
ガス事業の枠組みを定める法令の入口です。ガス自由化(2017年)で4つの事業区分に分かれた構造、保安体制、ガス事業関係法令の体系を整理し、後半は法律用語の使い分け(許可・認可・承認・届出など)とガス事業法で定められた重要な用語の定義を扱います。
乙種・甲種兼用 / 全17節 / 学習目安: 60〜90分
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📍 はじめに
法令は専門用語の宝庫です。「許可」と「認可」は何が違うのか、「届出」と「登録」はどちらが上位か。この章で法律用語の使い分けを身につけると、以降のすべての章で迷わなくなります。
📚 テキスト解説
各節は次の構成で進みます。
– 🎯 一言で
– 📖 解説(乙種ベース)
– 🟦 甲種プラスα(必要な節のみ)
– ⚡ 焦点ポイント
– 📝 過去問のひっかけ例
📑 この章の目次(全17節)
- 1. ガスシステム改革と4つの事業区分
- 2. ガス小売事業(登録制)の詳細
- 3. 一般ガス導管事業(許可制)と最終保障供給
- 4. 特定ガス導管事業・ガス製造事業(届出制)
- 5. ガス事業の保安体制(保安規程・ガス主任技術者)
- 6. 消費者保護・消費機器の保安義務
- 7. ガス事業関係法令の体系
- 8. 法律用語①「許可・認可・承認・勧告」
- 9. 法律用語②「登録・届出」
- 10. 法律用語③「及び・並びに」「又は・若しくは」
- 11. 法律用語④「以上・以下・未満・超える・以内」
- 12. ガス事業法の目的(第1条)
- 13. 用語の定義①「ガス事業・小売供給・大口供給・託送供給」
- 14. 用語の定義②「ガス工作物」
- 15. 用語の定義③「圧力区分・熱量・燃焼性」
- 16. 用語の定義④「液化ガス・移動式ガス発生設備」
- 17. 用語の定義⑤「ガス用品・消費機器・特定ガス用品」
1. ガスシステム改革と4つの事業区分
重要度: 乙C / 甲C
🎯 一言で
2017年の自由化でガス事業は4区分に再編。事業ごとに参入方法(登録・許可・届出)が異なる。
📖 解説(乙種ベース)
ガスの請求書に見慣れない会社名が並ぶようになった——2017年4月のガスシステム改革により小売供給が全面自由化され、ガス事業は4種類に再編されたからだ。この節では、その4区分と参入手続きの対応を押さえる。
再編の発想は、道路を維持する会社と、その道路を走る運送会社を切り分けたことに近い。道路にあたるのが一般ガス導管事業で、供給区域内で他者のガスを「託送供給」する事業である。公共インフラそのものだから、参入には経済産業大臣の「許可」という最も重い手続きが要る。最終保障供給(倒産等により供給が途絶えた場合の保障)を含むのもこの事業だ。
運送会社にあたるのがガス小売事業で、大口・小口を問わず小売供給を行う。参入には経済産業大臣の「登録」が必要になる。残る2つはさらに軽い。特定の供給地点のみで託送供給する特定ガス導管事業は「届出」で参入できる。一の製造所で液化ガス貯蔵設備の合計容量20万kL以上を有してガスを製造するガス製造事業も「届出」制である。
出題者の手口は毎年ほぼ同じで、この対応をそっと入れ替えてくる。「ガス小売事業は許可制」という一文が出たら誤りだ。許可が要るのは一般ガス導管事業だけ——そこを軸に逆算すれば、残りは登録か届出かの二択に絞れる。
旧制度との対応も押さえておきたい。旧・一般ガス事業はガス小売事業+一般ガス導管事業(+ガス製造事業)に分かれ、旧・簡易ガス事業・大口ガス事業はガス小売事業に吸収された。分割の線引きが「道路か、運送か」だと分かれば、この対応も自然に読める。
ガス事業の4区分と参入方法⚡ 焦点ポイント
「登録・許可・届出」の対応を正確に覚える。 / 小売=登録、一般導管=許可、特定導管・製造=届出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「ガス小売事業は許可制」は誤り。正しくは「登録制」。「届出制」と混同しないこと。
- 「登録・許可・届出」の対応を正確に覚える
- 小売=登録、一般導管=許可、特定導管・製造=届出
2. ガス小売事業(登録制)の詳細
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
ガス小売事業への参入には登録が必要。供給能力確保・説明義務・苦情処理等の義務を負う。
📖 解説(乙種ベース)
ガス小売事業を営もうとする者は、経済産業大臣の「登録」を受けなければならない(法第3条)。ただし登録は入場券にすぎない。会場に入った後も義務は続く——この節が扱うのは、その入場後の宿題である。
ここからはガス事業者(4事業者)の主な義務だ。第一が供給能力の確保。需要を賄うためのガス調達など、必要な供給能力を確保する義務を負う。第二が説明義務・書面交付義務で、需用家(ガスの使用者)に対し契約条件の説明と書面交付が義務付けられている。第三が苦情処理義務。需用家からの苦情・問合せに適切かつ迅速に対応しなければならない。
第四が供給計画の届出である。毎年度、ガスの供給計画を作成し、当該年度開始前に経済産業大臣に届出る。ここは時期の一語が勝負どころで、出題者は「当該年度の開始前」を「開始後」にすり替えてくる。計画は走り出す前に出すもの、と押さえておきたい。
では義務を果たさなければどうなるか。経済産業大臣は、義務を履行しない事業者に「業務改善命令」を発令できる。さらに適格性を失ったと判断した場合は「登録の抹消」も可能だ。いきなり退場ではなく、改善を促してから抹消へ進む段階構造になっている。
なおガス小売事業の形は一つではなく、次の3形態がある。
| 形態 | 製造 | 供給の経路 |
|---|---|---|
| (1) | 委託製造 | 託送供給 |
| (2) | 自ら製造 | 託送供給 |
| (3) | 特定製造所で自ら製造 | 自らの導管で供給(旧簡易ガス事業) |
⚡ 焦点ポイント
「供給計画の届出は当該年度の開始前」という期日が問われやすい。 / 業務改善命令→登録抹消という段階的な処分の流れも押さえておく。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「ガス小売事業者は供給区域を持つ」は誤り。供給区域を持つのは一般ガス導管事業者。
3. 一般ガス導管事業(許可制)と最終保障供給
💡 図の見方:上段の平常時は小売→導管→需用家という流れだが、下段では小売が倒産等で供給不能になり、代わりに一般ガス導管事業者が直接需用家へ供給する。この下段の太い矢印が最終保障供給で、義務者は小売ではなく一般ガス導管事業者である点を目で押さえる図。
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
一般ガス導管事業は許可制。供給区域内の託送供給と最終保障供給が義務。
📖 解説(乙種ベース)
ガスの通り道である導管網は、街に一つあれば足りる。だから一般ガス導管事業を営もうとする者は、経済産業大臣の「許可」を受けなければならない(法第35条)。届出でも登録でもなく許可である点が、この事業の重さを示している。
この事業者は供給区域を持ち、その区域内でガスを託送供給する。役割は建物の配管を預かる大家に近い。既存のガス導管網を維持・運用し、ガス小売事業者からの依頼を受けて需用家へ届ける。新規参入のガス小売事業者も、この導管網を利用する(託送供給契約を締結)ほかない。
大家であるがゆえの重い義務が最終保障供給だ。ガス小売事業者が倒産等により供給不能となった場合に、一般の需用家がガスを受けられなくなる事態を防ぐため、一般ガス導管事業者に義務付けられた小売供給のことである。頻出ポイントは主体で、「最終保障供給」は「一般ガス導管事業者の義務」。出題者はここをガス小売事業者にすり替えてくる。
消費機器等の保安義務も主体で問われる。ガス小売事業者は消費機器の調査・周知の義務、一般ガス導管事業者は内管漏えい検査・緊急保安の義務を負う。誰が何を担うか、対で覚えておきたい。
最終保障供給は誰の義務か(平常時と供給不能時)⚡ 焦点ポイント
最終保障供給は「ガス小売事業者ではなく一般ガス導管事業者の義務」という点が頻出引っかけ。
一般ガス導管事業の参入方法は「許可」(届出・登録と混同しない)。
過去問定番: 託送供給約款(一般ガス導管)は「認可」だが、最終保障供給約款・災害時連携計画は「届出」事項(法51条・法56条の2)。手続きを取り違える誤に注意。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「最終保障供給の義務はガス小売事業者が負う」は誤り。一般ガス導管事業者が負う。
- 【主体取り違え・最頻出】 最終保障供給の義務者を「ガス小売事業者」と書く誤 → 正は一般ガス導管事業者
- 「義務」を「努力義務」に書き換える誤 ─ 法定義務であり努力義務ではない
- 「許可」を「届出」「登録」に書き換える誤
4. 特定ガス導管事業・ガス製造事業(届出制)
💡 図の見方:2つの条件がANDで結ばれていることを見る図。片方だけでは該当しない。「20万キロリットル以上」は境界値ちょうどを含むので、「20万キロリットルを超える」と書き換えた選択肢は誤り。
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
特定ガス導管事業・ガス製造事業はどちらも届出制。ガス製造事業には20万kLの規模要件あり。
📖 解説(乙種ベース)
特定ガス導管事業とガス製造事業は、どちらも届出で参入できる。影響の及ぶ範囲が限られるからだ。ただし後者には規模のふるいがあり、ふるいに残らない設備はそもそもこの事業に当たらない。
まず特定ガス導管事業。自らが維持運用する導管により「特定の供給地点」において託送供給を行う事業で、経済産業大臣への「届出」で参入できる(許可不要)。一般ガス導管事業者が供給区域外に導管を延長する場合も、この事業に該当することがある。
次にガス製造事業。自らが維持運用する液化ガス貯蔵設備等を用いてガスを製造する事業だが、すべての製造が該当するわけではない。対象となる規模要件は、一の製造所における液化ガス貯蔵設備の合計容量が「20万キロリットル以上」であって、ガス事業用の導管に接続しているものに限られる。参入方法は経済産業大臣への「届出」である。
この「以上」が出題者の急所だ。ちょうど20万キロリットルは含まれ、未満なら対象外——「超える」に書き換えられていないか必ず確認したい。参入方法を整理すると、ガス小売事業→登録、一般ガス導管事業→許可、特定ガス導管事業→届出、ガス製造事業→届出となる。
ガス製造事業は「20万kL以上」かつ「導管接続」の両方⚡ 焦点ポイント
ガス製造事業の「20万キロリットル以上」という数値は頻出。未満なら対象外。 / 特定ガス導管事業と一般ガス導管事業の違いは「供給区域の有無」と参入方法(届出 vs 許可)。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「特定ガス導管事業は許可制」は誤り。正しくは届出制。20万kL未満のガス製造はガス製造事業に該当しない。
5. ガス事業の保安体制(保安規程・ガス主任技術者)
💡 図の見方:保安は国による規制と事業者の自主保安の両輪で、自主保安の側は保安規程(ルール)とガス主任技術者(人)の2本柱。どちらも手続きは許可ではなく届出である。下段は名前の似た保安規程と保安業務規程の対象の違いで、前者はガス工作物、後者は消費機器の調査・周知が守備範囲。
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
ガス事業の保安は国による規制+事業者の自主保安が基本。保安規程とガス主任技術者が2本柱。
📖 解説(乙種ベース)
ガスの保安は、国が一方的に見張るだけでは回らない。現場を最もよく知るのは事業者自身だからだ。そこでガス事業における保安の確保は「国による規制」と「各ガス事業者の自主保安」の両輪で成り立っている。網を二重に張る発想である。
自主保安の側は2本柱だ。1本目が保安規程。ガス工作物の工事・維持・運用に関する保安確保のためのルールを事業者が自ら定め、経済産業大臣に届け出る。ここは「許可」ではなく届出である——自分で作るルールだから審査を受けるのではない、と理屈で覚えると取り違えにくい。
2本目がガス主任技術者制度である。ガス工作物の工事・維持・運用の保安を担う国家資格者で、事業者が選任・解任し、経済産業大臣に届け出る(認定高度保安実施事業者は届出不要)。ルールと人、その両方を置いて初めて自主保安が形になる。
その自主保安を一段進めたのが、令和5年に始まった認定高度保安実施ガス事業者制度だ。テクノロジーを活用して自立的に高度な保安を確保できると国が認定したガス事業者は、保安規制の一部が緩和される。7年ごとに更新が必要という数値も押さえておきたい。
紛らわしいのが保安業務規程である。ガス小売事業者と最終保障供給をする一般ガス導管事業者は、これを作成し経済産業大臣に届け出なければならない。消費機器の調査・周知等の義務が確実に実施されるようにするためのもので、ガス工作物を対象とする保安規程とは守備範囲が違う。
保安体制の2本柱と保安規程・保安業務規程の守備範囲⚡ 焦点ポイント
「保安規程は経済産業大臣の許可が必要」は誤り。正しくは「届出」。 / 認定高度保安実施制度の有効期間「7年ごとに更新」は数値として頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「保安業務規程と保安規程は同じもの」は誤り。保安規程はガス工作物の保安、保安業務規程は消費機器等の保安業務のルール。
- 【最頻出】「保安規程」と「保安業務規程」の混同
- 保安規程: ガス工作物の工事・維持・運用に関する保安(全事業者が定める)
- 保安業務規程: 消費機器の調査・周知の実施方法(ガス小売事業者・最終保障供給を行う一般ガス導管事業者が定める)
6. 消費者保護・消費機器の保安義務
💡 図の見方:玄関の内と外で担当が替わる、と捉える図。周知・調査は小売だけでなく最終保障供給をする一般ガス導管事業者も負う点、内管漏えい検査と緊急保安は一般ガス導管事業者の義務である点が入れ替えられやすい。
重要度: 乙C / 甲C
🎯 一言で
ガス小売事業者は周知・調査義務を持つ。内管漏えい検査は一般ガス導管事業者の義務。
📖 解説(乙種ベース)
ガス栓から先は誰が面倒を見るのか。玄関の内と外で担当が替わる、と考えると整理しやすい。消費者保護の観点から、ガス小売事業者と一般ガス導管事業者にはさまざまな義務が課されている。
まず消費機器の周知・調査義務。ガス小売事業者と最終保障供給をする一般ガス導管事業者には、消費機器が技術基準に適合しているかどうかを調査する義務と、ガス使用に伴う危険防止に必要な事項を周知する義務が課されている。調査を小売だけの話と思い込むと、選択肢に足をすくわれる。
配管側はどうか。内管漏えい検査は、需用家の内管に直接接続する供給管を維持・運用する「一般ガス導管事業者」の義務である。緊急保安も同様で、供給するガスによる災害時等の緊急保安は一般ガス導管事業者が義務を負うが、ガス小売事業者・一般ガス導管事業者・特定ガス導管事業者は連携して対応しなければならない。
では調査で基準不適合を発見した場合はどうするか。使用禁止を命じるのではなく、所有者・占有者に「基準適合のための措置を採るよう通知(勧告)」する。ここをより強い言葉に置き換えた選択肢が定番の誤りである。
周知・調査と内管漏えい検査、義務者はどちらの事業者か⚡ 焦点ポイント
「消費機器の調査義務はガス小売事業者だけが持つ」は誤り。最終保障供給をする一般ガス導管事業者も持つ。 / 基準不適合時の対応は「禁止命令」ではなく「通知・勧告」。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「内管漏えい検査義務はガス小売事業者が負う」は誤り。一般ガス導管事業者が負う。
7. ガス事業関係法令の体系
重要度: 乙C / 甲C
🎯 一言で
法令体系は法律→政令→省令→告示の順。ガス事業法・施行令・施行規則・技省令等が主要法令。
📖 解説(乙種ベース)
法令を読むときに迷子になるのは、同じ事柄が複数の文書に分かれて書かれているからだ。地図の縮尺を上げていくように、法律体系は「法律→政令→省令→告示」の順に大きな枠組みから具体的な規定へと構成されている。上に行くほど枠組み、下に行くほど細目である。
主要なガス事業関係法令を段ごとに並べると次のようになる。
ガス事業関係法令のピラミッド| 段 | 法令 | 略称 |
|---|---|---|
| 法律 | ガス事業法 | 法 |
| 法律 | 特監法(特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律) | ― |
| 政令 | ガス事業法施行令 | 施行令 |
| 省令 | ガス事業法施行規則 | 規則・規 |
| 省令 | ガス工作物の技術上の基準を定める省令 | 技省令 |
| 省令 | ガス用品の技術上の基準等に関する省令 | 用品省令 |
| 省令 | ガス関係報告規則 | ― |
| 告示 | ガス工作物の技術上の基準の細目を定める告示 | 技告示 |
| 告示 | ガスの熱量および燃焼性の測定方法を定める件 | ― |
この表で注意したいのは、最上段に特監法が並んでいる点だ。名前が長く省令のように見えるが、独立した「法律」であってガス事業法の省令・告示ではない。
技省令と技告示の関係も問われる。技省令で基本的な技術基準の枠組みを定め、技告示でその具体的な細目を定める二段構造だ。したがって試験問題文中の「技術基準」は「技省令+技告示」を指す。どちらか一方だけを指すと読んだ時点で、誤りに引き込まれる。
⚡ 焦点ポイント
「技術基準」とは省令(技省令)と告示(技告示)の両方を指す点に注意。 / 特監法は独立した「法律」であり、ガス事業法の省令・告示ではない。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「技告示はガス事業法の省令の一部」は誤り。告示は省令とは別の法的位置付け。
- 「技術基準」とは省令(技省令)と告示(技告示)の両方を指す点に注意
- 特監法は独立した「法律」であり、ガス事業法の省令・告示ではない
8. 法律用語①「許可・認可・承認・勧告」
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
許可=禁止解除、認可=法的効力付与、承認=肯定的意思表示、勧告=強制力なき促し。
📖 解説(乙種ベース)
ガス事業法の問題文には、行政が関与する場面を表す言葉が繰り返し出てくる。許可・認可・承認・勧告——似て見えるが、行政が何をしているかはまるで違う。正確な意味の区別が得点につながる。
いちばん強いのが許可だ。一般的に禁止されていることを行政が解除し、できるようにすることをいう。閉じた扉を開けてもらう行為であり、許可なく行うと法律違反になる。一般ガス導管事業には経済産業大臣の「許可」が必要(法第35条)というのが代表例である。
では認可は何が違うのか。禁止を解くのではなく、法律上の行為に行政が同意を与え、法的効力を持たせることをいう。一般ガス導管事業者の託送供給約款には経済産業大臣の「認可」が必要だ(法第48条1項)。承認はさらに緩く、ある行為・事実に対し行政が肯定的な意思表示(規制・処罰しない旨の表示)をすることをいう。託送供給約款の設定が不要となるのは、経済産業大臣の「承認」を受けた場合である(法第48条1項ただし書)。
最も弱いのが勧告で、一定の措置を採ることを勧め促す行為にとどまる。相手方への「強制力はない」。経済産業大臣がガス小売事業者に供給計画の変更を「勧告」できる(法第19条3項)のがその例だ。この強制力のなさを「従わなければ直ちに違反」と書き換えるのが、定番の手口である。
法律用語の強さの階段(許可>認可>登録>届出)| 用語 | 意味 | 条文上の例 |
|---|---|---|
| 許可 | 一般的に禁止されていることを解除する | 一般ガス導管事業(法第35条) |
| 認可 | 法律上の行為に同意を与え法的効力を持たせる | 託送供給約款(法第48条1項) |
| 承認 | 肯定的な意思表示(規制・処罰しない旨の表示) | 約款の設定が不要な場合(法第48条1項ただし書) |
| 勧告 | 措置を勧め促す。強制力はない | 供給計画の変更(法第19条3項) |
⚡ 焦点ポイント
4つの用語すべてが選択肢として登場し、どれか一つが正解・または誤りになる形式が多い。 / 「勧告には強制力がない」は最頻出の引っ掛けポイント。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「勧告に従わないと即座に法律違反になる」は誤り。勧告は強制力を持たない。
- 4つの用語すべてが選択肢として登場し、どれか一つが正解・または誤りになる形式が多い
- 「勧告には強制力がない」は最頻出の引っ掛けポイント
9. 法律用語②「登録・届出」
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
登録=行政の審査あり、届出=書類提出のみで完結。参入方法の違いと紐付けて覚える。
📖 解説(乙種ベース)
書類を出す点では同じでも、登録と届出では起きていることが違う。窓口で中身を見られるのが登録、ポストに入れた時点で終わるのが届出——この差が参入のしやすさに直結する。
登録とは、必要事項を記載した書類を提出し、役所が内容を審査した上で帳簿に記載することをいう。審査が通ることで事業開始が認められる。ガス小売事業には経済産業大臣の「登録」が必要だ(法第3条)。
一方届出は、必要事項を記載した書類を提出するだけで行政の審査なく完了するもので、提出した時点で手続きが完了する。特定ガス導管事業・ガス製造事業は経済産業大臣への「届出」で参入できる(法第72条・第86条)。ガス小売事業者の供給計画も、毎年度開始前に経済産業大臣に「届出」である(法第19条)。
つまり「登録」は審査があるため許可より簡易だが届出より厳格、という位置づけになる。4事業の参入方法は次のとおり。
手続きの強さと4事業の参入方法| 事業 | 参入方法 |
|---|---|
| ガス小売事業 | 登録 |
| 一般ガス導管事業 | 許可 |
| 特定ガス導管事業 | 届出 |
| ガス製造事業 | 届出 |
出題者が最も好むのは、この表の入れ替えだ。「ガス小売事業は届出制」「特定ガス導管事業は許可制」——どちらも毎年のように現れる誤りの型である。
⚡ 焦点ポイント
「ガス小売事業は届出制」は誤り(登録制)。「特定ガス導管事業は許可制」も誤り(届出制)。 / 4事業の参入方法の表をそのまま暗記すること。試験に毎年のように出題される最重要事項。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「届出は行政の審査を必要とする」は誤り。届出は書類提出のみで行政の審査不要。
- 「ガス小売事業は届出制」は誤り(登録制)
- 「特定ガス導管事業は許可制」も誤り(届出制)
10. 法律用語③「及び・並びに」「又は・若しくは」
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
「及び」は同レベルのAND、「並びに」は異レベルのAND。「又は」は大きいOR、「若しくは」は小さいOR。
📖 解説(乙種ベース)
法令の接続詞は飾りではない。「及び」か「並びに」か、「又は」か「若しくは」かで、条文が指す範囲そのものが変わる。文を1本の木と見て、幹の分かれ目か枝先の分かれ目かを見分けるのがコツだ。意味を理解すると問題文が正確に読み取れる。
まずAND系(列挙)。枝先、つまり同じレベル・種類の物事を並べるときに使うのが「及び」で、A及びB / A、B、C及びD のように書く。これに対し「並びに」は幹の分かれ目、すなわち異なるレベル・種類の物事を並べるときに使う。だから「並びに」単独では使わない。A並びにB及びC なら、BとCが密接な関連を持ち、それとAを対立させる表現になる。なお「かつ」はAND(同時に)の意味で、どちらも必要であることを示す。
OR系(選択)も構造は同じだ。「又は」は大きいつながりのORで、単独でも使える。「若しくは」は小さいつながりのORで、「又は」の中にグループがある場合に使う。(A若しくはB)又はC なら、AかBのどちらか(グループ)、またはC、という意味になる。「若しくは」は3つ以上のグループでも並べることができ、(A若しくはB若しくはC)又はD と書ける。
注意したいのは、AND系とOR系で外側に立つ語が入れ替わる点だ。AND系の外側は「並びに」で内側が「及び」、OR系の外側は「又は」で内側が「若しくは」。ここを取り違えると条文の範囲を読み誤る。条文を正確に読む力は、選択肢の正誤判断に直結する重要スキルである。
🟦 甲種プラスα
「又は」と「若しくは」の使い分けは甲種で特に問われやすい
及び・並びに/又は・若しくはの階層⚡ 焦点ポイント
「並びに」は単独では使われないことに注意。必ず「及び」とセットで登場する。 / 「又は」と「若しくは」の使い分けは甲種で特に問われやすい。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「並びに」は「及び」と全く同じ意味で使える」は誤り。使用場面が異なる。
- 「並びに」は単独では使われないことに注意
- 必ず「及び」とセットで登場する
11. 法律用語④「以上・以下・未満・超える・以内」
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
「以上・以下・以内・以外・以前・以後」は基準点を含む。「未満・超える」は含まない。
📖 解説(乙種ベース)
「10人以上」の集まりに、ちょうど10人目は入るのか。入る。ではその人が「10人未満」の集まりに入るかというと、入らない。数値を扱う技術基準や定義の問題で問われるのは、結局この一点である。
まず基準点を「含む」表現から。以上は基準値を含み、それより大きい値をいう。たとえば高圧は1MPa「以上」なので1MPaも含む。以下は基準値を含み、それより小さい値。以内は基準値を含み、それよりも範囲が内側。以外は基準値を含み、それ以外のもの全て。以前・以後は基準の時点を含む。
含まない表現は2つだけだ。未満は基準値を含まず、それより小さい値をいい、低圧は0.1MPa「未満」だから0.1MPaは含まない。超えるも基準値を含まず、それより大きい値である。「以」の字が付けば含む、と押さえておけば迷わない。
圧力区分の数直線(以上・未満)| 表現 | 基準点 | 意味 |
|---|---|---|
| 以上 | 含む | 基準値を含み、それより大きい値 |
| 以下 | 含む | 基準値を含み、それより小さい値 |
| 以内 | 含む | 基準値を含み、それよりも範囲が内側 |
| 以外 | 含む | 基準値を含み、それ以外のもの全て |
| 以前・以後 | 含む | 基準の時点を含む |
| 未満 | 含まない | 基準値を含まず、それより小さい値 |
| 超える | 含まない | 基準値を含まず、それより大きい値 |
この用法がそのまま効いてくるのが圧力区分だ。高圧は1MPa以上(1MPaを含む)、中圧は0.1MPa以上1MPa未満(0.1MPaを含む、1MPaは含まない)、低圧は0.1MPa未満(0.1MPaを含まない)。境界値(0.1MPa、1MPa)がどちらに含まれるかを問う問題が頻出で、境界はいつも「以上」側に落ちる。
出題者の手口は単純明快で、「以上」を「超える」に、「以下」を「未満」に一字だけ差し替える。数値そのものは正しいので見落としやすい。数値を確認したら、必ずその直後の二文字まで読むこと。
⚡ 焦点ポイント
「1MPaは高圧か中圧か」→高圧(以上だから含む)。 / 「0.1MPaは中圧か低圧か」→中圧(以上だから含む)。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「0.1MPaは低圧である」は誤り。0.1MPa未満が低圧なので、0.1MPaは中圧に含まれる。
- 【方向逆転】「以上」⇄「未満」、「以下」⇄「超える」の入れ替え
- 【境界値の混同】「1MPaは中圧」「0.1MPaは低圧」と書く誤(正は1MPaは高圧、0.1MPaは中圧 ─ 境界値は「以上」側に入る)
- 液化ガスの温度「35℃以下」を「40℃以下」「45℃以下」と書く誤
- ガス製造事業の規模「20万kL以上」を「2万kL」「200万kL」と書く誤
- 大口供給「10万m³以上」を「1万m³」「100万m³」と書く誤
12. ガス事業法の目的(第1条)
重要度: 乙C / 甲C
🎯 一言で
目的は「ガスの使用者の利益保護」「ガス事業の健全な発達」「公共の安全確保」「公害の防止」の4つ。
📖 解説(乙種ベース)
ガス事業法第1条(目的)は、穴埋め問題として毎年出題されることがある。丸暗記しようとすると長いが、条文は2つのエンジンで動いていると見ると構造がつかめる。前半のエンジンが「調整」、後半のエンジンが「規制」だ。原文の構造を把握しておきたい。
前半はこうだ。「ガス事業の運営を調整することによって」→「ガスの使用者の利益を保護し」→「ガス事業の健全な発達を図るとともに」。事業の運営を調整するという手段から、使用者の利益保護と事業の健全な発達という2つの目的が導かれる。
後半はこうだ。「ガス工作物の工事・維持・運用、ガス用品の製造・販売を規制することによって」→「公共の安全を確保し」→「公害の防止を図ることを目的とする」。物と設備を規制するという手段から、公共の安全確保と公害の防止が出てくる。
| 手段 | 対象 | 目的 |
|---|---|---|
| 調整 | ガス事業の運営 | ①ガスの使用者の利益保護 ②ガス事業の健全な発達 |
| 規制 | ガス工作物の工事・維持・運用、ガス用品の製造・販売 | ③公共の安全確保 ④公害の防止 |
穴埋めで抜かれるのは「調整」「利益」「規制」の3語が定番である。もう一点、条文は「消費者の利益」ではなく「使用者の利益」と書く。日常語に引き寄せた選択肢は、この一語で誤りになる。
⚡ 焦点ポイント
「調整・利益・規制」の3語をセットで暗記。 / 目的は4つあるが、条文に「消費者の利益」ではなく「使用者の利益」と書かれている点に注意。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「ガス事業法の目的は安全確保のみ」は誤り。利益保護・健全な発達・公害防止も含む4つが目的。
- 「調整・利益・規制」の3語をセットで暗記
- 目的は4つあるが、条文に「消費者の利益」ではなく「使用者の利益」と書かれている点に注意
13. 用語の定義①「ガス事業・小売供給・大口供給・託送供給」
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
小売供給=一般需要に導管でガスを供給。大口=年間10万m³以上。託送供給=他者のガスを導管で輸送。
📖 解説(乙種ベース)
ガスは導管という一本の線路の上を流れる。線路を持たない会社でも、線路を借りれば自社のガスを需用家まで走らせられる——それを可能にしたのが託送供給という仕組みだ。この節では、その周辺の定義を条文の言い回しごと押さえる。
まずガス事業(法第2条11項)。ガス小売事業・一般ガス導管事業・特定ガス導管事業・ガス製造事業の4つの総称である。なお高圧ガス保安法に規定された高圧ガスの製造・販売の事業は適用除外だ。
次に小売供給(法第2条1項)。一般の需要に応じ、導管によりガスを供給することをいう。旧・簡易ガス事業(特定ガス発生設備で供給、一の団地内の供給地点数70以上)や大口供給も、この小売供給に含まれる。この「70以上」を「70未満」に差し替えた選択肢が定番だ。
その大口供給(規則第1条2項)は、一の供給地点の年間供給量が「10万m³以上」の小売供給をいう(熱量46MJ/m³N、常温・常圧ベース)。ここも「以上」であって「超える」ではない。
そして託送供給(法第2条4項)。条文は、「ガスを供給する事業を営む他の者」から「導管によりガスを受け入れた者」が、その受入れた場所以外の場所で同じ「他の者」にガスを供給すること、と定める。平たく言えば、ガス小売事業者のガスを、一般ガス導管事業者が自分の導管を使って需用家まで届ける仕組みだ。契約の相手とガスの通り道は別物で、ガスはガス小売事業者を物理的に経由しない。
託送供給の三者関係(契約とガスの流れ)⚡ 焦点ポイント
大口供給の閾値「10万m³以上」は数値問題として頻出。 / 小売供給の定義で「70以上」(旧簡易ガス事業の供給地点数)が誤答選択肢(70未満)として出る。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「大口供給は10万m³を超えるもの」は誤り。正しくは「10万m³以上」(10万m³を含む)。
14. 用語の定義②「ガス工作物」
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
ガス工作物=ガス供給のために施設する設備一式。最末端はガス栓。ガスホース等は含まない(消費機器)。
📖 解説(乙種ベース)
どこまでが法律の言うガス工作物で、どこからが違うのか。ゴールテープはガス栓だ。ここを境に呼び名も規制も切り替わる。
定義(法第2条13項)はこうだ。ガスの供給のために施設するガス発生設備、ガスホルダー、ガス精製設備、排送機、圧送機、整圧器、導管、受電設備その他の工作物及びこれらの附属設備であって、「ガス事業の用に供するもの」をいう。長い列挙だが、効いてくるのは末尾の限定である。
押さえるべき点は4つある。①最末端は「ガス栓」であり、ガスホース等はガス工作物ではなく「消費機器」に分類される。②「その他の工作物」には液化ガス貯槽、ガスメーター、昇圧供給装置等が該当する。③「附属設備」には安全弁、防液堤、導管に附属する遮断弁等が該当する。④「ガス事業の用に供するもの」が要件なので、製鉄会社のコークス炉のようなガス事業以外の設備はガス工作物に該当しない。
最頻出の誤りは①がらみで、「ガスホースはガス工作物に含まれる」と書いてくる。ゴールテープの先にあるものは消費機器、と決めておけば迷わない。逆に、天然ガス自動車向けの「昇圧供給装置」はガス工作物(消費機器ではない)である点も要注意だ。名前が消費側に見えるだけに、狙われる。
もう一語、耐圧部分も定義されている。高圧または中圧が加えられる部分をいう。
ガス工作物の範囲と最末端⚡ 焦点ポイント
「ガスホースはガス工作物に含まれる」は誤り→消費機器。 / 「製鉄会社のコークス炉はガス工作物」は誤り→ガス事業の用に供さないため対象外。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「昇圧供給装置は消費機器」は誤り。正しくはガス工作物に分類される。
- 【ホース問題・最頻出】「ガスホースはガス工作物に含まれる」と書く誤 → 正: ガスホースは消費機器(の付属品)であり、ガス工作物の最末端は「ガス栓」
- 「製鉄会社のコークス炉ガスはガス工作物」と書く誤 → 正: ガス事業の用に供さないため対象外(製鉄業の自家設備)
- 「経済産業大臣」と「ガス小売事業者」「一般ガス導管事業者」の主体取り違え
15. 用語の定義③「圧力区分・熱量・燃焼性」
重要度: ★ 乙A / 甲A
🎯 一言で
高圧≧1MPa、中圧:0.1〜1MPa未満、低圧<0.1MPa。熱量=標準状態1m³の総熱量。
📖 解説(乙種ベース)
圧力は連続した量だが、法令はこれを3つの区分に切り分ける(規則第1条2項)。高圧は1MPa以上の圧力(1MPaを含む)、中圧は0.1MPa以上1MPa未満の圧力(0.1MPaを含む、1MPaを含まない)、低圧は0.1MPa未満の圧力(0.1MPaを含まない)である。境界値ちょうどは、つねに上の区分に入る。
圧力区分の数直線(0.1MPa/1MPa)| 区分 | 圧力 | 境界値の扱い |
|---|---|---|
| 高圧 | 1MPa以上 | 1MPaを含む |
| 中圧 | 0.1MPa以上1MPa未満 | 0.1MPaを含む、1MPaを含まない |
| 低圧 | 0.1MPa未満 | 0.1MPaを含まない |
見落としやすいのが圧力の基準だ。※すべてゲージ圧(大気圧を0とした圧力)で表現する。基準の取り方が変われば、同じ数値でも意味が変わってしまう。
熱量(規則第1条2項)も定義が細かい。標準状態の乾燥ガス1m³中の総熱量をいい、総発熱量基準、つまり水蒸気の潜熱を含む熱量である。単位はMJ/m³N。ここで「1m³」を別の量に置き換えた選択肢が出るので、基準となる量まで含めて覚えておきたい。
燃焼性(参考)は、燃焼速度とウォッベ指数の2つの指標をいう。燃焼速度はガスの成分組成から計算で求めるMCP(最高燃焼速度指数)。ウォッベ指数はWI=Hg/√s(Hg:ガスの総発熱量、s:ガスの空気に対する比重)で表される。
このウォッベ指数は、燃焼機器のノズルからの噴出熱量を表す指数だ。いわば器具の側から見たガスの物差しであり、だからこそ互換性の判断に使われる。ガスを取り替えても同じように燃えるかを、この一つの数値が語っている。
⚡ 焦点ポイント
境界値(0.1MPa、1MPa)がどちらの区分に含まれるかを必ず確認。 / 熱量の定義「1m³」を「22.4L」や「1mol」と誤答させる選択肢が頻出。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「熱量は標準状態の乾燥ガス22.4Lの総熱量」は誤り。正しくは1m³(1000L)の総熱量。
16. 用語の定義④「液化ガス・移動式ガス発生設備」
💡 図の見方:圧力と温度が組で登場することを見る図。温度要件は35℃以下で、40℃以下と書いた選択肢は誤り。移動式ガス発生設備は「未満」、大容量移動式ガス発生設備は「超」と、境界値の扱いが逆である点に注意。
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
液化ガスは0.2MPa以上かつ35℃以下の定義。移動式ガス発生設備は貯蔵能力1万kg未満または1万m³未満。
📖 解説(乙種ベース)
真夏の屋外は35℃に届く。液化ガスの定義に出てくる温度は、まさにその35℃だ。数字に体感を紐づけておくと、「40℃以下」に書き換えられた選択肢に違和感が働く。
定義(規則第1条2項)を正確に読もう。常用の温度において、圧力が0.2MPa以上となる液化ガスであって、現にその圧力が0.2MPa以上であるもの、または圧力が0.2MPaとなる場合の温度が「35℃以下」である液化ガスをいう。圧力の要件と温度の要件が組みで登場する点が読みどころだ。代表例はLPG(液化石油ガス)とLNG(液化天然ガス)である。
出題者が触るのは、たいてい温度要件のほうだ。温度要件は「35℃以下」。「40℃以下」と誤答させる選択肢が頻出なので注意したい。
もう一つの用語が移動式ガス発生設備(規則第1条2項)である。導管工事や災害時に既存需用家への一時的なガス供給のために使用する、移動可能なガス発生設備をいう。貯蔵能力は、液化ガスは1万kg未満、圧縮ガスは1万m³未満。ここは「未満」であって「以上」ではない。
そのうち規模の大きいものが、大容量移動式ガス発生設備(技省令第6条8項)だ。移動式ガス発生設備のうち、液化ガス貯蔵能力100kg超または圧縮ガス30m³超のものをいい、他の移動式ガス発生設備との離隔距離規制がある。こちらは「超」——境界値を含まない点まで含めて押さえたい。
液化ガスは圧力と温度の2条件、移動式は貯蔵能力で線引き⚡ 焦点ポイント
液化ガスの温度要件「35℃以下」を「40℃以下」と書いた誤答が頻出。 / 移動式ガス発生設備の貯蔵能力上限「液化:1万kg未満、圧縮:1万m³未満」も頻出数値。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「液化ガスの定義の温度基準は40℃」は誤り。正しくは35℃。
- 液化ガスの温度「35℃以下」を「40℃以下」「30℃以下」と書く誤
- 移動式ガス発生設備の貯蔵能力「1万kg未満(液化)」を「1万kg以上」「10万kg未満」と書く誤
- 大容量移動式ガス発生設備の閾値「100kg超(液化)」「30m³超(圧縮)」を別の数値と書く誤
17. 用語の定義⑤「ガス用品・消費機器・特定ガス用品」
重要度: 乙B / 甲B
🎯 一言で
ガス用品=政令で定める家庭用機器・材料。特定ガス用品は屋内・半密閉式の湯沸器等。消費機器はより広い概念。
📖 解説(乙種ベース)
消費機器・ガス用品・特定ガス用品は、同心円で描くと関係が一目で分かる。外側ほど広く、内側へ行くほど危険度で絞り込まれる。外から内へ順に見ていこう。
最も外側が消費機器だ。ガスを消費する場合に用いられる機械・器具(付属品を含む)の総称で、排気筒・排気扇、コージェネレーション設備、燃料電池設備等も含まれる。ガスホース等の付属品も含むため、ガス用品より広い概念である。ただし昇圧供給装置はガス工作物(消費機器ではない)で、ここだけ円の外に出る。
一つ内側がガス用品である。主として一般消費者等がガスを消費する場合に用いられる機械・器具・材料であって、政令で定めるものをいう。政令で定めるという限定があるからこそ、消費機器より狭い。主な品目は次のとおり。
消費機器・ガス用品・特定ガス用品の包含関係| 品目 | 能力 |
|---|---|
| ガス瞬間湯沸器 | 70kW以下 |
| ガスストーブ | 19kW以下 |
| ガスバーナー付ふろがま | 21kW以下 |
| ガスふろバーナー | 21kW以下 |
| ガスこんろ | 14kW以下 |
最も内側が特定ガス用品だ。構造・使用条件等から特にガスによる災害の発生のおそれが多いと認められるガス用品(政令で定める)をいう。主な品目は屋内設置・半密閉式のガス瞬間湯沸器、ガスバーナー付ふろがま、ガスふろバーナー。一般のガス用品より厳しい規制が適用される。
なぜ屋内・半密閉式が選ばれているのか。設置場所と構造の面で、災害の発生のおそれが特に大きいと見なされているからだ。出題者はこの円の大小を逆にして「ガス用品=消費機器」と書いてくる。広いのは消費機器のほうである。
⚡ 焦点ポイント
「特定ガス用品」は「屋内・半密閉式」が重要キーワード。開放式や屋外設置は通常ガス用品。 / 消費機器はガス用品を含む広い概念。「ガス用品=消費機器」は誤り(消費機器の方が広い)。
📝 誤答パターン(過去問頻出+一般則)
- 【最頻出】 「昇圧供給装置は消費機器」は誤り。ガス工作物に分類される。
🗒️ 3分で復習(章末まとめ)
🎯 全節 一言まとめ
- 節1 ガスシステム改革と4つの事業区分: 2017年の自由化でガス事業は4区分に再編。事業ごとに参入方法(登録・許可・届出)が異なる。
- 節2 ガス小売事業(登録制)の詳細: ガス小売事業への参入には登録が必要。供給能力確保・説明義務・苦情処理等の義務を負う。
- 節3 一般ガス導管事業(許可制)と最終保障供給: 一般ガス導管事業は許可制。供給区域内の託送供給と最終保障供給が義務。
- 節4 特定ガス導管事業・ガス製造事業(届出制): 特定ガス導管事業・ガス製造事業はどちらも届出制。ガス製造事業には20万kLの規模要件あり。
- 節5 ガス事業の保安体制(保安規程・ガス主任技術者): ガス事業の保安は国による規制+事業者の自主保安が基本。保安規程とガス主任技術者が2本柱。
- 節6 消費者保護・消費機器の保安義務: ガス小売事業者は周知・調査義務を持つ。内管漏えい検査は一般ガス導管事業者の義務。
- 節7 ガス事業関係法令の体系: 法令体系は法律→政令→省令→告示の順。ガス事業法・施行令・施行規則・技省令等が主要法令。
- 節8 法律用語①「許可・認可・承認・勧告」: 許可=禁止解除、認可=法的効力付与、承認=肯定的意思表示、勧告=強制力なき促し。
- 節9 法律用語②「登録・届出」: 登録=行政の審査あり、届出=書類提出のみで完結。参入方法の違いと紐付けて覚える。
- 節10 法律用語③「及び・並びに」「又は・若しくは」: 「及び」は同レベルのAND、「並びに」は異レベルのAND。「又は」は大きいOR、「若しくは」は小さいOR。
- 節11 法律用語④「以上・以下・未満・超える・以内」: 「以上・以下・以内・以外・以前・以後」は基準点を含む。「未満・超える」は含まない。
- 節12 ガス事業法の目的(第1条): 目的は「ガスの使用者の利益保護」「ガス事業の健全な発達」「公共の安全確保」「公害の防止」の4つ。
- 節13 用語の定義①「ガス事業・小売供給・大口供給・託送供給」: 小売供給=一般需要に導管でガスを供給。大口=年間10万m³以上。託送供給=他者のガスを導管で輸送。
- 節14 用語の定義②「ガス工作物」: ガス工作物=ガス供給のために施設する設備一式。最末端はガス栓。ガスホース等は含まない(消費機器)。
- 節15 用語の定義③「圧力区分・熱量・燃焼性」: 高圧≧1MPa、中圧:0.1〜1MPa未満、低圧<0.1MPa。熱量=標準状態1m³の総熱量。
- 節16 用語の定義④「液化ガス・移動式ガス発生設備」: 液化ガスは0.2MPa以上かつ35℃以下の定義。移動式ガス発生設備は貯蔵能力1万kg未満または1万m³未満。
- 節17 用語の定義⑤「ガス用品・消費機器・特定ガス用品」: ガス用品=政令で定める家庭用機器・材料。特定ガス用品は屋内・半密閉式の湯沸器等。消費機器はより広い概念。
⚡ 全節 焦点ポイント
- 節1: 「登録・許可・届出」の対応を正確に覚える。 / 小売=登録、一般導管=許可、特定導管・製造=届出。
- 節2: 「供給計画の届出は当該年度の開始前」という期日が問われやすい。 / 業務改善命令→登録抹消という段階的な処分の流れも押さえておく。
- 節3: 最終保障供給は「ガス小売事業者ではなく一般ガス導管事業者の義務」という点が引っ掛けで出る。 / 一般ガス導管事業の参入方法は「許可」(届出・登録と混同しないこと)。
- 節4: ガス製造事業の「20万キロリットル以上」という数値は頻出。未満なら対象外。 / 特定ガス導管事業と一般ガス導管事業の違いは「供給区域の有無」と参入方法(届出 vs 許可)。
- 節5: 「保安規程は経済産業大臣の許可が必要」は誤り。正しくは「届出」。 / 認定高度保安実施制度の有効期間「7年ごとに更新」は数値として頻出。
- 節6: 「消費機器の調査義務はガス小売事業者だけが持つ」は誤り。最終保障供給をする一般ガス導管事業者も持つ。 / 基準不適合時の対応は「禁止命令」ではなく「通知・勧告」。
- 節7: 「技術基準」とは省令(技省令)と告示(技告示)の両方を指す点に注意。 / 特監法は独立した「法律」であり、ガス事業法の省令・告示ではない。
- 節8: 4つの用語すべてが選択肢として登場し、どれか一つが正解・または誤りになる形式が多い。 / 「勧告には強制力がない」は最頻出の引っ掛けポイント。
- 節9: 「ガス小売事業は届出制」は誤り(登録制)。「特定ガス導管事業は許可制」も誤り(届出制)。 / 4事業の参入方法の表をそのまま暗記すること。試験に毎年のように出題される最重要事項。
- 節10: 「並びに」は単独では使われないことに注意。必ず「及び」とセットで登場する。 / 「又は」と「若しくは」の使い分けは甲種で特に問われやすい。
- 節11: 「1MPaは高圧か中圧か」→高圧(以上だから含む)。 / 「0.1MPaは中圧か低圧か」→中圧(以上だから含む)。
- 節12: 「調整・利益・規制」の3語をセットで暗記。 / 目的は4つあるが、条文に「消費者の利益」ではなく「使用者の利益」と書かれている点に注意。
- 節13: 大口供給の閾値「10万m³以上」は数値問題として頻出。 / 小売供給の定義で「70以上」(旧簡易ガス事業の供給地点数)が誤答選択肢(70未満)として出る。
- 節14: 「ガスホースはガス工作物に含まれる」は誤り→消費機器。 / 「製鉄会社のコークス炉はガス工作物」は誤り→ガス事業の用に供さないため対象外。
- 節15: 境界値(0.1MPa、1MPa)がどちらの区分に含まれるかを必ず確認。 / 熱量の定義「1m³」を「22.4L」や「1mol」と誤答させる選択肢が頻出。
- 節16: 液化ガスの温度要件「35℃以下」を「40℃以下」と書いた誤答が頻出。 / 移動式ガス発生設備の貯蔵能力上限「液化:1万kg未満、圧縮:1万m³未満」も頻出数値。
- 節17: 「特定ガス用品」は「屋内・半密閉式」が重要キーワード。開放式や屋外設置は通常ガス用品。 / 消費機器はガス用品を含む広い概念。「ガス用品=消費機器」は誤り(消費機器の方が広い)。
📌 法令章 5つの引っ掛けパターン
過去問の誤答選択肢は、本章の知識を以下の5パターンで書き換えて作られます。試験前に確認してください。
| パターン | 典型例 | 対策節 |
|---|---|---|
| ① 義務主体入れ替え | 「ガス小売事業者」⇄「経済産業大臣」⇄「ガス主任技術者」⇄「一般ガス導管事業者」 | 節2-6, 14 |
| ② 手続き名入れ替え | 「登録」⇄「許可」⇄「届出」⇄「認可」⇄「承認」 | 節1-4, 8-9 |
| ③ 数値書き換え | 「0.2MPa」→「0.1MPa」、「35℃」→「40℃」、「20万kL」→「2万kL」、「70以上」→「50以上」 | 節11, 13, 15-16 |
| ④ 時期書き換え | 「事前に」⇄「遅滞なく」、「7年ごと」⇄「5年ごと」、「4年に1回」⇄「6年に1回」 | 節2, 5 |
| ⑤ 対象範囲の拡張/縮小 | 「ガスホースはガス工作物に含む」(誤)、「ガス用品=消費機器」(誤)、「努力義務」⇄「義務」 | 節14, 17 |
本番の問題文を読むときは、上記5観点で「どこが書き換えられているか」を意識してチェックすると正答率が上がります。
📝 一問一答(過去問ランダム)
記述が正しいか誤りかを判定。答え・理由・出典が出ます。
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