
気体の振る舞いを支配する基本法則(ボイル・シャルル・ヘンリー・ラウール・PV=nRT等)を学ぶ章です。
ガス工業のすべての計算問題の基礎となる17節構成。
乙種・甲種兼用 / 全17節 / 学習目安: 60〜90分
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📑 この章の目次(全17節)
1. 物質の三態と潜熱・顕熱
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
状態が変わるときに使う熱(潜熱)と、温度を上げ下げするときに使う熱(顕熱)を区別する。
📖 解説(乙種ベース)
氷を火にかける。温度計はぐんぐん上がっていく——ところが0℃に達した瞬間、ぴたりと止まる。氷が水に変わり終わるまで、熱を加え続けても温度は0℃のまま。なぜか?
種明かしをしよう。熱には2つの使い道があるからだ。温度を上げ下げするために使われる熱が顕熱、状態を変えるために使われる熱が潜熱(融解潜熱)。氷が融けている間、加えた熱はすべて「氷→水」の変身に回され、温度計を動かす分が残らない。
水になれば再び顕熱で温度が上がり、100℃で沸騰が始まる。水が水蒸気に変わり終わるまで、温度はまた100℃のまま(蒸発潜熱)。つまり温度計が動いているときが顕熱、止まっているときが潜熱——これがこの節の核心だ。
下の図は、固体→液体→気体の三態変化を「融解」「蒸発」の矢印でつなぎ、状態変化に使われる潜熱と温度上昇に使われる顕熱を区別したものだ。出題者が狙うのは「状態が変わる間は温度が変わらない=潜熱」の一点。顕熱との取り違えを誘う選択肢に注意してほしい。
物質の三態と潜熱・顕熱| 計算 | 関係 |
|---|---|
| 顕熱 | Q = m × c × ΔT(質量 × 比熱 × 温度差) |
| 蒸発潜熱 | 単位は kJ/kg(水は約2,260 kJ/kg、非常に大きい) |
ガス工業との関係: LPGがボンベから出てくるときは液体→気体の変化(蒸発)で、周囲から蒸発潜熱を奪うためボンベが冷たくなります。
⚡ 焦点ポイント
「潜熱では温度計が動かない」のイメージが最重要。融解中も蒸発中も温度は一定です。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「温度が変化しないのに熱が不要」という誤選択肢に注意。状態変化中は温度一定でも熱は必要。
- 「潜熱では温度計が動かない(温度一定)」のイメージが最重要
- 選択肢で「融解中は温度が上昇する」とあれば誤り
2. 蒸気の状態(湿り蒸気・乾き蒸気・過熱蒸気)
重要度: 乙C / 甲C
🎯 一言で
液体と蒸気が共存している状態(湿り蒸気)、全部気体になった状態(乾き飽和蒸気)、さらに加熱した状態(過熱蒸気)の3段階を区別する。
📖 解説(乙種ベース)
台所でやかんが沸騰している場面に立ってみよう。注ぎ口から吹き出した直後の蒸気が白く見えるのは、湯気のように水滴を含んでいるからだ。これが「湿り蒸気」。では、少し離れたところで透明になるのはなぜか? 水滴が蒸発しきって、気体だけになったからだ。これが「乾き飽和蒸気」。
この水滴のない蒸気をさらに加熱して温度を上げると「過熱蒸気」になる。つまり蒸気は、加熱の進み具合で3段階に姿を変える。専門的には、湿り蒸気の中の気相の割合を乾き度xで表す。x=0なら全部液体(飽和液)、x=1なら全部蒸気(乾き飽和蒸気)、その間が湿り蒸気だ。
下の図は、水滴が混ざった「湿り蒸気」、水滴のない「乾き蒸気」、さらに加熱された「過熱蒸気」の3状態を加熱の順に並べたものだ。試験で問われるのは各状態の定義の区別——判断基準は「水滴を含むかどうか」の一点だ。
蒸気の3状態⚡ 焦点ポイント
「乾き度x=1が乾き飽和蒸気、x=0が飽和液」の定義を正確に。「過熱蒸気は飽和温度より高い温度」も正文として頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 乾き蒸気=「乾いている(水分ゼロ)」の意味。「湿り」「乾き」の語感で正誤を間違えやすい。
3. 蒸気圧と沸点
重要度: 乙C / 甲C
🎯 一言で
液体の飽和蒸気圧が外圧と等しくなったら沸騰する。だから外圧が変われば沸点も変わる。
📖 解説(乙種ベース)
液体の表面では、分子が絶えず気体へ飛び出そうとしている。密閉容器に入れると、飛び出す分子と液体に戻る分子がやがて釣り合い、気体の圧力が一定になる。この圧力が飽和蒸気圧だ。
では「沸騰する」とは何が起きているのか。表面からだけでなく、液体の中からも気体が湧き出す現象だ。種明かしをすると、これは飽和蒸気圧が外の気圧と等しくなった瞬間に起こる。だから外圧が下がる山の上ではより低い温度で沸騰し、外圧が上がる圧力鍋の中ではより高い温度まで沸騰しない。沸点は外圧との力関係で動く——ここが試験の急所だ。
ガス工業で効いてくるのは、各ガスの沸点だ。寒冷地でブタンが使いにくい理由も、この沸点が直接説明してくれる。
蒸気圧曲線と沸点| ガス | 沸点(大気圧下) | 寒冷地での挙動 |
|---|---|---|
| メタン CH4 | -162℃ | 通常の冷気では液化しない |
| プロパン C3H8 | -42℃ | 厳冬地でも気化する |
| ブタン C4H10 | -1℃ | 0℃以下で気化困難 |
🟦 甲種プラスα
蒸気圧と温度の関係は クラウジウス-クラペイロン式 で表されます。
甲種では概念問題として「クラウジウス-クラペイロン式が示す関係」を問われます。
⚡ 焦点ポイント
プロパン -42℃、ブタン -1℃ は寒冷地問題で頻出。寒冷地でブタンが使いにくい理由は沸点が約 -1℃で冬期に気化しにくいから。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 蒸気圧は温度が上がると増加する(指数的に)。「温度↑ → 蒸気圧↑ → 沸点↑」ではなく、外圧が固定なら温度↑で早く沸点に達する。
- 「42℃」が「47℃」「37℃」と書き換えられる
4. ボイルの法則
重要度: 乙C / 🟦 甲B
🎯 一言で
温度を変えずに気体を圧縮すると、体積は圧力に反比例して小さくなる。
📖 解説(乙種ベース)
注射器の先をふさぎ、ピストンをぐっと押し込む——中の空気はどうなるか。温度が同じなら、体積は圧力に反比例して縮む。関係式は PV = 一定。それだけの法則だ。図のように、温度一定で圧力を上げるほど体積は縮んでいく。
P₁V₁ = P₂V₂
ボイルの法則(温度一定・圧力を上げると体積が縮む)試験で最も多い失点ポイントは、表圧(ゲージ圧)と絶対圧の混同です。絶対圧 = 表圧 + 大気圧 ≒ 表圧 + 101.325 kPa。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 数式 | P₁V₁ = P₂V₂(等温変化) |
| 直感 | 圧力2倍 → 体積1/2、圧力3倍 → 体積1/3 |
| 注意 | Pは絶対圧(真空を0とする) |
🟦 甲種プラスα
甲種では 等温膨張の仕事 が出題されます。W = nRT × ln(V₂/V₁)。ln(2)=0.693、ln(3)=1.099 を覚えておくと計算が速くなります。
⚡ 焦点ポイント
計算で「表圧→絶対圧の変換忘れ」が最頻出のミス。「ゲージ圧」とあれば必ず +101.325 kPa して絶対圧へ変換。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 絶対圧と gauge 圧(ゲージ圧)の混同。問題文に「ゲージ圧」とあれば +101.325 kPa して絶対圧に変換してから計算。
- 「ボイルの法則は等温変化」「P と V は反比例」は確実に覚える
- 計算問題では表圧→絶対圧の変換(+大気圧)を忘れないこと
5. シャルルの法則
重要度: 乙C / 甲C
🎯 一言で
圧力を変えずに気体を温めると、体積は絶対温度(K)に比例して大きくなる。ケルビンで計算するのが鉄則。
📖 解説(乙種ベース)
しぼんだ風船を熱湯につけると、みるみる膨らむ。なぜか? 圧力(大気圧)を一定に保ったまま温度を上げているので、体積が温度に比例して増えるからだ。これがシャルルの法則。式は V/T = 一定、つまり V₁/T₁ = V₂/T₂。図のように、圧力一定で温度を上げるほど体積は膨らんでいく。
V₁T₁ = V₂T₂
シャルルの法則(圧力一定・温度を上げると体積が膨らむ)ここで重要なのは、Tが絶対温度(ケルビン) であること。摂氏のままだと0℃のときに「V/0=無限大」のような無意味な値になってしまいます。絶対温度 T[K] = t[℃] + 273.15(試験では+273でOK)。
⚡ 焦点ポイント
シャルルの法則のTは絶対温度(K)。摂氏のまま代入すると致命的ミス。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- シャルル「体積と温度の比例」vs ボイル「体積と圧力の反比例」——名前と法則の組み合わせを正確に。
- 「シャルルの法則は等圧変化」「V と T(絶対温度)は比例」を確実に覚える
- 計算で最もやりがちなミスが「℃をそのまま使う」こと
6. ボイル・シャルル
重要度: 乙B / 甲C
🎯 一言で
圧力・体積・温度がすべて変化しても、PV/T = 一定(モル数が変わらないことが条件)。
📖 解説(乙種ベース)
ボイルは等温、シャルルは等圧——では、圧力・体積・温度が同時に変わったらどうするか。答えは2つを組み合わせた一般式、P₁V₁/T₁ = P₂V₂/T₂。気体の状態が「状態1」から「状態2」へどう移ろうと、この関係は崩れない。
P₁V₁T₁ = P₂V₂T₂
計算の手順は決まっている。
1. 圧力を絶対圧に変換(+大気圧)
2. 温度をケルビンに変換(+273)
3. 式に代入して未知数を求める
この順番さえ守れば、計算問題は機械的に解ける。出題者の定番は「圧縮後の体積」または「加熱後の圧力」を求めさせる問題——狙いは立式ではなく、手順1と2の変換忘れだ。
計算例: 100kPa, 30 m³, 300K の気体を 400kPa, 400K にしたときの体積
100×30/300 = 400×V₂/400 → V₂ = 10 m³
⚡ 焦点ポイント
絶対圧変換と絶対温度変換の両方が必要。乙種で最も多い計算は「圧縮後の体積を求める」問題。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- mol 数が変化する問題(気体の出入りがある系)にはこの式は使えない。そのときは PV=nRT を使う。
- 「PV/T = 一定(mol 数が変わらない場合)」は確実に覚える
- 計算では絶対圧変換(+大気圧)と絶対温度変換(+273)の両方が必要
7. 気体の状態方程式 PV=nRT ★乙・甲ともに最重要
💡 図の見方:左のゲージ圧・摂氏をそのまま右のPV=nRTに入れてはいけない、という図。必ず中央の2つのゲート(+大気圧、+273)を通してから代入する。灰色の破線が最頻出の誤答ルートで、なかでも温度を摂氏のまま代入するミスが最も多い。
重要度: 乙A / 甲A
🎯 一言で
理想気体の4変数(P・V・n・T)を結ぶ万能方程式。これを使えばモル数の関係が絡む計算もすべて扱える。
📖 解説(乙種ベース)
ボイル・シャルルは「同じ気体の状態が変わるとき」の式だった。では、気体の量(モル)まで話に絡んできたらどうするか。そこで登場するのが PV=nRT——モル数 n まで含めた一般的な式だ。気体定数Rが入ることで、気体の量(モル)から圧力・体積・温度の関係が一意に決まる。
この式から導かれる重要な事実がひとつ。標準状態(0℃・1気圧)で1モルの理想気体は22.4Lの体積を持つ。ここは理屈より丸暗記だ。
ではガス計算で扱う密度はどう出すか。PV=nRTを変形すると ρ = m/V = PM/(RT)(M は分子量)。圧力が上がるほど、また温度が下がるほど、密度は大きくなる。
🟦 甲種プラスα
甲種では 混合気体の密度・分子量計算 が応用問題として出ます。平均分子量 = Σ(各成分の分子量 × モル分率) を使って混合ガスの密度を計算します。
PV=nRTに代入する前に通す2つの単位変換ゲート⚡ 焦点ポイント
「絶対圧」「絶対温度」が大前提。ゲージ圧・摂氏のまま代入は致命的。標準状態で1mol=22.4Lはそのまま暗記。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【近年トレンド】 温度を摂氏で代入するミスが最多。必ず T[K] = t[℃]+273 に変換。圧力も絶対圧で代入すること(ゲージ圧に注意)。
- PV = nRT は「P は絶対圧・T は絶対温度」が大前提
- ゲージ圧・摂氏のまま代入は致命的ミス
8. 混合気体とドルトンの分圧法則 ★乙・甲ともに最重要
重要度: 乙A / 甲A
🎯 一言で
混合気体の全圧は、各成分が単独で同じ容器を占めたときの圧力(分圧)の合計。各成分の分圧は 全圧×モル分率 で計算できる。
📖 解説(乙種ベース)
メタンとプロパンを同じ容器に混ぜたら、互いに押し合って窮屈になりそうなものだ。ところが気体は違う。それぞれのガスは互いに干渉せず、まるで容器を自分ひとりで貸し切っているかのように振る舞う。これがドルトンの分圧法則——図のように、混合気体の全圧は各成分の分圧の和になる。
pᵢ = Ptotal × xᵢ
ドルトンの分圧の法則(全圧は各成分の分圧の和)理想気体では「体積分率 = モル分率」が成り立つので、たとえば「都市ガスのメタン89%」と書かれていれば、それはモル分率0.89でもあるし、体積分率0.89でもあります。重さの比率(質量分率)とは別物なので、ここを混同すると致命的です。
🟦 甲種プラスα
甲種では 混合ガスの発熱量計算 が直接の応用です。混合ガスの発熱量 = Σ(各成分の発熱量 × モル分率) を使って、都市ガス13Aの発熱量計算などが出ます。
⚡ 焦点ポイント
「全圧 = 分圧の和」「分圧 = 全圧 × モル分率」の2式。「理想気体では体積% = モル%」もセット。
【最多ミス】 質量から計算するときは必ず「質量÷分子量」でモル数に変換してから比をとる。
例: R02乙問2: プロパン44g + 窒素28g → どちらも1mol → モル比1:1 → 全圧300kPaなら各分圧150kPa。質量比3:2のまま分圧計算すると失点する。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【近年トレンド】 質量分率とモル分率は異なる。問題が「質量で〇〇g ずつ」と言っているなら、まず mol に変換してからモル分率を計算する。
9. 理想気体と実在気体の違い
重要度: 乙B / 甲C
🎯 一言で
理想気体は「分子間力ゼロ・分子の体積ゼロ」と仮定した仮想モデル。実在気体は高圧・低温で理想からずれる。
📖 解説(乙種ベース)
理想気体は完璧な数学モデルだ。分子同士は互いに引き合わず(分子間力ゼロ)、分子自身も大きさを持たない(体積ゼロ)と仮定されている。だからこそ PV=nRT が単純に成り立つ。
では実際の気体(実在気体)はどうか。分子間力もあるし、分子自身も体積を持つ。高圧になると分子同士が近づき、分子間力や分子体積が無視できなくなる。低温になると分子の熱運動が弱まり、引力の影響が相対的に大きくなる。つまり高圧・低温ほど、理想からのずれが大きくなるのだ。
逆に高温・低圧では分子間距離が大きく、分子の運動が活発なので、実在気体も理想気体に近い振る舞いをする。出題者の手口は決まっていて、「理想気体に最も近い条件は?」と聞いて逆の「低温・高圧」を選ばせようとする。答えは高温・低圧。なお水素やヘリウムは分子量が小さく分子間力も弱いため、広い温度・圧力範囲で理想気体に近いとされている。
理想気体に近い条件・ずれる条件⚡ 焦点ポイント
「理想気体に最も近い条件は?」と問われたら 高温・低圧。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 「理想気体は実在しない仮想モデル」。試験で「理想気体に最も近い条件は?」と問われたら、高温・低圧を選ぶ。
- 「理想気体の仮定:分子間力なし・分子体積なし」の2点を確実に覚える
- 「高圧・低温で理想気体からのずれが大きい」「高温・低圧で理想気体に近い」は頻出正文
10. ファン・デル・ワールス式
💡 図の見方:2つの補正項をどちら側にどう入れるかだけを見る図。分子間引力の補正 a/V² は P に加算し、分子自身の体積 b は V から減算する。試験は加算と減算を入れ替えた選択肢で仕掛けてくるので、上向き=加算・下向き=減算の位置関係ごと覚える。
重要度: 乙B / 🟦 甲A
🎯 一言で
実在気体の補正方程式。分子間引力(a/V²)と分子自身の体積(b)の2つの補正項を追加することで、PV=nRTのずれを補正する。
📖 解説(乙種ベース)
理想気体の状態方程式 PV=nRT は、高圧・低温では実在気体からずれる。では、このずれをどう補正するか。方程式そのものに補正項を2つ埋め込んだのがファン・デル・ワールス式だ。
2つの補正項の種明かしをしよう。まずa/V²。実際の分子同士は引き合うため、実際の圧力は理想より低くなる。そこで「もし引力がなかったら」の値に足し戻すために、P側へa/V²(分子間引力の補正)を加算する。次にb。分子自身も大きさを持つため、分子自身の大きさを除いた「動ける空間」を実効体積として使うよう、V側からb(分子体積の補正)を減算する。Pには足す、Vからは引く——出題者はこの加算・減算の方向を逆にした選択肢で仕掛けてくる。
補正はPに加算・Vから減算(ファン・デル・ワールス式)| 補正項 | 役割 | なぜそうするか |
|---|---|---|
| a/V²(P側に加算) | 分子間引力の補正 | 分子同士が引き合うため実際の圧力は理想より低い。その分を「もし引力がなかったら」の値に足し戻す |
| b(V側から減算) | 分子体積の補正 | 分子自身の大きさを除いた「動ける空間」を実効体積として使う |
🟦 甲種プラスα
甲種では各定数の意味と方向性を問う選択肢問題が頻出。aが大きい=分子間引力が強い、極性が強い、水素結合あり(H₂O、NH₃、HF)。bが大きい=分子サイズが大きい、分子量が大きい(大型炭化水素)。圧力補正は加算、体積補正は減算。
⚡ 焦点ポイント
「a/V² は P に加算(引力補正)」「b は V から減算(体積補正)」の方向を正確に。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 圧力補正は(加算)、体積補正は(減算)。符号を逆にした選択肢が引っ掛けとして登場する。
- 「(P + a/V²)(V − b) = RT」の式の形と各項の意味を押さえる
- 「a/V² は引力補正(Pに加算)」「b は分子体積補正(Vから減算)」の方向を確認
11. 圧縮係数 Z
重要度: 乙C / 🟦 甲A
🎯 一言で
実在気体が理想気体からどれだけずれているかの無次元指標。Z=1なら理想気体、Z<1は分子引力支配、Z>1は分子反発支配。
📖 解説(乙種ベース)
ファン・デル・ワールス式は方程式自体を修正した。では、もっと手軽な道はないか? ある。理想からのずれを「補正係数を1つかける」ことでまとめて引き受けるやり方——それが圧縮係数Zだ。Zは、実在気体のずれ具合を1つの数字で示す”ものさし”といっていい。
PV = ZnRT
Z=1なら理想気体——ものさしの基準点だ。実在気体では、Zがこの1からずれる。
圧縮係数Zの圧力変化| Zの値 | 何が支配的か | 起こる条件 |
|---|---|---|
| Z<1 | 分子間引力が支配的 | 中圧・低温 |
| Z>1 | 分子の排除体積が支配的 | 超高圧 |
🟦 甲種プラスα
実用的にはZの値はネルソン-オタ線図(コンプレッシビリティチャート) から温度・圧力の対比換算で読み取ります。CNG充填、LPG・LNGターミナルの貯蔵計算、高圧パイプライン輸送など、ガス工業の高圧設備設計では必須の概念です。
⚡ 焦点ポイント
「Z=1が理想気体」「Z<1で引力支配、Z>1で排除体積支配」の方向を覚える。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 「Z=1 なら理想気体」「Z≠1 なら実在気体」——これは正しい。ただし高温・低圧でも実在気体は Z≒1 に近づくだけで厳密には1ではない。
12. 臨界現象 ★乙種で最重要
重要度: ★ 乙A / 甲C
🎯 一言で
臨界温度より高い温度では、いくら圧力を上げても気体を液化させることができない。これが乙種で最も繰り返し問われる論点。
📖 解説(乙種ベース)
気体は押し縮めていけばいつか液体になる——そう思っていないだろうか。実は、ならないことがある。ある温度を超えると、どんなに圧縮しても気体は液体にならない。この限界の温度が臨界温度だ。種明かしは温度-圧力のグラフにある。液体と気体の境界線(蒸気圧曲線)は臨界点でぷつりと途切れ、その右側に液体の領域は存在しない。だから臨界温度以上では、圧力をいくら上げても液化できない。この途切れを下の図で確認してほしい。
たとえばメタンの臨界温度は約-82℃。常温はこれよりはるかに高いから、いくら圧力をかけてもメタンは液体にならない。日本のCNG(圧縮天然ガス)が「液化」ではなく「圧縮」と呼ばれる理由が、まさにこれだ。
臨界点と相図| ガス | 臨界温度 | 常温での液化 |
|---|---|---|
| メタン CH₄ | 約 -82℃ | 不可(CNGは圧縮のみ) |
| エタン C₂H₆ | 約 32℃ | 不可〜可の境界 |
| プロパン C₃H₈ | 約 97℃ | 可(LPGの根拠) |
| ブタン C₄H₁₀ | 約 152℃ | 可 |
| 二酸化炭素 CO₂ | 約 31℃ | 可(臨界温度31℃は常温より高い。31℃超では不可) |
過去問でよく狙われる引っ掛け: R04乙問3では「二酸化炭素及び窒素は、常温で圧力を高くするのみで液化することができる」が誤。誤りの原因は窒素であり、CO₂自体は臨界温度約31℃が常温より高いため常温加圧で液化できる。窒素も「常温で液化可能」と書かれたら必ず誤(臨界温度約-147℃)。「常温で液化可」の代表はプロパン・ブタン・CO₂、「不可」の代表は窒素・メタン。
🟦 甲種プラスα
臨界点を超えた状態を超臨界流体と呼び、液体と気体の中間的な性質を持ちます。超臨界二酸化炭素はコーヒーのカフェイン抽出や食品加工に工業利用されています。
⚡ 焦点ポイント
「メタンは常温で液化不可、CNGは圧縮のみ」「プロパンは常温で液化可、それがLPGの根拠」が頻出セット。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【近年トレンド】 「臨界圧力以上に圧縮すれば必ず液化できる」→ ×(臨界温度以上ならどの圧力でも液化不可)。「臨界点では気体と液体の密度差がゼロになる」→ ○(これが臨界点の定義的特徴)。
- 「臨界温度以上では圧縮しても液化しない」は最頻出の正文
- 「メタンの臨界温度は約−82℃なので、常温のCNGは圧縮のみで液化できない」も正文
13. 熱伝導率と粘度
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
気体の熱伝導率と粘度は 温度上昇で増加する(液体と逆の挙動)。圧力にはほぼ依存しない(低〜中圧域)。
📖 解説(乙種ベース)
ハチミツをレンジで温めると、サラサラになって垂れやすくなる。液体は温めるほど流れやすい——ここまでは日常の感覚どおり。では気体は? 実は逆で、温めるほど流れにくくなる。「は?」と思ったら、それが正常な反応だ。この”直感への裏切り”こそ、出題者が毎年狙ってくる急所である。
種明かしをしよう。液体のねばり(粘度)の正体は分子間力。温めると分子の動きが活発になって引力を振り切り、サラサラになる。一方、気体のねばりの正体は分子衝突による運動量の伝達。温めると分子速度が増して衝突が増え、かえって粘る。ねばりの”正体”が違うから、温度への反応も逆になる——そう覚えれば、もう引っかからない。
熱伝導率も気体では同じ原理で動く。温度が上がると熱伝導率も上がる。さらに水素H₂やヘリウムHeは分子量が小さく分子速度が速いため、熱伝導率が高くなる。
🟦 甲種プラスα
動粘度 ν=μ/ρ(粘度を密度で割った値)はレイノルズ数 Re=VD/ν の計算で使います(KISO05流体力学と連携)。
気体と液体の粘度の温度変化⚡ 焦点ポイント
「気体は温度↑で粘度↑、液体は温度↑で粘度↓」 — 方向が逆なのが最頻出引っかけポイント。
過去5年(R03〜R07)の乙種問1〜2には毎年この論点が選択肢のひとつとして登場。熱伝導率も同じ方向(気体は温度↑で熱伝導率↑)。
圧力依存性は「常圧域ではほぼ無関係」 ── これも頻出選択肢(H30乙問3(イ)が正解)。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【近年トレンド】 液体の粘度は温度↑で減少(ハチミツが温まるとサラサラ)。気体は逆に温度↑で増加。試験でよく逆を引っ掛けてくる。
- 「気体の粘度は温度が上がると増加する(液体と逆)」は非常に頻出の引っ掛けポイント
- 「H₂・He は分子量が小さく熱伝導率が高い」も覚えておく
14. 拡散(フィックの法則・グレアムの法則)
重要度: 乙C / 甲C
🎯 一言で
気体は濃度差に従って自然に広がる。広がる速度は 分子量の平方根の逆比 に従う(グレアムの法則)。
📖 解説(乙種ベース)
部屋の隅で香水をひとふきする。誰もかき混ぜていないのに、香りはやがて部屋全体へ届く——なぜ広がるのか? 気体分子が熱運動で常に動き回り、濃度の高いところから低いところへ自然に広がっていくからだ。これが拡散現象である。
この式が言うのは、分子量が小さいガスほど速く拡散するということ。たとえば水素H₂(分子量2)は酸素O₂(分子量32)の √16 = 4倍 速く拡散し、メタンCH₄(分子量16)はプロパンC₃H₈(分子量44)の 約1.66倍 速く拡散する。
過去問頻出パターン(R06甲問2(1)): 出題者が好むのは並べ替えだ。「水素 > メタン > エタン > プロパン」の順で拡散速度が速い(分子量2 < 16 < 30 < 44)。この4種を分子量の大小と紐づけて即答できるようにしておく。
ガス工業との関係は、漏洩の現場に立って考えるとよい。水素は速く上方に拡散して天井側へ逃げるのに対し、LPGは床面近くに滞留する。だから低い場所での換気が重要になる——漏洩時の挙動は、分子量で全く違うのだ。
漏洩ガスの拡散挙動(水素とLPG)⚡ 焦点ポイント
「拡散速度比 = 分子量の平方根の逆比」を式で記憶。計算は√(M₂/M₁)を求めるだけ。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 拡散速度と流速(フロー)は別物。グレアムの法則は強制的な流れではなく自然拡散に適用する。
- 「グレアムの法則:拡散速度比 = 分子量の平方根の逆比」の式を確実に覚える
- 計算は √(M₂/M₁) を求めるだけ
15. ヘンリーの法則
重要度: 乙B / 🟦 甲A
🎯 一言で
気体が液体に溶ける量は、その気体の 分圧に比例 する(c = K_h × p)。高圧・低温ほど溶けやすい。
📖 解説(乙種ベース)
炭酸飲料の栓を開ける。プシュッという音とともに、泡が一斉に立ちのぼる——あの泡はどこから来たのか? 種明かしはこうだ。製造時に高い圧力で二酸化炭素を液体に溶かし込み、栓で閉じ込めてある。栓を開けると圧力が下がり、ヘンリーの法則に従って溶けきれなくなったCO₂が泡として出てくる。溶ける気体の量は分圧に比例する——図が示すのはこの関係だ。
ここで1つ注意。混合気体の場合、溶ける量は全圧ではなく各成分の分圧で個別に決まる。温度との関係も含め、3つの重要な関係を下の表で整理して覚えてほしい。
ヘンリーの法則(溶ける気体の量は圧力に比例)| 条件 | 溶解度 |
|---|---|
| 分圧↑ | 溶解度↑(より多く溶ける) |
| 温度↑ | K_h↓ → 溶解度↓(炭酸を温めるとCO₂が抜ける) |
| 温度↓ | K_h↑ → 溶解度↑ |
🟦 甲種プラスα
ガスパイプライン腐食: 天然ガスに含まれるCO₂やH₂Sは高圧で水分に多く溶け込み、配管内面の腐食(SCC: 応力腐食割れ)を引き起こします。製造工程で脱湿・脱炭酸・脱硫を行います。
LNG精製: -162℃まで冷却するため、原料天然ガスの中の水分・CO₂は凍結してパイプを詰まらせます。吸収塔を使ってこれらを除去する設計に、ヘンリーの法則が使われます。
⚡ 焦点ポイント
「全圧でなく分圧を使う」がドルトンの法則(8.の項)との連携ポイント。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【近年トレンド】 ヘンリーの法則は希薄溶液・低溶解度の気体に成立。高溶解性気体(NH₃, HClなど)には成立しない。
- 「気体の溶解量は分圧に比例する(ヘンリーの法則)」は定義として確実に覚える
- 「温度が上がると溶解度が下がる(Kₕが小さくなる)」も正文として頻出
16. ラウールの法則
重要度: 乙C / 🟦 甲B
🎯 一言で
混合溶液の各成分の蒸気圧 = 純粋成分の蒸気圧 × モル分率。混合LPGの蒸気圧計算に直結。
📖 解説(乙種ベース)
純粋なプロパンにも、純粋なブタンにも、それぞれ固有の蒸気圧がある。では2つを混ぜた混合溶液(液状LPG)では、各成分はどれだけの蒸気圧を出すのか? 答えは「持ち分に応じて」。各成分の蒸気圧はモル分率で按分される——いわば持ち株比率に応じた配当だ。
Ptotal = Σ(xᵢ × pᵢ*)
🟦 甲種プラスα
甲種では 沸点上昇・凝固点降下 の応用問題が出ることがあります。不揮発性溶質を加えるとモル分率が下がり、蒸気圧が下がるため沸点が上がります。海水が0℃でも凍らない、塩を撒いて雪を融かす、などの現象もラウールの法則で説明できます。
ラウールの法則(混合LPGの蒸気圧)⚡ 焦点ポイント
「pᵢ = xᵢ × pᵢ*」と「全圧は寄与の和」をセットで記憶。乙種で混合LPGの蒸気圧計算が出題される。
【最多ミス】「モル比 2:1」と書かれていたら、必ずモル分率(x₁=2/3, x₂=1/3)に変換してから式に代入。比のまま代入すると蒸気圧が見かけ上大きくなり失点する。
例: R07乙問2: プロパン:ブタン=2:1のLPGの20℃蒸気圧 → P = (2/3)×0.83 + (1/3)×0.24 = 0.63 MPa
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【近年トレンド】 ラウールは「溶液から出る蒸気圧」、ヘンリーは「気体が液体に溶ける量」——方向が逆。問題文の「溶ける」か「蒸発する」かで判断。
- 「pᵢ = xᵢ × pᵢ*」の式を確実に覚える
- 全圧は各成分の寄与の和
17. 単位系・標準状態
重要度: 乙C / 甲C
🎯 一言で
SI単位(Pa・m³・K・J)と標準状態(0℃・101.325 kPa)を完全に頭に入れる。計算ミスの8割は単位ミス。
📖 解説(乙種ベース)
試験会場で立式は合っているのに、答えが選択肢のどれとも一致しない——そんなときの原因は、たいてい単位だ。ガス計算では単位の整合性が命で、立式が正しくても単位が揃っていなければ答えの桁がずれる。では何を固めておくか。以下の換算を完全に覚えてほしい。
圧力
| 単位 | 関係 |
|---|---|
| 1気圧(atm) | = 101.325 kPa ≒ 0.1013 MPa |
| 1バール(bar) | = 100 kPa = 0.1 MPa |
| 表圧 → 絶対圧 | + 大気圧(≒+101.3 kPa) |
体積・温度
| 換算 | 関係 |
|---|---|
| 体積 | 1 m³ = 1000 L |
| 温度 | T[K] = t[℃] + 273.15(試験では+273) |
| 覚える目安 | 0℃=273 K、100℃=373 K、絶対零度=-273℃=0 K |
標準状態(STP: 0℃・1気圧)
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 理想気体1 molの体積 | 22.4 L = 0.0224 m³ |
| 気体定数 R | 8.314 J/(mol·K) |
計算の鉄則
1. 圧力は絶対圧 [Pa or kPa] に変換
2. 温度はケルビン [K] に変換
3. 体積は m³ か L に統一
4. 代入前に単位の整合を確認
⚡ 焦点ポイント
「1 atm = 101.325 kPa」「1 mol = 22.4 L」は丸暗記。乙種計算問題では単位換算ミスが最大の失点ポイント。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- R=8.314 を kPa・L/(mol·K) として使うと10^3 の誤差が出る。Pa・m³ か J/(mol·K) で統一するのが安全。
- 「1 atm = 101.325 kPa」「標準状態で1molは22.4 L」は丸暗記
- 「表圧→絶対圧は+101.3 kPa」「℃→K は+273」の変換は計算の毎ステップで意識する
🧮 計算例題(過去問を解き切る)
この章の内容が本試験でどう問われるか、実際の過去問で「立式→計算→答え」まで通しで確認しましょう。まず自分で解いてから「解き方をみる」を開くのがおすすめです。
メタン8kgとプロパン4.4kgを混合して、容積3m³の容器に充てんした。充てん後の容器内の温度が27℃のとき、容器内の混合ガスの圧力(kPa)として、最も近い値はどれか。ただし、この混合ガスは理想気体とし、気体定数R=8.3J/(mol・K)とする。
(1) 45 (2) 60 (3) 120 (4) 250 (5) 500 [kPa]
▶ 解き方をみる(まず自分で立式してから!)
- 質量をモル数に直す: メタン8kg÷分子量16=0.5kmol、プロパン4.4kg÷分子量44=0.1kmol → 合計 n=0.6kmol
- 気体の状態方程式 PV=nRT に代入する(V=3m³、R=8.3kJ/(kmol・K)、T=27+273=300K)
- P×3=0.6×8.3×300
- P=0.6×8.3×100=498kPa ≒ 500kPa
✅ 答え: (5) 500kPa
⚠ よくあるミス: 温度27℃を300Kに換算しない/分子量(メタン16・プロパン44)を取り違える/kmol⇔molの換算ミスで桁を誤る
質量基準でメタン50%と水素50%の混合ガスの全圧が200kPaであるときのメタンの分圧(kPa)として、最も近い値はどれか。
(1) 20 (2) 50 (3) 100 (4) 150 (5) 180 [kPa]
▶ 解き方をみる(まず自分で立式してから!)
- 同じ質量mグラムずつと考える。メタン(CH₄)の分子量=16、水素(H₂)=2
- モル数: メタン=m/16 mol、水素=m/2 mol
- 全モル数=m/16+m/2=m/16+8m/16=9m/16
- メタンのモル分率=(m/16)÷(9m/16)=1/9
- ドルトンの分圧法則: メタンの分圧=全圧×モル分率=200×1/9≒22.2kPa → 最も近い値は20
✅ 答え: (1) 20kPa
⚠ よくあるミス: 質量%をそのままモル分率として使ってしまう(分圧は必ずモル分率で!)
🗒️ 3分で復習(章末まとめ)
🎯 全節 一言まとめ
- 節1 物質の三態と潜熱・顕熱: 状態が変わるときに使う熱(潜熱)と、温度を上げ下げするときに使う熱(顕熱)を区別する。
- 節2 蒸気の状態(湿り蒸気・乾き蒸気・過熱蒸気): 液体と蒸気が共存している状態(湿り蒸気)、全部気体になった状態(乾き飽和蒸気)、さらに加熱した状態(過熱蒸気)の3段階を区別する。
- 節3 蒸気圧と沸点: 液体の飽和蒸気圧が外圧と等しくなったら沸騰する。だから外圧が変われば沸点も変わる。
- 節4 ボイルの法則: 温度を変えずに気体を圧縮すると、体積は圧力に反比例して小さくなる。
- 節5 シャルルの法則: 圧力を変えずに気体を温めると、体積は絶対温度(K)に比例して大きくなる。ケルビンで計算するのが鉄則。
- 節6 ボイル・シャルル: 圧力・体積・温度がすべて変化しても、PV/T = 一定(モル数が変わらないことが条件)。
- 節7 気体の状態方程式 PV=nRT ★乙・甲ともに最重要: 理想気体の4変数(P・V・n・T)を結ぶ万能方程式。これを使えばモル数の関係が絡む計算もすべて扱える。
- 節8 混合気体とドルトンの分圧法則 ★乙・甲ともに最重要: 混合気体の全圧は、各成分が単独で同じ容器を占めたときの圧力(分圧)の合計。各成分の分圧は 全圧×モル分率 で計算できる。
- 節9 理想気体と実在気体の違い: 理想気体は「分子間力ゼロ・分子の体積ゼロ」と仮定した仮想モデル。実在気体は高圧・低温で理想からずれる。
- 節10 ファン・デル・ワールス式: 実在気体の補正方程式。分子間引力(a/V²)と分子自身の体積(b)の2つの補正項を追加することで、PV=nRTのずれを補正する。
- 節11 圧縮係数 Z: 実在気体が理想気体からどれだけずれているかの無次元指標。Z=1なら理想気体、Z<1は分子引力支配、Z>1は分子反発支配。
- 節12 臨界現象 ★乙種で最重要: 臨界温度より高い温度では、いくら圧力を上げても気体を液化させることができない。これが乙種で最も繰り返し問われる論点。
- 節13 熱伝導率と粘度: 気体の熱伝導率と粘度は 温度上昇で増加する(液体と逆の挙動)。圧力にはほぼ依存しない(低〜中圧域)。
- 節14 拡散(フィックの法則・グレアムの法則): 気体は濃度差に従って自然に広がる。広がる速度は 分子量の平方根の逆比 に従う(グレアムの法則)。
- 節15 ヘンリーの法則: 気体が液体に溶ける量は、その気体の 分圧に比例 する(c = K_h × p)。高圧・低温ほど溶けやすい。
- 節16 ラウールの法則: 混合溶液の各成分の蒸気圧 = 純粋成分の蒸気圧 × モル分率。混合LPGの蒸気圧計算に直結。
- 節17 単位系・標準状態: SI単位(Pa・m³・K・J)と標準状態(0℃・101.325 kPa)を完全に頭に入れる。計算ミスの8割は単位ミス。
⚡ 全節 焦点ポイント
- 節1: 「潜熱では温度計が動かない」のイメージが最重要。融解中も蒸発中も温度は一定です。
- 節2: 「乾き度x=1が乾き飽和蒸気、x=0が飽和液」の定義を正確に。「過熱蒸気は飽和温度より高い温度」も正文として頻出。
- 節3: プロパン -42℃、ブタン -1℃ は寒冷地問題で頻出。寒冷地でブタンが使いにくい理由は沸点が約 -1℃で冬期に気化しにくいから。
- 節4: 計算で「表圧→絶対圧の変換忘れ」が最頻出のミス。「ゲージ圧」とあれば必ず +101.325 kPa して絶対圧へ変換。
- 節5: シャルルの法則のTは絶対温度(K)。摂氏のまま代入すると致命的ミス。
- 節6: 絶対圧変換と絶対温度変換の両方が必要。乙種で最も多い計算は「圧縮後の体積を求める」問題。
- 節7: 「絶対圧」「絶対温度」が大前提。ゲージ圧・摂氏のまま代入は致命的。標準状態で1mol=22.4Lはそのまま暗記。
- 節8: 「全圧 = 分圧の和」「分圧 = 全圧 × モル分率」の2式。「理想気体では体積% = モル%」もセット。
- 節9: 「理想気体に最も近い条件は?」と問われたら 高温・低圧。
- 節10: 「a/V² は P に加算(引力補正)」「b は V から減算(体積補正)」の方向を正確に。
- 節11: 「Z=1が理想気体」「Z<1で引力支配、Z>1で排除体積支配」の方向を覚える。
- 節12: 「メタンは常温で液化不可、CNGは圧縮のみ」「プロパンは常温で液化可、それがLPGの根拠」が頻出セット。
- 節13: 「気体は温度↑で粘度↑、液体は温度↑で粘度↓」 — 方向が逆なのが最頻出引っかけポイント。
- 節14: 「拡散速度比 = 分子量の平方根の逆比」を式で記憶。計算は√(M₂/M₁)を求めるだけ。
- 節15: 「全圧でなく分圧を使う」がドルトンの法則(8.の項)との連携ポイント。
- 節16: 「pᵢ = xᵢ × pᵢ*」と「全圧は寄与の和」をセットで記憶。乙種で混合LPGの蒸気圧計算が出題される。
- 節17: 「1 atm = 101.325 kPa」「1 mol = 22.4 L」は丸暗記。乙種計算問題では単位換算ミスが最大の失点ポイント。
📌 乙種 基礎理論問1〜2 出題パターン
過去5年(R03〜R07)の乙種問1〜2は、本章の中から以下の論点を組み合わせた「気体の諸性質」問題が定番です。
- 節9(理想気体・実在気体): 「高温・低圧で理想気体に近い」 ← 「低温・高圧」と書き換える誤が王道
- 節13(粘度・熱伝導率): 「気体の粘度は温度↑で増加」 ← 「減少」と書き換える誤が王道
- 節12(臨界現象): 「臨界温度より高ければ圧縮しても液化不能」 ← この方向は変化なし、二酸化炭素・窒素が引っ掛け素材
- 節1(潜熱・顕熱): 「相変化に伴う熱を潜熱」 ← 顕熱と入れ替える誤
- 節15(ヘンリーの法則): 「分圧に比例して溶解度↑」 ← 「反比例」「分圧でなく全圧」と書き換える誤
5択中の正解は、これらの法則を「方向(↑↓)」「比例関係」「主語(気体/液体)」のどれか1点で書き換えた誤文です。
📝 一問一答(過去問ランダム)
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