
- 周知は2年に1回(特定建物は1年に1回)
- 調査で不適合→遅滞なく通知・再通知は毎年度
- 保安業務規程は9項目(工作物の保安規程13項目と別物)
消費機器(家庭・業務用ガス機器)の保安を定める章です。事業者は消費者にどう周知するか、調査はどの頻度で、不適合時はどう対応するか。後半は技術基準として、排気筒・給排気部・燃焼器の設置基準を扱います。家庭の安全に直結する重要章で、論述・マーク両方で頻出。
乙種・甲種兼用 / 全17節 / 学習目安: 60〜90分
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📍 はじめに
ガス事業者は売りっぱなしではいけません。消費者に正しい使い方を周知し、定期的に消費機器を調査し、不適合があれば通知する義務があります。後半の技術基準は、CO中毒事故防止のための排気・給気の物理的なルールです。
📚 テキスト解説
各節は次の構成で進みます。
– 🎯 一言で
– 📖 解説(乙種ベース)
– 🟦 甲種プラスα(必要な節のみ)
– ⚡ 焦点ポイント
– 📝 過去問のひっかけ例
📑 この章の目次(全17節)
- 1. 消費機器の定義と保安業務6項目(法159条概要)
- 2. 消費機器保安に関する事業者の分担(周知・調査・災害時・帳簿)
- 3. 周知義務の概要・義務者・周知事項9項目(法159条1項・規197条)
- 4. 周知の頻度・方法(2年に1回以上・特定建物1年に1回以上)
- 5. 保安上重要な消費機器の周知(機器別頻度・書面記載事項)
- 6. 周知不要のケース・電磁的方法・周知状況の報告
- 7. 消費機器の調査義務・頻度・例外(法159条2項・規200条)
- 8. 不適合の通知・再通知・再調査・帳簿保存(法159条3〜6項)
- 9. 調査結果の託送事業者への通知(法159条4項・規204条)
- 10. 保安業務規程の作成・届出・変更命令・遵守(法160条)
- 11. 保安業務規程に定めるべき9項目(規207条)と保安業務監督者
- 12. 基準適合命令・施工事業者義務・ガス事業者間連携(法161〜163条)
- 13. 消費機器の技術基準概要と給排気方式の分類(規202条)
- 14. 排気筒を設置しなければならない燃焼器と消費量基準(規202条一号)
- 15. 排気筒の基準比較(CF式 vs FE式・CF式+排気扇)(規202条二号)
- 16. 給排気部の基準(BF式・FF式)と排気扇・室の基準(規202条三〜六号)
- 17. 燃焼器の基準(特定地下街等・超高層建物等・中圧以上)(規202条八〜十二号)
1. 消費機器の定義と保安業務6項目(法159条概要)
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
消費機器とはガスを消費する場合に用いられる機械又は器具(附属装置含む)。ガスの使用に伴う危険防止のための保安業務は6項目からなる。
📖 解説(乙種ベース)
ガス事業における保安は2本柱でできている。1本目はガス工作物の工事・維持・運用に関する保安(第3章)。2本目が、消費機器に関する保安(第5章:ガス使用に伴う危険防止)だ。導管が運んだガスは、最後に台所や浴室で燃える。その終着駅を守るのが、この章である。
では「消費機器」とは何か。法159条は、ガスを消費する場合に用いられる機械又は器具(附属装置を含む)と定義する。狙いどころは括弧の中だ。機器本体だけでなく排気筒・排気扇等も含み、燃料電池やコージェネレーション装置等も含む。
なぜ附属装置まで含めるのか。ガス使用に伴う主な危険が2つあるからだ。1つは不完全燃焼によるCO中毒、もう1つはガスの漏えいによる火災・爆発。前者は排気が詰まれば起こる——だから排気の設備まで規制の網に入れておく必要がある。
この2つの危険を断つため、法159条は事業者に保安業務6項目を課した。売りっぱなしを許さない設計である。中身と条文の対応は下表のとおりで、周知に始まり、調査、不適合の通知へと連なる。
| № | 保安業務 | 根拠 |
|---|---|---|
| ① | 消費機器使用者に対する「周知」 | 法159条1項 |
| ② | 消費機器が技術基準に適合しているかの「調査」 | 法159条2項 |
| ③ | 技術基準不適合の場合の「通知」 | 法159条3項 |
| ④ | ガスによる「災害時の措置」 | 法159条5項 |
| ⑤ | 帳簿に調査及び通知事項の「記載と保存」 | 法159条6項 |
| ⑥ | 託送事業者への「調査結果の通知」 | 法159条4項 |
出題者が手をつけるのは、この表の言葉の入れ替えだ。「周知」を「調査」に、「通知」を「報告」に差し替える。似た言葉ほど狙われると心得たい。
⚡ 焦点ポイント
消費機器の定義に「附属装置を含む」点(排気筒・排気扇も消費機器)は頻出。保安業務6項目の分類(周知・調査・通知・災害時・帳簿・託送通知)は穴埋め問題に頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 消費機器はガスを「消費する」機械・器具。ガスを輸送・貯蔵するガス工作物とは異なる。排気筒・排気扇も「消費機器」に含まれる(機器の附属装置として)。
- 「周知」「調査」「通知」のいずれかが他の用語と入れ替えられる(類似名称の混同)
2. 消費機器保安に関する事業者の分担(周知・調査・災害時・帳簿)
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
周知・調査・通知・帳簿はガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)の義務。災害時の措置はガス小売・一般導管・特定導管の3事業者が義務を負う。
📖 解説(乙種ベース)
誰が消費機器の面倒を見るのか。ガスを売った者か、管を持つ者か。サッカーで言えばポジションの割り振りである。答えを先に言うと、周知・調査・通知・帳簿はガス小売事業者の持ち場だ。
ただし例外が1つある。ガス小売事業者がいない場合等に一般ガス導管事業者が最終保障供給を行うときは、その導管事業者が小売と同等の義務を負う。下表の「○(最終保障供給時)」がそれにあたる。
では守備範囲が最も狭いのは誰か。ここが分担表の急所だ。災害時の措置だけは、ガス小売・一般導管・特定導管の3事業者すべてが義務を負う。人命に関わる場面で、管を持つ者を免責するわけにはいかないからである。
消費機器保安の事業者分担マップ| 保安業務 | ガス小売事業者 | 一般ガス導管事業者 | 特定ガス導管事業者 |
|---|---|---|---|
| 周知・調査・通知 | ○ | ○(最終保障供給時) | × |
| 託送事業者への通知 | ○ | ○(最終保障供給時) | × |
| ガスによる災害時 | ○ | ○ | ○ |
| 帳簿保存 | ○ | ○(最終保障供給時) | × |
最終保障供給とは、ガス小売事業者がいない場合等に一般ガス導管事業者が供給を引き受ける仕組みである。このとき一般ガス導管事業者はガス小売事業者と同等の義務を負う。役割を肩代わりする以上、義務も丸ごと付いてくる。
一方、特定ガス導管事業者は「ガスによる災害時の措置」のみ義務を負う。周知・調査・通知・帳簿は義務なしだ。ここで出題者は「一般と特定は同じ義務」と書いてくる。特定は災害時だけ——この一点を崩さないこと。
もっとも、義務が分かれても連携は切れない。ガス事業者間の連携を定める法163条により、ガス小売事業者とガス導管事業者は平常時・災害発生時ともに連携・協力しなければならない。分担と連携は別の話である。
最後に条文番号を押さえる。周知は法159条1項(規197〜199条)、調査は法159条2項(規200〜201条)、不適合通知は法159条3項(規200条)。託送通知は法159条4項(規204条)、災害時は法159条5項、帳簿は法159条6項(規205条)である。
⚡ 焦点ポイント
特定ガス導管事業者は「災害時の措置のみ」義務という点が頻出引っ掛け。周知・調査義務はガス小売事業者(と最終保障供給を行う一般ガス導管事業者)のみ。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 特定ガス導管事業者には周知・調査・帳簿の義務がない(災害時の措置のみ)。「一般ガス導管事業者と特定ガス導管事業者で義務内容が同じ」という誤り選択肢に注意。
3. 周知義務の概要・義務者・周知事項9項目(法159条1項・規197条)
💡 図の見方:誰が誰に向けて義務を負うかを、矢印の向きで確かめる図。最頻出はニで、「ガスの使用者のとるべき緊急の措置」と「事業者への連絡」の両方が入る。どちらか一方だけを書いた選択肢は誤り。
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
ガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)は消費機器使用者にガスの使用に伴う危険の発生防止に関する事項を周知する義務がある。規197条で9項目(イ〜リ)が定められている。
📖 解説(乙種ベース)
ガスは買った瞬間から危険物になる。だから事業者は、使い方の説明を渡さずに供給を始めてはならない。家電に取扱説明書が同梱されるのと同じ理屈だ。法159条1項の周知義務は、この「説明を渡す」義務である。
義務者はガス小売事業者(最終保障供給の場合は一般ガス導管事業者)。対象者は消費機器使用者(ガスを消費する機械・器具の使用者)である。内容はガスの使用に伴う「危険の発生の防止」に関し必要な事項を周知させることだ。
その中身が、規197条の周知事項9項目(イ〜リ)だ。並べるとばらばらに見えるが、筋は通っている。まず機器がそのガスに合うか(イ)、次に日々の管理と使う場所の環境(ロ・ハ)、そして異常時の身の処し方(ニ以下)——平時から緊急時へ降りていく順である。
周知義務は誰が誰に何を伝えるか(規197条イ〜リの9項目)| 号 | 周知事項(規197条) |
|---|---|
| イ | 消費機器の供給するガスに対する「適応性」に関する事項 |
| ロ | 消費機器の「管理及び点検に関し注意すべき基本的な事項」 |
| ハ | 消費機器を使用する場所の「環境及び換気」に関する事項 |
| ニ | ガス漏れを感知した場合その他供給するガスによる災害が発生し、又は発生するおそれがある場合における「ガスの使用者のとるべき緊急の措置」及びガス小売事業者又は一般ガス導管事業者若しくは特定ガス導管事業者に対する「連絡」に関する事項 |
| ホ | ガス瞬間湯沸器(不燃防付き小型)の使用に伴う危険防止に関し「経済産業大臣が定める事項」 |
| ヘ | ガスふろがまの「排気筒の点検」に関する事項 |
| ト | 「ガス漏れ警報設備の点検」に関する事項 |
| チ | 「消防機関に対する連絡」に関する事項 |
| リ | イからチまでに掲げるもののほか、ガスの使用に伴う危険の発生の防止に関し必要な事項 |
最頻出はニである。ここには「ガスの使用者のとるべき緊急の措置」と事業者への「連絡」の両方が入る。出題者はどちらか一方だけを書いて正誤を問うてくる。半分だけの選択肢は誤り——そう身構えておきたい。
渡し方も決まっている。周知事項を記載した「書面を配布する」ことが基本だ。ただし使用者の承諾を得た場合は、電磁的方法(電子メール・ウェブ閲覧等)による提供も可となる(規198条)。承諾が要る点は、後の節でも繰り返し効いてくる。
⚡ 焦点ポイント
9項目(イ〜リ)のうち試験で特に問われる:ハ(環境・換気)、ニ(緊急措置・連絡)、ホ(不燃防湯沸器・大臣定める事項)、ヘ(ふろがまの排気筒点検)、ト(ガス漏れ警報設備点検)、チ(消防機関連絡)。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 周知事項ニの「緊急措置」は「ガスの使用者のとるべき緊急の措置」(使用者自身の措置)と「事業者への連絡」の両方が含まれる。「緊急措置のみ」「連絡のみ」という半分の答えは不正解。
- 9項目(イ〜リ)のうち試験で特に問われる:ハ(環境・換気)、ニ(緊急措置・連絡)、ホ(不燃防湯沸器・大臣定める事項)、ヘ(ふろがまの排気筒点検)、ト(ガス漏れ警報設備点検)、チ(消防機関連絡)
4. 周知の頻度・方法(2年に1回以上・特定建物1年に1回以上)
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
周知はガスの使用申込み受付時と2年に1回以上。特定地下街等・超高層建物・特定大規模建物は1年に1回以上。特定地下街等の消費機器には4年に1回以上表示を付す。
📖 解説(乙種ベース)
周知は1回渡して終わりではない。住人は入れ替わり、機器は古びる。だから法は周期を決めた。避難訓練を年に1度繰り返すのと同じで、間隔が空きすぎれば意味を失うからだ。
基本の周期は2本立てである(規197条)。①ガスの使用申込み受付時、そして②2年に1回以上(イからニまでの事項を記載した書面を配布)。「受付時だけ」でも「2年ごとだけ」でもなく、両方だ——ここを片方に削るのが定番の手口である。
では、より危険な建物はどうか。特定地下街等、特定地下室等、超高層建物、特定大規模建物に係る使用者は「1年に1回以上」。基本の2年に1回より頻度が高い。逃げ場の少ない建物ほど周期を短くする、という筋が読めれば数字は逆にならない。
さらに特定地下街等・特定地下室等の消費機器には、書面配布とは別の義務が乗る。消費機器の周囲の見やすい場所に「4年に1回以上」、事項を記載した「表示を付す」のだ(書面配布ではなく「表示」)。表示内容はニ(緊急措置・連絡)、ト(ガス漏れ警報設備点検)、チ(消防機関連絡)の3つに絞られる。
表示にも逃げ道はある。使用者の承諾が得られない時、既に表示が付されている場合は表示不要だ。
周知状況の報告も忘れてはならない(規197条5号)。ガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)は、毎年度経過後「30日以内」に「周知状況の届出書」を産業保安監督部長に提出しなければならない。提出先は大臣ではない点に注意したい。
穴埋めで問われる形も確認しておく。周知義務の内容はガスの使用に伴う危険の発生の防止に関し必要な事項。周知頻度はガスの使用申込み受付時及び2年に1回以上。12kW以下の屋内設置ガス瞬間湯沸器は1年に1回以上である。
周知頻度のタイムライン(2年に1回/特定建物は毎年)⚡ 焦点ポイント
「2年に1回以上」が基本頻度で、特定建物は「1年に1回以上」。特定地下街等への表示は「4年に1回以上」。この3つの数字(2年・1年・4年)を混同しないこと。周知状況報告は「毎年度経過後30日以内」。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「特定地下街等への表示」は「4年に1回以上」(書面の2年に1回ではない)。また表示の内容はニ・ト・チの3項目(9項目全部ではない)。書面配布と表示は別の義務として区別する。
5. 保安上重要な消費機器の周知(機器別頻度・書面記載事項)
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
保安上重要な消費機器(6種類)には機器ごとに定まった頻度と書面記載事項がある。不燃防付き小型湯沸器・浴室内設置ふろがまが最頻出。
📖 解説(乙種ベース)
同じ「消費機器」でも危険度は横並びではない。すり減りの早いタイヤを先に見るように、事故が起きやすい機器ほど周知の周期は短くなる。規197条ロ・別表は、その考え方を6種類の機器へ落とし込んだものだ。
以下の6種類の消費機器の使用者には、申込み受付時と下表の頻度で書面を配布する。中でも不燃防付き小型湯沸器・浴室内設置ふろがまが最頻出だ。頻度と記載事項の組合せが、そのまま出題の素材になる。
| 機器 | 頻度 | 記載事項 |
|---|---|---|
| ①屋内設置ガス瞬間湯沸器(12kW以下、不燃防あり) | 1年に1回以上 | ハ(環境・換気)、ホ(大臣の定める事項)、リ |
| ②屋内設置ガス瞬間湯沸器(12kW以下、不燃防なし)※半密閉燃焼式・特監法表示なし含む | 1年に1回以上 | ハ(環境・換気)、リ(その他) |
| ③屋内設置ガス瞬間湯沸器(半密閉燃焼式・不燃防なし、特監法表示あり除く) | 1年に1回以上 | ハ、リ |
| ④浴室内設置ガスふろがま(自然排気式・排気扇なし)※特監法表示あり除く | 1年に1回以上 | ハ(環境・換気)、ヘ(排気筒点検)、リ |
| ⑤屋内設置ガスふろがま(自然排気式)※特監法表示・不燃防・密閉燃焼式除く | 2年に1回以上 | ハ、リ |
| ⑥開放燃焼式ガスストーブ(金属網製・不燃防なし) | 1年に1回以上 | ハ、リ |
表を丸暗記する前に、記載事項の構造をつかんでおきたい。全機種共通はハ(使用場所の環境・換気)とリ(その他必要事項)の2つ。ここに機器の弱点に応じて1つだけ足される、という形になっている。
足されるのは2通りだけだ。不燃防付き小型湯沸器のみ追加されるのがホ(経済産業大臣の定める事項)、浴室内ふろがまのみ追加されるのがヘ(排気筒の点検)である。浴室は排気筒の詰まりが命取りになる場所だから、点検が名指しされている。
⚡ 焦点ポイント
書面に記載する事項「ハ・リが共通」で、不燃防付き湯沸器はホが追加、浴室内ふろがまはヘが追加という構造を押さえる。頻度で2年に1回は「屋内自然排気式ふろがま」のみで、他は1年に1回。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 浴室内設置ふろがまは「1年に1回」(通常の屋内ふろがまの2年に1回より厳しい)。浴室は換気が問題になりやすいため頻度が高い。「屋内設置ふろがま=すべて2年に1回」という誤認に注意。
6. 周知不要のケース・電磁的方法・周知状況の報告
💡 図の見方:供給量の帯のどこに乗るかで周知の要否が変わることを見る図。真ん中の区分は「工業用建物」への供給に限られ、同じ量でも商業施設や住宅なら周知が必要。報告期限の30日と3月も取り違えやすい。
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
年間供給量50万m³以上の小売供給、または10万m³以上50万m³未満の工業用建物への供給は周知不要。ただし直近2年間連続して該当しなかった場合は周知必要。
📖 解説(乙種ベース)
プロの料理人に包丁の握り方は説明しない。ガスも同じで、大量に使う需要家には自前の保安体制がある。そこで規197条2項は、一定規模以上の小売供給について周知を免除した。
免除は2つだ。一の供給地点について約した小売供給が、①年間供給量が「50万m³(熱量46MJ基準、常温常圧)以上」の小売供給、または②年間供給量が「10万m³以上50万m³未満」の「工業用建物」への小売供給に該当するときは、ガスの使用者への周知を要しない。
②で効くのは「工業用建物」の4文字である。同じ供給量でも商業施設や住宅なら免除にならない。出題者はこの限定を黙って外してくる。
ただし免除は永続しない。一の供給地点について小売供給を2年以上行っている場合であって、直近の2年度における当該小売供給が「連続して正当な理由なく」上記①または②のいずれかに「該当しなかった」ときは、この限りでない(=周知が必要になる)。大口だと言い張りながら実績が伴わない供給を、免除から締め出す仕掛けだ。
渡し方の緩和もある。ガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)は、書面の配布に代えて、ガスの使用者の承諾を得て電磁的方法(電子メール送信・ウェブ閲覧・記録媒体交付)により周知事項を提供できる(規198条)。電磁的方法で提供した場合も、書面を配布したものとみなす。
とはいえ主導権は使用者にある。使用者から書面による提供の申出があれば書面を配布しなければならない(規199条)。承諾で始まり、申出で戻る——この往復を押さえておきたい。
最後に報告だ(規197条5号)。ガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)は毎年度経過後「30日以内」に周知状況の届出書を産業保安監督部長に提出する。周知不要だった場合も毎年度経過後「3月以内」に報告が必要だ(規197条3項)。「30日」と「3月」——この2つの期限を取り違えないこと。
周知が要らない供給量の区分と、報告期限の30日と3月⚡ 焦点ポイント
周知不要の2条件(50万m³以上・10万m³以上50万m³未満の工業用)は穴埋め頻出。「正当な理由なく連続2年度該当しなかった場合は周知必要」という例外もセットで覚える。報告期限「30日以内」。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 周知不要のケースは「工業用建物」への供給(10〜50万m³)。同じ供給量でも工業用でない建物(商業施設・住宅等)への供給は周知不要にならない。「工業用」という限定が重要。
- 「30日」が「35日」「25日」と書き換えられる
7. 消費機器の調査義務・頻度・例外(法159条2項・規200条)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
ガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)は消費機器が技術基準に適合しているかを調査する義務がある。基本頻度はガスの使用申込み受付時と4年に1回以上。
📖 解説(乙種ベース)
周知が「説明する」義務なら、調査は「見に行く」義務である。健康診断のようなもので、自覚症状がなくても定期的に確かめる。法159条2項はガス小売事業者(最終保障供給の場合は一般ガス導管事業者)に、消費機器が技術基準すなわち消費機器の「技術上の基準」に適合しているかどうかを調査する義務を課した。
頻度は規200条が決める。①ガスの使用申込み受付時、②4年に1回以上だ。周知の2年に1回と並べると、調査のほうが間隔が長い。ここを入れ替えるのが最頻出の手口である。なお「供給するガスに対する適応性」の調査は使用申込み受付時のみで、定期調査の対象ではない。
ただし調査には例外が3つある。1つ目は法159条2項ただし書きだ。消費機器を設置し、又は使用する場所に立ち入ることにつき、所有者又は占有者の「承諾を得ることができない」ときは調査不要。他人の家に無断で上がるわけにはいかない。
2つ目は規200条2項で、周知不要と同条件である。一の供給地点について約した小売供給が、年間供給量が50万m³以上の小売供給、または年間供給量が10万m³以上50万m³未満の工業用建物への小売供給に該当するときは調査不要となる。
3つ目は規201条だ。一般ガス導管事業者(又は特定ガス導管事業者)から直近の調査結果を提供されたときは、ガスの使用申込み受付時における調査が不要になる(ガスメーターの開栓を伴わない場合に限る)。託送供給の現場で二度手間を避けるための規定である。
穴埋めの形も確認しておく。調査頻度はガスの使用申込み受付時と4年に1回以上、帳簿保存は調査が次に実施されるまでの間だ。
消費機器調査の頻度と3つの例外⚡ 焦点ポイント
調査頻度「4年に1回以上」は周知の「2年に1回」と混同しやすい頻出問題。承諾が得られない場合は調査不要(周知も同様)。託送供給事業者から調査結果提供時は申込み受付時の調査不要(例外③)。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 調査の基本頻度は「4年に1回以上」(周知は「2年に1回以上」)。調査はより間隔が長い。また「供給するガスに対する適応性」の調査は「使用申込み受付時のみ」で定期調査対象外。
8. 不適合の通知・再通知・再調査・帳簿保存(法159条3〜6項)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
技術基準不適合を発見したら遅滞なく所有者・占有者に通知。再通知は毎年度1回以上。再調査は原則通知後1ヶ月経過後5ヶ月以内(R6改正例外:1月以内措置済を知った場合は通知日から6月以内)。帳簿は調査が次に実施されるまで保存。
📖 解説(乙種ベース)
調査で不適合が見つかった。ここからが本番だ。宿題を出しっぱなしにせず、期限を切って直させ、後でもう一度確かめる——法はその段取りを時間軸で組み立てている。
まず通知である。ガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)は、調査の結果、消費機器が技術基準に適合していないと認めるときは、「遅滞なく」、①適合するためにとるべき「措置」と②その措置をとらなかった場合に「生ずる結果」を所有者又は占有者に通知しなければならない(法159条3項)。危ないと告げるだけでなく、放置した先まで伝えるのが要点だ。
1回で直るとは限らない。そこで再通知が要る(規200条3項イ)。不適合通知後、毎年度1回以上、①とるべき措置と②措置をとらなかった場合に生ずる結果を再度通知しなければならない。例外は所有者が措置をした場合で、このとき再通知は不要になる。「占有者が措置をした場合」ではない点を狙われる。
そして再調査だ(規200条3項ロ)。原則は通知の日から「1ヶ月を経過した日以後5ヶ月以内」に、再び当該消費機器について調査(第一号の調査)を行わなければならない。なぜ直後ではないのか。直す時間を1ヶ月与えてから確かめる、という設計だからである。「通知後すぐに調査」と書いた選択肢は誤りだ。
【例外①:令和6年改正で追加】所有者又は占有者が「通知の日から1月以内」に技術基準に適合させる措置をとったことを、ガス小売事業者が知った場合は、「通知の日から6月以内」に再調査を行えばよい。1ヶ月待たずに早期に再調査して「措置確認」を済ませることが可能になった。【例外②】直近の当該調査がこのロの規定によるものである場合は不要である。
記録も義務だ。ガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)は帳簿を備え、調査及び通知業務に関する事項を記載し、保存しなければならない(法159条6項・規205条)。保存期間は「調査が次に実施されるまでの間」で、電磁的方法による保存も可である(規206条)。
帳簿の記載事項は8項目(規205条)。誰の機器を、いつ、誰が、何を見て、どう伝えたか——後から検証できる形で残す構成になっている。
不適合通知から再調査までのタイムライン| 号 | 帳簿の記載事項(規205条) |
|---|---|
| 一 | 所有者・占有者の氏名(名称)及び住所 |
| 二 | 燃焼器の製造者名又は輸入者名 |
| 三 | 燃焼器の型式及び製造年月 |
| 四 | 調査年月日 |
| 五 | 調査の内容 |
| 六 | 通知をしたときはその年月日及び内容 |
| 七 | 調査員の氏名 |
| 八 | 承諾を求めた年月日(承諾不要で調査した場合) |
⚡ 焦点ポイント
再通知は「毎年度1回以上」(年1回)。再調査のタイミング原則「通知後1ヶ月経過後5ヶ月以内」(2ヶ月目〜6ヶ月目)は穴埋め頻出。【令和6年改正・例外】所有者が通知日から1月以内に措置済を事業者が知れば「通知日から6月以内」に前倒し可。帳簿保存期間「調査が次に実施されるまでの間」。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 再調査は「通知後1ヶ月を経過した日以後5ヶ月以内」(通知直後ではなく1ヶ月後から開始)。「通知後すぐに調査」は誤り。【令和6年改正で追加された例外】所有者・占有者が通知日から1月以内に措置をとったことを事業者が知った場合に限り「通知日から6月以内」(1月待ち不要)に再調査可。再通知の例外は「所有者が措置をした場合」(占有者が措置をした場合は対象外に注意)。
9. 調査結果の託送事業者への通知(法159条4項・規204条)
💡 図の見方:矢印の向きを固定して覚える図。要るのは調査そのものの承諾ではなく「通知することの承諾」で、ここをすり替えた選択肢が定番。電磁的方法にするときの承諾は、使用者ではなく導管事業者から得る。
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
ガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)は調査実施後、遅滞なく調査結果を託送供給を行う一般ガス導管事業者又は特定ガス導管事業者に通知する義務がある。
📖 解説(乙種ベース)
調査した結果を小売事業者だけが握っていても、意味は薄い。管を持つ事業者にも回ってこそ、次の判断に使える。町内会の回覧板のように、情報を隣へ送る義務がここにある。
法159条4項だ。ガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)は、調査の結果(法159条2項の調査)を実施したときは、遅滞なく、調査の結果を、その供給するガスに係る託送供給を行う一般ガス導管事業者又は特定ガス導管事業者に「通知」しなければならない。
ただし勝手には送れない。消費機器の所有者又は占有者から調査結果を通知することの「承諾をあらかじめ得られなかった」場合は、通知不要となる(規204条)。所有者・占有者の承諾がないと通知できないのだ。ここで問われるのは承諾の中身である。調査そのものの承諾ではなく、「通知することの承諾」——出題者はこの2つをすり替えてくる。
方法は原則、書面による通知だ。ガス導管事業者の承諾を得て、電磁的方法による通知も可となる(規204条)。承諾の相手が使用者ではなく導管事業者である点に注意したい。
内容にも定めがある(規204条)。消費機器の使用者が規200条第1項第一号表上欄に掲げる消費機器(ガス湯沸器・ガスふろがま(不燃防なし)・排気筒・排気扇)を所有し、又は占有していない場合にあっては、その旨を含む。合わせて、帳簿(法159条6項で作成した帳簿)の情報を添えて行う。
受け取った側にも効き目がある。一般ガス導管事業者は、法159条4項の規定により通知された調査結果を保存しているときは、ガスの使用申込み受付時(ガスメーターの開栓を伴わない場合)の調査を要しない(規201条3〜4項)。保存期間は調査が次に実施されるまでの間だ。ガス小売事業者から一般ガス導管事業者へ渡るのは調査の結果——穴埋めの定番はここである。
調査結果は小売から導管事業者へ、承諾がなければ通知しない⚡ 焦点ポイント
通知先は「託送供給を行う一般ガス導管事業者又は特定ガス導管事業者」(両方が対象)。例外は「消費機器の所有者・占有者の承諾を得られなかった場合」。通知の代わりに電磁的方法も可(導管事業者の承諾要)。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 通知不要の例外条件は「所有者・占有者から調査結果を通知することの承諾をあらかじめ得られなかった場合」(調査そのものの承諾ではなく、「通知することの承諾」が得られなかった場合)。
10. 保安業務規程の作成・届出・変更命令・遵守(法160条)
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
ガス小売事業者(一般ガス導管事業者・特定ガス導管事業者にも準用)は保安業務規程を定め事業開始前に届け出る。変更時は遅滞なく届出。経済産業大臣が変更命令を出すことも可能。
📖 解説(乙種ベース)
会社が就業規則を作って届け出るように、事業者は保安のやり方を文書にして国へ出す。それが保安業務規程だ(法160条)。中身は保安業務——消費機器に関する周知・調査・通知・帳簿等(法159条)に関する規程である。
ここで名前の似た制度と必ず突き合わせたい。法24条はガス工作物の工事・維持・運用に関する保安規程(ガス工作物保安)、法160条は消費機器に関する保安業務の保安業務規程(消費機器保安)。名称が似ているだけで、根拠条文も内容も異なる。
作成・届出の義務者はガス小売事業者で、一般ガス導管事業者・特定ガス導管事業者にも準用される(法160条5項)。保安業務規程を定め、「事業の開始前に」経済産業大臣に届け出る(法160条1項)。変更したときは「遅滞なく」変更した事項を経済産業大臣に届け出る(法160条2項)。
ここが最大のすり替えどころだ。作成時は事業の開始前、変更時は遅滞なく。前者は事前、後者は事後——向きが逆である。変更を「あらかじめ」届け出ると書いた選択肢は誤りだ。
国の側にも手当てがある。経済産業大臣は保安業務の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、ガス小売事業者(一般ガス導管事業者・特定ガス導管事業者)に対し保安業務規程を「変更すべきことを命ずる」ことができる(法160条3項)。変更命令の相手は事業者であって、保安業務監督者でも保安統括者でもない。
そして遵守義務だ(法160条4項)。ガス小売事業者(一般・特定ガス導管事業者含む)及びその「従業者」は保安業務規程を守らなければならない。守るのは事業者とその従業者であり、ガスの使用者ではない。なお保安業務規程に定める事項には保安業務を管理する者の職務及び組織が含まれる。
⚡ 焦点ポイント
届出タイミングは「事業の開始前」。変更時は「遅滞なく」。遵守義務者は「ガス小売事業者(一般・特定ガス導管事業者含む)及びその従業者」。ガス工作物の保安規程(法24条)と比較して覚える(根拠・内容は異なるが届出時期は同じ「事業開始前」)。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 保安業務規程(法160条)はガス工作物の保安規程(法24条)とは別物。前者は消費機器保安に関するもの、後者はガス工作物保安に関するもの。試験では条文番号や目的を正確に区別する問題が出る。
11. 保安業務規程に定めるべき9項目(規207条)と保安業務監督者
💡 図の見方:名前が似た2つの規程を、項目数と中心となる者で見分ける図。ガス工作物の保安規程は13項目でガス主任技術者、消費機器の保安業務規程は9項目で保安業務監督者。特定ガス導管事業者は周知・調査等がないため8項目になる。
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
保安業務規程に定めるべき事項は9項目。特に保安業務監督者(保安業務を管理する事業場ごとに選任)が重要。ガス工作物保安規程の13項目とは異なる。
📖 解説(乙種ベース)
規程を作れと言われても、白紙からは書けない。何を書くかを定めたのが規207条の9項目だ。支店ごとに店長を置くように、この規程の柱には保安業務監督者の選任が据えられている。
対象はガス小売事業者・一般ガス導管事業者・特定ガス導管事業者である。9項目は下表のとおり。人(①〜④)、業務(⑤〜⑦)、規律(⑧⑨)の順に読むと頭に入りやすい。
保安規程13項目・保安業務規程9項目・特定導管8項目の対比| № | 定めるべき事項(規207条) |
|---|---|
| ① | 保安業務を管理する者の職務及び組織に関すること |
| ② | 保安業務を管理する事業場ごとの「保安業務監督者」の選任に関すること |
| ③ | 保安業務監督者が旅行・疾病その他事故によって職務ができない場合に、その職務を「代行する者」に関すること |
| ④ | 保安業務に従事する者に対する保安に係る「教育及び訓練」に関すること |
| ⑤ | 法159条1項の「周知」、同条2項の「調査」、同条3項及び4項の「通知」、同条6項の「保存」に関する業務の実施の方法に関すること |
| ⑥ | 災害その他非常の場合における「関係者との連絡体制の確保」、「必要な情報の提供その他ガス事業者がとるべき措置」に関すること |
| ⑦ | 保安業務についての「記録」に関すること |
| ⑧ | 保安業務に従事する者であって「保安業務規程に違反した者」に対する措置に関すること |
| ⑨ | その他保安に関し必要な事項 |
では特定ガス導管事業者の場合はどうか(規207条による準用)。①〜④と⑤(災害時措置部分)・⑥⑦⑧⑨の8項目になる。特定ガス導管事業者には⑤の周知・調査・通知・保存が該当しないからだ。義務のない業務は規程にも書きようがない、という当然の帰結である。
②の保安業務監督者は「保安業務を管理する事業場ごとに」選任する。ガス主任技術者制度と類似構造だ。加えて、旅行・疾病等で職務不能の場合の代行者も規定が必要になる。人が欠けても保安が止まらないようにする、という発想である。
最後に数字の対比を1つ。ガス工作物の保安規程はガス主任技術者制度中心で13項目(規24条・サイバーセキュリティ含む)、保安業務規程は保安業務監督者制度中心で9項目。13と9を取り違えると、そのまま失点する。
⚡ 焦点ポイント
「保安業務監督者」(保安業務規程で選任:消費機器保安)と「ガス主任技術者」(保安規程で選任:ガス工作物保安)の区別が頻出。保安業務規程9項目のうち②〜④は消費機器保安特有の事項。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 保安業務規程は9項目(ガス工作物の保安規程は13項目)。②「保安業務監督者の選任」はガス工作物の保安規程にはない独自項目。①の「保安業務を管理する者」と②の「保安業務監督者」は異なる(前者は全体、後者は事業場ごと)。
- 「保安業務監督者」(保安業務規程で選任:消費機器保安)と「ガス主任技術者」(保安規程で選任:ガス工作物保安)の区別が頻出
- 保安業務規程9項目のうち②〜④は消費機器保安特有の事項
12. 基準適合命令・施工事業者義務・ガス事業者間連携(法161〜163条)
💡 図の見方:命令の矢印がガス事業者ではなく所有者・占有者に向く点を確かめる図。ガス工作物の技術基準不適合(法21条)は相手がガス事業者で、ここが逆転して出題される。命令の内容も修理・改造・移転の3つに限られる。
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
大臣は技術基準不適合消費機器の所有者・占有者に修理・改造・移転を命令できる。施工事業者は設置・変更工事で技術基準適合義務がある。ガス事業者間は相互連携が義務。
📖 解説(乙種ベース)
駐車違反の切符は、運転させた会社ではなく車の持ち主にも及ぶ。消費機器の基準適合命令も、名宛人が誰かという話だ。経済産業大臣は、消費機器が消費機器の技術上の基準(規202条)に適合していないと認めるときは、当該消費機器の「所有者又は占有者」に対し、技術上の基準に適合するように当該消費機器を「修理し、改造し、又は移転すべきことを命ずる」ことができる(法161条)。
命じられるのは事業者ではない——ここが引っかけの核心である。ガス工作物の技術基準不適合なら相手は事業者だが、消費機器は所有者・占有者。主体が入れ替わった選択肢を疑ってかかりたい。
流れも押さえる。ガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)が調査して不適合を確認し、経済産業大臣(産業保安監督部長)を経て、消費機器の所有者(占有者)へ命令が届く。事業者が直接命じる立場にはない。
命令の内容は3種類——修理・改造・移転だ。ガス工作物の技術基準不適合の場合と同様の「修理・改造・移転・使用停止・制限」より少ない点に注意したい。消費機器には使用停止・使用制限・廃棄命令はない。他人の家の機器を止める権限までは踏み込まない、という線引きである。
設置する側にも義務がある。消費機器の設置又は変更の工事は、当該消費機器が消費機器の技術上の基準に適合するようにしなければならない(法162条)。義務者は消費機器の設置・変更工事を行う事業者(施工事業者)だ。工事の段階で基準を外さないようにする、上流側の歯止めである。
そして横のつながり。ガス事業者は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止に関し、「相互に連携を図りながら協力しなければならない」(法163条)。「公共の安全の維持」だけに限定した選択肢は誤りで、災害の発生の防止も含む。
3条文を並べれば整理は済む。法161条は大臣から消費機器所有者・占有者への基準適合「命令」、法162条は施工事業者の基準適合「義務」、法163条はガス事業者間「連携協力」義務である。
消費機器の基準適合命令は所有者・占有者に向けられる⚡ 焦点ポイント
命令の対象が「消費機器の所有者又は占有者」(ガス事業者ではない)という点が重要。施工事業者の義務(162条)は設置・変更工事時の適合義務。163条の連携は「相互に連携を図りながら協力」という表現を覚える。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 消費機器の基準適合命令(161条)の命令対象は「所有者・占有者」(ガス事業者ではない)。ガス工作物の技術基準不適合命令(法21条)の対象「ガス事業者」とは異なる。この逆転が試験問題の引っ掛けポイント。
13. 消費機器の技術基準概要と給排気方式の分類(規202条)
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
消費機器の技術基準(規202条)は排気筒・給排気部・排気扇・室・燃焼器等の基準からなる。屋内設置燃焼器は半密閉燃焼式・密閉燃焼式・開放燃焼式に分類される。
📖 解説(乙種ベース)
燃焼器は空気を吸い、排ガスを吐く。どこから吸ってどこへ吐くか——分類はこの2点だけで決まる。シュノーケルを思い浮かべるとよい。外の空気を吸って外へ吐けば室内は汚れないが、室内で吸えば酸素は減っていく。
規202条は消費機器の不完全燃焼防止等、消費機器を正常に燃焼させるための排気筒・給排気部の基準、室の基準等からなる。ここで扱うのは据え付け側の技術基準だ。機器本体に関する基準は、ガス用品として用品省令で規制される。守備範囲の違いをまず分けておきたい。
まず半密閉燃焼式。燃焼用空気を「屋内から取り込み」、燃焼排ガスを「排気筒によって屋外に排出」する方式である。排出の力の出どころで2つに割れる。自然通気力(ドラフト)を利用して排気筒で排出するのが自然排気式(CF式:Conventional Flue)で、ふろがま・大型湯沸器等がこれにあたる。送風機によって屋外に排出するのが強制排気式(FE式:Forced Exhaust)で、排気筒の高さ・断面積等の制約が少ない。
次に密閉燃焼式。燃焼用空気を「屋外から取り込み」、燃焼排ガスを「屋外に排出」し、給気・排気を「同じ管(給排気部)」で行う。自然通気力を利用するのが自然給排気式(BF式:Balanced Flue)、送風機を用いて強制的に給排気するのが強制給排気式(FF式:Forced Draught Balanced Flue)である。
最後が開放燃焼式(RF式:Roof Top Flue)。燃焼用空気を「屋内から取り込み」、燃焼排ガスを「屋内に排出」する。排ガスが室内に出る以上、換気がすべてになる。
頭文字で覚えるなら、F(Forced)が付けば送風機あり。CFとBFは自然、FEとFFは強制だ。出題者が触るのは、この「自然」と「強制」の入れ替えである。
給排気方式4種(CF/FE/BF/FF)の空気の流れ⚡ 焦点ポイント
CF/FE(半密閉)とBF/FF(密閉)の給排気方式は排気筒基準の問題で前提知識として必要。「半密閉=屋内空気使用・排気筒で排出」「密閉=屋外空気使用・給排気部で給排気」という基本構造を押さえる。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 CF式は「自然排気式」(FEは強制排気式)。BF式は「自然給排気式」(FFは強制給排気式)。CF・BF(自然)とFE・FF(強制)を混同しないこと。開放燃焼式(RF)は排気を屋内に放出するため換気が重要。
- CF/FE(半密閉)とBF/FF(密閉)の給排気方式は排気筒基準の問題で前提知識として必要
- 「半密閉=屋内空気使用・排気筒で排出」「密閉=屋外空気使用・給排気部で給排気」という基本構造を押さえる
14. 排気筒を設置しなければならない燃焼器と消費量基準(規202条一号)
💡 図の見方:7種の燃焼器を消費量基準で3つの仲間に分けた図。12kW超が調理機器・瞬間湯沸器・衣類乾燥機、7kW超が貯湯湯沸器・常圧貯蔵湯沸器・ストーブ、そしてふろがまだけは消費量の制限がなく全品に排気筒が要る。境界は『以上』ではなく『超える』。
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
屋内設置の半密閉燃焼式燃焼器に排気筒設置義務がある。消費量基準:調理機器・瞬間湯沸器・乾燥機12kW超、貯湯・常圧貯蔵・ストーブ7kW超、ふろがまは全品。
📖 解説(乙種ベース)
大人数で鍋を囲めば窓を開ける。火が大きいほど空気を汚すからだ。排気筒の要否も同じ発想で、燃焼器の消費量が一定の線を超えたら排ガスを屋外へ逃がせ、と規202条一号は求める。
対象は屋内設置の燃焼器。ただし「密閉燃焼式のものを除く」ので、実質は半密閉燃焼式が相手になる。密閉燃焼式はもともと屋外から吸って屋外へ吐くため、この規制の出番がない。
そのうえで7種の燃焼器に消費量の線が引かれる。線は12kWと7kWの2本、そして線を引かない例外が1つだ。
排気筒が必要な燃焼器の3グループ(12kW超・7kW超・制限なし)| 号 | 燃焼器 | 消費量基準 |
|---|---|---|
| イ | ガス調理機器 | 12kWを「超える」もの |
| ロ | ガス瞬間湯沸器(暖房兼用含む) | 12kWを「超える」もの |
| ハ | ガス貯湯湯沸器(暖房兼用含む) | 7kWを「超える」もの |
| ニ | ガス常圧貯蔵湯沸器 | 7kWを「超える」もの |
| ホ | ガスふろがま | 消費量の制限「なし」 |
| ヘ | ガスストーブ | 7kWを「超える」もの |
| ト | ガス衣類乾燥機 | 12kWを「超える」もの |
覚え方は仲間分けで、消費量基準は3分類になる。12kW超はガス調理機器・瞬間湯沸器・衣類乾燥機の「12の仲間」、7kW超は貯湯湯沸器・常圧貯蔵湯沸器・ストーブの「7の仲間」。制限なしはふろがまで、全品排気筒が必要になる。
ここで出題者が触るのは助詞ひとつだ。基準は「超える」であって「以上」ではない。12kW以下のガス調理機器に排気筒は不要、という命題が正しい。ガスストーブは7kW超、ガス瞬間湯沸器は12kW超——穴埋めはこの形で出る。
なお機器の構造上排気筒が困難な場合は、排気フードを設けることでも可だ(排気筒の代替措置)。
⚡ 焦点ポイント
消費量基準の3分類(12kW超・7kW超・制限なし)は穴埋め頻出。「ふろがまは消費量制限なし(全品排気筒必要)」は特に重要。「12kW以下のガス調理機器は排気筒不要」という正しい命題を理解する。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 消費量は「超える」(≧ではなく>)。12kW「以下」の調理機器には排気筒設置義務なし。密閉燃焼式(BF式・FF式)は排気筒規制の対象外(給排気部の基準が別途ある)。
- 「12kW」が「17kW」「7kW」と書き換えられる
15. 排気筒の基準比較(CF式 vs FE式・CF式+排気扇)(規202条二号)
💡 図の見方:CF式は自然の通気力だけが頼りなので排気筒の形と高さが排気を左右し、基準が厳しい。左の図に付いた4つの丸番号(逆風止め・断面積・高さ・風雨等の圧力)がCF式にだけある項目で、送風機のあるFE式にはない。下端の帯が両式共通の基準。
重要度: ★ 乙A / 甲B
🎯 一言で
CF式(自然排気式)の排気筒はFE式より基準が厳しく「逆風止め・断面積・高さ・風雨圧」の項目がCF式のみに適用される。材料・先端屋外・天井裏断熱・強度は両式共通。
📖 解説(乙種ベース)
線香の煙は放っておいても上へ流れる。だが扇風機を当てれば、煙は風の言うとおりに動く。CF式(自然排気式)とFE式(強制排気式)の違いは、まさにこれだ。
CF式は自然の通気力だけが頼りだから、排気筒の形と高さが排気の成否を直接左右する。だから基準が細かい。FE式は送風機が押し出すので、その手の制約が要らない。この「なぜ厳しいのか」を握れば、下表の空欄の位置は理屈で埋まる。
結果として、逆風止め・断面積・高さ・風雨圧の4項目がCF式のみに適用される。材料・先端屋外・天井裏断熱・強度は両式共通だ。規202条二号の全体像を下表で確かめたい。
CF式にだけある4項目(逆風止め・断面積・高さ・風雨等の圧力)| 基準項目 | CF式(自然排気式) | FE式(強制排気式) |
|---|---|---|
| 逆風止め | 機器と同一室内で機器に近接した箇所に取り付けること | ―(基準なし) |
| 断面積 | 排気筒の有効断面積は燃焼器の排気部との接続部の有効断面積より「小さくないこと」 | ―(基準なし) |
| 高さ | 基準の算式(h=(0.5+0.4n+0.1l)/(AV/5.16H)²)による算出値以上 | ―(基準なし) |
| 先端の構造(風雨等の圧力) | 鳥・落葉・雨水等の侵入又は「風雨等の圧力」により排気が妨げられない構造 | 「風雨等の圧力」の項がない |
| 材料 | 告示の規格に適合するもの又はこれと同等以上のもの(両式共通) | |
| 先端の位置 | 先端は屋外に出ていること、障害物等によって排気が妨げられない位置(両式共通) | |
| 天井裏・床裏等の断熱被覆 | 金属「以外」の不燃性材料で覆われていること(ただし排気ガス温度100℃以下の場合は除外)(両式共通) | |
| 強度 | 自重・風圧・振動等に十分耐え、接続部が容易に外れないよう堅固に取り付けること(両式共通) | |
| 凝縮水対応 | 凝縮水が溜まりにくい構造 | 凝縮水が溜まりにくい取り付け方 |
| 設置する室の給気 | 排気筒の有効断面積以上の給気口の室に設置すること(両式共通) | |
| 外壁貫通部 | ―(基準なし) | 排気筒と外壁との間に排気ガスが屋内に流れ込む隙間がないこと |
| 排気筒の形状 | ―(基準なし) | 排気ガスが給気口等から流出しないよう風量が十分確保されること |
表のどこを覚えるか。答えははっきりしている。半密閉燃焼式の自然排気式(CF式)にのみある基準4項目——逆風止め・断面積・高さ・風雨等の圧力だ。
⚡ 焦点ポイント
CF式にのみある4項目(逆風止め・断面積・高さ・風雨圧)を暗記する。天井裏の断熱被覆「金属以外の不燃性材料」という表現は穴埋め頻出。CF式の「先端の構造」には「風雨等の圧力」が含まれるがFE式には含まれない。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 断熱被覆は「金属以外の不燃性材料」(金属材料ではダメ)。また例外として「排気ガス温度100℃以下の場合は断熱被覆不要」。天井裏以外の部分(屋外露出部)はこの基準の対象外。
16. 給排気部の基準(BF式・FF式)と排気扇・室の基準(規202条三〜六号)
💡 図の見方:密閉燃焼式は排気筒ではなく給排気部の基準が適用される。二重管の外側で屋外から吸い、内側で屋外へ吐く向きが要点で、先端の構造に風雨等の圧力が入るのはBF式だけ(送風機のあるFF式にはない)。右枠は排気扇が停止した場合にガスの供給を自動的に遮断する装置。
重要度: ★ 乙A / 甲B
🎯 一言で
密閉燃焼式(BF・FF式)は排気筒ではなく給排気部の基準が適用される。排気扇は停止時にガス自動遮断装置が必要。室の基準は大型燃焼器は給気口、小型は換気扇と開口部が必要。
📖 解説(乙種ベース)
密閉燃焼式(BF・FF式)には排気筒がない。給気と排気を1本の管でまかなうからだ。二重構造のストローのように、外側で吸って内側で吐く。だから適用されるのも排気筒ではなく給排気部の基準になる(規202条六号)。
BF式・FF式共通の基準はこうだ。材料は金属その他の不燃性、耐食性を有するものであること。先端の位置は屋外に出ていること、障害物又は外気の流れにより給排気が妨げられない位置であること。給排気部の形状は燃焼が妨げられないよう風量が十分確保されるものであること。
残りの3つも共通である。強度は自重・風圧・振動等に十分耐え、接続部が容易に外れないよう堅固に取り付けること。外壁貫通部は排気ガスが屋内に流れ込む隙間がないこと。凝縮水対応は凝縮水が溜まりにくいように取り付けることだ。
差が出るのは先端の構造である。BF式は異物侵入又は「風雨等の圧力」により給排気が妨げられない構造、FF式は異物侵入により給排気が妨げられない構造で、風雨等の圧力の項がない。送風機のあるFF式は風に負けないから——理屈はCF式とFE式の関係と同じだ。
排気扇にも基準がある(規202条三号)。排気ガスに触れる部分は「不燃性のもの」であること。そして重要なのが安全装置で、排気扇が「停止した場合に燃焼器へのガスの供給を自動的に遮断する装置」を設けなければならない。排気が止まったまま燃え続ける状態こそ、CO中毒の入口だからである。
最後に室の基準(規202条四号・五号)。排気筒を設置する大型燃焼器は、排気筒の有効断面積以上の有効断面積を有する給気口その他給気上有効な開口部を設けた室に設置すること(四号)。吐く量に見合う吸い口がなければ、排気は流れない。
一方、排気筒を設置しない小型燃焼器は「換気扇又は有効な給排気のための開口部を設けた室」に設置する(五号)。対象はガス調理機器(12kW以下)・ガス瞬間湯沸器(12kW以下)・ガス貯湯湯沸器(7kW以下)・ガス常圧貯蔵湯沸器(7kW以下)・ガスストーブ(7kW以下)・ガス衣類乾燥機(12kW以下)だ。大型は「給気口」、小型は「換気扇又は開口部」——この対比が問われる。
密閉燃焼式(BF式・FF式)の給排気部と排気扇の遮断装置⚡ 焦点ポイント
排気扇の安全装置「停止した場合にガスの供給を自動的に遮断する装置」は穴埋め頻出。給排気部(密閉燃焼式)の先端構造でBF式のみ「風雨等の圧力」が含まれる点はCF式との比較でも問われる。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 排気扇の材料基準は「不燃性」(金属等の不燃材料)。小型燃焼器の室基準は「換気扇または開口部」(大型の「排気筒断面積以上の給気口」とは異なる)。規模・種類で基準が変わることに注意。
17. 燃焼器の基準(特定地下街等・超高層建物等・中圧以上)(規202条八〜十二号)
重要度: ★ 乙A / 甲B
🎯 一言で
特定地下街等・特定地下室等にはガス漏れ警報設備と金属管等での接続が必要。超高層建物・特定大規模建物・中圧以上は自動ガス遮断装置又はガス漏れ警報器が必要。
📖 解説(乙種ベース)
保険の等級が上がれば補償も手厚くなる。建物の危険度が上がれば、求められる保安設備も増える——規202条八〜十号はその発想でできている。逃げにくい場所ほど、装備は重い。
まず特定地下街等・特定地下室等に設置する燃焼器だ(八号・九号)。①ガス漏れ「警報設備」(複数の検知器からの信号を監視する警報設備)を設けること。②ガス栓との接続は、金属管・金属可とう管・両端に迅速継手の付いたゴム管・強化ガスホースを用いてガス栓と確実に接続すること。地下はガスが溜まる場所だから、検知と接続の両方を固める。
②には例外がある。過流出安全機構内蔵ガス栓(ヒューズ付ガス栓等)に接続する場合は②不要だ。栓の側で流出を止められるなら、接続材の縛りを重ねる必要がない。
次に超高層建物(住居用は調理室のみ)・特定大規模建物・中圧以上のガス供給を受ける燃焼器(十号)。ここでは「自動ガス遮断装置」(異常時に自動的にガスを遮断する装置:マイコンメータ等)又は「ガス漏れ警報器」を適切に設ける。例外は工場・廃棄物処理場・浄水場等ガスが滞留するおそれがない場所で、この場合は不要となる。
出題者が仕掛けるのは、この2群の入れ替えである。地下街等に「自動ガス遮断装置」を要求する選択肢が出たら誤り。地下街等はガス漏れ警報設備、超高層建物等は自動ガス遮断装置又はガス漏れ警報器だ。
建物の定義は4つとも数字で押さえたい。特定地下街等は地下街(延べ床面積1000m²以上)又は地下道に面している特定用途建築物(劇場・飲食店・百貨店・店舗・ホテル等)、特定地下室等は特定用途建築物の地階(床面積1000m²以上)等だ。超高層建物は高さが60mを超える建物、特定大規模建物は劇場・飲食店・百貨店・店舗・ホテル等である。
用語の区別も3つ整理しておきたい。ガス漏れ警報設備は複数の検知器(ガス漏れ警報器)からの信号を監視する警報設備であって、個別の警報器そのものとは別物だ。金属可とう管(金属コルゲート管)は可とう性を有する金属管(金属フレキシブルホース)、自動ガス遮断装置はガスの流量・圧力等の異常状態又はガスの漏えいを検知し、自動的にガスを遮断する装置(マイコンメータ等)を指す。
建物区分と必要な保安設備⚡ 焦点ポイント
特定地下街等「警報設備+金属管等接続」と超高層建物等「自動遮断装置又は警報器」の使い分けが頻出。「ガス漏れ警報設備」(複数検知器の警報設備)と「ガス漏れ警報器」(個別検知器)は別物。超高層建物は「高さ60m超」が定義。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 特定地下街等には「自動ガス遮断装置」ではなく「ガス漏れ警報設備」が必要(対象が異なる)。中圧以上の例外は「工場・廃棄物処理場等ガスが滞留するおそれがない場所」(ガスが滞留しない場所は検知器が不要)。
- 「60m」が「65m」「55m」と書き換えられる
🗒️ 3分で復習(章末まとめ)
🎯 全節 一言まとめ
- 節1 消費機器の定義と保安業務6項目(法159条概要): 消費機器とはガスを消費する場合に用いられる機械又は器具(附属装置含む)。ガスの使用に伴う危険防止のための保安業務は6項目からなる。
- 節2 消費機器保安に関する事業者の分担(周知・調査・災害時・帳簿): 周知・調査・通知・帳簿はガス小売事業者(最終保障供給時は一般ガス導管事業者)の義務。災害時の措置はガス小売・一般導管・特定導管の3事業者が義務を負う。
- 節3 周知義務の概要・義務者・周知事項9項目(法159条1項・規197条): ガス小売事業者は消費機器使用者にガスの使用に伴う危険の発生防止に関する事項を周知する義務がある。規197条で9項目(イ〜リ)が定められている。
- 節4 周知の頻度・方法(2年に1回以上・特定建物1年に1回以上): 周知はガスの使用申込み受付時と2年に1回以上。特定地下街等・超高層建物・特定大規模建物は1年に1回以上。特定地下街等の消費機器には4年に1回以上表示を付す。
- 節5 保安上重要な消費機器の周知(機器別頻度・書面記載事項): 保安上重要な消費機器(6種類)には機器ごとに定まった頻度と書面記載事項がある。不燃防付き小型湯沸器・浴室内設置ふろがまが最頻出。
- 節6 周知不要のケース・電磁的方法・周知状況の報告: 年間供給量50万m³以上の小売供給、または10万m³以上50万m³未満の工業用建物への供給は周知不要。ただし直近2年間連続して該当しなかった場合は周知必要。
- 節7 消費機器の調査義務・頻度・例外(法159条2項・規200条): ガス小売事業者は消費機器が技術基準に適合しているかを調査する義務がある。基本頻度はガスの使用申込み受付時と4年に1回以上。
- 節8 不適合の通知・再通知・再調査・帳簿保存(法159条3〜6項): 技術基準不適合を発見したら遅滞なく所有者・占有者に通知。再通知は毎年度1回以上。再調査は原則通知後1ヶ月経過後5ヶ月以内(R6改正例外:1月以内措置済を知れば6月以内に前倒し可)。帳簿は調査が次に実施されるまで保存。
- 節9 調査結果の託送事業者への通知(法159条4項・規204条): ガス小売事業者は調査実施後、遅滞なく調査結果を託送供給を行う一般ガス導管事業者又は特定ガス導管事業者に通知する義務がある。
- 節10 保安業務規程の作成・届出・変更命令・遵守(法160条): ガス小売事業者(一般ガス導管事業者・特定ガス導管事業者も準用)は保安業務規程を定め事業開始前に届け出る。変更時は遅滞なく届出。経済産業大臣が変更命令を出すことも可能。
- 節11 保安業務規程に定めるべき9項目(規207条)と保安業務監督者: 保安業務規程に定めるべき事項は9項目。特に保安業務監督者(保安業務を管理する事業場ごとに選任)が重要。ガス工作物保安規程の13項目とは異なる。
- 節12 基準適合命令・施工事業者義務・ガス事業者間連携(法161〜163条): 大臣は技術基準不適合消費機器の所有者・占有者に修理・改造・移転を命令できる。施工事業者は設置・変更工事で技術基準適合義務がある。ガス事業者間は相互連携が義務。
- 節13 消費機器の技術基準概要と給排気方式の分類(規202条): 消費機器の技術基準(規202条)は排気筒・給排気部・排気扇・室・燃焼器等の基準からなる。屋内設置燃焼器は半密閉燃焼式・密閉燃焼式・開放燃焼式に分類される。
- 節14 排気筒を設置しなければならない燃焼器と消費量基準(規202条一号): 屋内設置の半密閉燃焼式燃焼器に排気筒設置義務がある。消費量基準:調理機器・瞬間湯沸器・乾燥機12kW超、貯湯・常圧貯蔵・ストーブ7kW超、ふろがまは全品。
- 節15 排気筒の基準比較(CF式 vs FE式・CF式+排気扇)(規202条二号): CF式(自然排気式)の排気筒はFE式より基準が厳しく「逆風止め・断面積・高さ・風雨圧」の項目がCF式のみに適用される。材料・先端屋外・天井裏断熱・強度は両式共通。
- 節16 給排気部の基準(BF式・FF式)と排気扇・室の基準(規202条三〜六号): 密閉燃焼式(BF・FF式)は排気筒ではなく給排気部の基準が適用される。排気扇は停止時にガス自動遮断装置が必要。室の基準は大型燃焼器は給気口、小型は換気扇と開口部が必要。
- 節17 燃焼器の基準(特定地下街等・超高層建物等・中圧以上)(規202条八〜十二号): 特定地下街等・特定地下室等にはガス漏れ警報設備と金属管等での接続が必要。超高層建物・特定大規模建物・中圧以上は自動ガス遮断装置又はガス漏れ警報器が必要。
⚡ 全節 焦点ポイント
- 節1: 消費機器の定義に「附属装置を含む」点(排気筒・排気扇も消費機器)は頻出。保安業務6項目の分類(周知・調査・通知・災害時・帳簿・託送通知)は穴埋め問題に頻出。
- 節2: 特定ガス導管事業者は「災害時の措置のみ」義務という点が頻出引っ掛け。周知・調査義務はガス小売事業者(と最終保障供給を行う一般ガス導管事業者)のみ。
- 節3: 9項目(イ〜リ)のうち試験で特に問われる:ハ(環境・換気)、ニ(緊急措置・連絡)、ホ(不燃防湯沸器・大臣定める事項)、ヘ(ふろがまの排気筒点検)、ト(ガス漏れ警報設備点検)、チ(消防機関連絡)。
- 節4: 「2年に1回以上」が基本頻度で、特定建物は「1年に1回以上」。特定地下街等への表示は「4年に1回以上」。この3つの数字(2年・1年・4年)を混同しないこと。周知状況報告は「毎年度経過後30日以内」。
- 節5: 書面に記載する事項「ハ・リが共通」で、不燃防付き湯沸器はホが追加、浴室内ふろがまはヘが追加という構造を押さえる。頻度で2年に1回は「屋内自然排気式ふろがま」のみで、他は1年に1回。
- 節6: 周知不要の2条件(50万m³以上・10万m³以上50万m³未満の工業用)は穴埋め頻出。「正当な理由なく連続2年度該当しなかった場合は周知必要」という例外もセットで覚える。報告期限「30日以内」。
- 節7: 調査頻度「4年に1回以上」は周知の「2年に1回」と混同しやすい頻出問題。承諾が得られない場合は調査不要(周知も同様)。託送供給事業者から調査結果提供時は申込み受付時の調査不要(例外③)。
- 節8: 再通知は「毎年度1回以上」(年1回)。再調査のタイミング原則「通知後1ヶ月経過後5ヶ月以内」(2ヶ月目〜6ヶ月目)は穴埋め頻出。【令和6年改正・例外】所有者が通知日から1月以内に措置済を事業者が知れば「通知日から6月以内」に前倒し可。帳簿保存期間「調査が次に実施されるまでの間」。
- 節9: 通知先は「託送供給を行う一般ガス導管事業者又は特定ガス導管事業者」(両方が対象)。例外は「消費機器の所有者・占有者の承諾を得られなかった場合」。通知の代わりに電磁的方法も可(導管事業者の承諾要)。
- 節10: 届出タイミングは「事業の開始前」。変更時は「遅滞なく」。遵守義務者は「ガス小売事業者(一般・特定ガス導管事業者含む)及びその従業者」。ガス工作物の保安規程(法24条)と比較して覚える(根拠・内容は異なるが届出時期は同じ「事業開始前」)。
- 節11: 「保安業務監督者」(保安業務規程で選任:消費機器保安)と「ガス主任技術者」(保安規程で選任:ガス工作物保安)の区別が頻出。保安業務規程9項目のうち②〜④は消費機器保安特有の事項。
- 節12: 命令の対象が「消費機器の所有者又は占有者」(ガス事業者ではない)という点が重要。施工事業者の義務(162条)は設置・変更工事時の適合義務。163条の連携は「相互に連携を図りながら協力」という表現を覚える。
- 節13: CF/FE(半密閉)とBF/FF(密閉)の給排気方式は排気筒基準の問題で前提知識として必要。「半密閉=屋内空気使用・排気筒で排出」「密閉=屋外空気使用・給排気部で給排気」という基本構造を押さえる。
- 節14: 消費量基準の3分類(12kW超・7kW超・制限なし)は穴埋め頻出。「ふろがまは消費量制限なし(全品排気筒必要)」は特に重要。「12kW以下のガス調理機器は排気筒不要」という正しい命題を理解する。
- 節15: CF式にのみある4項目(逆風止め・断面積・高さ・風雨圧)を暗記する。天井裏の断熱被覆「金属以外の不燃性材料」という表現は穴埋め頻出。CF式の「先端の構造」には「風雨等の圧力」が含まれるがFE式には含まれない。
- 節16: 排気扇の安全装置「停止した場合にガスの供給を自動的に遮断する装置」は穴埋め頻出。給排気部(密閉燃焼式)の先端構造でBF式のみ「風雨等の圧力」が含まれる点はCF式との比較でも問われる。
- 節17: 特定地下街等「警報設備+金属管等接続」と超高層建物等「自動遮断装置又は警報器」の使い分けが頻出。「ガス漏れ警報設備」(複数検知器の警報設備)と「ガス漏れ警報器」(個別検知器)は別物。超高層建物は「高さ60m超」が定義。
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