数)

これにより定容燃焼熱(ΔU)と定圧燃焼熱(ΔH)を相互変換できる。

🟦 甲種プラスα

甲種では ΔH = ΔU + Δn・RT の計算問題が出る(例:CO の燃焼熱変換)

⚡ 焦点ポイント

「定圧加熱では供給熱 = エンタルピー増加量」は正誤問題の定番文言。 / 甲種では ΔH = ΔU + Δn・RT の計算問題が出る(例:CO の燃焼熱変換)。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「定圧では Q = ΔH」「定積では Q = ΔU」——条件(定圧 or 定積)を見極めてから使う式を選ぶ。
  • 「増加」が「減少」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

5. 反応熱・ヘスの法則

重要度: 乙C / 🟦 甲B

🎯 一言で

反応熱は経路によらず始状態と終状態だけで決まる(ヘスの法則)。温度依存性あり(キルヒホッフ)

📖 解説(乙種ベース)

反応熱は経路によらず始状態と終状態だけで決まる(ヘスの法則)。温度依存性あり(キルヒホッフ)

化学反応では熱が放出・吸収される(発熱反応・吸熱反応)。

燃焼熱:物質 1 mol が完全燃焼したときの反応熱

生成熱:化合物 1 mol が単体から生成する反応熱

ヘスの法則

反応熱は、反応の始状態と終状態だけで決まり、途中の経路には依存しない。

エンタルピーは状態量なので、ΔH は始終状態だけで決まる)

キルヒホッフの法則

反応熱は反応温度によって変化する(温度依存性あり)。

ΔH(T₂) = ΔH(T₁) + ΔCp × (T₂ − T₁)

(ΔCp:生成系と反応系の定圧モル熱容量の差)

注意:ヘスの法則「経路によらない」とキルヒホッフ「温度によって変わる」は矛盾しない——ヘスの法則は同一温度での話だから。

🟦 甲種プラスα

甲種では定積→定圧の燃焼熱変換計算(ΔH=ΔU+ΔnRT)が必ず出る

⚡ 焦点ポイント

「反応熱は経路によらない(ヘスの法則)」→ ○ / 「反応熱は温度によらず一定」→ × (キルヒホッフで変化する)

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【近年トレンド】 「ヘスの法則=どんな条件でも反応熱は一定」ではない。あくまで同温・同圧での話。温度が変わればキルヒホッフの法則が必要。
  • 「反応熱は経路によらない(ヘスの法則)」→ ○
  • 「反応熱は温度によらず一定」→ × (キルヒホッフで変化する)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

6. 熱容量(Cp・Cv・比熱比γ)

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

Cp > Cv(常に成立)、Cp = Cv + R(理想気体)、γ = Cp/Cv(比熱比・断熱指数)。乙・甲 最重要

📖 解説(乙種ベース)

Cp > Cv(常に成立)、Cp = Cv + R(理想気体)、γ = Cp/Cv(比熱比・断熱指数)。乙・甲 最重要

熱容量とは物質の温度を 1 K 上昇させるのに必要な熱量。

1 mol あたりの熱容量をモル熱容量(モル比熱)という。

気体には2種類の熱容量がある:

Cp(定圧モル熱容量):圧力一定で加熱——気体が膨張して仕事もするため多くの熱が必要

Cv(定積モル熱容量):体積一定で加熱——膨張せず全熱量が温度上昇に使われる

理想気体では Cp = Cv + R(R:気体定数)

→ 常に Cp > Cv

比熱比(断熱指数) γ = Cp / Cv

単原子気体(He など):γ ≈ 1.67

2原子気体(O₂、N₂、H₂ など):γ ≈ 1.40

3原子以上の多原子気体(CO₂、CH₄ など):γ ≈ 1.3(多原子ほど小さい)

加熱量の計算:Q = m × C × ΔT(m:質量[kg]、C:比熱容量[kJ/(kg·K)])

または Q = n × Cp × ΔT(定圧)/ n × Cv × ΔT(定積)

⚡ 焦点ポイント

「定圧モル熱容量は定積モル熱容量より常に大きい」は毎年出る正誤問題。 / 定積加熱の計算:Q = mCvΔT → ΔT = Q/(mCv) の変形が最頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【近年トレンド】 Cp と Cv の使い分けを誤らないこと:定圧加熱 → Cp、定積加熱 → Cv。問題文の「定圧」「断熱容器(定積)」の語句を必ず確認する。
  • 「大きい」が「小さい」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

7. 等温変化

重要度: 乙C / 🟦 甲B

🎯 一言で

温度一定 → PV=一定(ボイル則)。理想気体内部エネルギー変化ゼロ → Q=W(熱がすべて仕事に)

📖 解説(乙種ベース)

温度一定 → PV=一定(ボイル則)。理想気体内部エネルギー変化ゼロ → Q=W(熱がすべて仕事に)

等温変化:温度 T を一定に保ちながら状態を変化させるプロセス。

理想気体では温度が一定なら内部エネルギーも変化しない(ΔU = 0)。

熱力学第一法則 ΔU = Q − W に ΔU = 0 を代入すると Q = W。

→ 系が吸収した熱はすべて外部への仕事に変換される。

PV 関係:PV = 一定(ボイルの法則と同じ)

等温変化での仕事(等温膨張):

W = nRT ln(V₂/V₁) = nRT ln(P₁/P₂)

エンタルピー等温では PV が一定、U も不変なので H = U + PV も不変(ΔH = 0)。

🟦 甲種プラスα

甲種では W = nRT ln(V₂/V₁) の計算問題が出る

⚡ 焦点ポイント

等温変化では内部エネルギーは変化しない(理想気体)」は正誤問題の定番。 / 「等温下での加熱は全て外部への仕事に使われる」という表現も頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「等温 = 熱の出入りゼロ」は間違い。温度が変わらなくても熱の出入りはある(例:等温膨張では熱を吸収して仕事をする)。「断熱 = 熱の出入りゼロ」と混同しないこと。
  • 「気体」が「液体」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

8. 断熱変化

重要度: 乙B / 甲B

🎯 一言で

熱の出入りゼロ(Q=0)。PVγ=一定。膨張で温度低下、圧縮で温度上昇。断熱指数γが鍵

📖 解説(乙種ベース)

熱の出入りゼロ(Q=0)。PVγ=一定。膨張で温度低下、圧縮で温度上昇。断熱指数γが鍵

断熱変化:系と外界の間で熱のやりとりが一切ない変化(Q = 0)。

熱力学第一法則に Q = 0 を代入すると ΔU = −W。

断熱膨張:系が外部に仕事をする分だけ内部エネルギーが減る → 温度が下がる

断熱圧縮:外部からなされた仕事が内部エネルギーになる → 温度が上がる

断熱変化での P・V 関係:PV^γ = 一定(γ:比熱比/断熱指数)

等温変化(PV = 一定)よりも急な曲線になる(P–V 線図上)。

断熱変化での仕事:W = Cv(T₁ − T₂)

断熱膨張では T₂ < T₁ なので W > 0)

断熱変化での温度と体積の関係:

T₂ = T₁ × (V₁/V₂)^(γ−1)

🟦 甲種プラスα

甲種計算:断熱圧縮後の温度を求める問題(T₂ = T₁(V₁/V₂)^(γ-1))

⚡ 焦点ポイント

断熱膨張 → 温度低下」「断熱圧縮 → 温度上昇」は毎年出る正誤問題。 / PVγ = 一定 の式形と、等温(PV=一定)との区別を P–V 線図で確認しておく。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 断熱変化を「熱力学的に孤立している」と混同しないこと。断熱 = 熱の出入りゼロだが、仕事のやりとりはある。また、断熱膨張での圧力低下は等温膨張より大きい(グラフの傾きがきつい)。
  • 「上昇」が「下降」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

9. ポリトロープ変化

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

PVⁿ=一定(1等温(n=1)と断熱(n=γ)の中間。実際の気体変化の一般形

📖 解説(乙種ベース)

PVⁿ=一定(1等温(n=1)と断熱(n=γ)の中間。実際の気体変化の一般形

実際の気体変化は完全な等温でも断熱でもない。その中間をポリトロープ変化という。

一般式:PVⁿ = 一定

n の値によって特殊な変化に帰着する:

・n = 0 → P = 一定(定圧変化)

・n = 1 → PV = 一定(等温変化

・n = γ → PVγ = 一定(断熱変化

・n = ∞ → V = 一定(定積変化)

・1 < n < γ → ポリトロープ変化(実際の圧縮機などに近い)

P–V 線図上では n が大きいほど傾きが急になる(断熱 > ポリトロープ > 等温)。

🟦 甲種プラスα

甲種では n の値と変化の対応(n=0 → 定圧、n=1 → 等温 など)が択一・論述で頻出

⚡ 焦点ポイント

甲種では n の値と変化の対応(n=0 → 定圧、n=1 → 等温 など)が択一・論述で頻出。 / 「PVm = 一定のとき m=γ は断熱変化」の対応表を丸暗記するのが最速。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • n は整数だけでなく実数値をとる。また「ポリトロープ指数 n は 1 < n < γ」という条件を逆に「n < 1 もポリトロープ」と誤解しないこと。
  • 甲種では n の値と変化の対応(n=0 → 定圧、n=1 → 等温 など)が択一・論述で頻出
  • 「PVm = 一定のとき m=γ は断熱変化」の対応表を丸暗記するのが最速
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

10. ジュール・トムソン効果

重要度: 乙B / 甲B

🎯 一言で

気体を絞り(細孔)に断熱的に通すと温度変化が起きる。多くの気体は常温で冷却(液化利用)

📖 解説(乙種ベース)

気体を絞り(細孔)に断熱的に通すと温度変化が起きる。多くの気体は常温で冷却(液化利用)

気体を細孔(絞り)に断熱的に押し通す操作をジュール・トムソン膨張という。

このとき気体の温度が変化する現象を「ジュール・トムソン効果」という。

理想気体ではジュール・トムソン係数 = 0(温度変化なし)。

実在気体では、反転温度(Inversion Temperature)より低い温度域では

ジュール・トムソン膨張によって温度が下がる(冷却効果)。

→ この冷却を利用して気体を液化する(Linde 法など)。

主要気体の挙動(常温・常圧域):

・窒素、空気、CO₂:膨張で温度低下 → 液化に利用可

・H₂(水素):常温では反転温度以上なので膨張で温度上昇(約200 K 以下で冷却)

・He(ヘリウム):反転温度が約40 K と非常に低いため常温では温度上昇

ジュール・トムソン膨張エンタルピー一定の不可逆変化(エントロピー増加)。

🟦 甲種プラスα

「H₂は常温で膨張させると温度が上昇する」(反転温度以上なので)は甲種頻出

ジュール・トムソン膨張は等エンタルピー変化」も甲種頻出

⚡ 焦点ポイント

理想気体のジュール・トムソン係数はゼロ」「実在気体では温度変化あり」は正誤問題の定番。 / 「H₂は常温で膨張させると温度が上昇する」(反転温度以上なので)は甲種頻出。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「断熱膨張 = ジュール・トムソン膨張」ではない。断熱膨張で仕事をする場合(シリンダーのピストン)と、絞り通過(仕事なし・等エンタルピー)は別物。絞りを通す場合がジュール・トムソン膨張。
  • 「以上」が「未満」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「上昇」が「下降」に書き換えられる(方向の逆転)
  • 「気体」が「液体」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる

11. 熱力学第二法則

重要度: 乙B / 甲C

🎯 一言で

熱を完全に仕事に変えることは不可能。熱は自然に低温から高温へは移らない。第二種永久機関は不可能

📖 解説(乙種ベース)

熱を完全に仕事に変えることは不可能。熱は自然に低温から高温へは移らない。第二種永久機関は不可能

熱力学第二法則は、第一法則(エネルギー保存)だけでは説明できない「変化の方向性」を定める法則。

表現の仕方は複数ある(すべて等価):

1. 熱を完全に仕事に変えることはできない

(一つの熱源から熱を受け取り、他に何も変化を与えずに仕事に変えることは不可能)

2. 熱は自然には低温物体から高温物体へ移れない

3. 第二種永久機関(一つの熱源だけを使って熱効率100%で動く機関)は不可能

第一法則を満たしていても、第二法則に反するプロセスは自然には起きない。

(例:冷たいコーヒーが自然に熱くなるのはエネルギー保存則には違反しないが、第二法則に違反する)

⚡ 焦点ポイント

「熱は自然には低温から高温へ移れない」→ ○(第二法則の表現) / 「熱を完全に仕事に変えることができる熱機関(第二種永久機関)は不可能」→ ○

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「仕事 → 熱」は100%変換可能だが「熱 → 仕事」は100%不可能(第二法則)。「熱と仕事は等価」という第一法則の表現と混同してはいけない。
  • 「高温」が「低温」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

12. エントロピー

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

ΔS = Q/T(可逆等温)。状態量で経路によらない。自発変化では常にエントロピーが増大

📖 解説(乙種ベース)

ΔS = Q/T(可逆等温)。状態量で経路によらない。自発変化では常にエントロピーが増大

エントロピー S は「熱の散らばりやすさ」「乱雑さ」を数値化した状態量。

可逆かつ等温の微小変化におけるエントロピー変化:

dS = dQ / T (単位:J/K)

有限変化の場合:ΔS = Q / T(等温可逆変化)

エントロピーの性質

・状態量:経路によらず始状態と終状態だけで決まる

・標準エントロピー:標準状態(101.3 kPa)での値。T > 0 K では常に正

・自然変化の方向:孤立系では自発変化は常にエントロピーが増大する方向へ進む

理想気体の各変化でのエントロピー変化(方向):

等温膨張:体積↑ → エントロピー増加(混乱度が増える)

等温圧縮:体積↓ → エントロピー減少

・定圧・定積で温度上昇:エントロピー増加

・2種類の気体を等温・定圧で混合:エントロピー増加(混合エントロピー

計算例:水 10 mol100℃373 K)で蒸発させると

ΔS = Q/T = (10 mol × 40.3 kJ/mol) / 373 K1.08 kJ/K

🟦 甲種プラスα

ΔS = Q/T の計算は甲種乙種両方で出る

⚡ 焦点ポイント

エントロピーは状態量」「経路によらない」はR07 Q05で正に出た最頻出問題。 / ΔS = Q/T の計算は甲種乙種両方で出る。T は必ず絶対温度 [K] を使う。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【近年トレンド】 「エントロピーは常に増加する」は孤立系に限った話。外部から熱を取り除けば(冷却・圧縮など)系のエントロピーを減らすことも可能(ただし外界のエントロピーはもっと増える)。
  • 「エントロピーは状態量」「経路によらない」はR07 Q05で正に出た最頻出問題
  • ΔS = Q/T の計算は甲種・乙種両方で出る
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

13. 可逆不可逆過程

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

可逆過程エントロピー変化ゼロ(dS=0)。不可逆過程エントロピーは必ず増加(dS>0)

📖 解説(乙種ベース)

可逆過程エントロピー変化ゼロ(dS=0)。不可逆過程エントロピーは必ず増加(dS>0)

可逆過程:系をある状態から別の状態に変化させた後、外部に何の痕跡も残さずに元の状態に戻せる変化。

→ 無限に小さいステップで、常に平衡を保ちながら変化する理想的プロセス。

エントロピー変化 dS = 0

不可逆過程:元の状態に戻すことができない(外部に何らかの痕跡が残る)変化。

→ 現実の急激な変化、摩擦、混合、熱伝導(有限温度差)はすべて不可逆

エントロピーは必ず増加:dS > 0

自然界のあらゆる変化は不可逆——コーヒーが冷める、ガスが拡散するなど、自発的な変化はエントロピーが増大する方向に進む。

注:ジュール・トムソン膨張不可逆変化(エントロピーが増加する)。

🟦 甲種プラスα

甲種では「なぜ不可逆か」を論述させる問題も出る(急激な変化・摩擦・有限温度差が鍵)

⚡ 焦点ポイント

可逆過程ではエントロピー変化ゼロ、不可逆ではエントロピー増加」の対比を押さえる。 / 「自然に起こる変化はエントロピーが増大する方向へ進む」は第二法則の別表現。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「可逆変化 = ゆっくりした変化」というイメージは正しいが、「ゆっくり = 可逆」とは限らない。厳密には常に熱力学的平衡を保ちながら変化することが条件。
  • 「増加」が「減少」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

14. カルノーサイクルと熱効率

重要度: ★ 乙A / 甲A

🎯 一言で

η = (T₁−T₂)/T₁。高温・低温熱源の温度だけで決まる最大熱効率。これを超える熱機関は存在しない

📖 解説(乙種ベース)

η = (T₁−T₂)/T₁。高温・低温熱源の温度だけで決まる最大熱効率。これを超える熱機関は存在しない

カルノーサイクルは理想的な可逆熱機関のサイクルで、最大の熱効率を実現する。

4つの過程(P–V 線図で閉曲線を描く):

A→B:高温熱源 T₁ との等温膨張(熱 Q₁ を吸収)

B→C:断熱膨張(温度 T₁ → T₂ に低下)

C→D:低温熱源 T₂ との等温圧縮(熱 Q₂ を放出)

D→A:断熱圧縮(温度 T₂ → T₁ に上昇)

仕事:W = Q₁ − Q₂

熱効率:η = W/Q₁ = (Q₁−Q₂)/Q₁ = (T₁−T₂)/T₁

カルノーの定理:

カルノーサイクルの効率は高温熱源 T₁ と低温熱源 T₂ の温度だけで決まる

・同じ熱源間で動くどんな熱機関も、カルノーサイクルの効率を超えることはできない

・熱効率は常に 1(100%)未満(第二法則の帰結)

カルノーサイクルの関係式:Q₂/Q₁ = T₂/T₁

🟦 甲種プラスα

η = (T₁−T₂)/T₁ の計算は甲種乙種どちらでも最頻出

⚡ 焦点ポイント

η = (T₁−T₂)/T₁ の計算は甲種乙種どちらでも最頻出。T は必ずケルビン! / 「カルノーサイクルの熱効率は1を超えることはできない」→ ○

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 【注意】 熱効率 = 1 − T₂/T₁ なので T₂ を下げるか T₁ を上げるほど効率が上がる。「低温側を高くするほど効率が上がる」という誤選択肢に注意。T の単位は℃ではなく K で代入すること。
  • 「超」が「以下」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

15. ヒートポンプと成績係数(COP)

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

カルノーサイクルヒートポンプ。ε_h = Q₁/W = T₁/(T₁−T₂)。COPは必ず1以上

📖 解説(乙種ベース)

カルノーサイクルヒートポンプ。ε_h = Q₁/W = T₁/(T₁−T₂)。COPは必ず1以上

カルノーサイクルを逆向きに動かすと、仕事を使って低温熱源から高温熱源へ熱を移す装置になる。

これがヒートポンプ(暖房機)や冷凍機(冷蔵庫・エアコン冷房)の原理。

ヒートポンプの成績係数(COP):

ε_h = Q₁ / W = Q₁ / (Q₁ − Q₂) = T₁ / (T₁ − T₂)

(Q₁:高温側への放熱量、W:消費仕事)

冷凍機の成績係数:

ε_c = Q₂ / W = Q₂ / (Q₁ − Q₂) = T₂ / (T₁ − T₂)

(Q₂:低温側からの吸熱量)

ヒートポンプの COP は常に 1 以上(冷凍機 COP より 1 大きい)。

→ 消費電力1kW1kW以上の暖房能力——電気ヒーターより「高効率」な理由。

⚡ 焦点ポイント

「逆カルノーサイクルを用いたヒートポンプの COP は必ず1以上」→ 頻出正誤問題。 / 計算:T₁、T₂ が与えられ ε_h を求める → W = Q₁/ε_h で仕事を求める 2 ステップ。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • ヒートポンプ(暖房)と冷凍機(冷却)でどちらの成績係数を問うているか確認。Q₁(高温側放熱)か Q₂(低温側吸熱)か、問題文の条件を見極める。
  • 「以上」が「未満」に書き換えられる(方向の逆転)
  • その他の傾向: 解説本文で太字のキーワードが類義語(似た用語・近い数値)に置き換えられる / 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

16. 自由エネルギーとエクセルギー

重要度: 乙C / 甲C

🎯 一言で

ヘルムホルツ自由エネルギー A=U−TS(等温仕事の上限)、ギブスの自由エネルギー G=H−TS(等温定圧仕事の上限)

📖 解説(乙種ベース)

ヘルムホルツ自由エネルギー A=U−TS(等温仕事の上限)、ギブスの自由エネルギー G=H−TS(等温定圧仕事の上限)

ヘルムホルツの自由エネルギー

A = U − TS(U:内部エネルギー、T:絶対温度、S:エントロピー

系が等温変化で外部にできる仕事の最大値 = ヘルムホルツ自由エネルギーの減少量

ギブスの自由エネルギー

G = H − TS = A + PV(H:エンタルピー

系が等温・定圧変化で外部にできる仕事の最大値 = ギブス自由エネルギーの減少量

大気圧下での化学反応の自発性の判断に使われる(ΔG < 0 なら自発的)。

エクセルギー

系が外界と異なる温度・圧力を持つとき、外界と平衡に達するまでに取り出せる仕事の最大値。

エネルギーの「質」を表す概念で、エネルギー有効利用の評価指標として使われる。

🟦 甲種プラスα

ギブス自由エネルギー G = H − TS の式は甲種では定義問題として出る

「ΔG < 0 のとき反応は自発的に進む」も甲種向け知識

⚡ 焦点ポイント

乙種では「エクセルギーとは系が外界と平衡になるまでに取り出せる仕事の最大値」の一文を暗記すれば対応可能。 / ギブス自由エネルギー G = H − TS の式は甲種では定義問題として出る。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • ヘルムホルツ(等温変化)とギブス(等温・定圧変化)の使い分けを混同しない。大気圧下の反応では通常ギブス自由エネルギーを使う。
  • 乙種では「エクセルギーとは系が外界と平衡になるまでに取り出せる仕事の最大値」の一文を暗記すれば対応可能
  • ギブス自由エネルギー G = H − TS の式は甲種では定義問題として出る
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

17. 熱力学第三法則

重要度: 乙C / 🟦 甲B

🎯 一言で

絶対温度 0 K において純粋な結晶のエントロピーはゼロ。標準エントロピーの基準点

📖 解説(乙種ベース)

絶対温度 0 K において純粋な結晶のエントロピーはゼロ。標準エントロピーの基準点

熱力学第三法則絶対温度 0 K(−273.15℃)において、不規則な配列のない純粋な結晶物質のエントロピーは 0 である。

これがエントロピーの絶対値の基準点を与えてくれる(第一・第二法則はエントロピーの「変化量」しか決めない)。

結果として、T > 0 K においてすべての純物質の標準エントロピーは正の値をとる。

実験的根拠:温度を絶対零度に近づけるに従い、固体の熱容量が急速にゼロに近づく(ネルンストの熱定理)。

絶対零度には到達できない(第三法則のもう一つの表現)——有限ステップの冷却では 0 K には達しない。

🟦 甲種プラスα

甲種ではネルンストの熱定理や絶対零度到達不可能性の論述が出ることがある

⚡ 焦点ポイント

0 K で純粋な結晶のエントロピーはゼロ」の一文を正確に暗記する。 / 「不規則な配列のない(完全な秩序)」という条件も含めると完全な表現になる。

📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)

  • 「すべての物質は 0 K でエントロピーゼロ」→ × 。「純粋な結晶」という条件が必要。混合物やガラス(非晶質)はゼロにならない可能性がある。
  • 「0 K で純粋な結晶のエントロピーはゼロ」の一文を正確に暗記する
  • 「不規則な配列のない(完全な秩序)」という条件も含めると完全な表現になる
  • その他の傾向: 主語(誰が)・対象(何を)・条件のいずれかが入れ替えられる / 解説本文の太字キーワードが類似用語と置き換えられる / 節タイトルの主要語が類似名称と入れ替えられる

🔢 計算問題のための準備

絶対温度の変換: T[K] = t[℃] + 273

気体定数: R = 8.314 J/(mol·K)

熱量の単位: 1 kJ = 1000 J、1 kcal = 4.18 kJ

典型計算式:

熱力学第一法則: ΔU = Q − W

顕熱: Q = m × c × ΔT

潜熱: Q = m × L (Lは潜熱)

– カルノー熱効率: η = (T1 − T2)/T1 (絶対温度Kで計算)

計算問題で失点する最大の原因は単位ミス。代入前に「絶対圧か?」「絶対温度か?」「単位は揃っているか?」を必ず確認。

🗒️ 3分で復習(章末まとめ)

🎯 全節 一言まとめ

  • 節1 系と状態量(孤立系・閉鎖系・開放系): 熱力学が扱う「系」の3分類と、状態量(経路によらず現状態だけで決まる量)の概念を押さえる
  • 節2 熱力学第一法則と仕事: エネルギー保存則。ΔU = Q − W(吸収熱 − 外部への仕事)。定圧仕事 W = P(V₂−V₁)
  • 節3 内部エネルギー: 系が保有するエネルギーの総量。状態量であり、温度・圧力の関数。変化量 ΔU = Q − W
  • 節4 エンタルピー: H = U + PV。定圧変化での熱の出入り=エンタルピー変化。化学反応(大気圧下)に便利
  • 節5 反応熱・ヘスの法則: 反応熱は経路によらず始状態と終状態だけで決まる(ヘスの法則)。温度依存性あり(キルヒホッフ)
  • 節6 熱容量(Cp・Cv・比熱比γ): Cp > Cv(常に成立)、Cp = Cv + R(理想気体)、γ = Cp/Cv(比熱比・断熱指数)。乙・甲 最重要
  • 節7 等温変化: 温度一定 → PV=一定(ボイル則)。理想気体内部エネルギー変化ゼロ → Q=W(熱がすべて仕事に)
  • 節8 断熱変化: 熱の出入りゼロ(Q=0)。PVγ=一定。膨張で温度低下、圧縮で温度上昇。断熱指数γが鍵
  • 節9 ポリトロープ変化: PVⁿ=一定(1等温(n=1)と断熱(n=γ)の中間。実際の気体変化の一般形
  • 節10 ジュール・トムソン効果: 気体を絞り(細孔)に断熱的に通すと温度変化が起きる。多くの気体は常温で冷却(液化利用)
  • 節11 熱力学第二法則: 熱を完全に仕事に変えることは不可能。熱は自然に低温から高温へは移らない。第二種永久機関は不可能
  • 節12 エントロピー: ΔS = Q/T(可逆等温)。状態量で経路によらない。自発変化では常にエントロピーが増大
  • 節13 可逆・不可逆過程: 可逆過程エントロピー変化ゼロ(dS=0)。不可逆過程エントロピーは必ず増加(dS>0)
  • 節14 カルノーサイクルと熱効率: η = (T₁−T₂)/T₁。高温・低温熱源の温度だけで決まる最大熱効率。これを超える熱機関は存在しない
  • 節15 ヒートポンプと成績係数(COP): 逆カルノーサイクルヒートポンプ。ε_h = Q₁/W = T₁/(T₁−T₂)。COPは必ず1以上
  • 節16 自由エネルギーとエクセルギー: ヘルムホルツ自由エネルギー A=U−TS(等温仕事の上限)、ギブスの自由エネルギー G=H−TS(等温定圧仕事の上限)
  • 節17 熱力学第三法則: 絶対温度 0 K において純粋な結晶のエントロピーはゼロ。標準エントロピーの基準点

⚡ 全節 焦点ポイント

  • 節1: 「エントロピーは状態量か、経路関数か?」は超頻出の正誤問題(→状態量が正解)。 / 孤立系・閉鎖系・開放系の定義は選択問題の選択肢として丸ごと出題されることがある。
  • 節2: 乙種の計算問題頻出パターン:定積加熱(W=0 → Q=ΔU=mC_v ΔT)。 / 「定積変化では外部への仕事はゼロである」は毎年出る正誤問題の定番表現。
  • 節3: 「内部エネルギーは状態量」「経路によらない」は正誤問題の頻出文言。 / 「定積変化では Q = ΔU」の関係を素早く使えるように。
  • 節4: 「定圧加熱では供給熱 = エンタルピー増加量」は正誤問題の定番文言。 / 甲種では ΔH = ΔU + Δn・RT の計算問題が出る(例:CO の燃焼熱変換)。
  • 節5: 「反応熱は経路によらない(ヘスの法則)」→ ○ / 「反応熱は温度によらず一定」→ × (キルヒホッフで変化する)
  • 節6: 「定圧モル熱容量は定積モル熱容量より常に大きい」は毎年出る正誤問題。 / 定積加熱の計算:Q = mCvΔT → ΔT = Q/(mCv) の変形が最頻出。
  • 節7: 「等温変化では内部エネルギーは変化しない(理想気体)」は正誤問題の定番。 / 「等温下での加熱は全て外部への仕事に使われる」という表現も頻出。
  • 節8: 「断熱膨張 → 温度低下」「断熱圧縮 → 温度上昇」は毎年出る正誤問題。 / PVγ = 一定 の式形と、等温(PV=一定)との区別を P–V 線図で確認しておく。
  • 節9: 甲種では n の値と変化の対応(n=0 → 定圧、n=1 → 等温 など)が択一・論述で頻出。 / 「PVm = 一定のとき m=γ は断熱変化」の対応表を丸暗記するのが最速。
  • 節10: 「理想気体のジュール・トムソン係数はゼロ」「実在気体では温度変化あり」は正誤問題の定番。 / 「H₂は常温で膨張させると温度が上昇する」(反転温度以上なので)は甲種頻出。
  • 節11: 「熱は自然には低温から高温へ移れない」→ ○(第二法則の表現) / 「熱を完全に仕事に変えることができる熱機関(第二種永久機関)は不可能」→ ○
  • 節12: 「エントロピーは状態量」「経路によらない」はR07 Q05で正に出た最頻出問題。 / ΔS = Q/T の計算は甲種乙種両方で出る。T は必ず絶対温度 [K] を使う。
  • 節13: 「可逆過程ではエントロピー変化ゼロ、不可逆ではエントロピー増加」の対比を押さえる。 / 「自然に起こる変化はエントロピーが増大する方向へ進む」は第二法則の別表現。
  • 節14: η = (T₁−T₂)/T₁ の計算は甲種乙種どちらでも最頻出。T は必ずケルビン! / 「カルノーサイクルの熱効率は1を超えることはできない」→ ○
  • 節15: 「逆カルノーサイクルを用いたヒートポンプの COP は必ず1以上」→ 頻出正誤問題。 / 計算:T₁、T₂ が与えられ ε_h を求める → W = Q₁/ε_h で仕事を求める 2 ステップ。
  • 節16: 乙種では「エクセルギーとは系が外界と平衡になるまでに取り出せる仕事の最大値」の一文を暗記すれば対応可能。 / ギブス自由エネルギー G = H − TS の式は甲種では定義問題として出る。
  • 節17: 「0 K で純粋な結晶のエントロピーはゼロ」の一文を正確に暗記する。 / 「不規則な配列のない(完全な秩序)」という条件も含めると完全な表現になる。

📝 関連過去問

この章の知識が問われる過去問題リスト(全44問)。

ℹ️ 乙種・甲種は別の試験です。同じ問番号(例: 基問10)であっても、乙種と甲種では出題される問題内容は異なります。各年度・種別ごとの本文は 乙種過去問 / 甲種過去問 ページから確認してください。

乙種(24問)

令和7年: 基問3 / 基問4 / 基問5 / 基問6

令和6年: 基問3 / 基問4 / 基問5

令和5年: 基問3 / 基問4 / 基問5

令和4年: 基問5 / 基問6

令和3年: 基問5 / 基問6 / 基問7

令和2年: 基問6 / 基問7

令和元年: 基問6 / 基問7

平成30年: 基問6 / 基問7

平成29年: 基問5 / 基問6

平成27年: 基問4

甲種(20問)

令和7年: 基問3 / 基問4

令和6年: 基問3 / 基問4

令和5年: 基問3 / 基問4 / 基問5

令和4年: 基問5 / 基問6

令和3年: 基問5 / 基問6 / 基問7

令和2年: 基問6 / 基問7

令和元年: 基問6 / 基問7

平成30年: 基問6 / 基問7

平成29年: 基問5 / 基問6