
- 特定工事=特定ガス消費機器の設置又は変更の工事(軽微なものを除く)
- ガス消費機器設置工事監督者の資格と職務
- 施工後の表示の貼付義務
特定ガス消費機器の設置工事を規制する『特監法』(特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律)を扱う章です。ふろがま・瞬間湯沸器・排気筒の工事は誰がやってもいいわけではなく、有資格者の監督が必要です。
乙種・甲種兼用 / 全8節 / 学習目安: 60〜90分
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📍 はじめに
ガス機器の設置ミス(排気筒の傾き、給排気不良など)は、CO中毒事故の主原因です。特監法はこのリスクを「工事の監督」によって低減する独立法。ガス事業法・ガス用品の規制とは別レイヤーで動いています。
📚 テキスト解説
各節は次の構成で進みます。
– 🎯 一言で
– 📖 解説(乙種ベース)
– 🟦 甲種プラスα(必要な節のみ)
– ⚡ 焦点ポイント
– 📝 過去問のひっかけ例
📑 この章の目次(全8節)
1. 特監法の目的・背景・ガス事業法との関係(特監法1条)
💡 図の見方:上段は時間軸で、制定以前の措置がいずれも事故の後に効く事後的措置だったのに対し、特監法は設置工事の段階に手を入れる法律であることを示す。下段の2本柱はガス事業法162条と特監法が組で消費機器の設置工事の安全を支える関係で、特監法の義務者は特定工事事業者。
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
特監法(昭和54年制定)は給排気設備の不備による事故防止のため、設置工事段階に監督者制度を設けた法律。ガス事業法162条(施工事業者の基準適合義務)の補完的位置づけ。
📖 解説(乙種ベース)
食中毒を出してから店を閉めさせるより、調理場を先に点検したほうがいい。特監法——正式名称「特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律」は、その発想で昭和54年(1979年)に生まれた。工事の段階に手を入れる法律である。
制定以前も手当てはあった。ガス事業法の規定に基づき、①ガス事業者に給排気調査義務・通知義務、②大臣が消費機器の所有者・占有者に技術基準適合命令が課されていた。だがこれらはいずれも「事後的措置」だ。設置工事の欠陥が原因の事故を、根本的に防げなかった。
そこで目的が定まる。特監法1条は、特定ガス消費機器の設置又は変更の工事の欠陥に係るガスによる災害の発生を防止するため、これらの工事の事業を行う者の「工事の監督に関する義務等」を定めることを目的とする。守る相手は「工事の欠陥」であって、機器そのものの欠陥ではない。
ガス事業法との関係も整理しておく。ガス事業法162条は、施工事業者が設置・変更工事を技術基準に適合させる義務(基準適合義務)を課す。特監法はその規制の実効が上がるよう、「補完的な位置づけ」として監督者制度を設ける。ガス事業法162条とセットで、消費機器の「設置工事」の安全を確保する2本立てだ。
違いは規制の幅にある。ガス事業法はガス事業者・施工事業者・消費機器所有者等、様々な主体を規制する。特監法は「特定工事事業者」に絞った監督義務・表示義務を定める専門法である。「特監法の義務者はガス小売事業者」と書かれたら誤り——正解は特定工事事業者だ。
特監法は工事の段階に手を入れる法律(ガス事業法162条との関係)⚡ 焦点ポイント
特監法の目的「工事の欠陥に係るガスによる災害の発生を防止」と、ガス事業法162条(施工事業者の基準適合義務)を補完するという位置づけを覚える。「昭和54年制定」という制定年度も稀に問われる。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 特監法は「設置工事の監督」に特化した法律。ガス事業法の周知・調査義務(法159条)とは別の法体系。試験で「特監法の義務者は誰か」という問いに対し「ガス小売事業者」とするのは誤り(特定工事事業者が正解)。
2. 特定ガス消費機器の定義(3品目:ふろがま・湯沸器・排気筒等)(特監法2条・政令1条)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
特定ガス消費機器は政令で定める3品目。①ふろがま②ガス湯沸器(瞬間湯沸器12kW超・その他7kW超)③①②の排気筒・排気扇。消費量基準が重要。
📖 解説(乙種ベース)
花火大会で許可が要るのは大玉だけだ。すべての消費機器に有資格者の監督を求めれば現場は回らない。そこで特監法は、危ない機器だけを名指しする。それが特定ガス消費機器である。
定義はこうだ(特監法2条1項・政令1条)。ガスバーナー付ふろがま、ガス瞬間湯沸器その他のガス事業法159条1項に規定する消費機器であって、構造・使用状況等からみて設置又は変更の工事の欠陥によりガスによる災害の発生のおそれが多いと認められるもので、「政令で定めるもの」をいう。判断の軸は「工事の欠陥で危ないか」に絞られている。
政令1条が挙げる品目は3つ。①ガスバーナー付ふろがま及びガスバーナーを使用できる構造のふろがま(並びにこれらの排気筒及び当該排気筒に接続される排気扇)で、消費量の制限はなく全品が対象だ。
②はガス湯沸器(暖房兼用のものを含む)で、ここに線が引かれる。ガス瞬間湯沸器はガス消費量が「12kWを超えるもの」、その他のもの(貯湯湯沸器・常圧貯蔵湯沸器等)は「7kWを超えるもの」(並びにその排気筒及び当該排気筒に接続される排気扇)である。
そして③が見落とされやすい。①・②の排気筒及び排気筒に接続される排気扇も特定ガス消費機器だ。機器本体だけでなく排気設備まで規制対象となる——ここを外した選択肢が出る。
ガス用品の特定ガス用品(法137条2項)と特定ガス消費機器(特監法)の比較
特監法の対象=特定ガス消費機器3品目| 制度 | 根拠法 | 品目 | 消費量基準 |
|---|---|---|---|
| 特定ガス用品 | ガス事業法・法137条2項 | 4品目(半密閉燃焼式の湯沸器・ストーブ・ふろがま、ふろバーナー) | ― |
| 特定ガス消費機器 | 特監法・政令1条 | 3品目(ふろがま・大型湯沸器・排気筒排気扇) | ふろがま:制限なし(全品)/瞬間湯沸器:12kW超/その他湯沸器:7kW超 |
上表のとおり、名称は似ているが対象品目が異なる。特定ガス用品はガス事業法に基づく製造・販売段階の制度、特定ガス消費機器は特監法に基づく設置工事段階の制度。規制がかかる段階が違えば、対象も変わる。
⚡ 焦点ポイント
「特定ガス消費機器」の消費量基準(ふろがま全品・瞬間湯沸器12kW超・その他湯沸器7kW超)は穴埋め頻出。ガス用品の「特定ガス用品4品目」との混同に注意。排気筒・排気扇も含まれる点も重要。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 瞬間湯沸器は「12kWを超えるもの」(12kW「以下」は特定ガス消費機器ではない)。貯湯湯沸器等「その他のもの」は「7kWを超えるもの」(瞬間湯沸器の12kWと区別すること)。
- 「12kW」が「17kW」「7kW」と書き換えられる
3. 特定工事の定義と軽微な工事(省令2条)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
特定工事=特定ガス消費機器の設置又は変更の工事(軽微な工事を除く)。軽微な工事3ケース:屋外設置・排気筒等の単純変更・安全装置変更なしの燃焼器変更。
📖 解説(乙種ベース)
電球を替えるのと、配線をやり直すのは違う。どちらも「電気の工事」と呼べてしまうが、危険度は桁が違う。特定工事の線引きも同じで、軽い作業にまで監督者を呼ばせては制度が回らない。
定義はこうだ。「特定工事」とは、特定ガス消費機器の設置又は変更の工事(経済産業省令で定める軽微なものを除く)をいう(特監法2条2項・省令2条)。つまり原則は全部特定工事で、軽微なものだけが抜ける構造である。
抜けるのは3ケース(省令2条)。1つ目は特定ガス消費機器であって「屋外に設置されるもの」の設置又は変更の工事(屋内に位置を変更するものを除く)。屋外設置の機器は密閉燃焼式や屋外式のため、室内での給排気リスクが低いからだ。逆に言えば、屋内へ位置を変更する工事は軽微にならない。
2つ目は特定ガス消費機器の「排気筒等の変更工事」であって、排気筒等の材料・位置・形状・能力の変更を「伴わないもの」(密閉式の特定ガス消費機器の給排気部に係るもの及び①に掲げるものを除く)。単純な清掃・接続し直し等、実質的変更を伴わない軽微な作業を指す。
3つ目は特定ガス消費機器に該当する燃焼器の「変更の工事」であって、ガス消費量の増加、位置の変更、又は告示で定める「安全装置の機能の変更」を伴わないもの(密閉式の特定ガス消費機器の給排気部に係るもの及び①に掲げるものを除く)である。
ここで③の但し書きが効いてくる。安全装置の変更は事故の原因になりやすい。だから一連のガス機器事故の再発防止として、「安全装置の変更に係る工事」を軽微工事の除外から除いた——つまり特定工事の対象に追加したのだ。安全装置の変更工事は特定工事であり、監督者による監督が必要になる。
特定工事と軽微な工事の判定⚡ 焦点ポイント
軽微な工事3ケースは穴埋め頻出。「屋外設置の工事」「材料・位置・形状・能力変更を伴わない排気筒変更」「安全装置変更を伴わない燃焼器変更」の3つを覚える。安全装置変更は軽微工事「ではない」点が最重要。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 屋外設置の機器でも「屋内に位置を変更するもの」は軽微工事の例外から外れる(特定工事の対象)。安全装置の機能変更を伴う工事は軽微工事ではなく特定工事(監督者が必要)。
- 「材料」「位置」「形状」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
4. 特定工事の監督義務と監督の方法(特監法3条・省令3条)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
特定工事事業者は特定工事施工時に、ガス消費機器設置工事監督者に実地の監督をさせるか、自ら実地に監督しなければならない。監督の方法は省令3条の3項目。
📖 解説(乙種ベース)
調理実習では、包丁を握るのは生徒でも、脇に先生が立つ。特定工事も同じ構えだ。工事そのものを禁じるのではなく、有資格者の目を現場に置く——それが特監法3条の設計である。
義務者は「特定工事事業者」。特定工事を施工するときは、特定工事がガス事業法162条または液化石油ガス法38条の2の規定に適合することを確保するため、「実地の監督」を行わなければならない。やり方は2通りだ。①「ガス消費機器設置工事監督者」の資格を有する者に実地の監督をさせるか、②その資格を有する「特定工事事業者自身」が直接実地に監督するかである。
ここに例外が1つ。これらの者が「自ら特定工事を行う場合」は監督不要だ。資格者が自分の手で施工しているなら、その脇にもう1人立たせる意味がない。
監督の中身も省令3条で決まっている。特定工事の施工場所において、次の3項目を行う。一は特定ガス消費機器の設置場所、排気筒等の形状及び能力並びに「安全装置の機能を喪失させてはならない」ことを指示すること。二は特定工事の「作業を監督」することだ。
三は特定ガス消費機器がガス事業法159条2項(消費機器の技術基準)または液化石油ガス法35条の5の経済産業省令で定める技術上の基準に「適合していることを確認」すること。①指示(安全装置機能喪失禁止)、②作業監督、③技術基準適合確認——始まりと途中と終わりを1人が通しで押さえる形である。
穴埋めで狙われるのは「一」の言い回しだ。設置場所や形状・能力に紛れて「安全装置の機能を喪失させてはならない」の一句が入る。ここを落とすと、監督の3項目は再現できない。
特定工事の監督義務の構造⚡ 焦点ポイント
監督者でなく「特定工事事業者自身が資格を有する場合」も自ら監督できる。「自ら特定工事を行う場合は監督不要」という例外も重要。監督の3項目(指示・監督・確認)は穴埋め問題に頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「自ら特定工事を行う場合は監督不要」(施工者自身が作業する場合は別途監督者は不要)。資格を有する事業者本人が施工すれば、監督者を別途置く必要はない。監督の方法「一」に「安全装置の機能を喪失させてはならないことを指示」という表現が使われる。
- 「指示」「監督」「確認」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
5. ガス消費機器設置工事監督者の資格3種類・再講習3年(特監法4条・省令9条)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
監督者の資格は3種類(①講習修了者②液化石油ガス設備士③大臣認定者)。①③は資格証交付翌年度開始日から3年以内に再講習が必要。受けなければ資格を失う。
📖 解説(乙種ベース)
定期券は買った日から使えるが、期限が来れば止まる。監督者の資格も同じで、取れば一生ものではない。3年ごとの再講習が、資格をつなぎ留めている。
まず取り方だ。次の3種類のいずれかに該当する者が「ガス消費機器設置工事監督者」の資格を有する(特監法4条)。①経済産業大臣又はその指定する者が行う「知識・技能に関する講習の課程を修了した者」(「特定工事に係るガスによる災害の発生の防止に関する講習」を修了)。②「液化石油ガス設備士」であること。③経済産業省令で定めるところにより、①②に掲げる者(前二号)と同等以上の知識及び技能を有しているとして「経済産業大臣の認定を受けた者」である。
次に維持だ。①または③に該当する者(「講習修了資格者等」という)は、経済産業大臣又はその指定する者が行う「特定工事に係るガスによる災害の発生の防止に関する講習」(再講習)を受けなければならない(特監法4条2項・省令9条)。
期限の数え方に癖がある(省令9条)。1回目は資格証の交付を受けた日の属する年度の「翌年度の開始の日から3年以内」、2回目以降は前回の再講習を受けた日の属する年度の「翌年度の開始の日から3年以内」だ。交付日から3年ではない。年度で区切り、その翌年度の頭から3年——出題者はここを「交付を受けた日から3年以内」に丸めてくる。
受けなければどうなるか。講習修了資格者等が前項の講習を受けなかったときは、「ガス消費機器設置工事監督者の資格を失う」(特監法4条3項)。停止でも保留でもなく、失うのだ。
ただし②の液化石油ガス設備士は再講習の義務がない。LPG法で別途管理されているためである。再講習が要るのは①③のみ——3種類をひとまとめにした選択肢は誤りだ。
監督者の資格と3年ごとの再講習⚡ 焦点ポイント
資格3種類(①講習修了②液化石油ガス設備士③大臣認定)のうち②は再講習不要。再講習の期限「翌年度の開始の日から3年以内」は穴埋め頻出。再講習未受講で「資格を失う」という効果も重要。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「資格証の交付を受けた日から3年以内」ではなく「交付を受けた日の属する年度の翌年度の開始の日から3年以内」(年度単位で計算)。液化石油ガス設備士(②)は再講習不要(①③のみが再講習義務あり)。
- 資格3種類(①講習修了②液化石油ガス設備士③大臣認定)のうち②は再講習不要
- 再講習の期限「翌年度の開始の日から3年以内」は穴埋め頻出
6. 監督者の義務等・資格証の携帯(特監法5条)
💡 図の見方:2つの資格者を並べて、追加される1つが何かを見る図。特監法の監督者にだけ資格証の携帯義務が加わる。携帯は常時ではなく職務を行うときで、液化石油ガス設備士が監督者になる場合は資格証ではなく免状を携帯する。
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
監督者は誠実に監督職務を行う義務がある。特定工事に従事する者は監督者の指示に従う義務がある。監督者は職務を行うときに資格証を携帯しなければならない。
📖 解説(乙種ベース)
学生証は持っているだけでは足りない。求められる場面で出せなければ意味がない。監督者の資格証も同じ扱いで、特監法5条は3つの義務を並べて置いている。
1つ目は監督者本人の義務だ。特定工事を実地に監督する者は、その「監督の職務を誠実に行わなければならない」(特監法5条1項)。2つ目は現場側の義務で、特定工事に従事する者は、監督者が同項の監督の職務を行う上で必要があると認めてする「指示に従わなければならない」(特監法5条2項)。監督権限は、従う側の義務があって初めて機能する。
3つ目が携帯義務である。特定工事を実地に監督し、又は自ら特定工事を行う者は、その監督の職務を行い、又は自ら特定工事を行うときは、「資格証」(液化石油ガス設備士にあっては液化石油ガス設備士免状)を携帯していなければならない(特監法5条3項)。常時ではなく「職務を行うとき」だ。
ここでガス主任技術者と並べると輪郭が出る。ガス主任技術者(ガス事業法30条)は、誠実に職務を行う・従事者は指示に従うの2本。特監法の監督者(特監法5条)はそこに資格証携帯が加わる。構造は類似しているが、特監法では資格証携帯義務が追加される点で差がつく。
携帯するものは資格の種類で変わる。①講習修了者・③大臣認定者は「資格証」(特監法所定の書面)、②液化石油ガス設備士は「液化石油ガス設備士免状」だ。設備士に「資格証」を持たせる選択肢が出たら誤りである。
監督者の3つの義務と、ガス主任技術者との差は携帯義務⚡ 焦点ポイント
監督者の3義務(誠実な職務・従事者の指示服従・資格証携帯)は穴埋め頻出。特にガス主任技術者と比べて「資格証携帯義務」が追加される点を区別する。液化石油ガス設備士の場合は「資格証」ではなく「免状」を携帯。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 資格証携帯義務は「職務を行うとき」(常時ではなく実際に特定工事の監督を行うとき)。液化石油ガス設備士(②)が監督者となる場合は「資格証」ではなく「液化石油ガス設備士免状」を携帯しなければならない。
7. 表示義務(特監法6条・省令14〜15条)と報告の徴収(特監法7条)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
特定工事事業者は施工後に特定ガス消費機器の見やすい場所に4項目の表示を付す義務がある。経済産業大臣は特定工事事業者に報告を求めることができる。
📖 解説(乙種ベース)
絵の隅にサインが入るのは、誰が描いたかを後から辿れるようにするためだ。特定工事の表示も同じ役目を負う。誰が、いつ、何をしたか——それを機器の上に残す義務が特監法6条である。
義務者は「特定工事事業者」。タイミングは特定工事を「施工したとき」で、施工前ではない。場所は当該特定工事に係る特定ガス消費機器の「見やすい場所」に。方法は容易にはく離しない方法、様式は様式第4による表示である(省令14条)。剥がれる表示では意味がないから、方法まで指定されている。
表示すべきは4項目(省令15条)。一は特定工事事業者の「氏名又は名称及び連絡先」。二は法第3条本文の規定により特定工事を実地に監督し、又は同条ただし書の規定により自ら特定工事を行った「ガス消費機器設置工事監督者の氏名及び資格証(液化石油ガス設備士にあっては液化石油ガス設備士免状)の番号」。三は「施工内容」、四は「施工年月日」だ。
なぜここまで求めるのか。消費機器に表示することで、工事後にガス小売事業者が調査の際に監督者制度の遵守を確認でき、問題発生時に工事事業者を特定でき、消費者が監督者資格の有無を確認できる。表示は、後から効いてくる保安の証跡なのだ。
最後に報告の徴収(特監法7条)。経済産業大臣は、特定工事に係るガスによる「災害の発生の防止のため必要があると認めるとき」は、「特定工事事業者」に対し、特定工事の施工に関し「報告させることができる」。相手は特定工事事業者であって、消費者ではない。
特定工事の表示義務⚡ 焦点ポイント
表示の4項目(事業者の氏名・連絡先、監督者の氏名・資格証番号、施工内容、施工年月日)は穴埋め頻出。表示の方法「容易にはく離しない方法」も問われる。報告の徴収の対象は「特定工事事業者」(消費者ではない)。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 表示は工事後に「施工したとき」に付す(施工前ではない)。液化石油ガス設備士が監督者の場合は「資格証番号」ではなく「液化石油ガス設備士免状の番号」を記載する。2項目の書き方が異なる点に注意。
- 表示の4項目(事業者の氏名・連絡先、監督者の氏名・資格証番号、施工内容、施工年月日)は穴埋め頻出
- 表示の方法「容易にはく離しない方法」も問われる
8. 消費機器に関する保安規制の全体像(特監法・ガス事業法・ガス用品の関係)
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
消費機器による事故防止は①適正なガスの製造供給②消費機器の正しい使用③適正な消費機器の製造・販売④消費機器の適正な設置の4側面から規制される。
📖 解説(乙種ベース)
1枚の網では魚は逃げる。消費機器の事故防止も同じで、4重の網が重ねて張られている。ガス事業法と特監法、そしてガス用品の規制が、それぞれ別の穴をふさぐ。
消費機器による事故防止は、以下の4つの視点から複数の法律・規制が連携して対応する。ガスそのもの、使い方、機器の中身、据え付け方——事故に至る道筋を段階で切っている、と読むとよい。
消費機器保安規制の4側面マップ| 視点 | 規制の中身 | ねらい |
|---|---|---|
| ①適正なガスの製造・供給(ガス事業法) | ガス事業者による熱量・燃焼性・圧力の測定(法第2章) | 適合ガスの供給確保 |
| ②消費機器の正しい使用(ガス事業法159条) | ガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)による「周知義務」(ガスの使用に伴う危険防止の周知)・「調査義務」(消費機器の技術基準適合調査) | 消費者への情報提供と既設機器の定期点検 |
| ③適正な消費機器の製造・販売(ガス事業法第4章:ガス用品) | ガス用品の指定・表示制度(届出事業者が基準適合表示を付す)/表示品以外の販売禁止(販売業者への規制) | 安全な機器だけが市場に流通する仕組み |
| ④消費機器の適正な設置(特監法・ガス事業法162条) | ガス事業法162条=施工事業者の技術基準適合義務/特監法=特定工事事業者の監督義務・表示義務(資格者による監督)/ガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)による消費機器の設置状況調査(ガス事業法159条2項)/経済産業大臣による技術基準適合命令(消費機器所有者・占有者:ガス事業法161条) | 設置工事の段階から事故を防ぐ仕組み |
この中で特監法が受け持つのは、④の中の「設置工事時の監督(事前規制)」だ。ガス事業法の調査・命令(事後規制)と組み合わせて、多層的に消費機器の安全を確保する。事前と事後——この向きを入れ替える選択肢が出る。
特定工事事業者が負うのは3つの義務である。①監督義務(特監法3条)=監督者による実地監督、②表示義務(特監法6条)=工事後の機器への表示、③基準適合義務(ガス事業法162条準用)=工事の技術基準適合だ。
⚡ 焦点ポイント
4つの規制の視点(製造供給・使用・製造販売・設置)と各規制の担当者・法律の対応関係を整理する。特監法は「設置工事の監督(事前規制)」に特化。試験で各法律の義務者・内容の対応が問われる。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 消費機器保安規制は「ガス事業法の周知・調査」と「特監法の監督・表示」が別々の義務主体(ガス小売事業者 vs 特定工事事業者)に課されている。この2つを混同しないこと。
- 「製造供給」「使用」「製造販売」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
🗒️ 3分で復習(章末まとめ)
🎯 全節 一言まとめ
- 節1 特監法の目的・背景・ガス事業法との関係(特監法1条): 特監法(昭和54年制定)は給排気設備の不備による事故防止のため、設置工事段階に監督者制度を設けた法律。ガス事業法162条(施工事業者の基準適合義務)の補完的位置づけ。
- 節2 特定ガス消費機器の定義(3品目:ふろがま・湯沸器・排気筒等)(特監法2条・政令1条): 特定ガス消費機器は政令で定める3品目。①ふろがま②ガス湯沸器(瞬間湯沸器12kW超・その他7kW超)③①②の排気筒・排気扇。消費量基準が重要。
- 節3 特定工事の定義と軽微な工事(省令2条): 特定工事=特定ガス消費機器の設置又は変更の工事(軽微な工事を除く)。軽微な工事3ケース:屋外設置・排気筒等の単純変更・安全装置変更なしの燃焼器変更。
- 節4 特定工事の監督義務と監督の方法(特監法3条・省令3条): 特定工事事業者は特定工事施工時に、ガス消費機器設置工事監督者に実地の監督をさせるか、自ら実地に監督しなければならない。監督の方法は省令3条の3項目。
- 節5 ガス消費機器設置工事監督者の資格3種類・再講習3年(特監法4条・省令9条): 監督者の資格は3種類(①講習修了者②液化石油ガス設備士③大臣認定者)。①③は資格証交付翌年度開始日から3年以内に再講習が必要。受けなければ資格を失う。
- 節6 監督者の義務等・資格証の携帯(特監法5条): 監督者は誠実に監督職務を行う義務がある。特定工事に従事する者は監督者の指示に従う義務がある。監督者は職務を行うときに資格証を携帯しなければならない。
- 節7 表示義務(特監法6条・省令14〜15条)と報告の徴収(特監法7条): 特定工事事業者は施工後に特定ガス消費機器の見やすい場所に4項目の表示を付す義務がある。経済産業大臣は特定工事事業者に報告を求めることができる。
- 節8 消費機器に関する保安規制の全体像(特監法・ガス事業法・ガス用品の関係): 消費機器による事故防止は①適正なガスの製造供給②消費機器の正しい使用③適正な消費機器の製造・販売④消費機器の適正な設置の4側面から規制される。
⚡ 全節 焦点ポイント
- 節1: 特監法の目的「工事の欠陥に係るガスによる災害の発生を防止」と、ガス事業法162条(施工事業者の基準適合義務)を補完するという位置づけを覚える。「昭和54年制定」という制定年度も稀に問われる。
- 節2: 「特定ガス消費機器」の消費量基準(ふろがま全品・瞬間湯沸器12kW超・その他湯沸器7kW超)は穴埋め頻出。ガス用品の「特定ガス用品4品目」との混同に注意。排気筒・排気扇も含まれる点も重要。
- 節3: 軽微な工事3ケースは穴埋め頻出。「屋外設置の工事」「材料・位置・形状・能力変更を伴わない排気筒変更」「安全装置変更を伴わない燃焼器変更」の3つを覚える。安全装置変更は軽微工事「ではない」点が最重要。
- 節4: 監督者でなく「特定工事事業者自身が資格を有する場合」も自ら監督できる。「自ら特定工事を行う場合は監督不要」という例外も重要。監督の3項目(指示・監督・確認)は穴埋め問題に頻出。
- 節5: 資格3種類(①講習修了②液化石油ガス設備士③大臣認定)のうち②は再講習不要。再講習の期限「翌年度の開始の日から3年以内」は穴埋め頻出。再講習未受講で「資格を失う」という効果も重要。
- 節6: 監督者の3義務(誠実な職務・従事者の指示服従・資格証携帯)は穴埋め頻出。特にガス主任技術者と比べて「資格証携帯義務」が追加される点を区別する。液化石油ガス設備士の場合は「資格証」ではなく「免状」を携帯。
- 節7: 表示の4項目(事業者の氏名・連絡先、監督者の氏名・資格証番号、施工内容、施工年月日)は穴埋め頻出。表示の方法「容易にはく離しない方法」も問われる。報告の徴収の対象は「特定工事事業者」(消費者ではない)。
- 節8: 4つの規制の視点(製造供給・使用・製造販売・設置)と各規制の担当者・法律の対応関係を整理する。特監法は「設置工事の監督(事前規制)」に特化。試験で各法律の義務者・内容の対応が問われる。
📝 一問一答(過去問ランダム)
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