過去12年の出題テーマを整理すると 「地震対策」「防災」「品質管理」「設備保全・経年劣化」 がローテーション。
他分野(供給・消費)に比べて出題が読みづらいため、頻出4テーマ+「津波」「停電」「付臭」のサブを準備するのが安全。
R7では「バイオガス導管注入時の不純物」が新傾向として登場 — カーボンニュートラルの流れに注意。
1. 出題傾向(直近12年・H26〜R7)
| 年度 | 出題テーマ |
|---|---|
| R7 (2025) | 供給ガスの品質管理に関する以下について、述べよ。ただし、関連する設備方式や測定方式については除く。 (1) 次の(ア)及び(イ)について、製造事業者として管理すべき内容、管理上の留意点や管理すべき理由 (ア) 熱量及び燃焼性(増熱及び希釈する場合を含む) (イ) ガスの付臭 (2) バイオガスを導管注入する際、不純物に関する注意点 |
| R6 (2024) | 以下の2点について答えよ。 (1) 地震発生時に製造所で行うべき緊急対策と復旧対策の内容を述べよ。ただし、設備対策を除く。 (2) 沿岸部に設置される製造所で、津波発生時に想定される設備被害の要因をあげ、設備上の対策について述べよ。 |
| R5 (2023) | 製造所における保安、防災に関する以下について要点を述べよ。 (1) 防災の基本的考え方及び災害発生時の初動対応までの基本手順 (2) 停電対策の基本的考え方並びに停電発生時のガス製造設備の停止及び復旧の基本手順 (3) 風雨及び雷に関する気象警報・注意報発表時の製造所の備え |
| R4 (2022) | 導管にガスを注入する際の、品質に関する以下の3点の管理すべき理由と留意点について述べよ。 (1) 熱量及び燃焼性 (2) ガスの付臭 (3) 不純物(特殊成分)等 |
| R3 (2021) | 製造所の設備に関し、以下の2点について述べよ。 ① 設備保全の方式及びその内容 ② 経年劣化の事象、発生設備及びその要因 |
| R2 (2020) | ガス製造設備における地震時の緊急対策と復旧対策に関して、基本的考え方と対策について述べよ。 |
| R1 (2019) | 以下の2点について答えよ。 (1) 製造所における防災の基本的考え方と平常時より講じておくべき対策について、その要点を述べよ。ただし、保安設備、耐震対策など設備上の対策を除く。 (2) 製造所において想定される津波による設備の被害をあげ、それぞれについての設備上の対策について述べよ。ただし、緊急対策、復旧対策を除く。 |
| H30 (2018) | 製造所の設備における①保全方式の分類とその内容、②経年劣化事象とその要因、について述べよ。 |
| H29 (2017) | 製造所における供給ガスの品質管理において重要な管理項目をあげ、それぞれについての管理上の留意点を述べよ。 |
| H28 (2016) | (1) 防災の基本+平常時の対策 (2) 停電対策(設備対策) |
| H27 (2015) | 付臭の必要性+付臭剤の要件+臭気濃度の測定方法 |
| H26 (2014) | 二段階レベル別地震動+重要度分類の耐震設計+地震時の緊急・復旧対策 |
2. テーマ別の出題頻度(独自集計)
| カテゴリ | 過去12年の出題回数 | 出題年度 |
|---|---|---|
| 地震対策★★★ | 4回 | R6, R2, H26, (R5復旧) |
| 防災の基本(平常時対策)★★★ | 3回 | R5, R1, H28 |
| 品質管理(熱量・燃焼性・成分)★★★ | 3回 | R7, R4, H29 |
| 設備保全・経年劣化★★ | 2回 | R3, H30 |
| 津波対策★★ | 2回 | R6, R1 |
| 停電対策★★ | 2回 | R5, H28 |
| 付臭(必要性・要件・測定)★ | 2回 | R4, H27 |
| バイオガス(導管注入時の不純物)(新傾向) | 1回 | R7 |
直近では 地震・津波・防災・保全・経年劣化 が主軸。
R7は 品質管理(熱量・燃焼性・付臭)+バイオガス★新傾向、R6は地震+津波、R5は防災+停電+気象警報、R4は品質管理に回帰。
「LNG基地のリスク管理」+「カーボンニュートラル(e-メタン/バイオガス)」 視点で答えると整合性が取れる。
バイオガス(下水汚泥・食品残渣・畜産糞尿等から発生)を都市ガス導管へ注入する際の注意点:
- シロキサン: バーナー部に二酸化ケイ素として堆積し閉塞・損傷の原因。除去装置(活性炭吸着)で除去
- 硫黄分(硫化水素・メルカプタン): 0.5g/m³以下に管理。脱硫装置で除去
- 水分・露点: 導管中で結露しない露点まで脱水(脱水装置の管理)
- アンモニア: 0.2g/m³以下に管理
- CO2: 燃焼性に影響するため除去または希釈
- 固形物・粒子: フィルタで除去し導管詰まりを防止
- 注入前に ガス事業法の品質基準(熱量・燃焼性・成分) を満たすことを確認
3. カテゴリ別 暗記テキスト
品質管理(熱量・燃焼性・成分・露点)
| 項目 | 留意点 |
|---|---|
| 熱量と燃焼性 | ガス事業法で定められた頻度(毎日1回)・JIS法に従い、製造所の出口で測定し記録を1年間保存。 異種ガス混合送出時は出口付近の熱量を常時監視。 増熱・希釈する場合は原料カロリー・希釈率の管理が必要。 |
| 臭気 (付臭剤濃度) | 原料(LNG等)に臭いがないため供給ガスへの付臭が必要。パネル法による官能試験または付臭剤濃度測定から相関で求める。1回/月以上測定 |
| 不純物(成分) | 燃焼排ガスによる人体危害、機器の腐食・損傷、環境汚染防止のため、硫黄全量・硫化水素・アンモニアを定められた数値以下に管理。1回/週以上測定 |
| 露点(水分) | 多量の水分含有は水和物生成・導管閉塞の原因。導管中で結露しない露点まで脱水するよう脱水装置を管理。 |
| (参考)圧力 | ガス事業法によりガスホルダーの出口で常時、自動記録できる圧力計で測定。 |
付臭(必要性・要件・設備・測定)
(1) 付臭の必要性:
供給ガスが漏えいした場合に早期発見し事故防止を図るため、ガスであることが容易に感知できる臭気を有することが必要。
(2) 付臭剤の要件 10項目:
- 生活臭と明瞭に区別でき、ガス臭であると認識できる警告性のある臭い
- 極めて低い濃度でも特有の臭気が認められる
- 嗅覚疲労を起こしにくい
- 人体に害や毒性がない
- 安定性がよく、ガス導管を腐食しない・吸着や化学反応を起こさない
- 完全に燃焼し、燃焼後は無害無臭
- 物性上、取り扱いが容易
- 土壌透過性が高い
- 安価で入手が容易
- 嗅覚以外の簡易検知法がある
主な付臭剤: TBM(ターシャリーブチルメルカプタン)、THT(テトラヒドロチオフェン)、DMS(ジメチルサルファイド)。単一または混合で使用。
(3) 臭気濃度の測定方法:
- パネル法(人の嗅覚): オドロメーター法、注射器法、におい袋法
- 付臭剤濃度測定法(分析機器): FPD付ガスクロマトグラフ法、THT測定機器法、検知管法
防災の基本(基本的考え方+平常時対策)
(1) 防災の基本的考え方 3項目:
- 事故の未然防止 — 地震・台風・洪水等の自然災害に対しても、ガス漏れや爆発等の事故を起こさない
- 事故の極小化 — 万一事故が発生しても、災害として拡大させない
- 早期復旧 — 事故による被害が生じた場合は一刻も早く復旧する
(2) 平常時の対策:
- 災害種別ごとに防災マニュアルを定め、定期的な内容見直しと関係者への周知徹底を行う
- 防災マニュアルに基づき緊急措置訓練を定期的に実施し、防災意識の高揚と災害予防・初動・復旧活動の充実を図る
- 工事会社等との協力体制の確認、資材輸送ルートの確保、外部関係先との相互援助等を平常時から整えておく
(3) 台風対策:
- 各地域で過去に災害をもたらした風速・雨量を判断基準とする
- 製造設備の監視強化、停電への備え、構内排水路の点検、飛散物対策を実施
地震対策(設備+緊急+復旧)
(1) 設備対策(耐震設計):
二段階のレベル別地震動:
- レベル1: 供用期間中に1〜2度程度発生する一般的な地震動 → 機能に重大な支障を生じない
- レベル2: 直下型地震・海溝型巨大地震に起因するさらに高いレベルの地震動 → 人命に重大な影響を与えない
重要度分類: 設備損傷時の ①災害発生による周辺公衆への影響度 ②ガス供給機能への影響度 を考慮。
(2) 緊急対策:
基本的な考え方: 地震発生時に予想される二次災害を防止し、保安を確保することを基本とし、発生直後に製造設備等の安全確認を行い、速やかに設備停止判断を行う。
対策5項目:
- 緊急対策設備の整備
- 緊急措置要領の整備
- 緊急対策体制の整備
- 地震直後の設備点検
- 避難及び救護
(3) 復旧対策:
基本的な考え方: 緊急措置を講じた後、速やかに製造設備の復旧を図る。
対策4項目:
- 復旧計画と体制の整備
- 復旧資機材の確保
- 原料・燃料等の確保
- 教育・訓練
津波対策(R1初出題・R6再出題)
(1) 想定される設備被害 5項目:
- 浸水による被害 — 電気・計装設備の浸水による作動不良、監視・操作不能、ガス製造機能の喪失
- 洗掘による被害 — 設備基礎周辺の地盤が洗い流され、基礎が傾斜・流出し機能喪失
- 波力による被害 — 構造物の損傷・滑動・転倒、水圧による座屈
- 浮力による被害 — 貯槽・配管・ケーブルダクト等が浸水浮力で被害
- 漂流物衝突による被害 — 車両・コンテナ・船舶が流され設備に衝突し損傷・機能喪失
(2) 設備上の対策 4項目:
- 配管 — 配管ガイド・サポート設置で変位を抑制、漂流物衝突防止の防護柵を設置
- 電気計装設備 — 防潮堤等の囲い、建屋扉の水密化、基礎かさ上げ、貫通部の塞ぎ、防水仕様の採用
- 基礎 — 地盤表面のコンクリート/アスファルト舗装、小型基礎は近隣の杭基礎と連結
- 桟橋 — 緊急離脱装置(ERS)、クイックリリースフックの採用
停電対策(保安電源の確保)
(1) 保安電源の確保:
- 停電によりガス工作物の機能が失われないよう、製造設備を安全に停止させるのに必要な装置その他保安上重要な設備には、ガス事業法に基づき保安電力・保安用計装圧縮空気・電力以外の動力源を備える
- 保安電源や動力源は通常停止しているため、定期的な試運転により機能確認をしておく
(2) 復旧手順の整備・訓練:
- 停電発生時、買電稼働のガス製造設備が安全側に移行・停止していること、保安電力等が正常に作動していることを確認
(3) 停電時の留意点:
- BOG圧縮機停止に伴うLNG貯槽圧力上昇に注意。必要に応じて放散処理設備による降圧の準備を行う
- 送ガス再開時には品質管理面で熱量調整・付臭剤添加に留意
設備保全(保全方式+経年劣化)
(1) 保全方式(設備管理上の分類):
- 予防保全(PM): 故障を未然に防止し、使用可能状態に維持するため計画的に行う保全
- 時間計画保全(TBM): 定期保全(一定期間ごと)、経時保全(累積運転時間ごと)
- 状態監視保全(CBM): 設備の状態(振動・温度・圧力等)に応じて行う保全
- 事後保全(BM): 故障が起こった後、設備を運用可能な状態に回復する保全
(2) 経年劣化事象と要因:
| 劣化事象 | 発生設備 | 要因 |
|---|---|---|
| 腐食減肉 | 炭素鋼配管、気化器、貯槽、熱交換器 | 雨水滞留、水分、塩化物、すきま腐食、炭酸腐食 |
| 応力腐食割れ | SUS配管・容器 | 残留応力と海塩による腐食環境 |
| 疲労割れ | 気化器、ガスホルダー | 温度変動による熱応力の繰り返し、圧力変動による応力の繰り返し |
| 摩耗 | ポンプ、圧縮機 | キャビテーション、摺動 |
| コンクリート劣化 | 各設備の基礎 | 酸性雨・大気中CO2による中性化、海水による塩害、冷熱に起因する凍害 |
| 電気・計装の設備劣化 | 電動機・受配電設備、計測・制御機器 | 水分・熱・塵埃、摩耗、電磁力・酸化、摺動 |
4. 解答時の重要ポイント
① 設問の制限を見落とさない
「設備対策を除く」「緊急対策・復旧対策を除く」など 除外指定が多い のが製造論述の特徴。問題文を 赤線で除外項目を囲む 習慣を。
② 「3項目」「5項目」を覚える
防災の基本(3項目)、緊急対策(5項目)、復旧対策(4項目)、津波被害(5項目)、付臭剤要件(10項目) — 数で覚える と漏れない。
③ 4テーマ準備が安全
製造論述は出題が読みづらい。「品質管理(付臭含む)」「防災(地震・津波)」「停電対策」「保全(経年劣化)」の4テーマ を準備しておけばほぼ対応可能。
5. 論述テンプレート(28行A4目安)
※A4答案用紙28行に収まるよう、1行=1要素で構成
■ 緊急対策の基本的考え方(2行)
- 地震発生時に予想される二次災害を防止し、保安を確保することを基本とする
- 地震発生時は直ちにガス製造設備等の安全確認、速やかに設備停止判断を行う
■ 緊急対策 5項目(5行)
- ① 緊急対策設備の整備
- ② 緊急措置要領の整備
- ③ 緊急対策体制の整備
- ④ 地震直後の設備点検
- ⑤ 避難及び救護
■ 復旧対策の基本的考え方(1行)
- 緊急措置を講じた後、速やかに製造設備の復旧を図ることを目的とする
■ 復旧対策 4項目(4行)
- ① 復旧計画と体制の整備
- ② 復旧資機材の確保(移動式ガス発生設備等)
- ③ 原料・燃料等の確保
- ④ 教育・訓練の実施
