頻出17年で21問移動式ガス発生設備は、本管が使えない時にガスをその場で発生させて供給する可搬設備。出題は①技術基準(必要な措置と除外)と②方式(PA式/CNG式)と用途の2軸。どちらも「すり替え」で誤りを作るパターンが定番です。
📌 移動式ガス発生設備とは
導管工事を行った場合及び災害その他の非常の場合に、ガス事業者がすでに供給している使用者に対しガスを一時的に供給するための、移動可能なガス発生設備をいう。ボンベ等から都市ガス相当のガスを発生・整圧して送り出す。「災害時のみ使用可能」は誤り——工事等の平常時にも使われる(R1問18)。また「個々の使用者の需要に応じてガスを供給するため」のものではない(既存使用者への一時供給が目的)。
容量による区分 — ふつうの移動式と「大容量」
| 区分 | 容量(貯蔵能力) | 効いてくる規制 |
|---|---|---|
| 移動式ガス発生設備 (の範囲) | 液化ガス1万kg未満・圧縮ガス1万m³未満 (これ以上は移動式に該当しない) | 移動式としての技術基準(後述) |
| 大容量の 移動式ガス発生設備 | 液化ガス100kgを超える 又は 圧縮ガス30m³を超えるもの | + 離隔距離(保安距離)/防消火設備 が必要 |
💡 ここがポイント 離隔距離や防消火設備が要るのは「大容量」=液化ガス100kg超 または 圧縮ガス30m³超のもの。圧縮ガス30m³超の条件を落とした「液化ガスだけ」の出題、しきい値を30kg・50kgに下げた出題が定番(H29甲種・R1問5)。
🔀 方式 — PA式・CNG式(+LNG式)
flowchart LR
subgraph PA["PA式(空気吸入式)"]
direction LR
A1["LPG(プロパン)"] --> A3["混合・熱量調整"]
A2["大気の空気"] --> A3
A3 --> A4["プロパンエアーガス
(都市ガスと同グループ)"]
end
subgraph CNG["CNG式(圧縮天然ガス)"]
direction LR
B1["圧縮天然ガスボンベ
熱量調整・付臭済"] --> B2["減圧・整圧"] --> B3["そのまま供給"]
end
subgraph LNG["LNG式"]
direction LR
C1["LNG容器"] --> C2["気化"] --> C3["供給"]
end
| 方式 | 原料・仕組み | 特徴 |
|---|---|---|
| PA式 (空気吸入式/ プロパンエア) | 大気中の空気とLPG(プロパン)を混合して、プロパンエアーガスを発生させる | 都市ガスと同グループのガスを現地で作る |
| CNG式 (圧縮天然ガス) | ボンベに圧縮・充てんされた、熱量調整・付臭済みの天然ガスを供給する | すでに調整済みのガスをそのまま使う |
| LNG式 (液化天然ガス) | 容器のLNGを気化させて供給する | 復旧用の移動式発生器はPA・CNG・LNGの3タイプ |
※試験で対比されるのは主にPA式とCNG式。LNG式は気化方式として押さえる程度でよい。
⚠ 定番ひっかけ:「PA式はボンベに圧縮・充てんされた天然ガスを供給」は誤り——それはCNG式の説明(R3問18)。PA式は空気+LPG(R7問18)。両方式の説明を入れ替えてくる。
⚙ 技術基準ではどう問われるか
移動式ガス発生設備は製造設備の一種として技術基準(技省令)に規定がある。ポイントは「必要な措置」と「他の製造設備とは扱いが違う(除外される)措置」の区別。
| 項目 | 移動式ガス発生設備の扱い | 正誤の作られ方 |
|---|---|---|
| ガスの流出入の遮断装置 | 必要 ⭕ | 異常時に速やかに遮断できる装置 |
| ガスの発生停止装置 | 必要 ⭕ | 迅速・安全に発生を停止できる装置(技省令27条2項)。非移動式の「停止又は処理」(27条1項)とは別で、移動式は停止のみ(「又はガスを処理」を足すと誤り) |
| 容器の温度維持 | 必要 ⭕ | 圧力が異常に上昇しない温度に(「低下」はひっかけ) |
| 容器の移動・転倒・腐食・バルブ損傷防止 | 必要 ⭕ | 「容易に移動又は転倒しない」(「腐食又は転倒」はすり替え) |
| 逆流防止構造 | 対象に含む ⭕ | 「移動式…を除く」は誤り。逆流防止は含む |
| 防爆性能の電気設備 | 必要 ⭕ | 付近の電気設備は防爆性能 |
| 公衆のみだり操作防止 | 必要 ⭕(含む) | 移動式・整圧器に措置。一の使用者にガスを供給するための整圧器は除く |
| 計測・確認(損傷防止) | 必要 ⭕ | 移動式は「適切な措置」(非移動式の「装置」とは書き分け。R2問8) |
| 誤操作防止の遮断装置 | 必要 ⭕ | 遮断装置は製造・供給所と移動式にも措置 |
| 保安電力等の措置 | 必要 ⭕ | 停電時も安全に停止(特定・移動式を含む) |
| 警報装置(損傷検知) | 不要 🚫(除く) | 「移動式に警報装置を設けねばならない」は誤り(R1問7) |
| 圧力上昇防止装置(低圧) | 対象外 🚫(除く) | 低圧ガス発生設備の規定から移動式・液化ガス・特定ガス発生設備は除外 |
| 基礎の構造(沈下防止) | 対象外 🚫(除く) | 基礎構造の基準から導管・配管・移動式は除外 |
| ガス発生器・増熱器と 事業場境界線の距離 | 対象外 🚫(除く) | 境界線から告示で定める距離が必要だが、移動式ガス発生設備に属するものは除く(大容量の相互間距離とは別) |
| 熱量・燃焼性・圧力の測定 | 必要 ⭕(特例あり) | 圧力は出口で常時測定(「毎日1回」は誤り)。一の使用者にガスを供給するものは測定不要 |
| 付臭 | 必要 ⭕ | 使用者等に供給するガスは、容易に臭気で漏えいを感知できるよう付臭 |
| 離隔距離(保安距離) =大容量のみ | 液化ガス100kg超 又は 圧縮ガス30m³超で必要 | 大容量と他の移動式の相互間に必要。「30kgで」「液化ガスだけ(30m³超を欠落)」「貯蔵能力にかかわらず」は誤り(R1問5) |
| 防消火設備 =大容量のみ | 大容量移動式は必要 | 製造・供給所の通ガス工作物と大容量移動式が対象(不活性は除く) |
💡 ここがポイント 移動式が「除かれる」のは①警報装置 ②(低圧の)圧力上昇防止装置 ③基礎の構造。逆に逆流防止・遮断・保安電力には「含まれる」。離隔距離・防消火設備は「大容量」(100kg超/30m³超)だけに必要。方向と区分の取り違えが頻出。
flowchart TD
S["ガス発生設備"] --> Q1{"移動式か?"}
Q1 -->|いいえ| N["通常の製造設備の基準
(警報装置・基礎構造 等も対象)"]
Q1 -->|はい| M["移動式の基準
=警報装置・圧力上昇防止・基礎構造は除外"]
M --> Q2{"大容量?
液化100kg超 / 圧縮30㎥超"}
Q2 -->|いいえ| M2["離隔距離・防消火は不要"]
Q2 -->|はい| M3["+ 離隔距離・防消火設備が必要"]
📋 「移動式を含む / 含まない」早見表
同じような条文で「移動式を含む/除く」を入れ替えるのが最大の得点源。まとめて覚える。
| ⭕ 移動式を含む(措置が必要) | 🚫 移動式を含まない(除外) |
|---|---|
|
|
🧑🔧 ガス主任技術者との関係
移動式ガス発生設備はガス主任技術者の監督範囲でも問われる。乙種でも「高圧の移動式ガス発生設備」の工事・維持・運用の保安監督ができるのがポイント。
| 免状 | 監督できるガス工作物の範囲 |
|---|---|
| 甲種 | すべてのガス工作物 |
| 乙種 | 中圧・低圧のガス工作物+高圧の液化石油ガス貯槽+高圧の移動式ガス発生設備+特定ガス発生設備 |
| 丙種 | 特定ガス発生設備 |
⚠ 頻出ひっかけ早見
| 誤りの作り方 | 誤(×) | 正(⭕) |
|---|---|---|
| 数値のすり替え | 離隔は液化ガス30kgで必要 | 液化ガス100kg超 又は 圧縮ガス30m³超 |
| 条件の欠落 | 大容量=液化ガス100kg超(だけ) | 圧縮ガス30m³超も含む |
| 方向の逆転 | 圧力が異常に低下しない温度 | 異常に上昇しない温度 |
| 用語のすり替え | 容易に腐食又は転倒しない | 容易に移動又は転倒しない |
| 含む↔除く | 逆流防止は移動式を除く | 逆流防止は移動式を含む |
| 除外の捏造 | 移動式にも警報装置が必要 | 警報装置は移動式を除く(不要) |
| 方式の入替え | PA式はボンベの圧縮天然ガス | PA式は空気+LPG/CNG式が圧縮天然ガス |
| 範囲の限定 | 移動式は災害時のみ使用可 | 災害時以外(工事等)でも使用可 |
📊 出題実績(17問)
技術基準(法令)で繰り返し、供給の地震対策でも方式が問われている。
法令 H29問5法令 H29問6法令 H29問9法令 H30問7法令 R1問5法令 R1問7法令 R1問8法令 R2問8法令 R2問9法令 R3問9法令 R3問10法令 R5問7法令 R6問10供給 H30問18供給 R1問18供給 R3問18供給 R7問18
📝 一問一答ドリル(過去問ランダム)
記述が正しいか誤りかを判定。答え・理由・出典が出ます。
