
- 立入防止・保安距離などの共通基準(一の使用者向け整圧器は除外)
- 耐圧試験は整圧器を除外・気密試験は必要
- 計測・警報は移動式を除く、付臭は中圧大口を除外
技省令(ガス工作物の技術上の基準を定める省令)の全体像と、すべてのガス工作物に共通する技術基準(4条〜23条)を扱います。立入防止・保安通信・離隔距離・防消火・電気設備・材料・耐圧試験・気密試験・溶接・安全弁・計測装置・付臭措置などの基本ルールを整理します。
乙種・甲種兼用 / 法令第8章を3つに分割した一部分
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📍 この章-1で学ぶこと
– 技省令の法体系と性能規定の特徴
– ガス工作物に共通する技術基準(4条〜23条)
– 立入防止・保安通信・離隔距離・保安区画
– 防消火・ガス滞留防止・電気設備防爆・火気距離・静電気除去
– ガス置換・材料・構造・耐圧試験・気密試験・溶接部・安全弁
– 計測装置・警報装置・誤操作防止・保安電力・付臭措置
📑 この章の目次(全6節)
1. 技省令の概要・法体系・性能規定の特徴・ガス工作物の定義
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
技省令(ガス工作物の技術上の基準を定める省令)は性能規定を採用。法体系:ガス事業法→技省令→技術上の基準を定める告示(技告示)→解釈例(技解釈例)。ガス工作物とはガス事業の用に供するガスの製造・供給・消費設備の総称。
📖 解説(乙種ベース)
「適切な措置を講じなければならない」——技省令を読み進めると、この種の言い回しが延々と続く。寸法も材質も書いていない。手を抜いた条文に見えるが、これは意図された設計である。まずは、その条文がどこに位置しているかから見ていこう。
正式名称は「ガス工作物の技術上の基準を定める省令」(昭和45年通商産業省令第97号)。根拠は、ガス事業者はガス工作物を技術上の基準に適合するよう維持しなければならないという義務規定にある(ガス事業法21条〈小売〉・61条〈一般導管。特定導管は準用〉・96条〈製造〉)。事業の種類ごとに条文番号が分かれている点に注意したい。
基準は4層になって下りてくる。①ガス事業法(法律)、②ガス工作物の技術上の基準を定める省令(技省令)、③ガス工作物の技術上の基準の細目を定める告示(技告示)、④解釈例(技解釈例)。建物にたとえれば、法律が骨組み、省令が壁、告示と解釈例が内装にあたる。
その内装を担うのが技告示・技解釈例で、上位で「適切な」「適当な」と書かれた箇所の具体的内容を定める。抽象的な条文が現場で機能するのは、この下層があるからだ。順番を「法→告示→省令」と入れ替える選択肢が定番なので、上から下への並びは丸ごと覚えておきたい。
では、なぜ具体的な寸法を書かないのか。種明かしをしよう。技省令は「仕様規定(設計図書・寸法等を直接指定)」ではなく「性能規定」を採用しているからだ。「〜であるものでなければならない」という性能・結果を要求する書き方をとり、その達成手段(材料・形状・工法等)は事業者が選択できる柔軟性がある。技術が進んでも条文を書き直さずに済む——それが狙いである。
次に、その基準がかかる対象範囲を押さえる。ガス事業法2条13項は「ガス工作物」を、ガスの供給のために施設するガス発生設備、ガスホルダー、ガス精製設備、排送機、圧送機、整圧器、導管、受電設備その他の工作物及びこれらの附属設備であって、ガス事業の用に供するものと定義する。列挙のなかに受電設備が入っている点が見落とされやすい。
範囲の末端はどこか。最末端はガス栓であり、消費機器(ゴム管等を含む)はガス工作物に入らない(消費機器の技術基準は施行規則202条)。条文に例示のない「その他の工作物」の例としては、液化ガス用貯槽・ガスメーター・昇圧供給装置が挙がる。
技省令2条の用語定義も出題される。特定事業所は複数の定義があり(高圧・液化ガスを一定量以上製造・貯蔵する事業所等)、液化ガスは常温・常圧で気体であるが、加圧・冷却により液体状態となるガスを指す。最高使用圧力は通常使用状態における最高の圧力である。そして以降の全条文の前提になるのが、圧力の3区分だ。
技省令の4層体系と性能規定⚡ 焦点ポイント
「技省令は性能規定」という特徴が出題される。法体系の順番(法→省令→告示→解釈例)と、定義の列挙(受電設備を含む・最末端はガス栓)は暗記対象。「高圧・中圧・低圧」の数値(1MPa/0.1MPa)も頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「技省令は仕様規定ではなく性能規定」が出題のポイント。性能規定では達成すべき性能・結果を要求するが、具体的な寸法・材料は事業者が決める。ガス工作物に「配管」という単語はなく「導管」が正しい。
- 「高圧」「中圧」「低圧」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
2. 総則:4条(立入防止)・5条(保安通信)・6条(離隔距離)・7条(保安区画)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
4条:製造所・供給所に立入防止措置(2項:移動式ガス発生設備・整圧器の操作防止)。5条:製造所(特定製造所除く)・供給所・導管を管理する事業場に保安通信設備。6条:事業場境界線・保安物件との離隔距離(告示)。7条:特定事業所の高圧のガス工作物等を保安区画に区分し設備群間距離を確保。
📖 解説(乙種ベース)
製造所の門の前に立つと、まずさくと接近禁止の表示が目に入る。敷地の内側では設備どうしが一定の間隔をあけて並ぶ。4条から7条は、この「人を近づけない」「設備を離す」という空間の設計を担う条文群だ。
第4条は立入防止。対象は製造所・供給所(周囲の状況により公衆が立ち入るおそれがない場合を除く)で、構内に公衆がみだりに立ち入らないよう適切な措置(さく等の設置+接近禁止表示)を講じる。第2項では対象が変わり、移動式ガス発生設備・整圧器(一の使用者用を除く)について、公衆がみだりに操作しないよう適切な措置を求める。「立ち入らない」と「操作しない」で項が分かれている。
第5条は保安通信設備。対象は製造所(特定製造所を除く)・供給所・導管を管理する事業場で、緊急時に迅速な通信を確保するための適切な通信設備(加入電話・専用電話・無線電話等)を置く。4条と5条で規定対象がずれる点が急所だ。5条にだけ「導管を管理する事業場」が加わり、「特定製造所を除く」という括弧書きが付く。
第6条は離隔距離で、第1〜8項からなる。第1項が定めるのは、ガス発生器・増熱器・ガス精製設備・排送機・圧送機・ガスホルダー・附帯設備(製造設備)と事業場境界線との距離だ。圧力が高いほど距離は長い。そして境界線上に障壁を設けると距離が縮む——スピーカーの前に衝立を立てれば音が届きにくくなるのと同じ理屈である。
■事業場境界線までの距離(技告示2条) ※[ ]内は境界線上に障壁を設けた場合
事業場境界線からの離隔距離| 設備・圧力 | 離隔距離 |
|---|---|
| ガス発生器・ガスホルダー(高圧) | 20m以上 |
| 同(中圧) | 10m[5m]以上 |
| 同(低圧) | 5m[3m]以上 |
| 増熱器・ガス精製設備・排送機・圧送機・附帯設備 | 3m[0m]以上 |
第2項は距離を測る相手を変える。今度は保安物件に対し告示で定める距離(技告示3条)を確保する。第一種に当たるのは、学校(小中高・幼稚園等。大学は入らない)、病院、劇場・映画館・公会堂等、福祉施設等、博物館・重要美術品建築物、駅、百貨店・ホテル等。第二種は住居である。
学校といっても大学は入らない——これが最初のひっかけだ。そして第一種の多くには規模の条件が付く。人が多く集まる施設ほど守るべき距離が要る、という考え方であり、この数値がそのまま出題される。
あわせて、6条2項〜11条は「不活性のガス・不活性の液化ガスのみを通ずるもの」を適用除外とする。燃えないガスしか通らない設備に、火災を前提とした距離を課しても意味がないからだ。
第7条は保安区画。対象は特定事業所における高圧のガス又は液化ガスを通ずるガス工作物(配管・導管を除く=「高圧のガス工作物等」)だ。設備の種類・規模に応じ保安上適切な区画に区分して設置し、高圧のガス工作物等の相互間に保安上必要な距離を確保する。事故を1区画に閉じ込めて、隣へ燃え移らせないための規定である。
ここまでの4条を並べると、規定対象がすべて違う。4条は製造所・供給所、5条は製造所(特定製造所除く)・供給所・導管を管理する事業場、7条は特定事業所。出題者はこの主語を入れ替えてくるので、条番号と対象をセットで持っておきたい。
⚡ 焦点ポイント
6条1項の境界線距離「高圧20m・中圧10m[5m]・低圧5m[3m]」は最頻出。保安物件は「劇場等は収容定員300人以上・大学は入らない」がひっかけ。4条=製造所・供給所/5条=製造所(特定製造所除く)・供給所・導管を管理する事業場/7条=特定事業所、と規定対象の違いを整理。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 境界線距離は障壁の有無で変わる(中圧10m→障壁ありで5m、低圧5m→3m)。保安物件の「劇場・映画館・公会堂等は収容定員300人以上」(100人・200人に書き換えるひっかけ)。「学校」に大学は含まれない。
- 「20m」「10m」「5m」「3m」が近い別の値に書き換えられる
3. 総則:8条(防消火)・9条(ガス滞留防止)・10条(電気設備防爆)・11条(火気距離)・12条(静電気除去)
重要度: ★ 乙B / 🟦 甲A
🎯 一言で
8条:製造所・供給所に防消火設備。9条:1項=製造所・供給所の室は漏えいガスが滞留しない構造/2項=製造所に漏えい検知・警報設備。10条:製造所・供給所のガス工作物や移動式ガス発生設備の付近の電気設備は防爆性能。11条:火気を取り扱う設備に対し適切な距離。12条:液化ガスを通ずるガス工作物に静電気除去措置。
📖 解説(乙種ベース)
ガス事故は、ふつう一段では起きない。漏れる、溜まる、火種に触れる、燃え広がる——段を踏んで大きくなる。8条から12条は、この列の途中からドミノを1枚ずつ抜いていく条文群だ。前半の8条(防消火)・9条(ガス滞留防止)に続き、10条(電気設備防爆)・11条(火気距離)・12条(静電気除去)と並ぶ。どの条文がどの段を止めているのかを意識すると、丸暗記が要らなくなる。
第8条は防消火設備。対象は製造所・供給所で、火災の発生を防止し、及び火災が発生した場合に被害を最小限度に止めるための消火・防火設備を設置する。条文の目的に「防止」と「被害の限定」の両方が書き込まれている点が特徴だ。
第9条はガス滞留防止で、1項と2項では対象も中身も違う。第1項の対象は製造所・供給所に存する、ガス又は液化ガスを通ずるガス工作物を設置する室で、ガス又は液化ガスが漏えいしたとき滞留しない構造であることを求める。第2項の対象は製造所(供給所は対象外)で、漏えいガスが滞留するおそれのある適当な場所に、漏えいを適切に検知し警報する設備を設置する。
1項は「室の構造」、2項は「検知・警報設備」。溜めない造りにするのと、溜まったら知らせるのとでは、担う段が違う。出題者はこの2項を「供給所にも必要」と広げてくる——本節で最も多いすり替えだ。
第10条は電気設備の防爆だ。対象は製造所・供給所に設置するガス・液化ガスを通ずるガス工作物又は移動式ガス発生設備の付近に設置する電気設備で、設置場所の状況及びガス・液化ガスの種類に応じた防爆性能を有することを求める。主語はガス工作物そのものではない。あくまで「付近の電気設備」だ。
第11条は火気を扱う設備との距離だ。対象は製造所・供給所のガス・液化ガスを通ずるガス工作物(低圧で地表面に滞留のおそれのないガス・配管・導管・火気を取り扱うものを除く)と移動式ガス発生設備。これらは外面から火気を取り扱う設備(一体となって製造・供給の用に供するものを除く)に対し適切な距離を確保する。
ここで効くのが表現の差だ。6条の離隔距離は告示で具体的な数値が定まるのに対し、11条は「適切な距離」にとどまる。出題者は11条を「告示で定める距離」と書き換え、6条と混ぜにくる。数値が出てこない条文だ、と覚えておけばよい。
第12条は静電気除去。対象は液化ガスを通ずるガス工作物(静電気により引火するおそれがない場合を除く)に限られ、生ずる静電気を除去する措置(接地棒の設置等。接地抵抗100Ω以下)を講じる。「ガスを通ずる」と広げてしまえば誤り。液化ガス限定である点が、この条文の唯一にして最大の急所だ。
🟦 甲種プラスα
甲種では「総則:8条(防消火)・9条(ガス滞留防止)・10条(電気設備防爆)・11条(火気距離)・12条(静電気除去)」の本文の内容をより深く理解した上で、論述問題への応用が問われます。条文番号や手続きの順序まで正確に押さえてください。
製造所の保安設備マップ(総則)⚡ 焦点ポイント
9条は「1項=滞留しない構造(製造所・供給所の室)」「2項=検知・警報設備(製造所のみ)」の対象の違いが問われる。12条は「液化ガスを通ずるもの」限定である点がひっかけ。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 9条2項の漏えい検知・警報設備は「製造所」のみ(「供給所にも必要」と書き換えるひっかけ)。11条の火気距離は「適切な距離」(告示で定める距離ではない)。12条は「ガスを通ずる」ではなく「液化ガスを通ずる」ガス工作物が対象。
4. 総則:13条(ガス置換等)・14条(材料)・15条1項(構造)・15条2項(耐圧試験)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
13条:製造設備のガス・液化ガスを通ずる部分は安全に置換できる構造(2項ベントスタック・3項フレアースタックにも適切な措置)。14条:主要材料は最高・最低使用温度で化学的・物理的影響に対し安全な機械的性質。15条2項:耐圧部分・液化ガスを通ずる部分は適切な方法による耐圧試験に耐えること(適用除外4号)。
📖 解説(乙種ベース)
ガスが残ったままの配管を溶接したらどうなるか——考えるまでもない。設備に手を入れる前に中身を入れ替えるのは、水槽の水を抜いてから底を掃除するのと同じ段取りだ。13条から15条は、その段取りと、設備そのものの丈夫さを定める。
第13条はガス置換等。対象はガス発生設備・ガス精製設備・排送機・圧送機・ガスホルダー・附帯設備(製造設備)のガス又は液化ガスを通ずる部分(不活性のみを通ずるものを除く)。これらはガス又は液化ガスを安全に置換できる構造でなければならない(例:ガス抜き装置・不活性ガス注入口)。作業手順の規定ではなく「構造」の規定——ここが出題の急所だ。第2項はベントスタックについて放出ガスが周囲に障害を与えないよう適切な措置を、第3項はフレアースタックについてふく射熱による障害の防止と安全放出の措置を求める。
第14条は材料。各号に掲げるガス工作物の主要材料は、最高使用温度及び最低使用温度において材料に及ぼす化学的・物理的影響に対し、設備の種類・規模に応じて安全な機械的性質を有していなければならない。常温で丈夫なだけでは足りない。使う温度の上端と下端、その両方で成り立つことを求めている。
第15条第1項は構造の規定だ。ガス工作物の耐圧部分は、設計圧力に対し十分な強度を有し、かつ適切な構造でなければならない。そのうえで、次の表に挙げる設備には実際に圧力をかけて確かめる試験が課される。
耐圧試験と気密試験の対比| 規定対象 | 規定内容 |
|---|---|
| ガスホルダー 液化ガス用貯槽 ガス発生設備に属する容器 配管(内圧0Pa超のもの) 導管及びガス栓 整圧器に取付けるガス加温 装置 昇圧供給装置の耐圧部分 | 適切な方法により耐圧試験を行ったときにこれに耐えること |
では、耐圧試験を免れるのはどれか。第15条第2項は4つの号で、適用除外となるガス工作物を並べる。ほかの手段で強度が確かめられるもの、あるいは圧力容器として扱うのが適さないものが並んでいる、と読むと筋が通る。
一号は溶接により接合された導管(海底導管等を除く)及びその附属設備で、非破壊試験に合格したもの。二号は延長15m未満の高圧導管・中圧導管及びその附属設備で、継手部と同一材料・寸法・施工方法の試験管が最高使用圧力の1.5倍以上の圧力試験に耐えたものだ。本体を試す代わりに、同じ条件で作った試験片を試す——それが「試験管方式」である。
三号は排送機・圧送機・圧縮機・送風機・液化ガス用ポンプ・昇圧供給装置。四号は整圧器・特定ガス発生設備に属する調整装置(試験管方式で担保)である。三号がまとめて回転機器の仲間だと気づけば、覚える負担は一気に減る。
最後に、この節でいちばん狙われる点を挙げておく。1.5倍という数字の居場所だ。本則はあくまで「適切な方法により耐圧試験」であって、1.5倍は二号・四号の試験管の条件として出てくる。出題者はこれを本則の数値に格上げしてくる。
⚡ 焦点ポイント
15条の本則は「適切な方法により耐圧試験」(1.5倍という数値は適用除外二号・四号の試験管条件に登場)。「溶接導管=非破壊試験」「15m未満高圧・中圧導管=試験管1.5倍」「排送機等・整圧器等は除外」の対応を整理。13条は作業手順ではなく「置換できる構造」の規定。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 本則は「適切な方法により耐圧試験」であり「1.5倍」は本則の数値ではない(適用除外二号・四号の試験管の条件)。「排送機・圧送機・圧縮機・送風機・液化ガス用ポンプ・昇圧供給装置は耐圧試験の適用除外」。
- 「排送機」「圧送機」「圧縮機」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
5. 総則:15条3項(気密試験)・16条(溶接部分)・17条(安全弁)
💡 図の見方:耐圧試験は中高圧が対象だが、気密試験は低圧のものも対象になるので右の円のほうが広い。最頻出の2点がそのまま位置で表れ、整圧器は右の円だけ(耐圧は除外だが気密は必要)、液化ガス用ポンプは円の外(気密試験は不要)に置かれる。
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
15条3項:ガス又は液化ガスを通ずる部分は気密試験で漏えいなし(除外:石炭原料ガス発生器・最高使用圧力0Pa以下・常時大気開放)。16条:溶接部分の仕上がり・事前確認・結果確認の3項目。17条:ガス発生設備等の容器(製造設備)で過圧のおそれあるものに安全弁設置。
📖 解説(乙種ベース)
耐圧試験と気密試験は、名前が似ているだけで見ているものが違う。片方は「壊れないか」、もう片方は「漏れないか」だ。浮き輪を水に沈めて泡が出ないかを確かめる——気密試験のイメージはそれに近い。壊れない浮き輪でも、針の穴があれば使えない。だから両者は別建てで規定される。本節はその気密試験(15条3項。除外は石炭原料のガス発生器・最高使用圧力0Pa以下・常時大気開放)から、溶接部分の仕上がり・事前確認・結果確認(16条)、ガス発生設備等の容器に置く安全弁(17条)へと進む。
第15条第3項の対象はガス工作物のうち、ガス又は液化ガスを通ずる部分だ。適切な方法により気密試験を行ったとき「漏えいがないもの」でなければならない。
適用除外は3つ。一号はガス発生器であって、石炭を原料とするもの。二号は前項第三号に掲げるもの(排送機・圧送機・圧縮機・送風機・液化ガス用ポンプ・昇圧供給装置)。三号は最高使用圧力が0パスカル以下のもの及び常時大気に開放されているものである。もともと圧力がかからないなら、圧をかけて漏れを探す意味がない——三号はそう読める。
ここから先が最頻出だ。耐圧試験は中高圧のガス工作物が対象だが、気密試験は低圧のものも対象になる。だから整圧器は耐圧試験が除外されているが、気密試験は必要だ。逆に液化ガス用ポンプは気密試験が「不要」——除外の二号に入っているからである。
第16条は溶接部分を3段構えで規制する。溶接は仕上がりを外から見ただけでは中の良否が分からない。だから「結果の質」「やり方の事前確認」「やった後の確認」を、それぞれ別の項で押さえる。
第1項は仕上がりだ。ガス又は液化ガスを通ずる部分であって内面に0Paを超える圧力を受ける部分の溶接部分は、溶込みが十分で、溶接による割れ等で「有害な欠陥がなく」、かつ「設計上要求される強度以上の強度」でなければならない。
第2項は事前確認である。圧力・容積の大きいガス工作物を溶接する場合は、「適切な機械試験等により適切な溶接施工方法等であることをあらかじめ確認」する。どこからが「大きい」のかは、次の表の数値で線が引かれる。
耐圧試験と気密試験の対象の重なり(整圧器と液化ガス用ポンプ)| 区分 | 事前確認が必要となる条件 |
|---|---|
| ガスを通ずる容器 | 0.2MPa以上で内容積0.04m³以上、又は内径200mm以上長さ1000mm以上 |
| 液化ガスを通ずる容器 | 最高使用圧力×内容積=0.004超のもの |
| 配管(内径150mm以上) | 高圧ガス又は液化ガスを通ずるもの |
| 導管 | 高圧ガスを通ずるもの、又は0.3MPa以上中圧で内径150mm以上 |
第3項は溶接結果の確認で、適切な試験方法により機械的性質を確認する。事前に方法を確かめ、事後に結果を確かめる。前後で挟む構えになっている。
第17条は安全弁だ。対象はガス発生設備・ガス精製設備・ガスホルダー及び附帯設備(容器に限る、製造設備)で、適用条件は最高使用圧力が高圧又は中圧のもの、及び液化ガスを通ずるもので「過圧が生じるおそれのあるもの」。液化ガス用貯槽(35条)・冷凍設備(29条)は適用除外となる。
求められるのは、圧力を逃すための適切な安全弁を設けること、そして当該安全弁は作動時に安全弁から吹き出されるガスによる障害が生じないよう施設することの2点だ。逃がすだけでは足りず、逃がした先まで面倒を見る。低圧のガスホルダーに安全弁を求める選択肢が出たら誤り——高圧又は中圧が条件であり、しかも製造設備の容器に限られる。
⚡ 焦点ポイント
「気密試験は液化ガス用ポンプが不要」「整圧器は耐圧試験除外だが気密試験は必要」の2点が最頻出引っ掛け。16条の溶接施工方法確認の閾値(0.2MPa以上・内容積0.04m³以上、内径150mm以上等)は数値暗記が必要。17条の「高圧又は中圧・製造設備の容器限定」を覚える。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 気密試験と耐圧試験の違い:耐圧試験は中高圧中心・回転機器除外。気密試験は低圧も含む全般・液化ガス用ポンプのみ除外。安全弁の設置対象は「製造設備に属する容器(液化ガス用貯槽・冷凍設備は除く)」。
6. 総則:18条(計測装置)・19条(警報装置)・20条(誤操作防止・インターロック)・21条(保安電力)・22条(付臭措置)・23条(計器室)
💡 図の見方:製造所・供給所の設備の並びに、18条から23条の装置がどこに付くかを重ねた図。上に載る計測装置と警報装置、下に敷く誤操作防止・インターロック・保安電力、出口の付臭、全体を見る計器室という配置で読む。左下の移動式ガス発生設備は18条が2項で別規定、19条は適用除外という扱いの差が要点。
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
18条:ガス発生設備等(移動式除く)に計測装置。19条:同(移動式除く)に警報装置。20条:遮断装置の誤操作防止・特定事業所のインターロック・潤滑油圧低下対策。21条:製造所・供給所の保安上重要な設備に保安電力。22条:使用者に供給する低圧ガスに付臭。23条:特定事業所の計器室は緊急時も安全に制御できるもの。
📖 解説(乙種ベース)
製造設備は、人が四六時中はりついて見張れるものではない。状態を数字で見せ、危うくなれば音で知らせ、誤った操作は受け付けない。18条から20条は、操縦席の計器盤と警告灯にあたる装置を並べた条文だ。後半では21条(保安電力)・22条(低圧ガスへの付臭)・23条(計器室)が続く。
第18条は計測装置等だ。1項の対象はガス発生設備(移動式を除く)・ガス精製設備・ガスホルダー・排送機・圧送機・附帯設備(製造設備)。これらには、設備の損傷を防止するため使用状態を計測又は確認できる「適切な装置を設けなければならない」。2項は移動式ガス発生設備について「適切な措置が講じられていなければならない」。外すのではなく、別建てにしている点がポイントだ。
第19条は警報装置。対象はガス発生設備(移動式を除く)・ガス精製設備・ガスホルダー・排送機・圧送機・附帯設備(製造設備)で、設備の損傷に至るおそれのある状態を検知し警報する適切な装置を求める。移動式ガス発生設備は適用除外だ(27条の緊急停止装置があるため)。18条は移動式を2項で拾い、19条は完全に外す——この差がそのまま引っかけになる。
第20条は誤操作防止及びインターロックで、3項に分かれる。1項は製造所・供給所・移動式ガス発生設備に設置する遮断装置について「誤操作を防止し、かつ確実に操作することができる措置」を求める。2項は特定事業所に設置する高圧のガス若しくは液化ガスを通ずるガス工作物について「適切なインターロック機構」を保安上重要な箇所に設置する。
3項が相手にするのは外部強制潤滑油装置を有する排送機・圧送機だ。潤滑油圧が異常に低下した場合に、自動的に他の潤滑油装置を作動させ、又は自動的に排送機・圧送機を停止させる装置を設ける。人が気づくのを待たず、機械が自分で退く仕組みである。
第21条は保安電力等だ。対象は製造設備を安全に停止させるのに必要な装置その他の製造所及び供給所の保安上重要な設備で、「停電等により当該設備の機能が失われることのないよう適切な措置」を講じる。停電しても止められること——それが保安の最低線である。
第22条は付臭措置。都市ガスはもともと無臭で、漏れても人は気づけない。そこで、ガスの使用者及びガスを供給する事業を営む者(低圧に限る)に供給されるガスは、「容易に臭気によるガスの感知ができるように」付臭されていなければならない。義務の範囲が低圧に限られている点が最大の急所だ。
適用除外は5つある。共通するのは、においに頼らずとも漏えいに気づける相手か、そもそも一般の使用者ではない相手か、という点だ。中圧以上の大口供給に付臭を求める選択肢が出たら誤りである。
第23条は計器室。対象は特定事業所に設置する計器室(ガス工作物を制御するための機器を集中的に設置する室)で、「緊急時においても当該ガス工作物を安全に制御できるもの」でなければならない。制御を1か所に集めた以上、その1か所が異常時に真っ先に機能を失っては本末転倒だからだ。
製造所・供給所に置く保安の装置(18条〜23条)⚡ 焦点ポイント
22条の「付臭措置は低圧に限る・適用除外5つ」と「空気中混容比率1000分の1」は最頻出。19条の「移動式ガス発生設備を除く」(27条の緊急停止装置があるため)も出る。21条の「停電等により機能が失われることのないよう」という文言を覚える。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 18条(計測装置)は「移動式ガス発生設備」を1項の適用除外にして2項で別規定。19条(警報装置)は移動式を「完全除外」。この違いが引っ掛け。22条付臭は「低圧」の供給に限る(中圧以上の大口供給は除外)。
🗒️ 3分で復習(章末まとめ)
🎯 全節 一言まとめ
- 節1 技省令の概要・法体系・性能規定の特徴・ガス工作物の定義: 技省令(ガス工作物の技術上の基準を定める省令)は性能規定を採用。法体系:ガス事業法→技省令→技術上の基準を定める告示(技告示)→解釈例(技解釈例)。ガス工作物とはガス事業の用に供するガスの製造・供給・消費設備の総称。
- 節2 総則:4条(立入防止)・5条(保安通信)・6条(離隔距離)・7条(保安区画): 4条:製造所・供給所に立入防止措置(2項:移動式ガス発生設備・整圧器の操作防止)。5条:製造所(特定製造所除く)・供給所・導管を管理する事業場に保安通信設備。6条:事業場境界線・保安物件との離隔距離(告示)。7条:特定事業所の高圧のガス工作物等を保安区画に区分し設備群間距離を確保。
- 節3 総則:8条(防消火)・9条(ガス滞留防止)・10条(電気設備防爆)・11条(火気距離)・12条(静電気除去): 8条:製造所・供給所に防消火設備。9条:1項=製造所・供給所の室は漏えいガスが滞留しない構造/2項=製造所に漏えい検知・警報設備。10条:製造所・供給所のガス工作物や移動式ガス発生設備の付近の電気設備は防爆性能。11条:火気を取り扱う設備に対し適切な距離。12条:液化ガスを通ずるガス工作物に静電気除去措置。
- 節4 総則:13条(ガス置換等)・14条(材料)・15条1項(構造)・15条2項(耐圧試験): 13条:製造設備のガス・液化ガスを通ずる部分は安全に置換できる構造(2項ベントスタック・3項フレアースタックにも適切な措置)。14条:主要材料は最高・最低使用温度で化学的・物理的影響に対し安全な機械的性質。15条2項:耐圧部分・液化ガスを通ずる部分は適切な方法による耐圧試験に耐えること(適用除外4号)。
- 節5 総則:15条3項(気密試験)・16条(溶接部分)・17条(安全弁): 15条3項:ガス又は液化ガスを通ずる部分は気密試験で漏えいなし(除外:石炭原料ガス発生器・最高使用圧力0Pa以下・常時大気開放)。16条:溶接部分の仕上がり・事前確認・結果確認の3項目。17条:ガス発生設備等の容器(製造設備)で過圧のおそれあるものに安全弁設置。
- 節6 総則:18条(計測装置)・19条(警報装置)・20条(誤操作防止・インターロック)・21条(保安電力)・22条(付臭措置)・23条(計器室): 18条:ガス発生設備等(移動式除く)に計測装置。19条:同(移動式除く)に警報装置。20条:遮断装置の誤操作防止・特定事業所のインターロック・潤滑油圧低下対策。21条:製造所・供給所の保安上重要な設備に保安電力。22条:使用者に供給する低圧ガスに付臭。23条:特定事業所の計器室は緊急時も安全に制御できるもの。
⚡ 全節 焦点ポイント
- 節1: 「技省令は性能規定」という特徴が出題される。法体系の順番(法→省令→告示→解釈例)と、定義の列挙(受電設備を含む・最末端はガス栓)は暗記対象。「高圧・中圧・低圧」の数値(1MPa/0.1MPa)も頻出。
- 節2: 6条1項の境界線距離「高圧20m・中圧10m[5m]・低圧5m[3m]」は最頻出。6条2項は保安物件に対する告示距離で、第一種=学校(大学は入らない)・病院・劇場等、第二種=住居という区分を押さえる。7条は特定事業所の高圧のガス工作物等を保安上適切な区画に区分して設置する規定。
- 節3: 9条は「1項=漏えいしたガスが滞留しない構造(製造所・供給所の室)」「2項=漏えいを検知し警報する設備(製造所のみ)」の対象の違いが問われる。10条の「防爆構造」という用語、12条の「静電気除去」は穴埋めに出る。
- 節4: 15条の本則は「適切な方法により耐圧試験」であり、最高使用圧力の1.5倍という数値は適用除外二号・四号の試験管条件に登場する点がひっかけ。「耐圧試験の適用除外」(排送機・圧送機・圧縮機・送風機・整圧器等)も出題される。13条は作業手順ではなく「ガスを安全に置換できる構造」の規定である点を確認。
- 節5: 「気密試験は液化ガス用ポンプが不要」「整圧器は耐圧試験除外だが気密試験は必要」の2点が最頻出引っ掛け。16条の溶接施工方法確認の閾値(0.2MPa以上・内容積0.04m³以上、内径150mm以上等)は数値暗記が必要。17条の「高圧又は中圧・製造設備の容器限定」を覚える。
- 節6: 22条の「付臭措置は低圧に限る・適用除外5つ」と「空気中混容比率1000分の1」は最頻出。19条の「移動式ガス発生設備を除く」(27条の緊急停止装置があるため)も出る。21条の「停電等により機能が失われることのないよう」という文言を覚える。
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